登録販売者合格講義ノート

第11回 医薬品の基本4(OTCの定義、年齢区分ごとの特徴)

第11回

今回は具体的な医薬品を学ぶ前に、一般用医薬品の基本から、それぞれの年齢区分ごとの特徴についてみていきましょう


一般用医薬品とは


一般用医薬品の販売にあたっては薬機法で様々な規定が設けられています


まずは、販売のために必要な設備基準などを簡潔に確認してみましょう


高温、多湿、直射日光の当たるところ等は避けること
清潔性が保たれる環境となるよう留意すること
(変質したものは販売不可)
使用期限から十分に余裕を持って販売すること
(時間の経過による変化は避けられない)
使用期限は、未開封状態で品質が保持される期限である
(開封後は期日までの品質が保証されない場合がある)
リスク別に陳列すること
(要指導医薬品、第1類、第2類、第3類など)
一般用医薬品の保管・陳列上の注意点


次に、一般用医薬品とはどういうものかを確認してみましょう


<一般用医薬品とは>


医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているもの(要指導医薬品を除く)


一般用医薬品はOTC(Over The Counter)と呼ばれることから、通常の医療用医薬品は消費者の手に届かない場所(カウンターの奥、つまり調剤室など)に置かれますが、OTCではカウンターの外側に置かれた医薬品となります

つまり、消費者の手の届くところに置かれた医薬品となりますので、作用としては医療用よりは弱い作用(つまり、副作用が比較的出にくい)のものが多く、自分の判断で医薬品を選択購入することができるものとなっています

これには、医療機関を受診する患者は主に命に関わるような重大な疾患を持つ方が受診するものであって、通常の風邪や腹痛などは自己の判断である程度治療してもらうという考えがあります

これはセルフメディケーションといい、WHOの定義では以下の通りとなっています


<セルフメディケーションとは>


自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当すること


これは一般の生活者が対象となっており、購入においては薬剤師・登録販売者が正確に情報提供を行なって、このセルフメディケーションを支援していく必要があります

ここで、販売側としてしっかり知っておきたいことは


情報提供はするが、必ず医薬品を販売しなければならないというわけではなく、症状や状況に合わせて医療機関への受診を勧めたり(受診勧奨)医薬品の使用をせずに対処してもらう場合もあります


この的確な判断ができるようになるためにも、これからしっかり学んでいきましょう


一般用医薬品の役割について


一般用医薬品(OTC)の役割は、先ほどのセルフメディケーションのためということになりますが、具体的には以下の項目となっています


軽度な疾病に伴う症状の改善
生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防
生活の質(QOL:Quality Of Life)の改善・向上
健康状態の自己検査
健康の維持・増進
その他保健衛生
一般用医薬遺品の役割について


一般用医薬品販売にあたって確認しておきたいこと


一般用医薬品は作用が比較的弱いものが多いとはいえ、健康被害を被る可能性があるのが医薬品です

そのため、販売者としてはこの部分をしっかり理解した上で販売可能かどうかの判断をしていくことが必要となります

基本的事項は多いですが、慣れてくれば最低限のポイントを押さえて購入者から聴取できるようになりますので、まずは省略せず基本をしっかりマスターしていきましょう


聴き取りたいポイントは


購入者の動機・ニーズについて(何のために買うのか)


その医薬品を使用するのは本人か?その家族か?


その医薬品を使用するのは小児または高齢者、妊婦か?


他に飲んでいる薬はないか?(医療機関からもらっているかどうか)


アレルギー歴や副作用歴はないか?(これから使用する医薬品にその成分または類似の成分が含まれていないか?)


飲み合わせに問題がないか?(薬物相互作用、食品、サプリメントとの影響について)


その医薬品をすぐ飲む必要があるのか?その症状はいつからみられているのか?原因などについて


これらをしっかり確認した上で、医薬品の添付文書(説明書)の内容と照らし合わせて問題がないことを判断して販売できることが最終的な目標となります


ただし、医療用医薬品との兼ね合いについては自分1人で判断することが困難な場合は、無理に自己判断せずに薬剤師への相談や病院・薬局へ橋渡しできるようになることも必要なスキルです


プラセボ効果について


医薬品に限ったものではないですが


患者側の思い込み(信用)の感情、暗示効果、条件付けによる生体反応、楽観的な期待、時間経過による自然発生的な変化などによって予想以上の効果を得られることがあります

これをプラセボ効果(プラシーボ)と良い、逆に不信感などから副作用が強くなってしまうようなマイナス面の思い込みによる症状発現、増強をノセボ効果(ノシーボ)といいます


<プラセボ効果とは>


結果的または偶発的に薬理作用によらない作用を生じることで、偽薬効果ともいう


このようなことは割とみられることですが、効果は不確実といえます

そのため、プラセボ効果を目的に医薬品を使用するべきではありません


年齢区分について


医薬品の添付文書(説明書)に書かれてあるような年齢区分の名称にはそれぞれ以下の年齢で区切られています


<年齢区分について>


乳児:1歳未満

幼児:7歳未満

小児:15歳未満

高齢者:65歳以上


それでは、次は服用する年齢区分、状況ごとの体質などから考えてどのように判断していけば良いかみていきましょう


小児の特徴について


小児では、大人と比較して身体の大きさや成長度合いが異なり医薬品の吸収率や代謝の違いなどがあります(薬の効き目が異なってくる)


例えば、小児においては、身体の大きさに比べて腸が長いことから医薬品の吸収率は相対的に高いとされています


また、血液脳関門(B.B.B.)が未発達であり、吸収された医薬品は脳内へ移行しやすい特徴があります


つまり、中枢神経系に作用する医薬品の副作用(抗ヒスタミン薬による眠気など)が出やすくなります


この他、肝臓や腎臓の機能が未発達なことから、医薬品の代謝と排泄に関わる部分が時間がかかり、医薬品の作用や副作用が増強されやすいといえます


そのため、小児の中でも年齢ごとに応じた用法用量が定められているものがありますので、しっかり添付文書(薬の説明書)を読んで把握しておくことが大事です


乳児においては、基本的には医療機関を受診することとなっています
(OTCでの対処は最小限とする)


高齢者の特徴について


高齢者では、肝臓や腎臓などの生理機能が低下しており、医薬品の代謝や排泄に時間がかかります


そのため、若年時と比べて作用や副作用が増強されるという特徴があります


この生理機能の低下は個人差が大きく、一概に年齢だけで判断することは困難ですが、一定の基準を持って考えていく必要があります


→体力の違い、生理機能の違い、飲み込む力の違い(薬の副作用である口渇から、誤嚥するおそれあり)があります


また、基礎疾患を持っていることも多く複数の医療機関を受診していることもあり、基礎疾患との兼ね合い服用している医療用医薬品との相互作用についても考えていく必要があります


このような特徴から、小児とはまた違った観点で気をつける必要があるということがわかりますね


次に、妊婦の方で気をつけたいことも見ていきましょう


妊婦の特徴について


妊婦では、ホルモンバランスが通常時とは異なっており、身体の変調や不調を起こしやすいとされています


そして、血液脳関門(B.B.B.)とは別に母体と胎児を繋いで栄養を送っている胎盤※がありますが

ここの血液-胎盤関門というものを通り、胎児に対してどの程度医薬品の影響を受けるのかが不明なことが多く、基本的には医薬品の服用については添付文書より、『妊婦の使用について「相談すること」』と記載されているものがほとんどです


次に、妊婦の特徴には免疫力の低下が挙げられます


そのため、風邪などにかかりやすくインフルエンザにかかることで重篤化しやすい特徴があります


※ 胎盤:胎児の血液と母体の血液が混じらないようになっていて、栄養分を送ることができる仕組みとなっている


妊娠から出産に至り、授乳する時期に入りますが、この授乳にあたっても医薬品を服用することに注意が必要なことがありますので、次で確認していきましょう


授乳婦の特徴について


授乳婦であっても医薬品の服用が注意が必要になります


それは、授乳婦が医薬品を服用した際、医薬品の一部が乳汁中に移行して、母乳を介して乳児がその医薬品の成分を摂取してしまうリスクがあるからです


そのため、乳汁中への移行の程度がどのくらいなのか、乳児が摂取した場合はどのようなことが起こりうるのかについて把握しておくことが必要です


具体的な注意するべき成分、起こりうる事象については次の項目で確認していきましょう


小児・高齢者・妊婦・授乳婦の注意が必要な医薬品について


それぞれの区分ごとに注意が必要な成分と起こりうる内容について確認してきましょう


年齢制限成分内容
3歳未満は服用しないことヒマシ油類強い瀉下作用あり(下剤)
6歳未満は服用しないことアミノ安息香酸エチルメトヘモグロビン血症※1を起こすことがある
15歳未満は服用しないことアスピリン
サザピリン
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
サリチル酸ナトリウム
ライ症候群※2を起こすリスク
プロメタジン含有成分呼吸抑制のおそれ(致命的)
睡眠改善薬
(OTCではジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とするもの)
神経過敏、興奮等のおそれあり
小児の不眠は医療機関の受診を優先
オキセサゼイン
イブプロフェン
ロペラミド塩酸塩
OTCでは小児用はない
乳幼児・小児で特に注意が必要な成分について


リンク先

※1 メトヘモグロビン血症:赤血球中のヘモグロビンの一部がメトヘモグロビンとなり、赤血球の酸素運搬能力が低下し、貧血症状を呈する疾患


※2ライ症候群:エテンザミド、サリチルアミドインフルエンザや水痘(ウイルス)に罹っている又はその疑いのある15歳未満の乳幼児・小児への使用は避けることとなっている(服用前に要相談)


注意事項成分内容
妊婦又は妊娠していると思われる人は服用しないことヒマシ油類早産・流産のおそれ
睡眠改善薬
(OTCではジフェンヒドラミン塩酸塩を主薬とするもの)
妊婦に伴う不眠に対しては適応外となる
エチニルエストラジオール
エストラジオール
胎児に先天異常のおそれあり
オキセサゼイン
(局所麻酔薬)
安全性の確立なし
出産予定日12週以内の妊婦は服用しないこと
(妊娠後期)
アスピリン
イブプロフェン
妊娠期間の延長や胎児の動脈管の収縮、早期閉鎖、子宮収縮抑制、分娩時の出血増加のおそれあり
相談すること解熱鎮痛剤成分を含む風邪薬、解熱鎮痛薬妊娠末期のラットでは、胎児に弱い動脈管収縮が見られた報告がある
催奇形成リスクのおそれがある成分を含んでいることあり
ブロモバレリル尿素を含む医薬品胎児障害のおそれあり
コデインリン酸塩
ジヒドロコデインリン酸塩
胎児に移行することが判明している
瀉下薬
浣腸
早産・流産のおそれあり
妊娠3ヶ月以内の人、妊娠していると思われる人は相談することビタミンA含有医薬品妊娠3ヶ月前から妊娠3ヶ月までに継続して大量(1万国際単位(IU)以上)摂取した婦人から生まれた子に、先天異常の増加が見られたとの報告あり
妊婦で特に注意が必要な成分について


次は授乳婦で注意が必要な成分についてですが

次の表では、添付文書上で『授乳中の人は本罪を服用しないか、服用する場合は授乳を避けること』となっています


成分内容
ジフェンヒドラミンを含む内服薬、点鼻薬、坐薬、注入軟膏乳児に昏睡を起こすおそれあり
コデインリン酸塩水和物
ジヒドロコデインリン酸塩を含むかぜ薬、鎮咳去痰剤
体内でモルヒネに代謝されて効果を示すもの(構造式を似せて作っている)であり、乳児にモルヒネ中毒症状が見られた報告がある
ロートエキスを含む内服薬、坐薬、注入軟膏乳児に頻脈が見られることがある
また、母乳が出にくくなるといった報告あり
センナ、センノシド、ダイオウ、カサントラノールを含む内服薬、ヒマシ油乳児の下痢が見られることがある
授乳婦で特に注意が必要な成分について1


もう一つ、『授乳中の人は服用前に医師・薬剤師・登録販売者に相談(乳汁中に移行する可能性がある)』として注意が必要な成分は次のものがあります


メチルエフェドリン塩酸塩
メチルエフェドリンサッカリン塩
プソイドエフェドリン塩酸塩
トリプロリジン塩酸塩
ペントキシベリンクエン酸塩
アスピリン
アスピリンアルミニウム
カフェイン
(1回分量中100mg以上を含有する場合)
メチルオクタトロピン臭化物
メチキセン塩酸塩
ジサイクロミン塩酸塩
ロペラミド塩酸塩
エチニルエストラジオール
エストラジオール
授乳婦で特に注意が必要な成分について2


今回はここまでとなります


次回から薬の成分についてより詳しく見ていきます


お疲れ様でした



    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

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