耳鼻咽喉疾患

耳鼻咽喉科編② 難聴の種類と聴力検査について

耳鼻咽喉科4




注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


耳鼻咽喉科編の第2回目です

今回から耳疾患について掘り下げていきます


オージオグラムについて


オージオグラムとは聴力図(標準純音聴力検査)のことをいう


それを記載するための機械をオージオメータという


気道聴力右耳が赤で〇左耳が青で×で示される

骨導聴力は右耳が逆コの字型、左耳がコの字型である


※耳のある方が外側を向いて、空いているイメージ 「 [ 」が右耳、「 ] 」が左耳

覚え方:つどうはの字型のもの


下矢印()は最大音圧でも測定不能(スケールアウト)を表す


正常聴力は25dB未満である(聴力検査図上でみれば上の方に記載される)



例として

通常、75dB以上も難聴であればアブミ骨筋反射が消失する。(中等度難聴)

しかし、例えば左耳で「×印とコの字がずれずに記述されている状態」では音は聞こえているはずなので、心因性や詐聴といったことが考えられるようになる。


<聴力図で診断予測できるもの>


・正常聴力、伝音難聴感音難聴、混合難聴の区別


・鼓膜穿孔、耳小骨離断耳硬化症メニエール病騒音性難聴加齢性(老人性)難聴など


気道骨導差があれば伝音難聴、気道骨導差がなければ感音難聴と判断できる


イメージ:伝音難聴は外側の問題、感音難聴は内側の問題


平均聴力気道聴力で求められ、平均聴力レベル4分法で求めていく


この4分法は日本と国際では若干異なっている


日本の4分法:(500Hz + 1,000Hz × 2 + 2,000Hz) ÷ 4

国際的な4分法:(500Hz + 1,000Hz + 2,000Hz + 4,000Hz) ÷ 4


聴力検査について


聴力検査では、最初に純音聴力検査をする。被験者が自覚的に応答する必要があるため、学童期以後でなければABRを利用する。


次に、語音聴力検査語音の弁別能を調べる)やSISIテスト補充現象※1を調べるもの)、自記オージオメトリ内耳の補充現象を調べる)などがある


主流となっているのは、聴性脳幹反応(ABR)である(次の項目参照)


その他:インピーダンスオージオメトリは、鼓膜の可動性をみる中耳機能検査である。

→これは、プローブを片耳ずつ挿入して測定する。


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※1 補充現象:音を少し大きくしただけでも、大きい音に感じられ不快となる現象。

小さい音の聴こえる閾値が遠くなるということになる


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聴性脳幹反応(ABR)について


聴性脳幹反応(ABR)とは、蝸牛神経から脳幹聴覚路の反応を見る検査であり、他覚的聴力検査の一つである。刺激音は2,000Hzの周波数となっており、高音部の難聴スクリーニングに適している検査。

(被験者の反応なしに、自動で聴力検査ができる)


このため、乳幼児や聴神経腫瘍、詐聴、脳死判定に有用である。


動くとよくないため、新生児・乳幼児では睡眠時に行うとよい。


<内容について>


クリック音を500~2,000回聴かせて、10ms以内の蝸牛から内側室状体の反応を記録する。電極は、頭頂部・乳突部・前額中央につけて行う


波形がみられない場合は、その部位に障害があると考えられる


波形の位置で聴覚伝達路のおおよその位置が決まっている


種類起源
Ⅰ波蝸牛神経(聴神経):脳幹機能ではない
Ⅱ波橋の蝸牛神経核
Ⅲ波上オリーブ核
Ⅳ波外側毛帯
Ⅴ波中脳の下丘
Ⅵ波内側膝状体:あまり利用はしない
Ⅶ波聴皮質
ABRにおける波形の表すおよその位置について


<参考文献>


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自記オージオグラムのJerger分類(ジャガー)について


自記オージオメトリでは、連続音と断続音の2種類を用いて検査を行う。これには5つのタイプがある。


タイプ状態持続音と断続音の記述
Ⅰ型正常または伝音難聴持続音、断続音はともに20dB前後で、重なって記述される
Ⅱ型内耳性難聴持続音は聴力が弱く、断続音よりも下側(30,40dBなど)で、波形は小さく記述される

断続音は20dBと正常

で記述される
Ⅲ型後迷路性難聴持続音は徐々に下がっていく(30,40,50,60,70dBと)

断続音は20dB前後で正常

に記述される
Ⅳ型後迷路性難聴波形は同じだが

断続音が上(30dBなど少し低下気味)
持続音が下側(40,50dBなど)に記述される
Ⅴ型心因性(機能性)難聴波形は同じだが

持続音よりも下(dBが高い数値)に断続音が記述される
(Ⅰ型~Ⅳ型とは逆転している)
自記オージオグラムのJerger分類について



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難聴の種類について


難聴には、大きく内耳や聴神経の障害による感音難聴中耳炎や外耳道閉鎖症などの伝音系に異常がみられる伝音難聴に分類される


この分類はオージオグラムを用いて鑑別するとよい


伝音難聴では、中耳の伝音増幅機構が障害されているだけであり、感音機能は残っている

→そのため、補聴器で音を増幅して送ることで聴力改善が望める。


中耳の手術:鼓室形成術慢性中耳炎による鼓膜穿孔例)、アブミ骨手術などがある


内耳性の感音難聴では、補充現象があり、補聴器の効果はあまり高いとはいえない


感音難聴老人性難聴、薬物性難聴(アミノグリコシド系抗菌薬や抗癌剤(白金製剤)等)、騒音性難聴外リンパ瘻メニエール病突発性難聴流行性耳下腺炎(ムンプス)Ramsay Hunt症候群(耳帯状疱疹)による内耳炎などが挙げられる


血管条の障害、蝸牛神経の障害、有毛細胞の障害では感音難聴をきたす)


先天性の感音難聴には、聴覚改善のため人工内耳植え込み術を行う。(小児では、言語習得のため早期に行う:1歳で8kg以上に適応)


これは、補聴器で効果の得られない両側の高度難聴例で行う。


伝音難聴では行わない


人工内耳の適応とならない例について


<人工内耳の適応とならない例について>

・両側性の高度感音難聴(平均聴力レベル90dB以上)で補聴器効果が少ない

・人工内耳の挿入スペースがない

・活動性中耳炎

・聴覚中枢障害がある場合


片側性両側性
突発性難聴インフルエンザ感染
メニエール病麻疹感染
聴神経腫瘍風疹感染(先天性)
流行性耳下腺炎に伴う難聴ムンプスウイルス)サイトメガロウイルス感染(先天性)
Ramsay Hunt症候群ヘルペスウイルス)髄膜炎
外リンパ婁内耳梅毒
薬剤性難聴※
騒音性難聴
老人性難聴
など
感音難聴のまとめ


内耳炎を起こすことで(高度の)感音難聴をきたす。


内耳炎は中耳炎や髄膜炎などから波及することがある。


薬剤性難聴:薬剤性の内耳障害は、両側の蝸牛や前庭半規管で障害がおこる。


原因薬剤には、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン(アミノグリコシド系抗菌薬)が主に挙げられる。


他には、抗癌剤(白金製剤)、アスピリン、ループ系利尿剤なども起こりうる。


<治療>


鼓室形成術は感音難聴に適応がある


補聴器の使用(これは、伝音難聴にも適応がある)


伝音難聴耳硬化症、耳垢塞栓、外傷性耳小骨離断、耳小骨奇形、鼓膜穿孔、真珠腫などの中耳疾患が挙げられる。


外耳疾患では異物陥入、外耳道狭窄など


鼓膜の障害、耳小骨の離断、耳小骨の固着では伝音難聴をきたす原因となる)


項目伝音難聴感音難聴(内耳性難聴)感音難聴(後迷路性難聴)
Weber法(ウェーバー)患側が大きく聞こえる健側が大きく聞こえる左に同じ
Rinne法(リンネ)陰性(気導<骨導)陽性(気導>骨導)左に同じ
気導骨導差(A-B gap)
補充現象
疾患鼓膜、外耳、中耳の疾患
(ex:中耳炎、耳硬化症など)
メニエール病(片側性)

突発性難聴(片側性)

・薬剤性難聴(両側性、第Ⅷ脳神経障害などによる)

・内耳梅毒(両側性)
聴神経腫瘍
難聴の種類について


補聴器の効果がある疾患について


一般的に補聴器に良い適応とは、両側の平均聴力レベルが40dB以上であり、語音明瞭度が70%ほどで良好に保たれている場合である。


両側性伝音難聴その他
耳硬化症(最も効果が高いといえる)老人性難聴(早期からの使用で効果はあるとされる。感音難聴である)
耳小骨奇形乳幼児高度難聴
慢性中耳炎(ただし、耳漏がないこと)
癒着性中耳炎
外耳道閉鎖症
補聴器の効果がある疾患について


機能性難聴(非器質性難聴)には効果が望めない心因性難聴詐聴がこれにあたる。

この疾患では、聴性脳幹反応などの他覚的な聴力検査で異常は見られない。


後迷路性難聴である脳神経腫瘍老人性難聴では、語音弁別脳が強く障害されており、補聴器の効果は少ない。

(老人性難聴では、内耳性の要素もあるが、主にらせん神経節細胞の減少による後迷路性難聴である。)


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Weber法について


以下の検査方法は音叉を用いた聴力検査であり、原始的であるが


オージオメータが使えない状況(ベッドサイド、救急外来など)では有用な手法である


音叉の検査では、伝音難聴か感音難聴かを鑑別する簡易検査である。難聴の程度までは確認できない。


※1 Weber法:音叉を前頭部、頭頂部、下顎先端部にあてて、音の聞こえ方が左右でどっちが大きく聞こえるかを調べる検査である


これによって、骨導の左右差を確認することができる。


伝音難聴では患側側が大きく聞こえるのは、患側側でより大きく聞こうとすることで感受性が高まるためである。


感音難聴では健側側が大きく聞こえる


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Rinne法


※2 Rinne法:音叉を鳴らした状態で、耳の後ろ側にある骨導(乳様突起)に音叉の底を当てて、骨導での音が聞こえなくなったところで音叉を耳元に持っていき音が聞こえるかで気導の確認をする方法


通常は耳元に持って行った時も音は聞こえる。(気導 > 骨導


伝音難聴では気導の聴こえる時間は短くなるため、 骨導 > 気導 となる


感音難聴では正常時と同じ結果となるため、Weber法も組み合わせるとよい



耳漏について


耳漏とは、通称「耳だれ」といい、耳からの分泌物を総称したもの。


外耳道の異常だけでなく、中耳の異常や鼓膜の穿孔などによっても症状は見られる。


・髄液漏は血性耳漏を認めることがある


急性・慢性中耳炎(鼓膜穿孔、真珠腫など)
鼓膜炎(鼓膜の細菌感染による炎症でおこる
側頭骨骨折などによる髄液漏
外耳道の真菌感染(痒みも伴う)
壊死性外耳炎(耳の悪性腫瘍)
など
耳漏をおこす疾患について


新生児聴覚スクリーニングについて


新生児聴覚スクリーニング要精査となった場合、紹介先でもまずは聴力検査を改めて行うこと。


・画像検査を行い、内耳や中耳の奇形が無いかも確認すること。

奇形が無いようであれば、感音難聴の疑いが高い


先天性難聴の要因となる、サイトメガロウイルス、ムンプス、風疹、麻疹などの有無を確認(抗体検査


・これはあくまでもスクリーニングであり、聴覚障害の確定診断はできない


先天性難聴の50%は遺伝性とされる。


遺伝子診断は進んでおり、既知の難聴遺伝子であれば保険診療でスクリーニングできる


<検査>


側頭骨CT聴性脳幹反応(ABR)を行う


・人工内耳手術を施行する場合は、MRI検査も行い蝸牛神経の状態を確認すること


・ABRは無反応であることがしばしば

→つまり、全周波数で中等度以上の難聴と考えられる。


耳音響放射(OAE)とは、耳の中から外に向かって返ってくるエコーによって内耳蝸牛の状態を調べる検査である
(新生児聴覚スクリーニングの他覚的検査)

→これは、通常内耳からは常に小さな音が放射されており、それを拾うことで調べている。


・イヤホンのようなものを耳に装着する


・この時、外有毛細胞から出ているため外有毛細胞の状態も把握できる。

→高齢者においては、OAE検査で外有毛細胞の機能低下(年齢による細胞数減少)が認められる。


新生児、乳幼児のための検査であったり、突発性難聴などの内耳性難聴でも有用である。



発育遅延や合併奇形があれば染色体異常などの検査を考慮する。


純音聴力検査(オージオメトリ)は、5、6歳以降の難聴であれば行う精査だが、新生児、乳児では施行不可である


難聴があると診断・判断されれば、生後6か月頃から補聴器を装用して半年ほど補聴効果があるかどうか確認すること

低音・中音域で残存聴力があれば補聴器の効果が得られる可能性があるといえる。


補聴効果があまり見られない場合は、生後1歳以降から2歳頃まで人工内耳手術を行い聴力を獲得させること


低音や中音部が残存聴力あれば


低音部は補聴器で音信号を増幅させて、高音部は人工内耳による電気刺激で聴取するというハイブリット型の残存聴力活用型人工内耳が開発されている


幼児聴力検査の種類について


検査法聴性行動反応聴力検査(BOA)条件詮索反応聴力検査(COR)ピープショウ検査遊戯聴力検査
適応年齢乳幼児
主に0~12カ月
6カ月~3歳頃3歳以上3歳~5歳程度
内容音の出る玩具(楽器など)を使用し、被検児の見えないところから音を出して反応するかをみる(聴性行動反応左右前方にスピーカーを置き、音や光(視覚)を刺激として与えてランダムに繰り返す

音だけで反応するように条件付けをし、音圧を変えて各周波数の聴覚閾値を測定する
スピーカーから音の刺激を与えて、正しいタイミングでボタンを押すことで映像が見える仕組み(報酬系を与える)

これを繰り返し、条件付けしたら、各周波数の聴覚閾値を測定する
オージオメータを用いる

音が聞こえたときに玩具の玉を一つ動かすように教えておき、ゲーム感覚で聴力を調べることができる
結果中程度以上の難聴有無の確認聴力を調べる聴力を調べる聴力を調べる
その他CORで飽きる場合は、より高度な行動を用いることもある
幼児聴力検査の種類について



機能性難聴について


機能性難聴には、心因性難聴詐聴がある。


心因性難聴小児(特に8歳~10歳で多発)でみられ、中等度の感音難聴が多い。聴力は変動性


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メニエール病発作時難聴について


メニエール病(Meniere)発作時の難聴パターンとして、初期にめまい発作を起こしたときに低音障害型の感音難聴がみられる。

めまいについては次回の耳鼻咽喉科編③で解説します。


難聴や耳鳴り、耳閉感などの蝸牛症状を随伴する反復性のめまい(ほとんどは回転性)を起こす疾患である


メニエール病の主な3症状は、回転性めまい、感音難聴、耳鳴りである。


・通常は一側性で、低音部の感音難聴を呈する。


・発作性で反復する回転性めまいを呈する。


・メニエール病の原因は内リンパ水腫である。(内耳にリンパ液が増えた状態)


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耳硬化症について


耳硬化症は数年かけて徐々に進行する後天性の伝音難聴(または混合難聴)である。これは先天性であることもある。(アブミ骨底板の固着でおこる)


アブミ骨底板の固着は、骨吸収と骨新生を起こして可動障害が出てくる状態となることが原因である。


感音難聴も呈する混合難聴の原因として、蝸牛軸に病変が進行することで呈することもある、というものである。


・難聴は両側性が多いが、片側性ということもある。また、耳鳴りが7,8割でみられる。


一般的な耳硬化症では

オージオグラムでみると両耳の2,000Hz付近の骨導低下(Carhart's notch)※1、A-B gap(+)(気導骨導差、stiffness curve(低音部でのA-B gapが大きいこと)が認められる。


・疫学的には女性にやや多く、30~40代が発症ピークである。日本人よりは白人に多い疾患である。


ティンパノメトリー※2ではAs型(またはA型)がみられる


アブミ骨筋の反射が欠如、またはon-off反応がみられる


※1 骨導低下により、オージオグラムではコの字型(または逆コの字型)が40dBなど下の方に記述されるのが確認できる。

概ね、両側性の低音障害型伝音難聴である


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※2 ティンパノメトリー:鼓膜や中耳の疾患で利用する検査機器である。

鼓膜に陽圧や陰圧の力を加えて、鼓膜の動きを測定するもの

鑑別利用:耳閉感のある滲出性中耳炎、鼓膜萎縮、中耳内腫瘍に利用される


・検査内容:-400~+200mmH2Oで変化をさせて刺激音を与え、反射音を測定する

・外耳道圧と鼓室内圧の圧差の変化に合わせ、鼓膜・耳小骨のインピーダンス変化がある

・鼓膜のインピーダンスに大きく影響されるため、耳小骨の状態は反映されないことが多い


状態・疾患検査結果・グラフのピーク
A型正常時、外と中耳の気圧が同じ0のところにピークが来る
As型耳硬化症
・アブミ骨固着

鼓膜と耳小骨の可動性が低下
A型よりピークが小さい
Ad型耳小骨連鎖離断
・鼓膜萎縮

鼓膜と耳小骨の可動性が亢進
A型よりピークが大きい
C1型中耳の気圧調節が悪く、圧が低い

鼓膜の陥凹を示唆
ピークが陰圧側にくる

-100daPa以下
C2型鼓室内陽圧ピークが陽圧側にくる

+100daPa以上
B型滲出性中耳炎
・癒着性中耳炎
・耳垢穿孔
・耳垢栓塞

中耳に貯留液がたまっている
(鼓室内に含気腔がない)
ピークは見られない
ティンパノメトリーの結果の見方について



<検査所見>


両耳気導骨導差がみられる

(オージオメトリでみると、コの字型と逆コの字型のグラフ(骨導)と〇と×を線で結んだグラフ(気導)で乖離がみられている状態)


低音域(周波数(Hz数)が小さい数字の方)ほど気導骨導差が大きい


・stiffness curveを示す


・特徴的な聴力像であるCarhartの凹み(notch)を示す。


・2,000Hzで骨導値の上昇(Carhart's notch:カハールの陥凹)がみられる


・CT所見は異常なし


<治療法>


手術療法:アブミ骨手術

アブミ骨の底板と前庭窓(卵円窓)の間の可動性が損なわれて伝音難聴をきたすため、人工アブミ骨に置換するのがよい。


対症療法:補聴器を使用


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外傷性耳小骨離断について


外傷性耳小骨離断では、伝音難聴をきたすが鼓膜が正常である場合が多く伝音再建の手術がよい


オージオグラムから伝音難聴を判断し、滲出性中耳炎との鑑別として鼓膜所見で異常がみられないことを確認するとよい。


滲出性中耳炎では、鼓膜は琥珀色や黄色を呈する。


ティンパノメトリーではAd型を呈する


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外リンパ瘻について


外リンパ瘻とは、前庭窓または蝸牛窓の破綻によって、外リンパが中耳に漏出している状態である。


これは、外傷をきっかけとしておこる難聴であり、急性で発症(突発性)する感音難聴と目眩発作をおこす。


咳や力みなどでおこる、髄液圧の急激な変化であったり、鼓室圧の急激な変化(運動やダイビングなど)で生じることが多い。


pop音と呼ばれるパチッという音が、内耳圧の急激な上昇で聴こえることがある。


内耳(前庭と蝸牛)症状もきたせば浮動感や難聴、耳鳴りも生じる。


外耳道を加圧すると、圧を加えた方向に向かって眼振を認める。これが瘻孔症状である


<治療>


頭を30度ほど高く挙げた状態で安静を保っても改善が認められない場合


→ 試験的鼓室開放術を行う


瘻孔があれば閉鎖術を施行する。(内耳窓閉鎖術


聴神経腫瘍について


聴神経腫瘍は内耳神経の神経鞘※(主に下前庭神経)から発生する良性腫瘍である


神経鞘:末梢神経の髄鞘を形成するSchwann細胞(シュワン)のことを指す


・徐々に悪化する片側性の感音難聴であり、脳幹を圧迫するほど大きな腫瘍では平衡失調も来すことがある

その他進行すれば、小脳症状、頭蓋内圧亢進症状をきたす


・感音難聴の他、高音域が障害されることもある


・平衡障害も、急性の障害ではなく緩徐なため、回転性のめまいは無く、体動時の動揺感が主である


前庭神経由来の腫瘍であり、半規管機能が低下する


聴覚伝導路に腫瘍があるため、聴性脳幹反応(ABR)では潜時延長がみられる


・初期には、代償機構が働いており、前庭神経の障害症状はみられにくい


蝸牛神経症状である難聴やめまいが初発症状であることが多い。次いで、三叉神経、顔面神経と障害症状がみられてくる。

→ 神経障害についてのまとめは別ページも参考に(耳鼻咽喉科編①)


多発性の神経鞘腫がみられる場合は、両側性の聴神経鞘腫が発生する


MRIのT1では低~等信号、T2強調像では高信号の腫瘤を認める


頭部造影MRIのT1強調像では著明に造影効果がみられる


<治療>


高齢患者病変が小さく聴力低下が軽度(無症状)である場合は、経過観察でよいこともある

→ MRIで定期的に腫瘍の大きさを確認していくこと


・放射線療法:腫瘍の大きさが小~中程度(3cm以下)や、術後残存する腫瘍には、定位放射線治療(ガンマナイフ)の実施


・外科手術:腫瘍の大きさ(急激に大きくなるなど)、症状がある大きな腫瘍に対して行う。聴覚障害や顔面神経麻痺を合併しやすい


聴神経腫瘍でみられる所見について


Bruns眼振(ブルンス)※1
角膜反射消失※2
進行性の感音難聴
アブミ骨筋反射異常※3
聴神経腫瘍でみられる所見について


※1 Bruns眼振:脳幹が圧迫されたときにみられる水平性眼振をいう

患側は振幅が大きくゆっくりで、健側は振幅が小さく頻度が多い


※2 角膜反射消失:角膜に触れても、まぶたが閉じない状態をいう


※3 アブミ骨筋反射異常:耳の聞こえが悪くなる。耳硬化症でも同じような症状を呈する


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Ramsay Hunt症候群について


Ramsay Hunt症候群(ラムゼイ・ハント)は水痘帯状疱疹ウイルスで生じる、顔面神経麻痺が主徴の疾患である。耳に生じた帯状疱疹のことである。


3主徴:耳介、外耳道の疼痛・発疹顔面神経麻痺内耳症状(難聴、めまい)


片側性の感音難聴を呈する


両側性高度感音難聴について


両側性高度感音難聴(後天性)は、細菌性髄膜炎が原因となることが多い。


細菌感染によって内耳や聴神経が障害される。


難聴の程度は障害の程度によって異なるが、多くは高度難聴となり、補聴器の使用でも改善に乏しいとされる。


重症であれば、早くて1年以内に内耳骨胞の骨化が生じ、人工内耳の挿入が困難となる


<検査所見>


MRI所見は正常である


幼児期の難聴では、第1言語習得の臨界期が3歳までのため、早期治療が必要である。


人工内耳埋め込み術の適応あり。ただし、内耳の骨化が進む前に対応する必要がある。


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突発性難聴について


突発性難聴は多くは一側性高度難聴であり、回転性めまいを随伴することがある。ストレスが要因の一つ。


これは、メニエール病とは異なり1回の発作で完結する。(繰り返しは無い)


突発性難聴などのオージオグラムでは、片側だけ全周波数域で感音難聴のグラフ(グラフが下側に記載される)を示す。


・好発は50,60代


・めまい、難聴の他の症状には、耳鳴り、耳閉塞感などがある(第Ⅷ脳神経からくる内耳神経の症状)(感音難聴


鑑別の確認:良性発作性頭位めまい症では難聴、耳鳴りなどの蝸牛症状は伴わない。


・純音聴力検査:気導骨導差はなし


・自記オージオメトリではJergerⅡ型などを示す


後天性の急性感音難聴であれば、副腎皮質ステロイドが著効する。


早期治療で、難治性に進行するのを抑制できる。(治療が遅れると予後不良


<治療薬例>

ステロイド

ビタミン剤

ATP製剤

血管拡張薬

高圧酸素療法(HBOT)


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外耳道閉鎖症について


外耳道閉鎖症伝音難聴(または混合難聴)の一つであり、先天性疾患である


・これは先天的に耳介奇形(小耳症や無耳症)によって生じる伝音難聴である。そのため、患者自身は閉塞感がわからず、訴えることは無い


・オージオグラムは両耳の全周波数域でグラフが下側(40、50dB付近など)に記載される(他には、両側の慢性中耳炎、耳硬化症などでも見られる)


<治療>


伝音成分の再建となる外耳道形成術を行う。


両側高度感音難聴(聾:ろう)について


両側高度感音難聴は聾(ろう)※という


オージオグラムではグラフで記載されない。(全く聞こえない状態)


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:肉体的な障害のため耳が全く聞こえない状態のこと。最重度難聴であり、その患者は聾者(ろうしゃ)ともいわれる。先天性が多い。


髄膜炎後の両側聾などがある


聾の小児では言語習得が必要となるため、人工内耳植え込み術を行うようになってきている。


1歳以上で体重が8kg以上であれば適応となる。


その他の近縁疾患について


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騒音性難聴について


・騒音性難聴には、音楽ライブなどによる大音量の影響などで音響外傷性難聴を起こすことがある


・一般的に、高周波数で障害性が強い


感音難聴のうち一時的な強大音(130dB以上)によるものを音響外傷性難聴という

慢性的な騒音(85dB以上)によるものを騒音性難聴という


・ほとんどが両側性感音難聴であり、補充現象(内耳有毛細胞障害の特徴)が陽性を示す


・感音難聴の為、気導骨導差はみられない


騒音性難聴のオージオグラムでは、高音域C5-dip※(4,000Hz)の聴力低下がみられる。進行すれば全周波数に及ぶ


・症状は、騒音暴露直後に耳閉塞感や耳痛が生じ、それが治まると、難聴や耳鳴感がおこるが、めまいはみられない


・騒音の暴露を中止しても難聴の改善は困難である


C5-dip:CからC5に至る音叉によるオクターブ聴力検査をしていた時の名残で書かれている。(Weber法など)



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老人性難聴について


老人性難聴有毛細胞の機能低下によるもので、後迷路性障害が特徴である。そのため、左右差は見られず軽度から中等度の難聴である


老人性難聴またはそれに類する状態では、オージオグラムの基本パターンは両耳の高音域漸減型感音難聴を示す(4,000Hz、8,000Hzなど)


・その他の要因が考えられない時に考慮する


・音声言語が中枢での解析能力低下のため、聞き取りづらい時馴染みがない内容の時は理解できない事が往々にしてある


<治療>


治療での聴力改善は困難であり、対症療法として補聴器の装着をすることとなる


補聴器の音量を大きくすることは、補充現象によってかえって聞こえが悪くなることがある


中毒性平衡障害について


中毒性平衡障害では、両側高音障害型感音難聴である。これは、jumbling現象※1がみられる。多くが薬剤性のものであり、両側内耳障害を起こす。


※1 jumbling現象:両側の内耳機能低下にみられる歩行時の動揺視である


<検査>


温度眼振検査※2の反応低下がみられる


体温よりも低温の水を注入すると、注水した側とは反対側に水平眼振が生じる

体温より高温の水を注入すると、注水した側と同じ向きに水平眼振が生じる


この眼振の潜伏時間持続時間眼球速度を測定して左右比較することで半規管の反応性を判定したり病巣部位の診断に利用する


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※2 温度眼振検査(カロリックテスト):内耳刺激による平衡機能検査のこと


 冷水あるいは温水(30℃~44℃)を外耳道に注ぐことで、内耳の外側半規管を刺激する。これは、半規管に生じた温度差で半規管と求心路が刺激される


背臥位では頚部を30度前屈させる。座位では頚部を60度伸展させる


前庭神経炎について


前庭神経炎とは、通常は一側性であり回転性のめまいを起こす。難聴、耳鳴りなどの蝸牛症状(聴覚障害)は合併しない。


ウイルスなどによって風邪症状から生じることがある


上半規管裂隙症候群


上半規管裂隙症候群とは、上半規管の中頭蓋底の骨迷路の欠損があり、めまいや難聴をきたす疾患のことである


リンク先

ムンプス難聴


流行性耳下腺炎からくる、ムンプスウイルスが原因の難聴である


この場合は、片側性の感音難聴を呈し、しばしば聾となる。(高度難聴で、難治性


・ムンプスの合併症には、無菌性髄膜炎、精巣炎(成人男性)、膵炎などがある。


先天性真珠腫


先天性真珠腫とは、鼓室表面角化重層扁平上皮がみられる状態をいう。


鼓膜の裏側に限局するもの、乳突蜂巣(耳後部の骨の中)全域に伸展しているものなど様式は様々である。


オージオグラムでは伝音性であり、片側性であることが多い。


真珠腫性中耳炎


真珠腫性中耳炎とは慢性中耳炎の一つであり、耳小骨や中耳周囲の骨を破壊しながら進展する。


耳漏を伴うこともしばしば。


滲出性中耳炎


滲出性中耳炎では、伝音難聴を呈する。

詳しくは次回の耳鼻咽喉科編③で


<治療>


鼓室換気チューブ留置術を行う。


チューブはシリコン製である。(そのため、X線では描写されない)



<参考文献>

メディックメディア Question Bank vol.5 耳鼻咽喉科

病気が見える Vol.13 耳鼻咽喉科

ビジュアルブック 耳鼻咽喉科疾患


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    TK.Ph

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