登録販売者合格講義ノート

第5回 人体の構造と働きについて(消化器系)

第5回

今回は薬というよりは人体についてしっかり学んでいきましょう


病態の前に、薬の前にまずは人体を学ぶことは医療においては基礎となりますので、しっかりここも一つずつ理解をしていきましょう


細胞から器官まで


身体の一番小さな単位となっているのが細胞です、それらが集まることで器官になりますが、器官どうしの連動する機能を器官系といいます


最小単位の細胞
   ↓
細胞の集まりの組織
   ↓
組織の集まりで特定の働きがある器官
   ↓
器官どうし互いに連動して同一の機能を持ったものが器官系


消化器系


まずは消化器系を見ていきますが、その前に


薬を飲んでから吸収されて体の循環血液中に入り生体内に分布します、これには消化器系が関わりますが


薬などは、さらに肝臓などで代謝されて、腎臓で排泄されて生体内から消失します


この一連の流れをADME(アドメ)といいます

<ADMEとは>


吸収(Absorption)

分布(Distribution)

代謝(Metabolism)

排泄(Excretion)


の4つをいいます


この流れに沿って薬の生体内での動態を考える必要があります、これには薬物動態学という学問がありますが


これは、より専門的なことになりますので一先ずはここまでが把握して欲しい部分となります


そして、消化器系に戻りますが

消化器系とは、食べ物を消化して生体を維持するため栄養分を吸収し、残りは体外に排泄するという働きがあります



この過程には、消化というものがありますが


消化腺から分泌される消化液で消化される、化学的消化


消化管等の運動による機械的消化の2つがあります


この消化器系における消化管というのは、実は口から肛門側まで連続した臓器となっています


長さにして9mほど(成人の場合)になるとも言われています


その部位ごとにpHは異なり、消化や栄養の吸収の役割が分担されています


その一連の消化管について表で見てみましょう


消化管について



消化管の部位名機能・特徴
口腔唾液腺から唾液を分泌する
プチアリン(唾液アミラーゼはデンプンの分解をする)やリゾチーム(殺菌作用)などを含んでおり、口腔内は中性に保っている

歯は歯肉、歯根、歯冠で成り、舌は味蕾(みらい)で味を感じる機能がある

歯冠の表面はエナメル質(人体で最も硬い部位)で覆われており、その下は象牙質で歯髄を取り囲んでいる
咽頭食物路と気道が交わる部位である

飲食物が喉頭や気管に誤嚥(ごえん)せずに食道に送れるのは、喉頭の入り口にある弁(喉頭蓋:こうとうがい)が反射的に閉じるため

咽頭と喉頭は違うことに注意すること※1
食道上端と下端には括約筋があり、胃の内容物の逆流を防いでいる
(LES:下部食道括約筋)
胃酸やペプシノーゲン、胃粘液を分泌する

胃酸で胃内を強酸性(pH=1)に保つことで、内容物の腐敗や発酵を防いでいる

ペプシノーゲン※2は胃酸でペプシンとなり、タンパク質を分解し、ペプトンというタンパク質が半消化された状態となる

胃粘液は胃酸から胃壁を保護する防御因子である
→ここに含まれる成分にはビタミンB12を吸収する因子がある(内因子、別名、キャッスル因子がある)

(痛み止めなどの薬によって)胃粘液の減少が起こると消化性潰瘍となりやすい

・胃の内容物(食事した物)の滞留時間脂質が多ければ長くなり、炭水化物などであれば短くなる
小腸小腸は十二指腸、空腸(上の4割)、回腸(下の6割)からなっており、全長6,7mにも及ぶ

十二指腸は、膵臓からの膵管と、胆嚢からの胆管の開口部がある(十二指腸乳頭(ファーター乳頭)、その周りにオッディ括約筋があり分泌に関わる)

粘膜表面は絨毛で覆われており、栄養の消化・吸収が行われている(ただし、十二指腸上部は除く)
→この絨毛は表面積が大きい構造となっており、栄養の吸収がされやすいようになっている(※3 写真参照)
大腸大腸の長さはおよそ1.5mほど

大腸は盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸から構成されます

ここには絨毛はなく、糞便※4の形成に関わります

腸内細菌が多数あり、善玉菌:悪玉菌:日和見菌が2:1:7の割合で存在しています。これを腸内フローラ(腸内細菌叢:ちょうないさいきんそう)といいます
(腸内細菌が品種ごとに並んで咲くお花畑のようだ、ということから命名)

→このバランスが崩れると腸や体の不調が起こったりします

・食物繊維の発酵分解、血液凝固や骨形成(骨にカルシウムを沈着させる)に必要なビタミンKを産生する

S状結腸から直腸に便が送られると便意を催す
肛門
消化管について


咽頭と喉頭の位置について


※2 ペプシノーゲン:〜〜ノーゲンというのは、前駆体という意味合いがあって付けられており、ペプシノーゲンはペプシンの前駆体ということであり

ペプシノーゲンが代謝されることでペプシンとなることは名前からも知ることができる

(他にはプラスミノーゲンでは代謝でプラスミンとなる、など)


※3 絨毛と微絨毛の構造について(青色部分)


黒い線でかいた部分だけでは表面積が小さいですが、青色部分の絨毛部分の構造が加わることで表面積が広くなります


また、赤線で書いた部分のさらに細かくなった微絨毛(びじゅうもう)というのが絨毛の表面を覆っており、更に表面積は大きくなります


これは、小腸の突起を平らにならすことで200平米(m2)を超えるといわれ、これはバレーコート以上の広さにもなるといわれてます


※4 糞便:大半が水分や腸壁の残骸15〜20%、腸内細菌の死骸10〜15%、食物のカスが5%となっている


消化腺について


次は消化腺についてみていきます


消化腺部位機能・特徴
膵臓炭水化物、タンパク質、脂質を消化する酵素を分泌する
弱アルカリ性の膵液を十二指腸に分泌(ファーター乳頭から出る)
→これは、胃で酸性になった内容物が十二指腸に流れ、ここで交わることで中和される

また、血糖値を調節するホルモンを分泌する
インスリンは血糖値を下げるホルモン
グルカゴンは血糖値を上げるホルモン
胆嚢胆汁を濃縮して蓄える場所(胆汁自体は肝臓から作られる)

胆汁脂質の消化、脂溶性ビタミンの吸収に関わる

古くなった赤血球や過剰なコレステロールを排出する働きもある
ビリルビン:胆汁色素 を含む →これは便に色をつける(黄褐色)

→肝障害や胆道閉塞によってビリルビンが排出されなくなるため、全身を巡って肌や目などが黄色く染まってしまいます(黄染)
→これを黄疸(おうだん)といいます
脾臓胃の後ろの左上腹部あたりにある臓器で、脾臓内を流れる血液から古くなった赤血球を濾(こ)し取り処理する部位である(赤血球の寿命:およそ120日)
肝臓横隔膜直下にある臓器

胆汁産生をする
非必須アミノ酸の生合成に関わる
→アミノ酸については第3回を参照

グリコーゲンの貯蔵をし、血糖値が下がった時にブドウ糖に分解されて栄養源として使う

脂溶性ビタミンや水溶性ビタミン(ビタミンB6やB12など)を貯蔵する

医薬品やアルコールなどは代謝をして無毒化し、排泄されやすい形に代謝する(グルクロン酸縫合など)※
消化腺について


※ 肝臓の代謝:アミノ酸は窒素(N)を含んでおり、分解されることでアンモニアNH3)を生じる

このアンモニアは有毒であり、肝臓で代謝されて尿素に代謝され、腎排泄する


アルコールの代謝は肝臓でアセトアルデヒドとなり、最終代謝産物は酢酸まで分解されて無毒化されて排泄される


アルコールの代謝について


<アルコールの代謝について>


アルコール(エタノール)は、アルコール脱水素酵素(ADH)によって酸化されて、Hが抜けることでアセトアルデヒドとなります(構造式のCHOがアルデヒド類といいます)

このアセトアルデヒドがお酒を飲んだ時に具合が悪くなる原因物質です(吐き気などを催します)

アセトアルデヒドがアルデヒド脱水素酵素(ALDH)で代謝されることで酢酸になり、ようやく解毒されます

ここの代謝がスムーズで行かない人は、アセトアルデヒドが溜まっていきすぐに具合が悪くなります

このタイプがいわゆるお酒に弱い人ということになります

この代謝が進むことで、最終的にはエネルギー代謝(クエン酸回路)に関わり、水と二酸化炭素とATP(エネルギー)に変えられます


各栄養素の代謝について


主に重要な代謝といえば、糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質三大栄養素ですね


他にもビタミン類がありますが、ここでは三大栄養素についてみていきます


この代謝があるからこそ食べ物を分解して栄養に変え、生きていくことができるのです


それぞれの代謝は独立しているのでは無く、代謝マップという大きな人体の代謝全体をまとめた地図みたいなものがあります


ここでは一部でしかありませんが、それぞれが相互に補完しあってますので、いずれかの栄養素が不足すれば別の代謝を促して補うという仕組みとなっています


まずは基本の3つからということですので、まずはここをしっかり覚えましょう(余裕がありましたら登録販売者試験以上の知識も今後は調べてみてもいいかもしれませんね)


糖質(デンプン)の代謝


炭水化物の代謝について


ここでは代謝は写真を参照していただくことになるのですが、記載ないことも補足で書いていこうと思います


糖質は過剰の摂取によって、余った分は基本的な代謝だけでなく、脂質に変換される経路を辿ってしまいます


そのため、ご飯などの炭水化物を一度に摂りすぎてしまうとブドウ糖が増えすぎて、余ったブドウ糖は脂質となり、それが内臓脂肪の蓄積につながってしまいます


このことから、脂質をとっていないにも関わらず太ってしまうのはこのためです


これは糖質に限ったことではないため、食べ物はバランスよく摂りましょうというのはこういうことからもきていると言えますね


タンパク質の代謝


タンパク質の代謝について


タンパク質からはアミノ酸に分解されて、筋肉などの栄養源となります


アミノ酸については第3回で詳しく触れていますので、そちらでも是非確認をしてみてください


脂質の代謝


脂質の代謝について


脂質の代謝の最後にキロミクロンとなっていますがこれは、分子量の大きさでいろいろな分子ができあがります


試験範囲外とは思いますが、より理解を深めるためにも余裕がありましたら参考にしてみてください


これはいわゆる悪玉コレステロールや善玉コレステロールといったLDLやHDLを形成しています


血液中の脂質(中性脂肪、リン脂質、コレステロール)というのは、水に溶けないため、アポタンパクと複合体を作り、水に馴染みやすいリポタンパク質という粒子で存在しているが、これは比重(分子の密度、重さ)で分類されている


リンク先

リポタンパク質の種類内容
キロミクロン
(カイロミクロン)
食餌由来の脂質(主にトリグリセリド)を組織へ輸送する
中間密度リポタンパク
(IDL)
超低比重リポタンパク
(VLDL)
VLDLは主にTG(トリグリセリド)を含み、肝臓で合成されるもの

VLDLを担体として、TGを末梢組織に郵送する
低比重リポタンパク
LDL
主にコレステロール(Cho)を含む

肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に輸送し、細胞内に蓄積する

→そのため、血液中のコレステロール値は上昇することで、動脈硬化などの原因となる

→そのため、悪玉コレステロールとも言われる
高比重リポタンパク
HDL
主にコレステロールとリン脂質を含んでいる

末梢組織のChoを肝臓に輸送し、血管壁への沈着を防止してくれる

→そのため、善玉コレステロールとも言われる
リポタンパク質の種類について


低HDL血症では虚血性心疾患のリスクあり

また、高コレステロール血症(脂質異常症)は動脈硬化を促進し、虚血性心疾患の発症と深く関係している



後半は深く踏み込んだ内容となりましたが、いかがでしたでしょうか?


より深く本質を学びたいという方のためにも試験以上の内容も盛り込むようにしています


より理解が進めば、覚えることも丸暗記よりは理解しやすくなりますので、時間をかけて少しずつ学んでみましょう


それでは、今回はここまでとなります


次回は、人体構造の呼吸器系、循環器系についてみていこうと思います



    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

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