登録販売者合格講義ノート

第9回 医薬品の基本について2(副作用、薬害)

第9回

今回は薬の副作用や薬害の歴史について見ていきたいと思います


薬は病気を治すためには必要なものですが、副作用とは切っても切り離せないものとなります


薬を適切に使用するためには、そのリスクをしっかり理解した上で服用をするべきです


適切に使用したとしても起きることがあるのが副作用ですので、もし見られた時に早期発見・早期対応できるようになることが重要となります


そのためには、販売する側はしっかり知識をつけて一人ひとりに合ったものを選択できるようになってほしいと思います


それでは、それぞれの副作用の初期症状についてみていきましょう


知っておきたい副作用症状について


ここでは、薬の成分に特徴的な副作用ではなくアレルギーなどによってみられる内容となります


そのため、ここでの副作用は全ての薬で起こる可能性がありますので、まずはここをしっかり把握しておきましょう


(頻度としてはかなり低いですが、症状が起こると危険なものです。この場合は緊急性があるため、医療機関の受診を勧奨すること(場合によっては救急対応))


副作用症状・特徴原因薬剤
ショック
(アナフィラキシー)


アレルギーの項目でも触れてあります
成分に対するアレルギー症状であり、Ⅰ型アレルギー(即時型)による過敏症状

症状の進行は非常に速く、チアノーゼ、呼吸困難を生じるため致命的となることがある
あらゆる医薬品で起こりうる

一度アレルギーを起こしたことがある薬では、2回目以降もアレルギー症状が見られるだけではなく、症状が強くなることがあるため投与は禁忌となる

この反応は薬だけではなく、食べ物や化学物質などのあらゆる成分で起こりえます
皮膚粘膜眼症候群
(ひふねんまくがんしょうこうぐん)
(SJS:スティーブンス・ジョンソン症候群)
全身の10%未満全身の皮膚や眼、口などの粘膜の発疹・発赤、火傷のような水疱、高熱などの症状がある

原因不明で発症する
あらゆる医薬品で起こりうる

服用後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってからも起こりうる

一度発症すると致命的であり、眼や呼吸器の障害が残ることがある
中毒性表皮壊死融解症
(ちゅうどくせいひょうひえししょう)
(TEN:ライエル症候群)
全身の10%以上全身の皮膚や眼、口などの粘膜の発疹・発赤、火傷のような水疱、高熱などの症状がある

SJSの進展型と言われているが、SJSと同様原因は不明で発症する
あらゆる医薬品で起こりうる

服用後2週間以内に発症することが多いが、1ヶ月以上経ってからも起こりうる

一度発症すると致命的であり、眼や呼吸器の障害が残ることがある
偽アルドステロン症低カリウム血症を伴う高血圧症であり、低カリウム血性ミオパチーによる四肢の脱力、血圧上昇、頭重感などが起きる

ホルモンのアルドステロンの作用に類似しており、体内のナトリウムと水分が貯留し、カリウムの排泄を促進している状態のため高血圧症やむくみを生じる

元々高血圧の方、心臓病、腎臓病の方、高齢者、むくみのある方、体格が小柄な方で生じやすい
甘草(カンゾウ)やその成分であるグリチルリチン類を含むものがアルドステロン様作用を示す
間質性肺炎肺の間質に炎症を生じた状態であり、細菌感染による肺炎とは異なるもの

症状は、息切れ、息苦しさ、空咳などで風邪や気管支炎特別することは困難である

医薬品服用から1、2週間ほどで発症することが多く、一過性の症状のこともあるが、悪化により肺線維症となることがある
主に風邪薬小柴胡湯(しょうさいことう)などの漢方薬
喘息原因薬物服用後1時間以内に鼻水・鼻づまりが起こり、咳や喘鳴、呼吸困難などを呈する

また、腹痛や下痢などの腹部症状を伴うこともある
解熱鎮痛剤全般
→機序についてはこちらを参照(第4回)
肝機能障害主に、医薬品の成分自体や代謝産物による肝毒性で起こる中毒性のものと、アレルギー性(遅延型過敏反応)のものがある

全身倦怠感や黄疸等みられるが、自覚症状に乏しい

黄疸:ビリルビン(黄色色素)が胆汁中に排泄されず、血液中に滞留することで皮膚や白目部分が黄染する
様々な医薬品
(これだからこうというものが決まってないことから、なかなか分類はできない)
無菌性髄膜炎発症は急性であり、首筋のつっぱりを伴う激しい頭痛、発熱、吐き気などを呈する

原因薬物を早期に中止することで予後は比較的良好となる

まれに重篤な中枢神経系の後遺症を残すことあり

自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病、関節リウマチ)のある方に生じやすい
イブプロフェン
イレウス様症状
(腸閉塞様症状)
腸内容物が通過するのを阻害された状態がイレウスである

症状は、激しい腹痛、ガス排出停止、著しい便秘など

小児や高齢者、便秘傾向の方で見られやすい
ロペラミド塩酸塩など
(これは下痢止め)
消化性潰瘍胃もたれ、食欲低下、胃痛、消化管出血に伴う便の黒色化(出血して便についた血が鉄分が酸化することで黒くなる)や貧血など解熱鎮痛剤を連用する、アルコールとの併用をするなど

第4回の解熱鎮痛剤でのアラキドン酸カスケードから説明可能である
接触性皮膚炎医薬品だけでなく、化学物質や金属などが皮膚に接触することで反応するもの

これは主に、アレルギー性のものと刺激性のものがある

症状は触れた箇所だけに生じるためわかりやすい

いわゆるかぶれである
外用剤
ケトプロフェンなど
(ブフェキサマク:これは販売中止となっている)
薬疹発赤や発疹症状を呈したもの

同じ薬であっても人によって生じる発疹型は様々である

繰り返し同じ成分を摂取すると、より重篤なアレルギー反応を生じることがあるため、一度症状を起こしたものは投与禁忌である
あらゆる医薬品
光線過敏症紫外線に曝露されることで反応をするもの

医薬品の接触部位だけでなく全身に症状を呈することもある
ケトプロフェン
フェルビナクなど
(ブフェキサマク:これは販売中止となっている)
医薬品全般的にある主な副作用について


その他:心疾患治療薬や高血圧治療薬などは血管を拡張させるため、急激な血圧低下によって頭痛やめまい、浮動感、不安定感などを生じることがある


薬害について


今までの医薬品の歴史の中で、適切な服用をしているにもかかわらず副作用や薬害が起こり、製薬会社や国に対して損害賠償訴訟を起こしたことがあります


過去のことを学びとし、今では臨床試験という厳しい医薬品の検査をしてから承認・販売へと至ります


同じことを繰り返さないためにも、医薬品に携わる方はここもしっかり理解した上で扱うようにしましょう


サリドマイド訴訟について


サリドマイド催眠鎮静薬であり胃腸薬にも配合されていたことがある医薬品である(かつて、一般用医薬品(OTC)でも販売されていたことがある)


サリドマイドが原因となり、妊娠中の投与で胎盤関門を通過して胎児に移行してしまうことで、服用した妊婦からの出生児に先天異常の四肢欠損、視聴覚障害、心肺機能異常が起こった事例である


<概要>


被告:国と製薬会社

1974年10月に和解成立となる

サリドマイドのS体※が血管新生を妨げる作用があり、催奇形性を起こす

西ドイツで警告が発せられていたが、日本での対応が遅れ販売中止や回収がなされず被害が拡大した

このことがきっかけで、「副作用情報収集体制整備」ができることとなった


エナンチオマーの関係性


※ S体やR体とは、有機化合物は自然の状態で鏡に写した関係の構造式を示すことがあるが、これは絶対に重なることができない構造となっている(非対称性)

SやRというのは、それぞれ国際ルールに則って決まるが、これがS体とR体を半分ずつ生成されてしまう

これはS体だけを取り除いて医薬品を作ったとしても、常に反応を起こしているためR体からS体が生成されてしまう


スモン訴訟について


スモンとは亜急性脊髄視神経症(SMON)のことで、整腸薬であるキノホルムが原因となり、腹部膨満間、腹痛を伴う下痢、下半身のしびれ、歩行困難、視覚障害、失明を呈する薬害である


キノホルムはOTCでも販売されていた


<概要>


被告:国と製薬会社

1979年9月に全面和解成立となる

神経症状があるため、アメリカではアメーバ赤痢に使用が限定されていた

スモン患者は公費負担制度があり、治療研究施設の整備や治療法の開発調査研究の推進、施術費、医療費の自己負担分がまかなわれる

これは、サリドマイド訴訟とともに「医薬品副作用被害救済制度」の創設のきっかけとなっている


HIV訴訟について


HIVが混入した原料血漿から製造された血液凝固因子製剤から投与を受けた血友病患者がHIVに感染した事例である


HIVの感染経路は血液などの体液感染である


<概要>


被告:国と製薬会社

1996年に和解成立となる

HIV感染者に対する恒久対策、感染症報告の義務づけがなされ、医薬品の緊急輸入制度の創設となる

血液製剤の安全対策などの確立(検査や献血時の問診充実など)


CJD訴訟について(クロイツフェルト・ヤコブ病)


CJDとは、ヒト乾燥硬膜のプリオンタンパク質を不活性化するための処理が不十分なことが原因で、クロイツフェルト・ヤコブ病という認知症類似の症状を呈する致死的重篤な神経難病である


<概要>


被告:国や輸入販売業者、製造業者

2002年に和解成立となる

生物由来製品による感染等被害救済制度」を創設するきっかけとなる


今回は過去の事例から、治療ではなく、副作用や薬害といったマイナス面を学ぶこととなりましたがいかがでしたでしょうか?


安全に薬を使うためには、こういったマイナス面をしっかり知り、理解をすることでより安全で適切な使用を促せると思いますので


今後は登録販売者の資格を取ってからでも薬の新しい情報については学んでいくことが大事です




    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

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