精神科編

精神疾患編① 精神科用語、せん妄、心理・精神機能について  

精神科


ここでは精神科疾患についてまとめていきます



注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


精神機能と症候について


精神機能の障害によってどのような精神症状が出るのかをまとめたものとなります


精神機能症候
意識・意識混濁

・意識変容:せん妄、もうろう、アメンチア
知覚・錯覚

・幻覚:幻聴、幻視、幻嗅、体感幻覚
思考・思考過程(思路)の異常:思考制止、思考途絶、観念奔逸、滅裂思考、連合弛緩、保続、迂遠

・思考の体験様式異常:強迫観念、作為思考

・思考内容の異常:一次妄想(妄想気分、妄想着想、妄想知覚)、二次妄想(被害妄想、微小妄想、誇大妄想)
感情・気分異常;爽快気分、高揚気分、抑うつ気分、上機嫌

・感情の興奮性異常:情動麻痺、感情鈍麻

・感情調節障害:感情失禁

・病的感情:不安、恐怖、両価性
意欲と行動・欲動の量的障害:興奮状態、制止、途絶、混迷

・個々の欲動の障害:食欲の障害、自傷、自殺、種族保存欲の異常
記憶・記銘力障害

・記憶の保持再生障害

・健忘
精神機能と症候について


以上の内容を踏まえ、それぞれの用語の意味を解説していく


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用語解説
意識混濁自分の現在置かれている環境の認識が低下している状態をいう

痛みに反応しなかったり、重症では目を覚さない状態となる
意識変容幻覚や錯覚、思考の混乱、不安、興奮など異常な言動を生じている状態をいう

意識混濁を伴っていることも多い
せん妄症状は認知症に似ているが、様々な点で異なっている

→せん妄は意識障害があり発症時期が特定でき、期間は数時間から数週間と一過性である(認知症との違い)

また、症状には、突然暴れる、意味不明なことを口走る、妄想・幻覚・幻聴、攻撃的になるなどがある
もうろう軽度の意識混濁で、意識の範囲が狭まっている状態をいう
アメンチア思考の錯乱、意識混濁(比較的軽症)を生じる急性の精神錯乱状態をいう

せん妄の前段階やその回復期にみられ、一過性の幻覚や妄想を伴うことがある

統合失調症という概念が確立してからは、感染や中毒などで精神的統一を失った意識状態を指すようになった
離人症自我意識の障害であり、生き生きとした感情がなくなる状態のことである
「意識」の症候の用語解説


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用語解説
錯覚事実と違った知覚として認識してしまうことで、思い違いによるものをいう

これは老化や認知機能の低下によって起こりやすくなるが、病気でなくても起こりうる

他にも、錯視、錯聴、錯触などがある
幻覚実在しない知覚の情報を実在するかのように体験することをいう
幻聴実在しない知覚の情報を実在するかのように音や声が聴こえることをいう

本人は音(声)としてはっきり聴こえた、という訴えが多い
幻視実際にないものが「みえる」ことをいう

この他それぞれの知覚異常に対して、幻嗅、幻味、幻聴などがある

レビー小体型認知症に多いとされる

(アルツハイマー型では幻視よりも幻聴が多いとされる)
体感幻覚怪我などがないのに、痛みを感じたり虫が背中を這うような感覚を訴えたりする、身体的に感じる幻覚をいう
錯視
(パレイドリア)
せん妄レビー小体型認知症を示唆する症状

ex)天井のシミを見て、「虫が這っている」と言うなど
「知覚」の症候の用語解説


幻覚が見られる方へは、「否定をしない」ということが大事である

→対処としては、一緒に確認をして安心をしてもらうというのが良い


錯覚と妄想を合わせて妄覚という


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用語解説
思考制止自信をなくし、判断力・決断力の低下、思考テンポが遅く、考えようとしても考えが進まない状態をいう

うつ症状でみられるものの一つ
思考途絶思考が止まってしまうことで、統合失調症にみられる

注)思考制止とは異なる点に注意
思考化声自分の思考が声(幻声)となって聞こえてくる体験をいう

統合失調症にみられる
観念奔逸思考過程の異常な亢進で、考えがとめどなく溢れている状態をいう

早口で駄洒落などもでてきたりする

表面的に話の内容は脈絡あるようだが、目的からは逸脱している

躁うつ病の躁状態で顕著に見られる
滅裂思考考えがまとまらないこと、連合弛緩

統合失調症に特徴的
連合弛緩思考のテーマが脈絡がなく飛躍し、連想に緩みが生じていて思考がまとまらない状態である(「言葉のサラダ」とも言われる)

本人は無自覚であり指摘されても気づかない
進行することで思考が支離滅裂となる

統合失調症に見られる
言語新作意味不明の自分にしかわからない言葉や文字を新しく作ることをいう

統合失調症にみられる
保続ある行動が望まれたり求められていなく、適切でないとしてもその行動をとり続けることをいう

遂行機能障害の一つで、「終了の障害」に分類される

これをしないようにと言われて、本人も納得しているのに、その行為をやめずに繰り返してしまう状態
迂遠思考の目標は見失ってはいないが、一つずつの観念にこだわり説明をするため、回りくどい要領の良くない説明をしてしまうものをいう

てんかん認知症で見られる症状
強迫観念通常の不安や心配事程度ではなく、持続的で侵入的な観念である

思考や衝動、イメージでコントロールできず著しい苦痛を起こし、抑えようとするほど不安は強まる
(自分でも不合理な考えが浮かんで打ち消せないこと)

例えば、家を出た時に鍵を閉め忘れたのではないのか?ガスの元栓を閉め忘れたのではないか?など確認するまでは過剰な不安が残る
作為体験
(させられ体験)
自分の思考や感情、行動、意欲が外部から操られていると訴えのある症状をいう

能動性の障害自我意識の障害

統合失調症の中核症状である
「思考」の症候の用語解説1


うつには主に「思考の問題」「意欲・行為の低下」「身体症状」の3つがある


観念奔逸:思考の量的障害でみれば、「うつ病の思考の制止」とは対極にあるものである


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用語解説
一次妄想発生機序を心理的背景から理解することが困難な妄想のこと(なんでそのようなことが起こったのかを了解できない妄想

以下の、妄想気分、妄想着想、妄想知覚があり、主に統合失調症でみられる
妄想気分妄想の準備段階である

周囲の世界がなんとなく変化し、新しい意味を帯びてきて何か大きな事件が起こりそうな予感を持つ状態をいう
妄想着想突然にあるアイディアが思いつき、そのまま確信される現象をいう

次の妄想知覚とは違い、思いつきに知覚を前提としていない
妄想知覚突然ある知覚に対して特別な意味づけがなされ、そのまま確信される現象のこと

「突然ものが落ちた時に、自分の身内に何か悪いことが起こった」など
二次妄想現在の状況に由来するものとして発生的了解が可能な妄想のこと

重症のうつや躁病でみられるもの

以下の、被害妄想、微小妄想、誇大妄想がある
被害妄想自己または身近な人に対する他者の悪意が感じられるという被害的内容で、妄想内容としては最もよく見られるものである
妄想の対象はあいまいなこともあれば、特定・不特定集団であったりする

注察妄想、追跡妄想、被毒妄想などは広義の被害妄想である

統合失調症や重症うつ病や躁病エピソードでも聴取できる
微小妄想罪業(罪責)妄想、貧困妄想、心気妄想などの自己評価の低下を内容とする妄想の総称

罪業妄想:社会規範や倫理に反したという妄想的確信

貧困妄想:事実に反して経済的に困窮しているという妄想的確信

心気妄想:重大ないし不治の病にかかっているという妄想的確信

重症うつ病エピソードで見られる
誇大妄想肥大した自己評価を内容とする妄想の総称

一次的誇大妄想:妄想着想として統合失調症に生じることが多い

二次的誇大妄想:気分に一致した妄想として躁病エピソードの誇大感から生じる他、統合失調症では幻声や被害妄想に基づいて生じる

内容により血統妄想、宗教妄想、発明妄想とも言われる
関係妄想周囲の人の言動、出来事、TVやインターネット上の言葉などを自分に関するものと確信する妄想
物盗られ妄想物を置いた場所を忘れたのを盗まれたと思い込んでしまうことでおこる

アルツハイマー型認知症でみられる
「思考」の症候の用語解説2


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用語解説
気分障害気分の変動で日常の生活に支障をきたす疾患の総称
爽快気分いわゆる躁(そう)の状態である

気分は爽快で、楽しく、睡眠は少なくても平気であり、疲れ知らずで活発。また、多弁で早口である

最初はいいが、突然酷くなり口を挟むと怒り出したりする

鬱を経験してからの躁状態はよくあることである(躁転)
高揚気分気分が異常なまでに高まり、万能感に満ち溢れた状態をいう

単極型躁病、双極型躁病、統合失調症、薬物依存症でみられる
抑うつ気分うつ病のいくつかの症状が持続している状態をいう

うつ病まではいかなくともある程度の心のエネルギーが低下している状態をさす
情動麻痺突発的な激しい体験により一時的に情動が麻痺する状態をいう

例えば、生命の危機的状況にあるにもかかわらずどこか他人事であるように冷ややかに観察したり考えたりする
感情鈍麻通常であれば、感情的な反応を起こしそうな場面でもその反応が見られない状態をいう

様々な興味、関心を失い行動意欲の低下が見られる

社会活動の低下、行動範囲の狭まり、自室に引きこもりなどみられる。また、痛覚、温度覚、嗅覚なども鈍感になることがある

・高等感情の鈍麻:芸術性や倫理性など知的な領域まで反応を示さない状態
感情失禁血管性認知症などで見られる
不安これは健常者でも見られる普遍的な心理現象である。日常生活に支障ない程度であれば正常な感情反応といえるもの

身体的・精神的に危険な状況から自分を守ろうとする防衛反応と言える
恐怖有害な刺激から自分を守ろうとする情動反応

不安は対象が不明瞭だが、恐怖は対象が確定されている

恐怖症、強迫症がある
両価性
(アンビバレンツ)
思春期で見られるような精神状態をいう

反抗的・攻撃的態度を取ったと思えば、数分後には甘えたような態度を取ったりするなど一見矛盾した態度にみえる状態
親からの自立と親への依存の間で揺れ動く精神状態である

統合失調症、境界性人格障害、パーソナリティ障害でみられる
支配観念感情に裏付けられ、その人の考えや行動に強く影響を与える観念をいう
「感情」の症候の用語解説


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用語解説
興奮状態健常者の興奮状態とはまた別で、興奮反応が過剰で抑制のきかず自分や他人への影響が大きすぎる状態をいう

統合失調症での幻覚妄想状態や躁状態に伴って症状を呈することがある
制止うつ状態の際にみられる精神運動性の低下をいう

衝動や自発性を失い、思考過程の遅延、決断力・行動力・表現力が低下する

最重症では横になったまま動かなくなる
思考途絶統合失調症の一症状であり、通常の会話が突然途切れたりする

自明性の喪失による理解力の低下や思考のまとまりがなくなることで発生しうる

まずは滑舌の悪化などがみられたりする
行為心迫躁状態における意欲や発動性の異常である

何か行動をしていないと気が済まない切迫した状態

次々と欲動が生じて行為目的が一貫しない状態のこと
昏迷意識は清明だが外部からの刺激に反応せず、何も意志的表現を示さない状態をいう

無表情で、話さず動かそうとしても動こうともしない状態

注意:精神科症候における昏迷と意識障害の昏迷は別物である
自傷ネガティブな気分の軽減、人間関係トラブルの解決、ポジティブな気分になることを期待して意図的に自分を傷つける行為
種族保存欲の異常種族保存の欲求とは生物学的に同質の子孫を残したいという欲求のこと(=性欲とも)

食欲は個体保存の欲求という
行為障害人や動物、物に対する攻撃性が強い障害をいう
選択緘黙
(せんたくかんもく)
会話能力があるが、特定の状況下では話すことを拒否している状態をいう
「意欲と行動」の症候の用語解説


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用語解説
記銘力障害新しく体験したことを覚える能力に障害のあることで、コルサコフ症候群の後遺症や認知症の初期からみられる

昔の記憶は覚えていても、近時の記憶が失われている
記憶の逆行性喪失新しい記憶から過去に向かって忘れていく傾向のこと
健忘数秒前、数日前やさらに前の体験や出来事を思い出す能力が部分的または完全に失われる障害のこと

脳のどこに損傷が起きても健忘をきたす可能性がある

・逆行性:原因の起こる直前の出来事に対する健忘

・前向性:原因が起こった直後の出来事に対する健忘

・感覚特異的:一つの感覚によって処理される出来事に対する健忘(聴覚など)

学習したことよりも、事実の記憶を失うのが一般的
「記憶」の症候の用語解説



主な自我障害について


自我障害とは、自己と他者を区別する機能が障害されていることをいう


症状自我障害特徴
離人症能動性
境界性
自分の身体、知覚や行動が自分のものという実感に乏しい(自我障害の一種

外界が生き生きと感じられずに現実感がない(自分の感覚が人に説明しても理解してもらえない状況)

外界、精神、身体の3つの領域についての疎外感・非現実感を訴える
統合失調症、うつ病、不安発作などで生じる(診断特異性なし)

自生思考※1など
解離同一性強い不安や葛藤に対する心理的防衛機能により生じる
記憶や同一性などの精神機能の統合に障害を生じて意識的で選択的なコントロールができない状態である

解離性健忘、盾走、解離性同一性障害(多重人格)、Ganser症候群(ガンザー)※2などがある

憑依状態(「霊が取り憑いている」など発言する)は統合失調症でもみられるが、解離症状として生じることが多いとされる
(ICD-10において解離性(転換性)障害のなかに「トランスおよび憑依障害」という分類がある)
作為体験
(させられ体験)
能動性自分の思考や感情、行動、意欲が外部から操られていると訴えのある症状をいう

統合失調症で見られる

考想察知、考想伝播、思考吹入※3、思考奪取、思考干渉などがある
主な自我障害について


※1 自生思考:とり止めもない考えが次々と出てきてまとまりがなくなる、連想が繋がっていく考えをいう

自分のものでない考えが勝手に浮かんでくる

統合失調症の初期に見られる


※2 ガンザー症候群:ガンザーもうろう状態ともいう。簡単な質問に対して、的外れな答えを言ったり、関連性があるようでずれているような回答をする(1+1=4など)症状がみられ、意識障害(夢幻様幻聴)や感覚運動障害(頭痛、運動失調、平衡障害、痛覚脱失など)などのヒステリー症状を呈する症候群のこと


※3 思考吹入(しこうすいにゅう):思考が外部から支配されることで、統合失調症にみられる


脳神経機能について


脳神経からでも精神疾患様症状を呈するため、脳機能のチェックも必要である


Broca野(ブローカ):前頭葉にあり、運動性言語野として機能している

→この部位の障害により、発生に関係する筋肉の麻痺が無くとも、言葉が喋れなくなる。これをブローカ失語という


側頭葉内側:大脳辺縁系に属する海馬や扁桃体がある。これらは記憶の形成に関わっている


パーソナリティ:個人の感情や意志、行動などの特徴をいうが、そのうち先天的な部分気質という

→この上に、しつけや教育、環境などの後天的な影響が加わりパーソナリティを形成する


感覚失語:話し方は滑らかだが言葉の理解ができない失語症をいう

→これは、ウェルニッケ野(Wernicke)の損傷で起こる


知能指数について


知能指数とは、精神年齢を生活年齢(実年齢)で除して100で掛けたものである


せん妄について


せん妄とは、意識混濁に加えて幻覚錯覚がみられ不安を伴い、精神運動興奮が著しいものをいう

発症は急速であり、程度は激しく変化、動揺する

せん妄の時は覚えていない(追想不可)


・せん妄と認知症は似ているが、鑑別には意識障害の有無を確認すること


<種類>


振戦せん妄:アルコールの離脱期にみられる


術後せん妄:大きな手術の後に見られる


ICUせん妄:ICUでの治療中に見られる


夜間せん妄:高齢者に見られる


他には持続輸液、尿道カテーテルの留置BZP系睡眠導入剤投与、抗不安薬投与、病室の移動などでも誘発されることがある

ICUせん妄では一般病室に移すなどの対処がよい


<治療>


薬物治療は従来ハロペリドールやクロルプロマジンなどの定型抗精神病薬を用いられていたが、副作用などの観点から、改善された薬剤が今では使われている


以下のように、より選択的に作用するものが使用されるようになった


SDA(セロトニン・ドパミンアンタゴニスト)のリスペリドン、ペロスピロン

MARTA(マルタ:Multi-Acting Receptor Targeting Antipsychotics:多元受容体標的化抗精神病薬)と呼ばれるクエチアピン、オランザピン


また、薬物治療だけではなく、原因を取り除くということも重要である


せん妄の原因について


せん妄の原因は3段階に分類されている


準備因子脳の老化や慢性的な脆弱性を示し、加齢、器質的脳疾患(脳血管障害、認知症疾患など)、動脈硬化性疾患(高血圧、糖尿病など)、せん妄の既往など


促進因子心理的負荷や状況要因で、環境の変化や身体疾患などによる身体的拘束、精神的ストレス、睡眠不足、感覚遮断などがある


直接因子器質的要因があり、中枢神経疾患(脳炎、脳血管障害、脳腫瘍、癌性髄膜炎、頭部外傷など)や二次的に脳機能に影響を及ぼすような全身性の疾患(肺炎などの感染症、消化管出血、心不全、不整脈、肝硬変、腎不全など)、薬剤によるもの、アルコール・ニコチンの離脱、電解質異常(特に高Ca血症、低Na血症)などがある


誘因因子は様々あり、以下のものが挙げられる


項目内容
中枢神経疾患脳血管障害、認知症など
全身疾患バセドウ病などの内分泌疾患、肝・腎疾患、SLEなど
心理因子うつ状態、不安症状など
全身状態高齢、術後、熱傷、電解質異常、脱水、低栄養、低酸素血症、低血糖、アシドーシスなど
薬物性抗コリン薬、ステロイド、H2ブロッカー、BZP系、悪性腫瘍薬、アルコールなど
環境因子入院、ICU、睡眠妨害因子(照明、昼の過眠)、不動化、感覚遮断、感覚過剰、心理的・身体的なストレス、外的刺激過多または過小
せん妄の主な誘因因子について


アルコール精神病では嫉妬妄想が多い


アルコール離脱せん妄では、小動物幻視などがみられる

→小さな動物が見える幻視をいい、アルコール依存症者が飲酒を突然中断した際に生じる離脱症状の一つである


ICU症候群について


ICU症候群とは、ICU収容後術後3〜5日で発症することが多い


症状は、せん妄、見当識障害、抑うつ、不安、不穏、睡眠覚醒リズム障害などで、妄想の内容は基礎疾患とは関係はなく夜間に増悪することが多い


<治療>


患者の不安やストレスの除去が重要であり、可能ならば一般病棟に移す(転棟)鎮静薬、抗うつ薬投与などを行う


せん妄ともうろう状態について


せん妄もうろう状態」は意識障害の特殊型であり、脳神経外科や神経内科でみるような意識レベルの低下(量的障害)のことではなく、精神科固有の意識の質的障害をいう


パニック発作について


パニック発作は動悸、発汗、頻脈、胸痛、呼吸困難、呼吸促迫、めまい、悪心、窒息感などの自律神経症状や恐怖感などをきたす症状をいう


<治療薬>


SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)フルボキサミン、パロキセチンなどを用いる


これは、抗不安薬としても用いる


選択的な作用であり、抗コリン作用やα1受容体遮断、抗ヒスタミン作用といったことがなく使いやすいものとなっている

副作用としては悪心・嘔吐が挙げられる


広汎性発達障害について


広汎性発達障害は自閉的な発達障害であり、基本的にはコミュニケーションの障害である


これには、反復や常同行動が認められる


緊張病症候群について


緊張病症候群には、了解不能な運動暴発が認められる緊張病性興奮と、無言・無動、カタレプシー、拒絶、常同症などが認められる緊張病性昏迷の一方または両方が交代して現れる


統合失調症の病型で、緊張性の興奮や昏迷のある緊張型でみられる


脳炎などの脳器質疾患では、病期の極値に著しい興奮などの緊張病状態などがみられることある


反響動作が現れることがある。これは、相手の動作をそのまま繰り返すことであり、自己の意志が低下して被影響性が亢進している状態である


拒絶症がみられることがある。これは、自分の意思が低下し、全ての外的命令に対して拒否的態度を取るものであり、緊張病症候群に含まれるものである


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Wernicke-Korsakoff症候群について(ウェルニッケ・コルサコフ)


ウェルニッケ・コルサコフ症候群ビタミンB1(チアミン)の不足によって起こるウェルニッケ脳症とその後遺症であるコルサコフ症候群をいう


ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1不足によって脳幹部(脳の奥側)に微小な出血がおこり眼振など目の動きに制限が起こる眼球運動障害がみられる。また、ふらつき(失調性歩行)や意識障害などもみられる


・原因にはアルコール依存症が半分を占めている、これは、アルコールの過剰摂取によって大量にビタミンB1が消費されるためである


・この他には、悪性腫瘍、消化管術後、重傷のつわりなどがある。いずれもビタミンB1不足によって引き起こされる


・症状による原因が見逃されていることがあり、治療が遅れ致死的なことがある(10〜17%ほど)


・後遺症のコルサコフ症候群は56〜84%ほどで記銘力障害や見当識障害、作話、逆行性健忘などがみられる(四徴)

病因としては、アルコール中毒、脳血管障害、頭部外傷などが挙げられる


<治療>


発症直後にチアミンを点滴静注で大量投与をすることで回復することできるが、多くは見逃されている


ウェルニッケ脳症の段階では回復する可能性はあるが、進行してコルサコフ症候群を呈するようになると回復は困難となる


神経調節性失神について


神経調節性失神とは、自律神経調節の関与による比較的持続時間の短い失神である(ほとんどは1分以内)

これは、後遺症はなく生命予後は良好である(転倒リスクはあるため注意が必要)


これは3つに分類されており、長時間の立位あるいは座位姿勢、痛みの刺激、不眠、疲労、恐怖などによる精神的・肉体的ストレス、人混みや閉鎖空間等の環境因子、薬剤(α遮断薬、硝酸薬、利尿薬など)などが誘因となりうる


状況失神というものがあり、排尿、排便、嚥下、食後、咳嗽などで起きるものをいう


<分類>


心抑制型:一過性徐脈によるもの


血管抑制型:一過性の血圧低下によるもの


混合型:徐脈と血圧低下の両方を伴うもの


転倒リスクについて


高齢者では加齢による生理的な変化だったり、基礎疾患によるもの、それに対する治療薬によるもので転倒リスクというのは高まる傾向にある


転倒リスクとして挙げられる主なものは以下の通りとなる(一概にこれだけとは言えなく、複合的に起きているものなのは留意しておくこと)


要因内容
多剤投与5剤以上の投与など
中枢神経用薬抗うつ薬、抗精神病薬、抗痙攣薬、抗不安薬、睡眠薬
循環器用薬降圧薬、硝酸薬、利尿剤
その他NSAIDs、血糖降下薬、抗ヒスタミン薬など
薬剤による転倒リスクについて


疾患内容
認知症認知機能や運動機能の低下
行動障害など
白内障、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性視力障害
起立性低血圧、貧血、内痔疾患(メニエール病など)めまい
ふらつき
脳梗塞、パーキンソン病、長期臥床による廃用運動機能の低下
糖尿病糖尿病合併症(末梢神経障害、網膜症)、血糖異常による意識障害
肥満によるバランス悪化など
前立腺肥大症夜間頻尿による転倒機会の増加
疾患による転倒リスクについて


見当識障害について


見当識障害は、意識障害、知能障害、記憶障害があることで生じやすい

通常、時間、場所、人、の順に障害を受けて回復はこの逆の順となっている


知能状態を調べるための診察項目は以下の通りとなっている


項目内容
見当識
(orientation)
日時、場所、人物について
注意力
集中力
即時記憶(immediate memory)を指す
数字の暗唱など
記憶近時記憶(recent memory):最近のエピソード記憶

遠隔記憶(remote memory):遠い昔のエピソード記憶
計算力
(calculation)
構成能力
(construction)
立体物質の模写など
判断力
(judgement)
知識
(knowledge)
意味記憶
抽象記憶
(abstraction)
ことわざの解釈など
知能状態を知る診察項目について



見当識の評価方法について


見当識の評価で調べるのは、日時場所人物などを訪ねるのが良い


誕生日住所などは、割と古い記憶から考える必要があるため古い記憶の保持能力を調べるものであり、見当識の評価としては最適とはいえない


検査の目的は

意識障害の有無、知能障害の有無、精神科的異常の有無

を調べるために行う


エクソンによる心理・社会的発達の8段階について


成長段階に応じて、直面する心理的・社会的問題の解決によって乗り越えるべきものを8段階でまとめたものとなっている


時期段階(心理的課題)内容
乳児期基本的信頼の段階社会性の習得が始まる

これは、他者の存在に関心をもち、積極的に関わろうとする姿勢、および関わるための技術を指す
乳児期前期自律の段階母親との分離不安の克服
幼児期後期主導性の段階自己中心性の獲得で自他関係が明確化してくる

自他が未分化であり、他人の視点に立ったり、自他の相互関係を捉えることが難しい
児童期勤勉性の段階思考の発達
具体的思考と抽象的思考の発達がある
青年期同一性の段階社会的に自立し、自分の社会的評価・役割・人生の目的などを考えてあるべき自己像の模索をし
自我同一性の確立の努力や混乱を生じやすい時期
成人期
(若い時期)
親密性の段階
成人期生殖性の段階
エクソンによる心理・社会的発達の8段階について


青年期と思春期は同じく、児童期から成人期の移行時期であるが

思春期では、主に身体的生理的変化や性的成熟に着目し、青年期心理・社会的発達に着目している


<青年期における反抗期とは>


それまで親から得た価値観や道徳感、自己感が問われる時期である

絶対的存在であった親の間違いや矛盾が見えるようになり、親や教師、社会に対して批判や反抗心が生じる

その葛藤の中、親とは違う自分を発見し親とは違う自分の人格が誕生する、正常な発達過程である


老年期では家族や関係者の死の衝撃という課題がある

配偶者の死は最も大きなストレスイベントである


ライフサイクルと心理的課題について


時期内容
乳児期
(6歳未満)
・人見知り
・分離不安
・社会性の習得
・自己中心性の獲得
・第一次反抗期
・罪悪感
児童期
(6歳〜12歳未満)
・仲間意識の形成
・劣等感
青年期(思春期含む)
(12歳〜30歳)
・自我同一性形成
・ひきこもり
・第二次性徴
・第二次反抗期
・自我の確立
成人〜壮年期
(30歳〜65歳)
・ワーカホリック※
・空の巣症候群
・アルコール依存症
・燃え尽き症候群
老年期
(65歳以降)
・喪失体験(身体の衰え、家族の死など)
・知恵の結晶化
ライフサイクルと心理的課題について


ワーカホリック(workaholic):workとalcoholic(アルコール中毒)の造語で仕事中毒と直訳される

働きたいという感情とは別で、私生活に支障がでるほどに働かないといけないという考えを持っている状態をいう


空の巣症候群(からのす)


空の巣症候群(empty nest syndrome)は子供が巣立ち、家を離れる時に起こる親のうつ状態をいう


・40、50代女性に多い


・成人期の課題である


緊張病症候群について


緊張病症候群は主に緊張病型統合失調症にみられる症候群である


これは意思障害を主とした精神運動障害であり、緊張病性興奮、緊張病性昏睡、常同症、衒奇症※1、カタレプシー※2、拒絶症などがある


※1 衒奇症(げんきしょう):わざとらしい表情、行為、態度で、飛んだりつま先立ちになったり、通行人に大声で挨拶するなどがみられる


※2 カタレプシー:筋緊張が高まって自発性が失われて受動的に不自然な肢位を保ち続けること


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Gerstmann症候群について


Gerstmann症候群(ゲルストマン)とは、優位半球頭頂葉の角回(39野)を中心とした損傷で、手指の失認、左右障害、失算、失書などを生じる


・文字が書けなくなったり、左右がわからなくなったりする症状を呈する


・上記の症状が全て見られるということはまれ


・小児で見られるものは発達性ゲストルマン症候群という


「自我が自己を認識するときの標識」には以下がある(ヤスパース:ドイツの哲学者→精神医学に通ずる)


項目内容
能動性の意識自己が活動しているという意識
単一性の意識自分は一つであるという意識
同一性の意識時間の変化でも自分は変わらないという意識
境界性の意識外界と他人とに対立するものとしての自我の意識
自我が自己を認識するときの標識について


精神障害に関する疾病予防の概念について


予防には一次、二次、三次予防がある


<疾病予防の概念>


一次予防:適切な生活習慣、ストレスなどの環境因子の制御、疾患の教育などで疾病の発生そのものを予防すること

→過度な飲酒による害についての知識を普及するなどが当てはまる


二次予防:疾患の早期発見・早期治療再発予防すること


三次予防:患者の精神科的リハビリ社会復帰の推進をすること


一般的な概念については以下の通りとなっている


項目一次予防二次予防三次予防
疾病の自然史疾病前
(感受性期)
疾病段階:前期
(不顕性期〜顕性期)
疾病段階:後期
(顕性期〜回復期)
目的罹患率の低下死亡率の低下
生存期間の延長
ADL・QOLの向上
社会復帰
予防手段の5段階①健康増進
(健康相談・教育、生活指導、栄養指導環境整備、健康日本21)

②特異的予防
予防接種、自己防止、アレルゲン対策、発がん性物質対策)
③早期発見・早期治療
総合的健康診断、選択的な検診、スクリーニング検査
④機能障害防止
(後遺症予防、再発予防、悪化防止のための適切な治療)

⑤リハビリテーション
機能回復訓練、作業療法、職業訓練)
内容・禁煙教室
・減塩指導
・性感染症予防のためのコンドーム使用
・作業条件の改善
・職場のストレスチェック
・ワクチン接種
・人間ドック
・新生児マススクリーニング
・特定健康診査
・がん検診
・胃潰瘍患者のピロリ菌検査
・喫煙者に対する喀痰細胞診検査
・脳梗塞患者のリハビリ
・心筋梗塞既往者のアスピリン投与
・介護施設の整備
・難病患者の生活支援
・うつ病患者の社会復帰支援
疾病予防について



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    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

    -精神科編
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