耳鼻咽喉疾患

耳鼻咽喉科編③ めまい、眼振、中耳炎について

耳鼻咽喉科4


注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


耳鼻咽喉科疾患も第3回目となります。


耳に関してはこれが最後になります。次回は鼻なども見ていきたいと思います。

→耳鼻咽喉科編④ 鼻腔・副鼻腔疾患はこちら


眼振の種類について


めまい、眼振では蝸牛症状(耳鳴、(感音)難聴など)の有無で分類していくことが肝要である。また、中枢症状が無いかも知っておくこと。(ex:一過性脳虚血発作など)


眼前暗黒感というのは、末梢性眩暈では生じない。これは、椎骨脳底動脈系の循環不全によるめまいでしばしばみられる症状である。


・めまいで耳鳴も伴うもの(蝸牛症状)は、Meniere病(メニエール)が挙げられる。


突発性難聴では、めまい発作は一度きりである。およそ4割でめまいを伴う。


・上下の眼振(垂直眼振)は末梢性めまいではみられない。


前庭神経炎(感冒後など)では一側性の前庭障害であり、眼振方向は一方向性である。


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種類説明
注視眼振主に脳幹や小脳障害中枢性疾患)によってみられる

TIAや小脳梗塞など
垂直眼振主に脳幹や小脳障害中枢性疾患)によってみられる

TIAや小脳梗塞など
水平眼振・回旋眼振
(水平・回旋混合性眼振)
前庭神経炎メニエール病突発性難聴により末梢性めまい(耳性めまい)によってみられるもの
純回旋性眼振自発性に観察される場合、中枢性疾患を考慮する

頭位変換時に眼振がみられる時は、BPPVを疑う

動揺病(乗り物酔い)では通常眼振はみられない
回旋成分のある上眼瞼向きの眼振片側後半規管のみが刺激されることで眼振がおこる(BPPVで認められる)

→この場合、同側眼の上斜筋と対側眼の下直筋が収縮することで回旋が含む
上眼瞼向きの眼振延髄の舌下神経周囲核(PHN)
橋の結合腕(BC)
腹側被蓋路(VT)

両側性に障害されることで生じる

生じる疾患類は →こちらから※1
下眼瞼向きの眼振・前庭神経核間の第四脳室底の病変:下直筋への持続性興奮性神経活動の遮断
・小脳片葉の両側性の病変:上直筋への持続性興奮性神経活動の脱抑制により増強

などの中枢性の垂直性前庭-眼経路の障害で生じる

生じる疾患類は →こちらから※2
頭位眼振頭位が特定の位置でみられる眼振
頭位変換眼振急速に頭位を動かすことで(頭位変換)みられる眼振

BPPVでみられる

前庭神経炎では自発性の水平眼振がみられる
温度眼振片方ずつ前庭機能を検査するもの。冷温交互刺激検査。

温水注入:注入側に向く眼振
冷水:その逆となる
視運動眼振
(鉄道眼振)
網膜、視覚中枢、脳幹の機能を検査するもの

視運動刺激で出現する眼振である
乳児眼振(先天性)※生後間もない乳幼児期にみられる眼振

衝動眼振と振子眼振がある

衝動眼振:行きと戻りの揺れの速度が異なるもの
→注視やストレスで増悪する

振子眼振:時計の振子のような動きをするもの
→著しい低視力
潜伏眼振普段は眼振が無いが、片眼を隠すことで眼振がおこるもの

これは視力障害や斜視がある場合が多い

両眼視機能の遮断で誘発される
眼振の種類について


眼球に異常のない眼振では、眼の動きを制御する神経系の障害と考えられる。

眼の異常では、先天性無虹彩、先天性黄斑低形成、先天性白内障、先天性網膜色素変性症などがある


(別疾患ですが 関連内容 ※症候性網膜色素変性症についてはこちらを参照してください )


小脳変性および萎縮症多発性硬化症
延髄または小脳梗塞延髄、小脳または中脳腫瘍
Wernicke脳症(ウェルニッケ)ベーチェット病
脳幹脳炎髄膜炎
Leberの先天性黒内障もしくは前方視路の先天異常先天性のもの
有機リン中毒視床の動静脈奇形
ニコチン(たばこ)中耳疾患の随伴症状
健常幼児での一過性出現
※1 上眼瞼向きの眼振が起こる疾患類について


小脳変性症
(家族性周期性失調症、傍腫瘍性変性症を含む)
頭蓋頸椎奇形
(Arnold-Chiari奇形、Paget病(パジェット)、頭蓋底陥入症を含む)
脳幹または小脳梗塞椎骨脳底動脈蛇行拡張症
多発性硬化症小脳腫瘍(血管芽細胞腫を含む)
延髄空洞症脳炎
頭部外傷抗痙攣薬治療
リチウム中毒アルコール性(アルコール性小脳変性症含む)
Wernicke脳症Mg欠乏
VB12欠乏トルエンの乱用
先天性中脳梗塞
頭蓋内圧亢進症および水頭健常幼児での一過性出現
※2 下眼瞼向きの眼振が起こる疾患類について



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良性発作性頭位めまい症(BPPV)


基本的には難治性であり、対症療法がメインとなるめまいである。


致死的ではないため、治療は生活での支障を減らしてQOLをあげるのが目的となる。


良性発作性頭位めまい症とは、めまいで最も多いものとなっている。

特定の頭位の時に短時間の激しいめまいを生じる疾患である。

特徴:蝸牛症状(難聴、耳鳴り、神経症状など)は伴わない。


特定の頭位で誘発される一過性の回転性めまい眼振が特徴的な疾患である。


めまい、眼振は特定の頭位で増強をし、次いで減弱、消失していくことから疲労現象といわれる。


これには、また同じ頭位をした時、症状は軽くなっていたりまたは症状がみられなくなる現象である。


<検査>


頭位眼振検査頭位変換眼振検査で眼振が検出される。

これは今のところ、参考画像で確認してください(申し訳ない、、)


→確定診断には、この所見だけでなく、他疾患の除外診断となる。


検査時はFrenzel眼鏡(フレンツェル)を装用して行う。これは、頭位眼振検査のための器具である。


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Frenzel眼鏡凸レンズであり、注視機能を取り除くと同時に眼球を拡大して見えやすくしている眼鏡である。眼振の観察機器である。

現在は赤外線Frenzel眼鏡(赤外線CCDカメラ搭載)のものがある。


項目右下頭位正面左下頭位
懸垂頭位結果記載欄 〇や
めまいの方向を右回り、左回りで記載
仰臥位
頭位眼振検査の表記方法


懸垂頭位
座位
頭位変換眼振検査の表記方法



<治療>


対症療法:抗めまい薬(ジフェニドール、ベタヒスチン等)


理学療法:浮遊耳石置換法(Epley法:エプリー、エプレイ)など

→ Epley法頭を動かすことで耳石を正しい位置に戻す治療法である。半規管内の耳石を卵形嚢に移動させる。


手術療法:難治性例で、半規管遮断術



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前庭神経炎


前庭神経炎とは、はっきりした原因は不明だがウイルス感染や循環障害などによっておこると考えられている。前庭神経の炎症である。


症状は、急激に一側性の前庭機能低下をきたし、蝸牛症状(耳鳴りなど)は伴わない。


めまいは激しい症状の為、入院加療の事が多い。


前庭神経炎とは、通常は一側性であり突然の回転性のめまいを起こす。

難聴、耳鳴りなどの蝸牛症状(聴覚障害)は合併しない。(中枢神経症状もない)

特定の頭位での眼振誘発は無い。

めまい症状は、数日から数カ月続くことがある。


ウイルスなどによって風邪症状(上気道炎)から生じることがある(先行感冒という)


・好発は50歳代


<検査所見>


前庭神経炎では高度のめまい眼振所見(長時間持続)を認める。減衰傾向は無い。


自発眼振検査片方の前庭神経の炎症だけなので、一方向性水平眼振が観察される。(垂直(上下)方向の眼振はない


健側向き定方向固定性水平性眼振または水平回旋混合性眼振である。


温度眼振検査患側の高度反応低下を認める。

→通常は、1、2週間で徐々に回復する


<治療>


まず安静が必要である。加えて、リハビリを取り入れる。


発症初期では抗めまい薬(鎮うん薬)投与


発症して数カ月経つと、健側による代償機構で平衡障害が改善されてくる。


薬物療法:炭酸水素ナトリウム、制吐剤、抗不安薬、ステロイド


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メニエール病(Meniere)


Meniere病(メニエール)は、回転性めまい発作蝸牛症状(難聴)反復消長する疾患である

第Ⅷ脳神経(内耳神経)以外の神経症状が無いことを確認すること


蝸牛症状とは、耳鳴、(感音)難聴などをいうが、メニエール病ではこれがめまい症状が悪化するときに、増悪してみられる。(反復性眩暈


メニエール病は耳性めまいの一つではあるが、耳性めまいが全てメニエール病というわけではない。


あくまでも、診断基準がありそれを満たすものがメニエール病である。

・発作期では低中音域を中心に聴力低下がみられ変動する。(低音障害型感音難聴という)


・発作時は第Ⅷ脳神経症状由来で、回転性めまい、悪心、嘔吐、耳鳴、難聴、耳閉塞感を伴うことがある。


<検査>


平衡機能検査(自発眼振検査)では、水平性または水平回旋混合性眼振を呈する。


造影MRI検査内リンパ水腫推定検査で内リンパ水腫の所見あり


<治療>


薬物治療


副腎皮質ステロイド

これは、めまいの急性発作期に投与すると著効する


<間欠期>


対症療法


利尿薬(イソソルビドなど)内リンパ水腫の軽減目的で投与することがある

中耳加圧療法


手術療法


選択的前庭機能破壊術迷路破壊術)は保存的治療でも制御できないめまいに行うもの


内リンパ嚢開放術


主要な末梢性めまいまとめ


項目良性発作性頭位めまい症メニエール病前庭神経炎
持続する時間1,2分未満数分以上続く数時間以上続く
原因頭位変換によるめまい頭位変換無くてもめまいあり頭位変換無くてもめまいあり
反復性頭位変換で繰り返す有り無し
蝸牛症状の随伴有無無し有り無し
病態半規管の耳石脱落内リンパ水腫前庭神経の炎症
(風邪などがきっかけ)
治療対症療法(理学療法など)浸透圧性利尿薬
内リンパ嚢開放術
など
対症療法(抗めまい薬など)
ベタヒスチン、ジフェニドール等
主要な末梢性めまいまとめ


その他近縁疾患について


中毒性平衡障害


中毒性平衡障害によるめまいは、薬剤性(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン等のアミノグリコシド系抗生剤)によるものである




これは、前庭感覚上皮が障害されて平衡障害を生じる。


典型例では、両側前庭が障害されて、歩行時の注視対象物が揺れて見えるjumbling現象(動揺視)をおこす。


症状は、蝸牛症状、前庭症状を両側性できたす


聴神経腫瘍


聴神経腫瘍前庭神経由来が多い神経鞘腫である。

この前庭神経の障害は腫瘍増大とともに徐々に進むため、回転性めまい(前庭症状)を訴えることが少ない

一側性の進行性感音難聴、平衡障害、耳鳴を生じる。(初発)


皿型谷型の聴力像を呈することがある


基底核出血


脳出血の好発部位である被殻視床など基底核周囲の出血では内包が障害されてしばしば片麻痺を呈する。回転性めまいは無い


Wallenberg症候群について


Wallenberg症候群(ワレンベルグ)とは、延髄外側症候群ともいう。


主症状は、めまい、球麻痺※1、小脳症状、同側の顔面知覚麻痺、対側の四肢体幹の知覚障害、Horner症候群(ホルネル)※2など。(通常、蝸牛症状は無し)


※1 球麻痺(延髄の運動神経麻痺)延髄にある脳神経核が障害され、口・舌・喉の運動障害を生じるものをいう。

これによって、構音障害、嚥下障害、呼吸・循環障害を生じる。


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※2 Horner症候群3つある交感神経遠心路のいずれかの障害で生じる。

三大徴候には中等度の縮瞳眼瞼下垂(眼裂狭小)眼球陥凹(眼球後退)がある。

眼以外では、顔の発汗低下、顔面紅潮が挙げられる。





(延髄の外側には、前庭神経核、三叉神経、小脳との連絡路、温痛覚神経路、自律神経等がある)


原因は、動脈壁が傷ついてそこに血液が流れ込むという椎骨動脈解離などの脳梗塞によるものが多い。


脳梗塞場所によって、それぞれみられる症状が異なってくるため、延髄外側の特徴についてはこれから詳しく学んでいく必要があります。(別項目でまとめる予定です)


頭位変換眼振検査について


頭位変換眼振検査とは、前庭や半規管の機能を検査するものである


ふらつきの検査について


ふらつきの程度を調べる検査法は色々あるが、ここでは主な2種類を挙げておく


<検査>


Romberg検査(ロンベルグ)とは、直立制御に関わる脊髄後索の障害を確認するためのもの。


これは中枢性・末梢性めまい、頭部外傷による平衡障害の程度を測定する。


具体的内容:直立したまま目を閉じることでふらつきを調べるという単純なもの。

→これでバランスを崩せば陽性となる。つまり、位置覚が消失していることを表す。


重心動揺検査とは、重心動揺計(体重計のような物に乗る→参考画像あり↓)を用いて客観的に評価するための検査である。


同じく、直立して検査を行う



突発性難聴について


耳鼻咽喉科編②でも触れたが、ここではめまいについて主にまとめていく。

突発性難聴とは、突発的に一側性の高度感音難聴をきたす原因不明の疾患である。

めまいを伴うことがあるが、メニエール病と違い、1度の発作のみである。

治療が遅れることで、予後不良となるため早期治療が必要である。


・好発は50,60歳代


・症状には、耳鳴、耳閉塞感、めまいがある(第Ⅷ脳神経症状)


<検査>


純音聴力検査では、気導骨導差はなし


自記オージオメトリでは、JergerⅡ型を示す


<治療>


薬物治療:ステロイド、ビタミン剤、ATP製剤、血管拡張薬など


高圧酸素療法(HBOT)


内耳障害、外リンパ婁について


・内耳障害は、鼓膜の損傷をし耳小骨や内耳窓に強い外力が加わって生じていることがある。


内耳障害が高度に進行している場合は、外リンパ婁(耳漏)の可能性がある。


・耳漏が感染による中耳炎ということもある。


・中耳手術などによっておこる外傷性鼓膜損傷では、味覚の障害がみられるようであれば鼓索神経の損傷を示しており、治療は薬物治療で経過を見る


<治療>


・外傷性の内耳障害で、難聴が軽度、めまいが主にある場合


副腎皮質ステロイドの投与、安静とする。

基本的にはめまいは徐々に軽快していく。


めまいが増悪するようであれば次の、外リンパ婁を考える。(この場合緊急手術となる)


・内耳障害が高度に進行していれば、外リンパ婁を考えて試験的鼓室開放術をする。


実際に外リンパ婁(リンパ液の漏出)があれば瘻孔の閉鎖をする。(緊急手術


・耳漏が感染による中耳炎であれば


抗菌薬の投与が必要である(ペニシリン系、セフェム系)


鼓索神経障害による味覚障害に対して


副腎皮質ステロイド、ビタミン剤、亜鉛製剤、テオフィリンなど


・鼓膜穿孔が拡大した場合


手術療法:鼓膜形成術


鼓膜の解剖について


・血管条

・鼓索神経

・ツチ骨短突起

・ツチ骨柄

・耳管鼓室口

・臍

・光錐

・正円窓窩

などがある



中耳炎について


中耳炎から内耳炎を発症すると末梢の内耳障害から、眼振を生じることがある。


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急性中耳炎について


原因菌には肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどがある

原因は中耳腔の細菌感染であり、乳幼児(主に3歳以下)に好発する。

小児の急性中耳炎は感冒の鼻炎や咽頭炎に続発しておこる。(急性上気道炎から耳管経由で中耳腔に波及して中耳炎を併発する)


→ 副鼻腔炎が合併すると耳管咽頭口にずっと分泌物が流入するため中耳炎が遷延化する要因である。

幼小児では、成人に比べて耳管が短く傾斜角が小さく、狭窄部が無いなどの解剖学的に違いがある。


2歳以下の小児では難治化しやすい


・症状は発熱、耳痛、耳閉塞感、難聴など。幼児では不機嫌や啼泣(ていきゅう)、耳をいじる行動がみられる。


・血管拡張、滲出液で少し膨張などもみられる


・集団生活(保育園など)から薬剤耐性菌が起炎菌になることがあり、重症化しやすい

広域スペクトラムの抗生剤を濫用することで薬剤への耐性化が進んだと考えられている。


<所見>


耳鏡検査鼓膜の発赤・腫脹(黄色)がみられ、炎症所見がある。


診断には、ティンパノメトリも有用となる(C型またはB型)


<治療:小児急性中耳炎診療ガイドライン2018より>


軽症の急性中耳炎は自然軽快することがあるため、抗菌薬は使用せず3日間経過観察することが推奨されている

適正な抗菌薬の使用のため定められた。


中等度以上で


薬物治療:ペニシリン系抗菌薬(アモキシシリン)が第一選択薬となる(セフェム系なども感受性はあり)


重症例鼓膜切開による排膿+アモキシシリン高用量(場合によっては、感受性をみて抗生剤は変更する)


炎症が強い場合:副腎皮質ステロイド投与


<急性中耳炎を繰り返す場合、急性炎症が終わり滲出液が繰り返し貯留する場合>


手術療法:鼓室換気チューブ留置術



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慢性中耳炎について


原因菌は黄色ブドウ球菌緑膿菌が多い。(MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌のこともある)

主徴には進行性の伝音難聴、耳漏、鼓膜穿孔がある


・好発:急性中耳炎の既往あり、感染防御能の低下者


・耳漏は反復する粘液性のもの


<所見>


鼓膜緊張部(下象限)に穿孔を認める。

→そのため、アブミ骨筋反射ではピークは無く、測定不能である。ティンパノグラムではB型を示す。

アブミ骨筋反射強大な音響負荷でピーク値の変動を見るための検査のこと)


純音聴力検査で、慢性中耳炎では、伝音難聴を生じるため純音聴力検査では気導-骨導差がみられる(A-B gap)



石灰化、菲薄化


<治療>


保存療法:耳洗浄、耳管通気による排膿抗生剤(点耳、内服薬、点滴)


点耳方法:体を横にして、耳の中全体に浸るように(点耳薬として10滴ほど)して、10分間浸すこと。これを耳浴(じよく)という


手術療法


鼓膜穿孔時:鼓室形成術鼓膜再生療法


これは、病巣を取り除き伝音(外側)の再建し(鼓膜穿孔を閉鎖し、炎症を制御)、耳漏を止めて聴力改善をはかるもの。適応のためには、内耳機能(感音)が保たれていること


耳小骨障害時:鼓室形成術


乳突蜂巣の蓄膿時:乳突削開術など


中耳根治術

これは、炎症(耳漏)を止めることのみ目的であり、伝音系の再建はしない手術法である。

感音難聴が高度の慢性中耳炎で適応となる


(・アブミ骨手術

→基本的には行わないが、アブミ骨の固着がみられるようであれば行う術式)


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慢性化膿性中耳炎について


慢性化膿性中耳炎は、慢性炎症があり上気道炎などが加わることで穿孔部から耳漏を繰り返すのが特徴的である

これは、伝音難聴~混合性難聴であり、補聴器による効果が望める。

補聴器伝音難聴に有効とされる)


・長期の慢性炎症であり、乳突洞、乳突蜂巣の発育が悪くなり側頭骨の気胞化不良などをおこす。


・緊張部中央に穿孔あり


・耳漏は粘液性である


慢性化膿性中耳炎や滲出性中耳炎では、進行することで慢性穿孔性中耳炎に発展する。

(これは、鼓膜が穿孔した状態である。)


X線検査では、乳突蜂巣の発育抑制あり


・オージオグラムでは、気導-骨導閾値差(A-B gap)がみられる。

→これにより、鼓室形成術が適応となる


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滲出性中耳炎について


鼓膜穿孔は無し、中耳腔内に貯留液がみられる。痛みは伴わない。


・貯留液により、鼓膜での振動が遮られるため伝音難聴を伴う。


結核性中耳炎であれば耳漏が持続する。


慢性化膿性中耳炎と同様、進行すれば慢性穿孔性中耳炎となる。(鼓膜の穿孔した状態)


成人で、遷延する滲出性中耳炎では上咽頭癌の可能性もあるため注意が必要である。→上咽頭癌はこちらから確認


<アデノイド増殖症による滲出性中耳炎>


アデノイド増殖症では、耳管開口部閉塞や耳管機能の障害を起こして、滲出性中耳炎を合併することがある


<所見>


耳鏡検査


鼓膜全体の陥凹飴色(薄い黄色、琥珀色)の貯留液がみられる。可動性は不良である。


インピーダンスオージオメトリ:外耳道を専用プローブで遮蔽し、外耳道の圧を陽圧から陰圧に変えて鼓膜のインピーダンスを見る検査。

これはティンパノメトリアブミ骨筋反射検査の2つがある。


ティンパノグラムB型(またはC型)を呈する:ピークが無く平坦なグラフを描く

この他、癒着性中耳炎などでもみられる


・アデノイド増殖症では、上咽頭の軟部陰影(上咽頭のair spaceがほとんど見当たらない)


<治療>


・基本的には経過観察となる


3か月ほどを目途に治らないようであれば保存治療や手術療法となる


・保存治療:粘液溶解薬(カルボシステイン)内服耳管通気副鼻腔炎などの原疾患を治療


・手術療法:鼓膜換気チューブ留置術鼓膜切開術


アデノイド切除術(アデノイド増殖症によるもの)


耳管通気(これは、耳管狭窄でも行うもの)


その他近縁疾患について


乳突洞炎について


中耳腔の急性炎症が増悪・重症化することで乳突洞炎をきたすことがある。


<治療>


手術療法:乳突洞削開術


扁桃周囲炎


扁桃周囲にある舌咽神経から中耳にかけて放散痛を起こすことで、耳の痛みとなって現れることがある。


放散痛については耳鼻咽喉科編①を参照

こちらから


耳癤(じせつ)


耳癤(じせつ)とは、外耳道外側の軟骨部にある皮膚付属器の細菌感染による急性の限局性外耳道炎である




症状は、耳痛、耳介の牽引痛など


真珠腫性中耳炎について


真珠腫性中耳炎とは、外耳、中耳の真珠腫(角化上皮の層状堆積物)が中耳内で骨破壊性に増殖する疾患である。

真珠腫が腐敗することで膿性耳漏を生じる。

また、骨破壊により難聴、めまい、顔面神経麻痺を生じることがある。


・好発はアデノイド増殖症、慢性中耳炎の患者


・耳漏は膿性で悪臭を伴うことが多い


・典型例の内耳骨迷路の破壊によって内耳障害を生じ、感音難聴めまい、耳鳴を起こす(混合性難聴

→中耳炎のみであれば伝音難聴を示す


外側半規管に骨欠損(瘻孔)があることで、回転性めまいを生じることが多い。

→これは、外耳道の気圧変化で目眩感がおこる

この炎症が、内耳に波及すれば感覚上皮が破壊されて激しい持続性めまいを生じることもある


頭痛や耳介後部の腫脹(乳突蜂巣の進展からの乳様突起炎による)


・合併症として、蝸牛・前庭神経以外の神経障害が起こることがある


→これは、鼓室や乳様突起内顔面神経に圧迫や炎症波及により、顔面神経麻痺を生じることがある。


→他には味覚障害、頭蓋内炎症(髄膜炎、硬膜下腫瘍、脳膿瘍など)を起こすことがある。


このことから、治療は手術療法となる(鼓室形成術など)


<所見>


耳鏡検査


鼓膜弛緩部に痂皮形成(debris(デブリ、破片、残骸などの意)の貯留)

→鼓膜:上鼓室弛緩部あるいは辺縁性)に陥凹痂皮(かひ)※がみられる。鼓膜穿孔。


鼓膜緊張部は正常。


鼓膜弛緩部の陥凹肉芽っぽい薄い赤色の真珠腫塊あり


X線検査骨欠損がみられる(内耳骨迷路の破壊は典型例である)


※ 痂皮:いわゆるかさぶたの事をいう。

皮膚が損傷した時に、表面から血漿、炎症細胞、壊死塊などの血液成分が固まったものをいう。

以前は痂皮ができることで肌が修復する過程と考えられていたが

いまでは、痂皮を経過しなくても良いと考えられており、痂皮を形成しない湿潤療法というのが一般化している。


<治療>


基本的には手術療法:真珠腫摘出術 + 鼓室形成術(耳小骨連鎖再建)

→これにより、真珠腫の除去伝音系の再建を行う


(耳漏は血膿性であり、抗生剤や局所処置では抵抗性の事が多い。)


保存療法:局所清掃、消炎処置(対症療法)

→定期的に再発、進展がないか確認する必要あり


弛緩部型真珠腫性中耳炎について


<所見>


上鼓室が陥凹している


先天性中耳真珠腫について


・稀な疾患である


耳痛や耳漏がみられない。(このことから、急性中耳炎慢性化膿性中耳炎は除外できる)


・進行すると耳小骨伝音連鎖を破壊して伝音難聴をきたす


<所見>


中耳腔(後上象限から弛緩部、後下象限あたり)に白色腫瘤がみられる


鼓室は発赤はなく、貯留液も見当たらないはずである。
(ここが滲出性中耳炎との鑑別点(滲出性中耳炎は両側性の事が多い、という特徴もある))


その他


中耳悪性腫瘍


・外耳や中耳の悪性腫瘍例


<治療>


手術療法:側頭骨全摘出術



<参考文献>

メディックメディア Question Bank vol.5 耳鼻咽喉科

病気が見える Vol.13 耳鼻咽喉科

ビジュアルブック 耳鼻咽喉科疾患


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    • この記事を書いた人

    TK.Ph

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