耳鼻咽喉疾患

耳鼻咽喉科疾患⑥ 咽頭癌、喉頭癌、舌癌、耳下腺周辺疾患について

咽頭疾患


注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


今回は腫瘍、癌、耳下腺疾患、など広くまとめてあります。これが耳鼻咽喉科疾患で最後となります。


喉頭癌について


喉頭癌には声門上癌、声門癌、声門下癌がある。多いのは声門癌(半数以上)である。


喉頭乳頭腫は癌化することあり。

リンパ節転移しやすい。

特に、声門上癌、声門下癌、声門癌の順でリンパ節転移しやすい。


好発:60代男性が多い(男女比で男性が10倍)


リスク因子:飲酒、喫煙、声帯を酷使する職種、逆流性食道炎による喉頭刺激


発癌者の9割は喫煙者である


・症状には嗄声(させい:声枯れの事)、狭窄による息苦しさ、食べ物の飲み込み時の痛みなど


<検査>


喉頭鏡や内視鏡検査による視診:表面不整な腫瘤がみられる


確定診断には生検(病理組織学的検査)


<治療>


早期癌(Ⅰ期、Ⅱ期):第一選択は放射線療法手術療法(喉頭温存手術など)


進行癌(Ⅲ期、Ⅳ期):放射線療法化学療法、手術療法(喉頭全摘術、喉頭温存手術など)


咽喉頭の解剖


項目咽頭の部位
鼻腔上咽頭:咽頭円蓋~軟口蓋後端
軟口蓋
口腔、咽頭中咽頭:軟口蓋後端~喉頭蓋谷
舌、喉頭蓋
輪状軟骨、喉頭下咽頭:喉頭蓋谷~輪状軟骨下縁
咽喉頭の解剖



喉頭癌、下咽頭癌部位について


喉頭癌声門上癌
声門癌
声門下癌
下咽頭癌梨状陥凹癌
輪状後部癌
喉頭癌、下咽頭癌部位について


喉頭癌の分類について


基本的に声帯は視診で診断がされる


項目声門上癌声門癌声門下癌
頻度30~35%65~70%1%未満
症状異物感や嚥下時痛嗄声咳嗽
周囲にリンパ組織多い少ない多い
転移しやすい部位頸部リンパ節傍気管リンパ節
喉頭癌の分類について


・見た目には、白苔を伴う潰瘍性腫瘤などが認められるはずである。


・病理学的診断では、細胞の異型性強く、高分化型扁平上皮癌である


声帯病変の種類について


声帯ポリープ
声帯結節
ポリープ様声帯
喉頭乳頭腫
声帯病変の種類について


嗄声をきたす疾患類について


嗄声をきたす疾患には声帯に症状があったり、喉頭癌などでみられる。以下に表としてまとめてあります。


項目声帯ポリープ声帯結節ポリープ様声帯
好発・好発部位成人、声帯を酷使する諸職種、喫煙

孤立性(多発もあり)
前3分の1が多い
非対称性
学童期、声帯を酷使する職種

両側性
前3分の1と中3分の1の境界部分
喫煙者、多弁な中年女性

両側性
・声帯膜様部分の浮腫(全体的)
治療法・沈黙療法
発声指導
喉頭微細手術
・沈黙療法
発声指導
喉頭微細手術
喉頭微細手術
その他嗄声嗄声呼吸困難、嗄声
嗄声をきたす疾患類について1


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項目喉頭乳頭腫:若年型喉頭乳頭腫:成人型反回神経麻痺
好発・好発部位HPV産道感染:声門周囲に多発単発性成人

左側に多い
治療法喉頭鏡レーザー照射術・鉗子を用いて喉頭微細手術
喉頭鏡レーザー照射術
・原疾患治療
声帯内コラーゲンの注入
甲状軟骨形成術
披裂軟骨内転術
その他再発しやすい、嗄声、多発により呼吸困難嗄声、まれに悪性化発声持続時間の短縮、基本周波数の乱れ

・片側麻痺:嗄声
・両側麻痺:嗄声、呼吸困難、誤嚥
嗄声をきたす疾患類について2


※喉頭乳頭腫:HPV6HPV11型の感染が原因である



その他類縁疾患について


疾患症状
急性喉頭蓋炎喉頭蓋の著明な腫脹、発赤あり
急性声門下喉頭炎声門下が全周性に腫脹することで、気道狭窄を起こして呼吸困難がみられるようになる
声帯ポリープ片側または両側声帯に隆起所見あり

似たものとして声帯結節(左右対称性の両側性である)の事もあり

→ポリープ様変性ではポリープ様声帯となる
喉頭癌白色病変、表面不整な腫脹などを認める
GERDの喉頭所見喉頭の披裂部分が全体的に充血披裂間部の粘膜肥厚を認める
喉頭肉芽腫発生部位は声帯結節に多い

このため、気道は問題ない(呼吸困難はみられない)
その他類縁疾患について


呼吸困難症状でみた場合のまとめ


疾患特徴
声門癌進行により呼吸困難がみられる
急性喉頭蓋炎吸気性呼吸困難をおこす代表的疾患である
急性声門下喉頭炎声門下が全周性に腫脹することで、気道狭窄を起こして呼吸困難がみられるようになる

上気道閉塞による吸気性喘鳴を聴取
両側反回神経麻痺まれはことだが
両側が麻痺すると、声帯が左右とも正中位または傍正中位で固定されるため、呼吸困難となる。

片側性であれば動きはするため、嗄声症状に留まることが多い。

頚部外傷甲状腺全摘術時などに生じることがある
呼吸困難症状を呈する類似疾患について


声帯ポリープについて


・良性疾患である


・痛みは伴わない


・嗄声が主にみられる


・好発部位:声帯中央から前方である

→後方では喉頭挿管性肉芽腫の好発部位となっている


発声指導により改善を試みる


→改善しない場合は手術となる


反回神経麻痺について


反回神経とは下喉頭神経であり、迷走神経から分枝して下降し、左側大動脈弓(心臓)を下から後ろへ回り込んでいる、右側腕頭動脈をくぐり

甲状腺背側を上向し、喉頭に至る神経で、声帯運動を司る

これは、咽頭麻痺である。



・術後に麻痺が発生することがあるが、もし術後などでない場合は診断には頚部から縦隔CT検査をすること。


・神経炎や頚部・胸部手術、腫瘍による神経損傷が原因となって生じる


・症状は嗄声呼吸困難(これは両側性の麻痺で、両側正中位固定のとき)、嚥下障害、誤嚥、MPT短縮※


※ MPT短縮:発声持続時間のこと


・喉頭鏡や喉頭内視鏡で声帯の運動障害がみられる


・嗄声を主訴に受診をした成人では、最初に最長発声持続時間を検査すること。

→これは、声帯の病変や運動障害に起因するため、先に簡便にできる検査法がこの方法となっているため。


呼気流率:反回神経麻痺などで声門閉鎖不全を生じた場合に増大する。


筋電図検査:声帯の運動障害がある場合、神経麻痺によるものなのか物理的な固着によるものなのか鑑別するための検査


喉頭内視鏡検査


<治療>


原則は原因疾患治療をしてからそれぞれ治療方針を考慮していくこととなる


片側声帯運動障害例


・保存療法(発症からおよそ6カ月以内):音声治療ビタミンB12末梢血管拡張薬等


・手術療法:声帯内注入術声帯内方移動術等


両側声帯運動障害例


・保存療法:片側性と同様


・手術療法:保存療法後も高度な呼吸困難が残存するとき、声門開大手術(Ejnell法:エジュネル、アイネル法)披裂(ひれつ)軟骨摘出術)を施行する

呼吸困難が高度例では気管切開をすること



反回神経麻痺の原因は以下が挙げられる


麻痺の要因疾患
直接浸潤性のもの肺癌嗄声のある反回神経麻痺が多い

大動脈下リンパ節転移では反回神経麻痺

右側肺尖部腫瘍反回神経麻痺をきたす。


甲状腺癌:甲状腺付近に反回神経があるため麻痺が起こりやすい


胸部中部・胸部下部食道の食道癌上縦隔の両側反回神経周囲に転移することが多い


下咽頭癌:近くに反回神経あり、麻痺をきたしやすい。

→術後、傍気管部のリンパ節郭清時にきたすことが多い
特発性のものウイルス性上気道炎
その他・心臓手術操作


・肺・甲状腺・食道癌などの手術操作


大動脈瘤
など
反回神経麻痺の原因疾患について


所見:数日前に急性で嗄声が発症と訴えることあり。

→この時点では、喉頭癌や声帯ポリープ、ポリープ様声帯などの腫瘤形成する疾患は否定的である。


→あとは内視鏡検査にて、急性声門下喉頭炎または反回神経麻痺を確認する。


・声帯は左右とも粘膜面に腫瘤の形成は見られず、発赤もみられない。


・呼吸時では、固定されている方が麻痺していると考えられる。発声時では健側が過内転する(片側反回神経麻痺


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急性声門下喉頭炎について


急性声門下喉頭炎とは、声門下に急激に浮腫を生じる急性喉頭炎の一種である。

これは仮性クループともいわれる。

乳幼児に多く、ウイルス感染が原因の事が多い。(パラインフルエンザウイルスが最も多い)


急性声門下喉頭炎は症状が急速に進行する可能性がある。

→そのため、基本は入院加療して気道を確保する準備(気管挿管気管切開などの)をしておくこと。


・好発は1、2歳の乳幼児に多い。(6カ月から3歳児でみられる)


・上気道で内腔が最も狭い声門下はリンパ管や動静脈が豊富であり、浮腫を生じやすい

→そのため、急性に気道閉塞を起こしやすい


・症状は感冒症状(鼻汁、発熱等)が先行する事多い。


発作的に吸気性喘鳴、犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)、嗄声など夜間に多くみられる


<検査>


喉頭内視鏡では、声門下の発赤や腫脹がみられる


頸部X線像声門下の狭窄像(pencil sign)がみられる(先細りのとがった影が見える)


<治療>


まずは安静にすること。(気道刺激で症状が悪化するため)


安静、補液、加湿


・粘膜浮腫軽減:アドレナリン吸入、ステロイド吸入、ステロイド全身投与


・呼吸困難が高度例(SpO2:95%以下):酸素投与


・気道確保:気管挿管、困難例では気管切開となる


・細菌の混合感染の疑いがある場合:抗生剤投与


唾石症について


唾石症とは、唾液腺組織や口腔の腺管内に結石(石灰化)が生じる疾患のことである。

これは、顎下腺に好発し摂食時に、唾液が分泌されることで唾液管が閉塞して唾液腺の腫脹や疼痛を呈する。(唾疝痛


耳下腺に唾液腺があり、1日あたり片方だけでも数百mLの唾液を産生する。

頬部の裂創で耳下腺管を損傷した場合、皮膚に唾液が漏出する。これを唾液漏という。


顔に外傷がおこれば、脈管や神経の損傷を常に考慮する必要がある。


ex)外傷性耳下腺管(ステノン管)狭窄などで耳下腺流出障害があれば、食事によって頬部が腫脹するなどがみられる。(反復性耳下腺腫脹)


<唾石が起こる要因>


唾液腺管内に入り込んだ細菌や異物が核となり、唾液中の炭酸カルシウムなどの石灰が沈着することで形成する。


<発生部位>


大唾液腺、導管内(顎下腺 > 耳下腺 > 舌下線)の順で多く認められる。(小唾液腺ではほとんどなし)


部位特徴神経支配
耳下腺漿液腺が主体

Stenon管(ステノン)
耳下腺の浅葉深葉浅葉、深葉の間に顔面神経が通過している

→しかし、耳下腺分泌は顔面神経支配ではない
舌咽神経の鼓室神経支配
顎下腺漿液腺:粘液腺が4:1

Wharton管(ワルトン)
鼓室神経支配
舌下線粘液腺が主体鼓室神経支配
唾液腺の解剖について


好発:青年期以降、顎下腺に生じることが多い


・唾石で唾液の流出が妨げられることで腫脹・疼痛を呈する。(接触時唾疝痛という)

→食後では症状が落ち着く


・白血球やCRPは正常で細菌感染なし


→二次的に、口腔内の細菌が導管を通り(逆行性細菌感染)唾液腺炎を生じることがある。この際、発熱や腫脹、疼痛などを生じる。


→更に、唾液腺炎が慢性化することで唾液分泌低下(唾液腺の萎縮)から口腔内乾燥を生じることとなる。


・Sjogren(シェーグレン)症候群でも唾液分泌が低下することで、細菌感染を生じやすい

→これにより、化膿性耳下腺炎をきたすことがある。


<検査>


双手診などで硬結を触知する


確定診断:頸部の唾液腺やその周辺単純CT石灰化象を確認すること


X線は非透過性が多い


<治療>


手術療法


導管開口部、導管内(ワルトン管内)にある場合:口腔内からの唾石のみを摘出


顎下腺内にある場合:頸部外切開を行い、顎下腺ごと摘出


唾石が小さく、Wharton(ワルトン)管開口部に近いならば、自然排泄されることがある。


薬物療法


・炎症を伴う場合:摘出前に抗生剤投与


→炎症が治まることで自然排出されることがまれにあり



耳下腺の近縁疾患


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化膿性耳下腺炎について


化膿性耳下腺炎とは、通常は一側性耳下部の腫脹・発赤・圧痛をきたし、ステノン管開口部からの膿汁流出がみられる。


耳下腺は通常であれば、唾液の抗菌作用(分泌型IgA、リゾチーム)唾液の洗浄作用のため化膿性炎症はきたしにくいとされる


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多型性腺腫について


多型性腺腫とは、唾液腺腺腫で最も多いタイプである。

良性上皮性腫瘍であり、導管上皮・腺房細胞と筋上皮への分化を示す細胞からなっている。


・30~40歳代に好発


・ほとんどは非癌性である。予後良好の事が多いが、再発や悪性化することもあり。


無痛性で、進行はゆっくり境界明瞭な腫瘤である


<鑑別>


鑑別には、筋上皮腫、多型腺腫由来癌、基底細胞腺腫、基底細胞腺癌、腺様嚢胞癌が挙げられる


<治療>


腫瘍部分は完全に摘出すること(再発することがある)



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腺リンパ腫:Warthin腫瘍(ワーシン、ワルチン)


Warthin腫瘍とは、耳下腺良性腫瘍の中で多型性腺腫に次いで多いとされる疾患である。悪性化はしない(多形腺腫と違う点)

好酸性顆粒状細胞質をもつ、上皮細胞の増殖とリンパ組織性間質からなる腫瘍である。

通常は緩徐に増大。まれに感染合併で急速増大と疼痛。


好発:50歳以上男性に多く、しばしば両側性で多発性(耳下腺下極に好発)である(喫煙歴男性に両側性が10%でみられるとされる)


無痛性境界不明瞭な腫瘤を形成する


軟らかい腫瘤を触知

耳下腺癌では通常硬い腫瘤を触知する。また、顔面神経麻痺や疼痛、皮膚発赤の合併がみられることあり。


<検査>


・細胞診で好酸性細胞


99mTcO4-唾液腺シンチグラフィーで集積像を確認する

→頚部MRIのT2強調画像:境界整、辺縁整、内部不均一腫瘍影


<治療>


基本的に唾液腺腺腫は薬物治療ではなく、全身麻酔下の手術療法(全摘出)である。



IgG4関連疾患について


IgG4関連疾患は組織中にIgG4陽性の形質細胞浸潤が認められる。

涙腺、耳下腺、顎下腺持続的(3か月以上)対称性に腫脹する。(片側性の事もある)


耳下腺の腫瘍について


耳下腺での腫瘍には、腺癌、腺様嚢胞癌、扁平上皮癌などがあり、これが耳下腺内を走行する顔面神経に浸潤することで顔面神経麻痺を生じる。


顔面神経の運動線維は延髄に起始部があり、内耳道から側頭骨内の顔面神経管を通り、茎乳突孔をでた後に耳下腺内に入る。


顔面神経本幹側頭枝、頬骨枝、頬筋枝、下顎縁枝、頸枝の5本に分かれており、それぞれの支配筋へ向かう。



顔面神経麻痺では主にBell麻痺(ベル)Ramsay Hunt症候群(ラムゼイハント)など側頭骨内で生じるものが多く占めている。


耳下腺で顔面神経麻痺は稀な事ではあるが、診察時は耳下部の触診は必須である。


耳下腺腫瘍について


耳下腺腫瘍は主に上皮性良性腫瘍である。特に多型腺腫(混合腫瘍)が最も多い。

無痛性の腫瘤形成である。


・浸潤性はなく、表面は平滑である。


・顔面神経麻痺はほぼない(悪性腫瘍との違い(上記項目参照))


上皮性では乳頭状嚢腺腫※1oncocytoma※2がある


非上皮性では血管腫(小児の耳下腺腫瘍)リンパ管腫神経原性腫瘍などがある。


悪性腫瘍では粘表皮腫、腺様嚢胞癌、腺房細胞癌、扁平上皮癌などがある

→悪性では、疼痛皮膚浸潤顔面神経麻痺転移形成を呈する


<鑑別>


鑑別には、オンコサイトーマ、嚢胞腺腫、多形腺腫、リンパ上皮性嚢胞、腫瘍随伴リンパ球増殖(TALP)を伴う唾液腺腫瘍がある


※1 乳頭状嚢腺腫:耳下腺腫瘍の15%程でWarthin腫瘍(ワーチン、ワルチン)がみられる。


※2 oncocytoma:オンコサイトーマ、膨大細胞腫や好酸性顆粒細胞腺腫などをいう。


<治療>


手術療法:耳下腺腫瘍摘出術


悪性例:放射線療法化学療法の併用


手術前には事前説明が必要で、耳下腺腫瘍摘出術においては

顔面神経麻痺のリスク ②異常発汗 ③血腫 について説明はしておくこと


顔面神経麻痺:顔面神経が近くにあるためリスクがある。一時的な麻痺も含めれば2、3割と頻度は高い。しかし、永続的な麻痺としては稀である。


異常発汗Frey症候群(フライ)という、皮膚の汗腺耳下腺内の唾液分泌するための副交感神経線維が誤って接続してしまうことで、食事の時に唾液分泌の刺激で耳下部の皮膚に発汗が起こってしまうという合併症をいう。


③血腫:様々な手術で起こりうる。出血した血液がたまってできたもの。


唾液瘻:術後に創部体液が漏れること


大耳介神経麻痺耳垂れの感覚低下


その他

術創の知覚異常:ひきつれ感、術後疼痛、創部出血、感染、縫合不全などなど



大唾液腺の腫瘍の悪性率について


大唾液腺には、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つがある。


以下の表はそれぞれに腫瘍がみられた際の悪性化率についてまとめたものである。


大唾液腺悪性化率
耳下腺10%ほど
顎下腺50%ほど
舌下腺70%ほど
大唾液腺の腫瘍の悪性率について


耳下腺多形腺腫


耳下腺はほとんど(9割ほど)が良性腫瘍である。その中でおよそ7割が多形腺腫を占める。


・発症は10代から80代まで幅広くみられる


弾性硬な無痛性の腫瘤で画像上八つ頭状の形態を呈する。


・テクネチウムシンチでの集積はほとんどなし


・細胞診では、粘液腫様間質性粘液を背景に、紡錘形細胞形質細胞様細胞など多彩にみられる。


<治療>


基本的には手術療法である

(悪性化リスクが数%はあり、薬物療法は特にないため)


顔面神経が近くにあるため、かなりの注意が必要である


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上咽頭癌について


<疫学>

上咽頭癌は中国南部や東南アジアに多くみられる。日本は稀となっている。


発症は中高年(50~60歳代)男性だけでなく、若年者(30歳以下)女性にも多いとされる。


・発症にはEBウイルスが関連している


自覚症状は乏しいが、頚部腫瘤がみられる


症状には


・耳症状(一側性):滲出性中耳炎(耳閉塞感、伝音難聴、耳鳴)など、耳痛は無し


・鼻症状(一側性):鼻閉、鼻汁、鼻出血など


・脳神経症状:初期は第Ⅴ、第Ⅵ脳神経症状三叉神経痛複視眼の外転障害(Ⅵ)がみられ、進展すれば経静脈孔症候群(顔面感覚障害、嚥下障害など)を呈する(第Ⅸ、Ⅹ、Ⅺ脳神経麻痺

→原発巣が頭蓋底方向に進展することで、上記のような多発脳神経麻痺を生じる


・多発性の頚部リンパ節腫脹:これは片側性であることが多いが、両側性も少なくない


高頻度で頸部リンパ節転移遠隔転移再発がある

成人では、上気道症状が無く遷延する滲出性中耳炎がみられる場合には、上咽頭癌の疑いをすること


<検査>


鼻腔内視鏡検査耳管の咽頭開口部(上咽頭)の観察が早期に必要となる


上咽頭内視鏡では肉芽様腫瘤所見あり


CT、MRIでも腫瘤所見を認める。上咽頭側壁の肥大所見。耳管開口部周囲の腫瘤陰影


・耳の症状を呈するため、鑑別として聴神経腫瘍を考えるが、この場合は小脳橋角部に腫瘍の有無を確認する


確定診断には生検を行うこと(H-E染色)


核分裂象、リンパ球浸潤、類円形の核に明瞭な核小体を伴う、分化度の低い異形細胞増殖所見あり


未分化癌が最も適しているが、他には、分化度低の扁平上皮癌未分化癌悪性リンパ腫などが鑑別に有用である


<補助診断>


採血

血清EBウイルス抗体価血清EBV-DNAの上昇が無いかを確認する


<治療>


原発巣の切除は困難であり、基本的に手術は行わない


上咽頭癌というのは、低分化癌が多く、通常は放射線や抗癌剤が反応しやすい


StageⅠ:放射線療法


StageⅡ~ⅣB:化学放射線療法シスプラチンが中心となる)


中咽頭癌について


中咽頭癌が進行することで、開口障害や接触困難がおこってくるが、高度炎症症状はみられない(扁桃周囲膿瘍との違い)


中咽頭癌では頚部のリンパ節転移がしやすい


<耳下腺癌との鑑別について>

位置関係について(CT所見では重要)


耳下腺癌下顎から上方のCTスライス象でみる事ができる。


甲状腺がん甲状腺は甲状軟骨下にあるため、中咽頭を見る画像では甲状腺がんは見ることはできないはずである。


中咽頭癌は頚部造影CTでは、甲状軟骨、輪状軟骨がみられて、下顎よりも下方であると考えられる。また、リンパ節多発転移がみられることある。


・好発:長期喫煙、飲酒歴あり、50、60代男性


・ヒトパピローマウイルス16型陽性では若年成人でも発症する


・症状は頚部腫瘤がある。


咽頭違和感、咽頭痛、嚥下時痛、耳へ放散痛、構音障害


<検査>


ヒトパピローマウイルス(HPV)関連腫瘍咽頭癌、子宮頸がん、中咽頭癌、肛門癌、膣癌、外陰癌、陰茎癌など)の主に16型(p16蛋白)が陽性となる

→非HPV関連腫瘍に比べて予後は良いとされる。HPV関連腫瘍の咽頭癌は喫煙、飲酒していなくても発症はする。


・中咽頭の視診


・内視鏡検査:肉芽、周囲粘膜の発赤・壊死・潰瘍など


・CT、MRIで腫瘤所見


確定診断:生検p16免疫染色


<治療>


頭頸部癌(舌癌や上顎癌含む)では早期に手術する必要がある


そのため、化学放射線療法腫瘍の縮小を図り、手術を検討する


咽頭癌では、特に放射線療法に感受性が高いため、化学療法も併用することで縮小効果が期待できる


原発巣の進展度(T因子)、年齢、全身状態、患者希望を総合的に判断

治癒後の機能障害も考慮して治療方針を決定する


<T因子>


T1、T2:手術療法(経口的切除術原発巣切除術)または放射線単独療法


T3、T4:手術療法(原発巣切除術+頚部郭清術※+再建術)または化学放射線療法


放射線療法では、長期になってくると頬部の粘膜炎やびらんが生じてくる


予め、放射線療法による経口摂取困難を考慮して、胃瘻を造設しておくことがよい。


郭清とは、手術などで悪性の部分(臓器、リンパ節など)を取り払うことをいう


放射線療法例:線量は60Gy(グレイ)前後で、1日2Gyほどで行うことがある。


<放射線治療中に口腔内痛などで摂食困難となった場合>


経鼻経管栄養を行うのが良い。(侵襲性も比較的低い)

胃瘻、腸瘻、末梢・中心静脈栄養 →方法としては古かったり、過剰な治療、栄養不足になりがちなど問題があることから、これらは避けること。(状況による→というのも、摂食困難の期間がどれくらいかによって選択は変わるため)

(腸瘻とは、胃瘻が施行できない場合に行うものである)

経消化管的な摂食の方が、免疫的にも消化管機能的にもよいため、中心静脈栄養(TPN※)はあまりしなくなってきている。


※ TPN:心臓近くにある太い静脈に水分や電解質、栄養を補給する点滴を行う方法である。

現在、中心静脈栄養はIVHではなくTPN(Total Parenteral Nutrition)での記載が主流となってきている(国際的に)

クローン病などの腸が使えない状態時に行うもので、腸管を使えるのであればこれは避けるべきである。


長期に経口摂取困難では胃瘻を造設するのが主流となっている(短期的であれば、経鼻経管栄養がよい)




選択順としては

経鼻経管栄養 → 胃瘻 → 腸瘻 → TPN
(治療期間など状況に合わせること)


胃瘻であれば在宅管理が可能である → 早期退院のメリット


下咽頭癌について


下咽頭癌は浸潤すると反回神経麻痺がおこり、嗄声が出現してくる。頭頸部癌の中では最も頻度が高い


下咽頭癌はリンパ節転移がしやすく、初発は症状の自覚に乏しいため、診断時は進行していることが多い。

→そのため、再建手術が必要となる


・好発:発症には喫煙、飲酒が関与。50歳以上の特に60、70代男性に多い


梨状陥凹に発生することが多い


・女性では慢性的な鉄欠乏性貧血が関係していることがある。


頚部腫瘤から、症状は咽喉頭異常感咽頭痛、嚥下時痛、嚥下障害、嗄声、血痰などがある


頸部リンパ節転移のリスクあり


・下咽頭癌は食道癌などの重複癌を合併することがある(1、2割ほど)


<検査>


CT、MRI:下咽頭の喉頭鏡や内視鏡で粘膜浮腫、不整、腫瘤、唾液の貯留などが認められる


確定診断には生検を行うこと


<治療>


原発巣の進展度(T因子)、年齢、全身状態、患者希望を総合的に判断

治癒後の機能障害も考慮して治療方針を決定する


<T因子>


T1、T2:手術療法(経口的切除術喉頭温存・下咽頭部分切除術)または放射線単独療法または化学放射線療法


T3、T4:手術療法(下咽頭・喉頭全摘術+頚部郭清術)または化学放射線療法


※補助的に化学放射線療法を行うこともある


下咽頭癌の進行癌

再建手術が必要


再建手術:遊離空腸前腕皮弁、マイクロサージャリー(マイクロサージェリー)※による微細血管吻合が必要なことが多い



<参考>

頸部食道がんの手術治療 | 食道がん一般の方用サイト (esophagus.jp) (閲覧:2021.12.10)


頸部郭清術施行後の特徴について


頚部郭清術では、喉頭全摘などがある。


これにより、術後では見た目は喉に穴が開いている状態である。

・喉元に穴が開いているため、入浴制限が起こる


・空気の出し入れする気管孔が抜けており、鼻呼吸による嗅覚に障害が出る


・喉頭や声帯がないため、発声にも影響が起こる

→発声には、人工喉頭食道発声などの必要性あり


・術後では食道と気道が完全分離されるため、誤嚥は無くなる。そのため、食事制限はない。


・声帯を閉じることで「いきむ」ということもしているため、これが無いことで上半身に力が入らなくなることで便秘がちとなる


※喉頭摘出後:身体障害者三級にあたる


リンク先

頸部リンパ節転移をきたしやすい疾患について


項目備考
甲状腺癌前頸部や側頸中部のリンパ節への転移が多い
声門上癌、舌癌早期にリンパ節転移しやすい
上咽頭癌(扁平上皮癌)側頸上部リンパ節に転移しやすい
下咽頭癌(主に扁平上皮癌)側頸中部リンパ節や前頸部リンパ節への転移が多い
消化管癌のリンパ節転移鎖骨上窩のリンパ節転移は、肺、胃、食道などが原発巣であり、左鎖骨上窩(Virchow)にみられることが多い
頸部リンパ節転移をきたしやすい疾患について


上顎癌は扁平上皮癌が多く、周囲に直接浸潤することが多い。(鼻、副鼻腔悪性腫瘍の大部分を占める→一側性の副鼻腔炎は腫瘍の可能性を考える)

頸部へのリンパ節転移は初期では見られない。

進行により、頬部腫脹、一側性悪臭血性鼻漏、歯痛、三叉神経痛などを呈する


上顎洞癌について


上顎洞癌では、鼻腔の両脇、頬部の骨の中にある上顎洞にできる癌のことである。初期には副鼻腔炎、蓄膿症の症状を呈することがある。

これは腺癌が最も多い


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急性喉頭蓋炎について


急性喉頭蓋炎とは、喉頭蓋に限局した急性の蜂窩織炎である。

これは、急速に進行して気道が閉塞し、窒息することがあるため緊急性がある。

原因菌には、主にインフルエンザ桿菌であり、他にレンサ球菌、黄色ブドウ球菌が多い


・好発:30~40歳代(欧米では小児に多い)


・初発症状には、咽頭痛、嚥下障害、流涎(りゅうぜん)、嚥下時痛、含み声など


・その後、数時間ほどで急速に吸気性喘鳴、努力性呼吸※へ症状が増悪する(SpO2の急激な低下)

→窒息死のリスクがあることから、先に気道の確認をすること!(「息苦しさは無いか?」などで聴取してもよい)


咽頭痛・嚥下時痛があるが、風邪のような口腔・咽頭の炎症症状がほとんど見られない


努力性呼吸:安静時呼吸では使用しない呼吸筋を使って呼吸することをいう。


安静時呼吸では、横隔膜や外肋間筋の収縮と弛緩で呼吸を行う。

それに対し努力性呼吸とは、吸気時胸鎖乳突筋などの補助呼吸筋を使用し、呼気時には内肋間筋や腹筋を使用する。そのため、胸腔内圧は陽圧となる。

これは喘息重度の低酸素血症でみられる。


喘鳴の違い原因部位
呼気性の喘鳴気管支
吸気性の喘鳴咽喉頭
喘鳴の違いと原因部位について


<検査>


喉頭鏡、喉頭内視鏡により、喉頭蓋の著明な発赤・腫脹を確認

→窒息死リスクの観点から、早く検査し、確認ができる喉頭内視鏡検査がよいだろう。


頸部X線側面像により、喉頭蓋の著明な腫脹thumb sign:サムサイン、親指像)や喉頭蓋谷の消失(vallecula sign)を確認



<治療>


薬物療法


・抗生剤:第三世代セフェム系(セフトリアキソン)、ペニシリン系(アモキシシリン)、クリンダマイシン


吸入ステロイドステロイド全身投与:気道狭窄例では、浮腫や炎症の軽減のため使用


気道確保


気管挿管

→狭窄部位を通過させる


輪状甲状靱帯穿刺、輪状甲状間膜切開(窒息しかかっている状態で気管切開する時間的余裕がない時)

→次に、抗菌薬(セフェム系やペニシリン系)+ステロイドワンショット投与点滴などを行う。


気管切開(喉頭蓋の腫脹が強い場合)

→喉頭から肺に気道確保



クループ症候群について


クループ症候群とは、喉頭の狭窄吸気性喘鳴や犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)、嗄声、呼吸困難などの症状を呈する疾患の総称。

原因はほとんどがウイルス感染となっている。


鑑別のためには、頸部X線ではアデノイドの増殖が無いことを確認し、急性喉頭蓋炎に特徴的な球状の腫脹が無いことを確認をする。


頸部X線の正面像:気道の狭小化を認める。(尖ったように先細る影がみえる:steeple sign、pencil sign)


類似疾患について


喉頭軟化症


喉頭軟化症慢性的に喘鳴が起こる。これは、生後2週間以内に生じ、6~8カ月がピークとなって、1~2歳頃には自然緩解していることが多い。

→哺乳障害があれば体位を工夫する必要があるが、場合によっては経管栄養、胃瘻などのこともある。


粉瘤


粉瘤とは、皮下に角化物が堆積して生じる良性腫瘍のこと。

これは、広頸筋よりも浅層に生じる。


正中頸嚢胞では腫瘤は広頸筋よりも深層にある


脂肪腫


脂肪腫は皮下に生じる軟らかい腫瘍で、最も多い良性腫瘍である。


原因ははっきりしてないが、遺伝性で発症することもある。


種類には、線維脂肪腫や筋脂肪腫、血管脂肪腫などがある。筋脂肪腫は取るのが少し困難。


脂肪肉腫は悪性腫瘍のため、鑑別はしっかり行うこと。(稀だが、10万人に2、3人ほど)


ほとんどは触診とエコーで診断がつく


治療は摘出である。


正中頸嚢胞(甲状舌管嚢胞)について


正中頸嚢胞(甲状舌管嚢胞)とは、甲状舌管の遺残で、前頸部の舌骨付近に嚢胞を生じる先天性疾患である。

これは、舌根から甲状腺に下りていくルートに生じる。

→そのため、嚥下をすることで甲状軟骨、舌骨が上方に挙上するのが目視できる。※

先天性頚部腫瘤の7割を占め、1%程で癌化して甲状腺乳頭がんを生じる


嚥下で動く組織には、喉頭(甲状軟骨、輪状軟骨)~気管までの上気道を構成する器官と、それを挙上させる筋群や舌骨である。


項目部位の位置関係
舌盲孔口腔
舌骨顎と喉元の付け根
第2頸椎
甲状舌管第3頸椎
甲状軟骨第4頸椎
甲状腺第5頸椎
正中嚢胞のできる甲状舌骨の位置関係について


甲状腺というのは、胎生4週頃に舌隆起の一部の上皮が沈下して結節状になって気管軟骨まで下行し生じる。


この移動の道筋である舌隆起の沈下点(舌盲孔)と下行した甲状腺原基をつなぐ上皮組織が甲状舌管である。


通常は消失するが、これが遺残してしまうと濾胞化し正中頸嚢胞となる。


典型例:舌骨直下の正中部に球形の波動のある腫瘤が認められる


・好発:新生児~40歳頃まで


・前頸部舌骨付近に球状軟らかい腫瘤がみられる


無痛性である


・症状は発赤、腫脹、疼痛、排膿、瘻孔形成などが認められる


・嚥下や舌の突出で腫瘤が動く


<検査>


超音波検査により頸部正中に嚢胞性の腫瘤を認める


舌骨と甲状軟骨の間に位置する嚢胞で、甲状腺よりもかなり上方。このため、甲状腺嚢胞は考えにくいといえる。


<治療>


手術療法:Sistrunk手術(シストランク)

摘出が第一選択となる。舌骨体部と癒合していることが多く、この部分を嚢胞とともに摘出すること。


保存療法


嚢胞感染に対し、抗生剤(広域ペニシリン系など)の投与


・硬化療法:OK-432注入療法

→ピシバニール®:A群溶血性連鎖球菌の弱毒した自然変異株をペニシリン処理した製剤である。


リンパ管腫


リンパ管腫とは、先天性の形成異常でありほとんどが2歳以下の小児で生じる。(75~90%)

感染が無い限りは成人で発症することは稀である。


嚢胞状リンパ管腫:嚢胞は単発性ではなく、細かい嚢胞が集簇した所見となっている。これは幼児期から腫瘤がみられる。


側頸嚢胞、側頸瘻


側頸瘻は第2鰓溝(さいこう)に由来するものが多い(6分の5)。次に第1鰓溝性である。(6分の1)

生後に閉鎖せずに残った鰓溝性瘻である。


鰓溝:さいこう。「えら」の「みぞ」と書く。


胸鎖乳突筋の下3分の1の前縁に沿って口蓋扁桃近くの咽頭側壁に達するもの


乳児期に瘻孔を認める事が多く、嚢胞は無痛性である

→再発するため完全に摘出すること


皮様嚢胞


皮様嚢胞は皮膚腫瘍のこと。


※「皮様嚢腫」は卵巣腫瘍の一種であり、違うものである。脂肪、歯、髪の毛などが溜まった腫瘍である。成熟嚢胞性奇形腫という。
ちなみにこれは手術で摘出が必要なものである。


甲状腺腫


甲状腺腫は甲状腺が大きくなる良性腫瘍である


結節性甲状腺腫:部分的にしこりがあるもので、良性腫瘍と悪性腫瘍がある。


<良性腫瘍>


濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)(真の腫瘍):発生頻度としては他と比べれば少ないといえる。

しこりが甲状腺ホルモンを産生過剰となることで、バセドウ病様症状(甲状腺機能亢進症)を発病することがある。

これをプランマー病(中毒性単結節性甲状腺腫)といい、機能性結節である。


腺腫様甲状腺腫甲状腺の細胞が過形成となり、しこり状となっている状態である。甲状腺の多発嚢胞で、甲状腺と同じ高さにみられるはずである。


甲状腺嚢胞:ほとんどが、変性や出血で膨らむ続発性の嚢胞である。

→いずれにしても同じ性状のため、臨床的には同じもの(単なる嚢胞)として考えても差し支えは無い。


機能性甲状腺結節(AFTN):甲状腺結節が自律的に甲状腺ホルモンを分泌するものをいう


異所性甲状腺腫、迷入甲状腺腫:正常な甲状腺とは別の部位に発生した甲状腺をいう。


舌癌について


舌癌とは、舌に発生した上皮性悪性腫瘍である

これは、歯に接する舌縁部に好発する

早期からリンパ節転移をきたしやすいため、予後不良となりやすい。(舌はリンパ流が豊富である)


・口腔癌の6割を占める


・好発:喫煙者、飲酒歴ありの50~60歳代男性


・う歯や義歯付近の舌縁部に違和感やしこり、疼痛、腫瘤、粘膜不整、潰瘍などがみられる


扁平上皮癌が多い


白斑症(白板症)がみられる。これは前癌病変である。

→異型上皮であり、高度では扁平上皮癌に移行する。


発症部位発症率
舌縁92%
舌の裏側5%
舌上部2%
舌尖(舌の先)1%
舌癌の発症部位と発症率について


<検査>


・確定診断には生検を行う


・原発巣、伸展評価:MRI、CT、PET/CT


<治療>


手術療法:舌切除術、(口腔底切除術

→広範囲の摘出では再建も行う(遊離前腕皮弁※1など)


放射線療法:組織内照射(小線源治療)外照射


その他:超選択的動注化学療法※2、化学放射線療法など


※1 遊離前腕皮弁:前腕の親指側の橈骨(とうこつ)動脈、静脈とそれによって栄養される皮膚を用いる。

この部位は薄く細工しやすい


※2 超選択的動注化学療法とは、足の付け根や耳の血管から、癌に栄養を運んでいる血管まで細い管を挿入して直接抗癌剤を注入する方法

これにより、高濃度で癌細胞に抗癌剤を注入させることができる。


舌癌のTNM分類からの治療方針選択について


T:原発巣の進展度

N:リンパ節転移の程度

M:遠隔転移の有無


項目N0N1、N2N3
T1手術または小線源治療手術療法化学放射線療法
(または超選択的動注化学療法)
T2
T3手術または化学放射線療法
(または超選択的動注化学療法)
T4a手術または化学放射線療法
(または超選択的動注化学療法)
T4b化学放射線療法
(または超選択的動注化学療法)
舌癌のT因子、N因子からの治療方針選択について


尚、手術は全て必要に応じて頸部郭清術を行うこと


注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
できる限り正確な情報発信に努めておりますが、当サイトに記載した情報を元に生じたあらゆる損害に対しては当サイトは一切責任を負いませんので、あくまでも参考としてご利用ください。


<参考文献>

メディックメディア Question Bank vol.5 耳鼻咽喉科

病気が見える Vol.13 耳鼻咽喉科

ビジュアルブック 耳鼻咽喉科疾患


    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

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