登録販売者合格講義ノート

第10回 医薬品の基本について3(定義、副作用、相互作用)

第10回

今回は、医薬品について法的なものの視点で見ていこうと思います


どの業種、仕事であっても法律からは逃れることはできません


こと医薬品販売においても例外ではなく、法的なことに規制されており、そのルールに則って仕入れから販売、必要な情報提供などが決められております


試験的なことを言えば、この分野は、覚えてしまえばすぐに点数に繋がりやすいため覚えてしまうのが得策でしょう


尚、法律名は「品・医療器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する」、略して薬機法(やっきほう)と言われております
(一昔前は「薬事法」と言われてました)


この詳しい内容は、薬機法の時に詳しく学んでいきますので、今回は大まかな内容を見ていきます


医薬品について


ここでは法文のまま用いることがありますので、時には原文を確認するのも良いかもしれません


<医薬品とは>


1)疾病の診断・治療・予防に使用するもの

2)身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とするもの


・医薬品とは、生命関連製品:医薬品医療機器等法の医薬品の定義のこと


・人体にとって異物であり、作用は複雑で多岐にわたる

→全てが解明されているわけではないため、有益な作用(薬効)だけでなく、好ましくない作用(副作用)が出ることもある

だからこそ、科学的根拠の基づいた(エビデンスのある:EBM)適切な理解・判断により適正に使用することが必要である

そのためには、販売者は必要な情報を適切に伝えることが不可欠である


・前提として、一般用医薬品(OTC)は、一般生活者が自ら選択して使用をするものとなっている

このため、専門家による適切な情報提供や相談の対応が不可欠であり、専門家はそれに対応するため新しい情報の収集・把握に努める必要がある

OTCは市販後にも有効性や安全性が見直される仕組みがあり(市販後調査など)、その結果を踏まえて添付文書や製品表示、リスク区分などが見直される


・医薬品は、人の生命・健康に密接に関連しているため、高い水準での均一な品質保証がされてなければいけない

このため、異物等の混入や変質等があってはならない

これは、健康被害発生の可能性の有無に関わらず起こってはいけないこと


・人体に直接使用しない医薬品(殺虫剤など)であっても人の健康に影響を起こすことがあるため、曝露をして健康被害を被ることを避けるように指導することが必要である


検査薬では、検査結果を正しく判断・解釈ができないと適切な医療機関の受診に繋がらないため、こちらもしっかりと説明することが必要である



医薬品の品質保証体制について


医薬品は販売に至るまでには様々な検査、試験を合格することが必要です


これにより、医薬品の品質を保証することができます


その具体的な基準について確認していきましょう


GLPについて


GLP(Good Laboratory Practice)とは、医薬品の安全性に関する非臨床試験の基準のこと


これに準拠して


・薬効-薬理試験

・一般薬理作用試験


などが行われる


また、医薬品毒性試験法ガイドラインに則って


・単回投与毒性試験

・反復投与毒性試験

・局所刺激性試験

・皮膚感作性試験

・皮膚光感作性試験


などを厳格に行う

これは、動物を用いて効果や安全性を確認する(これを非臨床という)


GCPについて


GCP(Good Clinical Practice)とは、臨床試験の実施基準である


これは、ヒトを対象とした臨床試験における効果や安全性の評価基準であり、これに準拠した手順で安全な治療量を設定することを目的とした治験である


GPSPについて


GPSP(Good Post-marketing Study Practiceとは、製造販売後の調査及び試験の実施基準のこと


医薬品は市販後であっても、製造販売後調査や使用成績調査等が行われている


GVPについて


GVP(Good Vigilance Practice)とは、製造販売後安全管理基準のこと


医薬品は市販後でも適正使用情報の収集・検討や市販後調査等が行われている


副作用について


以下、WHO(世界保健機関)の定義より


副作用とは、疾病の予防、診断、治療のため、または身体の機能を正常化するために、人に通常用いられる量で発現する有害かつ意図しない反応


となっています


・副作用には、主に薬理作用※によるものアレルギー(過敏反応)によるものがある


・期待される有益な反応(主作用)以外で、好ましくないものをいう(有害事象


アレルギーはあらゆる物質で起こり得るため、薬理作用とは無関係である

→これは、食べ物のアレルギーと同じで添加物であっても起こり得る(青色○号、カゼイン、亜硫酸塩など)

→体質的・遺伝的要因のことがあり、体調によっても症状を呈しやすいことがある


このため、アレルギー歴の聴取をする必要があります(一度アレルギーを起こした方へ、同じ成分の薬物投与は禁忌です)


※ 薬理作用:薬物が生体の整理機能に影響を与える作用のこと


・副作用は初期段階で認識し、適切に処置と対応をすることで重篤化を避けることが必要である


・OTCで副作用の兆候が見られた際、直ちに使用を中止し、医師または薬剤師に相談するよう促す必要がある

→医療用医薬品は疾病の治療が優先されることがあるため(リスクアンドベネフィットの考えより)副作用症状がみられていても医師の判断から中止はせずに継続服用をしていくということがある


不適正な使用による副作用について


適切に服用をしても副作用症状は生じることがあるが、当然、不適正な使用ではより副作用が起こる可能性は高まると考えられます


そのため、販売する側としてはそういったリスクについても把握しておくことが大事です

<不適切な使用とは>


(1)購入者(服用者)の誤解や認識不足によるもの


これは、症状が改善されていないが医薬品の使用を続けてしまう場合や、成人用の薬用量を自己判断により減らして子供に服用させることや、用法用量を超えた服用をすること、お酒と一緒に服用するなどが挙げられます


(2)本来の目的以外の意図で使用することによるもの


用量を意図的に超えて服用したり、医薬品とお酒を一緒に摂取することなどがあります

→これを防ぐためには、大量購入者や頻回購入者に対しては慎重に対応する必要があります

→必要があれば、事情を尋ね、販売の差し控えということも必要となります


Q)医薬品と飲酒はなぜ良くないのか?


A)多くの要因がありますが、一つは飲酒によって中枢へ作用するお薬の影響が強く出てしまうことがあります。これによって副作用が強くなってしまう可能性があります

→OTC医薬品であっても、習慣性や依存性のある成分を含んでいることがあります。これらの成分は特に中枢への作用で副作用が強く出やすくなっており、長期にわたって不利益を被ることとなりますので、避けるようにする必要があります

その他、肝臓の代謝機能が高まり、通常よりも代謝が進むという問題もあります

→このため、医薬品の作用を失い、十分な効果が得られなくなったり、代謝によって効果を示すものではより強い作用がでて副作用の原因となります(アセトアミノフェンの例


医薬品の相互作用について


医薬品の相互作用とは、医薬品同士の飲み合わせ医薬品と食品サプリメントなどの同時摂取の際に医薬品の作用が増強または減弱してしまうことをいいます


薬の作用が増強するということは、副作用が起こりやすくなるということです

また、薬の作用が減弱するということは、十分な効果が得られなくなってしまうということになります


相互作用には、吸収・代謝・分布・排泄の過程で起こるもの薬理作用のある部位で起こるものがあります


一般用医薬品(OTC)には幅広く利かせるための商品が多く(総合感冒薬では、くしゃみ、鼻水、発熱など多くの効き目がある)、一つの商品で多くの医薬品の成分が含まれていたりします

そのため、市販薬を2つ飲んでしまうと成分の重複(似た薬効どうしの服用も含む)が起こりやすいため、自己判断による併用は勧められません


更に、医療用医薬品では別の疾患で飲んでいる薬であっても薬の代謝酵素を邪魔するもの(阻害)や逆に代謝を助けてしまうもの(代謝酵素の誘導など)が多くあります

この場合は、併用が注意する程度のものもあれば、絶対に服用してはいけない飲み合わせ禁忌事項)というものがありますので、医療用医薬品を服用されている方は基本的には医療用医薬品を服用することを優先した上で、一緒に服用しても問題のない市販薬の選定や販売の可否について判断する必要があります

ここで、医療用に関する不明点は、やはり医師又は薬剤師へ繋げることが良いでしょう


<医薬品と同じ成分の食品に注意>


脂溶性ビタミン(A、D、E、Kなど)、セイヨウオトギリソウ(SJW:セントジョーンズワート)などのハーブ(サプリメントにもあり)、カフェインなど


医薬品のリスク評価について


医薬品の効果・リスクは薬物曝露時間×曝露量で算出されます


これには「用量-反応関係」があります


リスク評価のため定義されたものがあります


以下の表は、投与量が少ないものから多いもので表記されています


項目内容
無作用量投与量が少なく、効果が現れない量
最小有効量効果が現れる最小の量
治療量治療に用いられる量
治療量上限治療に用いられる上限の量
中毒量投与量が多くなりすぎて、効果よりも毒性が強く出る量
最小致死量死に至る最小の量
致死量多くの人が死亡する量

LD50半分の人または動物が死亡する量は50%致死量(LD50で表される

このLD50は動物実験にて調べ、薬物の毒性の指標として用いられる
投与量ごとの反応について


今回はここまでになります






    • この記事を書いた人

    Nitroso.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました ・趣味はジム通い、ドライブ、ドラム、プログラミングなど様々あります

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