小児科編

小児科疾患編⑤ 小児の消化管疾患について

小児科

今回からは各論に入ります


小児科における臓器ごとの疾患について見ていきますが、まずは消化管からまとめていきます



注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


便秘症について


ここでは通常の便秘症についてみていく


正常な発育で、便秘症がおこると、特に新生児では生理的黄疸がみられる

一般に血中ビリルビン値は1.2mg/dL以上を高ビリルビン血症とするが、新生児ではほとんどがこれを超えている

そのため、出生直後からの正常な生理的特徴については把握しておくことが必要である

→詳しくは小児科疾患編①になります


母乳栄養児では、生後1ヵ月児の黄疸の原因として母乳性黄疸が考えられる

これは、生後2~3ヵ月頃まで続くことがある

もし便の色が黄色ではなく白色や灰白色を呈していれば胆道閉鎖症などの疾患が考えられる


・乳児期の排便回数は1日に数回から3日に1回程度と、個人差がある


→それ以上の日数では便秘症と考えられ、綿棒で肛門を刺激して排便を促すという方法がある


便秘症にはRome Ⅳ分類(ローマ)での判断方法がある


これは、4歳以下の乳幼児の便秘の定義となっている(2016年)


<Rome Ⅳ分類>


以下のうち、少なくとも2項目が1ヵ月以上存在する


・1週間に2回以下の排便

・過度の大便貯留

・疼痛を伴う、もしくは硬便排泄の既往

・大口径の大便排泄の既往

・直腸内の巨大便塊の存在


排泄訓練を受けた幼児については、以下の追加項目を使用することも可能


・排泄訓練を終了した後も少なくとも週に1回は便失禁の既往あり

・トイレを詰まらせるかもしれないほどの巨大な大便排泄の既往


急性腹症の可能性で受診するも


全身状態が良好で、嘔吐、発熱はなく、腸雑音なし、腹部圧痛や反跳痛もなしであれば、緊急である可能性は低く、一過性の便秘症と考えられる


→鑑別検査の前に、まずは浣腸の処置が良いと考えられる


その後に鑑別のため腹部X線検査、腹部超音波検査、血液検査などを行うが


基本的には小児に対してはなるべく被曝をしないような検査で済ませるのが良い


肛門周囲膿瘍について


肛門周囲膿瘍は、1歳までの乳児(男児)にしばしばみられる肛門周囲の腫脹であり、細菌感染が原因でおこる炎症のため発赤・腫脹・疼痛がみられる


男児に多い疾患である(9割ほど)


・肛門小窩からの細菌感染が原因である


・部位は肛門の3時や9時の方向に発赤・腫脹・硬結を伴う膿瘍を形成する


・発症には、免疫グロブリンの生理的低値の時期と一致していることが多い(免疫機能の未熟性の関与)


膿瘍が頻発して、肛門周囲の皮膚を自壊や切開による排膿を繰り返せば痔瘻孔を形成してしまうことがある


難治性や乳児期以降の再発例では、クローン病などの炎症性腸疾患、好中球減少症慢性肉芽腫症など免疫不全症からくるものも考慮し、精査する必要がある


<治療>


乳幼児であれば保存的治療で自然治癒することが多い


膿が貯留し、波動を触れる状態発赤が広範囲に広がっているようであれば切開排膿を行う


・再燃予防のため、積極的な入浴で清潔さを保つようにすること


先天性食道閉鎖症について


先天性食道閉鎖症とは、生まれつき食道が途切れている疾患のことである

ただ単に食道が離断しているというだけでなく、食道と気管の繋がり方(瘻孔)によってGross分類という5つの型に分類されている

これは、心奇形を合併することもある


・好発は妊娠中羊水過多のみられた新生児


・出生直後から反復する蟹の泡状(泡沫状)の唾液流出


・初回哺乳後に嘔吐


<検査>


胸部X線検査食道盲端部でカテーテル※の反転(coil up sign)がみられることで診断できる
(行き止まりとなっていることが確認される)


※ カテーテル:ネラトンカテーテルの経鼻挿入を行う


<その他事項>


緊急性の無い時に行うものだが

腹部超音波検査によって、腎無形成、腎低形成、水腎症、膀胱尿管逆流症などの腎尿路奇形がおよそ25%で合併するため、先天性食道閉鎖症のスクリーニング検査で必要な事項である


・胸部単純CT検査では、無気肺や肺炎の評価ができる


<治療>


手術療法のみ


Gross分類(グロス)について


先天性食道閉鎖症には、Gross分類があり、A〜Eの全部で5型ある


・この疾患は5,000人に1人という割合でみられる


・5型のうち、ほとんどがGross C型であり、約8〜9割を占めている


A型は10%ほどであり、残りがその他(それぞれ1%弱ほど)ということになる


胃や腸管にガス像がみられるタイプはC型、D型、E型(H-type)であり、これらはいずれも気道食道瘻がある


・好発部位は、C7(下部頸椎)〜T1(上部胸椎)の辺りとなっている


・E型は食道閉鎖はないが、先天性食道閉鎖症として扱っている


項目A型B型C型D型E型
気管食道瘻
胃腸内ガス
胃内容逆流
Gross分類について


<治療>


A型:胃瘻造設術

→食道を延長させた後、食道吻合術も行う(多段階手術)


C型:気管食道瘻切離+食道吻合術(+胃瘻造設術(一期的根治術))



嘔吐の発現時期と嘔吐物の性状について


出生時期によって見られる症状、考えられる疾患が変わりますので、しっかり確認しておいてください


出生直後

┣ 泡沫様→ 食道閉鎖症
┃      ┗ coil up像

┣ 緑色→ 十二指腸閉鎖症
┃      ┗ 単純X線
┃       (double bubble)

┗ 淡黄色→ 特発性嘔吐症
       ┗ 全身状態は良好


出生1〜3日後

┣ 緑色→ 小腸閉鎖症
┃      ┗ 単純X線
┃       (多数の鏡面形成)

┗ 乳汁→ 新生児噴門弛緩
       ┗ 上部消化管造影
   (胃内容物が容易に食道へ移行)


出生2〜8週前後

┗ 乳汁噴水様
    ↓
 肥厚性幽門狭窄症
    ↓
 US(超音波検査)
    ↓
肥厚した幽門胃透視でstring signあり


乳児期

┗ 顔色悪い、腹痛、粘血便
     ↓
    腸重積
     ↓
┏ USでtarget signを呈する
┗ 注腸でカニ爪様陰影あり


先天性肥厚性幽門狭窄症について


肥厚性幽門狭窄症とは

胃・幽門部輪状筋の肥大、増殖によって幽門狭窄をきたし、胃が拡張している状態の疾患をいう(胃の形がわかるくらい膨れていることもある)

これにより、胃から十二指腸へのミルクの通過障害がおこり、噴水状の嘔吐を呈する(脱水傾向となる)


胃の蠕動運動は亢進しており、腹壁(右上腹部〜心窩部)の動きが視診でわかる


・好発は、生後2〜4週間頃の男児に多く(女児の4、5倍ほど)、第1子に多い



・反復する無胆汁性の噴水状嘔吐(吐物がミルクのみ)がみられる


→これは、閉塞している部分が胆汁開口部の十二指腸Vater乳頭よりも口側でおこるため



・術前に血性嘔吐が25%ほどでみられる



・頻回の嘔吐では代謝性アルカローシスを呈する



・幽門狭窄がなければ、胃食道逆流症ということもあるが


そもそもが食道炎や胃炎の合併二次性胃食道逆流症から食道炎を引き起こしやすい(症状:潰瘍、びらん、発赤)


<鑑別疾患>


胆汁性嘔吐には


Hirschsprung病(ヒルシュスプルング:指定難病291)(全腸型または小腸型)という、腹部膨満から哺乳ができなり、一時的な便秘のほか、腸炎、敗血症に至ることもある疾患

腸回転異常症という、中腸軸捻転を伴う疾患で、血便をきたすこともある(新生児発症の8割で合併)


などが挙げられる


触診:右上腹部に指頭大の腫瘤が触知(オリーブ様腫瘤



・頻繁に嘔吐を繰り返すため、低Cl、低K血症代謝性アルカローシスを呈する


→嘔吐で胃液喪失し、血清Cl値が低下することで相対的にHCO3-が増加するため、低Cl性代謝性アルカローシスを起こして、結果として低K血症にもなる



腹部超音波検査では、生食で胃前庭部をを満たしてから施行するが


これにより、幽門筋の肥厚(doughnut sign:ドーナツサイン)(4mm以上)幽門管の延長所見がみられる



単純X線検査では、single bubble sign(胃泡)の所見のことあり



上部消化管造影検査では、string sign(幽門の狭小と長さの延長)や、umbrella sign(肥厚した幽門筋によって圧迫されて傘型となっている十二指腸底部(球部))などの所見がみられる

胃からの造影剤排出遅延がみられる。この時、幽門部では索状狭窄(string sign)または嘴状狭窄※(beak sign)


嘴状狭窄:すいじょうきょうさく、とよむ。嘴(すい)とはクチバシとも読む


<治療>


原則、手術療法となる(腹腔鏡手術でよい)


軽症例では保存的治療のことあり(硫酸アトロピン内服※など)


硫酸アトロピン幽門部平滑筋のけいれんを抑制し、幽門管圧を下げ、胃の出口部分を一時的に広げるためのものである(奏功率は9割ほど)

ムスカリン作用で胃の出口を弛緩させる(副作用:皮膚紅潮、中枢神経症状)

→全身麻酔を避けられ対症療法できるが、効果が出るのが遅く確実性はないため、改善見られなければ手術療法となる


<手術療法>


術前処置には、脱水、代謝性アルカローシス、低血糖などを補正するため


生理食塩水5%ブドウ糖液K製剤などの輸液を投与すること
(注:K製剤は尿量が保たれている場合だけ → 輸液投与して、利尿がみられてから補充していく)


脱水補正が必要なので、NaとClを補充し、さらにアルカローシス(アルカリ血症)なので、Lactate-(乳酸)が含まないものを選択すること
(乳酸は肝で代謝されてHCO3-を生成しアルカローシスの悪化となるため)


また、新生児であれば低血糖をきたしやすいということも考慮すればブドウ糖を含んでいた方が良いだろう※1


その後に、外科的処置の粘膜下筋層切開手術Ramstedt法※2:ラムステッド)を行う


※1 生理食塩水と5%ブドウ糖液はそれぞれすでに等張液であり、初期輸液には、混ぜても等張である必要があるため、1:1で混ぜるのが良い

そのため、1:1で配合をした輸液の組成は

Na+:77mEq/L、K+:0mEq/L、Cl-:77mEq/L、乳酸:0mEq/L、ブドウ糖:2.5mEq/L となる(濃度は半分になる)


脱水が重度例では、生食:ブドウ糖液は2:1とする

→ここで、利尿が得られたらK+:20mEq/LとなるようにK+を補充する


※2 Ramstedt法:肥厚した筋肉を切開して胃の出口の通過を改善する手術法のこと

全麻であり、手術創が残るデメリットがあるが、翌日からミルク摂取が開始できる



先天性十二指腸閉鎖症について


先天性十二指腸閉鎖症では、胃と十二指腸球部にガスを認める疾患(ガスは小腸には達しない)で、Down症候群に合併することが多い疾患である


Down症候群では、筋緊張低下や特徴的な顔貌がある(鞍鼻など)ため覚えておくこと


ちなみに、ダウン症候群に合併する消化管疾患には以下が挙げられる


合併症頻度
胃食道逆流症およそ43%ほど
食道アカラシアおよそ2%ほど
慢性便秘およそ56%ほど
Hirschsprung病およそ2〜15%
(一般にも0.15%ほどで発症はみられる)
ダウン症候群に合併する消化管疾患について


分類はいくつか挙げられる


<内因性>


膜様閉塞がみられる


<外因性>


・輪状膵、腸回転異常症がある

(外因性の輪状膵だけで閉塞することは少なく、内因性狭窄を合併していることが多い)


膜様閉塞腸管再開通障害がある

胎生6〜11週に閉塞した腸管が空胞下する(vacuolization)


輪状膵胎生5〜8週膵原基の腹側葉と背側葉の癒合不全で生じる


胎児エコー羊水過多double bubble sign※が認められた時に、先天性十二指腸閉鎖症が疑われる所見である



・出生直後から反復して胆汁を混入した嘔吐がみられる(緑色吐物


→これは、先ほどの肥厚性幽門狭窄症とは異なり、十二指腸乳頭部より肛門側での閉塞が起こっているため



・24時間以上の胎便排泄がみられない(胎便排泄遅延)



・胎便は灰白色を呈する
(Vater乳頭以下の閉塞で見られる)


double bubble sigh:小児の腸管閉塞時に見られるガス像の一つであり、上腹部に拡張したガス像が二つ横に並ぶ泡状の影(胃と十二指腸の二つ)がみられるものをいう

この他、空腸上部閉鎖があればtriple bubble signという(3つの泡状の影が見られる)

その他、空腸下部閉鎖では、小さい泡状の影と大きい泡状の影が重ならずに散らばってみられる状態をいう
閉塞上部にはガスが溜まり、下部はガスがない状態をあらわす)


注)腸回転異常症にもdouble bubble signを示すが、bubbleは小さいものである

→これは絞扼性腸閉塞や腹部膨満が大きく見られる


以下は、新生児の消化管閉鎖における腹部X線所見の特徴についてまとめたものである


胸部X線所見疾患の可能性
coil up sign先天性食道閉鎖症
single bubble sign肥厚性幽門狭窄症
double bubble sign先天性十二指腸閉鎖症
triple bubble sign先天性高位空腸閉鎖症
新生児の消化管閉塞のX線所見から判断できる疾患について


<検査>


単純X線検査double bubble signなどの所見あり

→この疾患の可能性を考える



腸管内にガス像があれば十二指腸狭窄症といえる



wind-sock型十二指腸閉鎖症の場合は、診断するために上部消化管造影を行うことはあるが、それ以外の十二指腸閉鎖症は不要な検査である

→これは、膜様閉鎖が帆状に尾側に吹き流し状に伸びて見える十二指腸閉鎖のタイプである


<治療>


・まずは経鼻胃管挿入を行う


→これは、腸を減圧して嘔吐予防、腸穿孔予防になる


根治には手術療法のみとなる


十二指腸・十二指腸吻合術を行う


リンク先

腸回転異常症について


腸回転異常症とは、胎生期の中腸の回転、位置異常の疾患である(十二指腸、小腸の右方変位、回盲部が上腹部正中に位置する)

場合によっては、中腸軸捻転を生じることがある

これは、胆汁性嘔吐が発現して、急速に容態の悪化する急性腹症の一つである

壊疽の危険があり、緊急手術が必要である


・腸回転異常症の7割は新生児期に胆汁性嘔吐で発症する


→中腸軸捻転自体や、Ladd靱帯※によってVater乳頭尾側の十二指腸が圧迫閉塞するため、胆汁性嘔吐となる


・臍帯ヘルニアや横隔膜ヘルニアで合併する疾患である



血便、腹部膨満、ショック状態を呈すれば、中腸軸捻転による絞扼性腸閉塞を疑う



・Ladd靱帯※による十二指腸圧迫から腸閉塞をきたすことで発症する



・中腸軸捻転症を伴う可能性もあるため、緊急性があり、緊急手術となる


※ Ladd靱帯:右後腹膜から結腸に至る線維性膜様物のこと


腸回転異常症や特に中腸軸捻転を伴った患児では、小腸全体の絞扼性腸閉塞から著明な腹部膨満、呼吸状態悪化を呈し、全身状態が悪いことが多い


絞扼性腸閉塞から腸穿孔で、造影剤注入による腹膜炎増悪を危惧して、造影剤にはガストログラフィンやバリウム以外の血管造影剤を使用することが多い



<機械的閉塞>


(1)単純性(閉塞性)腸閉塞:腸管血行障害なし


腸管壁の基質的変化によるもので、先天性腸閉塞症、クローン病、腫瘍などがある


腸管壁外の病変によるもので、最も多い。癒着性腸閉塞(腹腔内手術で腸の癒着がおこるもの)がある


腸管内腔に原因があるもので、異物性腸閉塞、胆石、誤飲した異物などがある



(2)複雑性(絞扼性)腸閉塞:腸管血行障害がある

緊急手術適応


①索状物によるものがあり、メッケル憩室の索状物、腹腔内手術で形成された索状物


②腸軸捻転、腸捻転、S状結腸や小腸に発生する


③腸管の結節形成によるもの


④内ヘルニア、横隔ヘルニア、生理的陥凹部(閉鎖孔、ウィンスロー孔、十二指腸空腸陥凹)


<機能的腸閉塞>


(1)麻痺性腸閉塞


(2)痙攣性腸閉塞


<診断>


注腸造影盲腸が右上腹部にあることを確認すること


→これは、回盲部の位置異常の確認のためで、腸回転異常症が診断できる場合のみ行うこと、中腸軸捻転は診断不可である


→それは、注腸造影をした後に、中腸軸捻転症や更なる腸回転異常症の診断のために上部消化管造影を行うと、大腸に残存した造影剤によってトレイツ靱帯の形成不全や十二指腸、空腸のcorkscrew signを描出しづらくなるため



以上の理由から、注腸造影よりは上部消化管造影を好んで行う医師もいる


腹部単純X線検査では、十二指腸より遠位部の腸少量のガスしか認められず、注腸造影盲腸が右下腹部に存在しないことが診断のポイントである


小児において上部消化管内視鏡検査は、通常全身麻酔であり、送気により腹部膨満が悪化して患児の状態悪化が起こりうるため、禁忌である


上部消化管造影では、Treitz(トレイツ)靱帯が形成されないため、十二指腸の造影剤が右側でそのまま下方に向かい、空腸に流入する像がみられる


→方法には、十二指腸内にチューブを挿入して、十二指腸や空腸のみ直接造影させるのが良い

これは、経鼻胃管で胃を先に写して、その後に十二指腸・空腸を写していくと、胃に残留した造影剤が十二指腸・高位空腸と重なってトレイツ靱帯の形成不全やcorkscrew signを描出しづらいからである


中腸軸捻転症


腸回転異常症から、ねじれて中腸軸捻転症になることがある


高度の中腸軸捻転では、腸管広範囲壊死からの大量腸切除となり、短腸症候群に至ることもある


<診断>


上部消化管造影でcorkscrew sign(コークスクリューサイン)


カラードップラー超音波検査


造影CT検査上腸間膜動脈(SMA)上腸間膜静脈(SMV)らせん状に取り巻いているwhirlpool signが主にみられる


絞扼を疑う所見では用手還納は禁忌


鼠径ヘルニアでは、9割ほどが用手還納で戻すことができるが


絞扼を疑う所見に該当するようであれば用手還納は禁忌である


(1)腸閉塞をきたしている場合

胆汁性嘔吐、腹部膨満などあり


(2)臨床経過が24時間経っている場合


(3)鼠径部の局所所見が硬い腫瘤で、発赤を伴っており、痛がる場合


鼠径ヘルニアについて


乳幼児の鼠径ヘルニアは、ほとんどが外鼠径ヘルニアであり、腹膜鞘状突起の閉鎖不全からこの突起内に臓器(腸管、大網、卵巣など)が脱出することで発症する

男児では小腸が多い


・鼠径ヘルニアでは、便秘との因果関係は明確ではない


鼠径ヘルニア10%ほどが嵌頓し、1%で絞扼を伴う

→嵌頓例は1歳未満、特に生後6ヵ月以下に多いとされる


・外鼠径ヘルニアで、両側性での発症は10~30%ほどである



鼠径部の発赤や緊満感の有無腹部の平坦さ全身状態について確認が必要である


→これらで異常がみられれば緊急性のあるヘルニア嵌頓が考えられる


非還納性で、腸管が嵌頓(絞扼)している場合では、腸管穿孔からの腹膜炎となる危険性があり、要緊急手術となる



・ヘルニアバンドは今ではあまり有用とは考えられていない(継続使用で筋委縮の要因となる)


外鼠径ヘルニアでは還納性腫瘤が触れ、腫瘤であることから透光性はない

(水の貯留している陰嚢水腫や精索水瘤などであれば透光性がある)


非脱出時ではsilk sign※でヘルニア嚢があることを確認する


※ silk sign:2枚の絹を外からこするような感覚からこう呼ばれている


母親には負担のない範囲で嵌頓を起こしていないか確認してもらうことが必要となる


そのためには、時々腹部を押して引っ込むかどうかを見る必要があるが、啼泣※すると腹圧が上昇し鼠径部が膨隆するため、腸管を腹腔内に戻すことは難しい(戻ってもすぐに晴れることが多い)


そのため、必ず戻すという必要性はないと考えられる


※ 乳幼児で啼泣をしないようにするということは困難(不可能)なため、母親には無理に泣かせるのを止めるようなことはしないように指導するとよい


<鼠径ヘルニアに対する手術>


低侵襲性の腹腔鏡を用いて、腹腔側からヘルニア門を閉鎖する腹腔鏡下経皮的腹膜外閉鎖術(LPEC法)を行う


LPEC法は、従来の鼠径部切開法(Potts法)と比べても再発率に有意差なく低侵襲になり、対側鼠径ヘルニアを予防的に手術可能(Potts法では10%ほどで対側に出現する)であり、手術側、患児側どちらにも利点が大きい手術法である



先天性小腸閉鎖症について


先天性小腸閉鎖症では、イレウスを伴うため多数の液面形成(niveauが認められる


※ niveau(二ボー)は腸管ガスと消化管内の液体との界面に形成される


<検査>


単純X線像では、遠位小腸閉鎖症の腹部臥位での所見は多数の拡張した腸管ガス像を認める



注腸造影検査小腸閉鎖があればmicrocolonの所見


腸管の口径差(caliber change)の有無(ヒルシュスプルング病所見の一つ)、正常大腸像器質的腸閉塞の場合)かどうかの確認をして診断していく


<治療>


緊急手術が必要な例である


リンク先

Hirschsprung病について(ヒルシュスプルング)


Hirschsprung病とは、結腸壁のAuerbach(アウエルバッハ)神経叢Meissner(マイスネル)神経叢が直腸から連続して先天的欠如する疾患であり、罹患部の狭小化や口側の拡張をきたす(粘膜上皮細胞は問題ない)


粘膜下層:マイスネル神経叢

内輪・外縦筋層間:アウエルバッハ神経叢


・壁在神経節細胞の先天的欠損である

無神経節腸管が直腸~S状結腸までの型がおよそ8割を占めている


・新生児から頑固な便秘がみられるものだが、見逃されたりして成人になってからでも発見されることはある



・脈間系の異常はなく神経系の異常であり、副交感神経(chorinergic fiber)のアセチルコリンエステラーゼ(AchE)陽性神経線維増生がある

→これが直腸粘膜生検標本で認められる



・新生児の発症では機能的イレウス状態を呈する(胆汁性嘔吐、胎便排泄遅延

→胆汁性嘔吐(便臭あり)、腹部膨満



・乳児以降の発症では巨大結腸症(megacolon)を呈する(慢性便秘、腹部膨満



・出生1~3日後から便秘症状みられ、暗緑色の胎便みられる



・適切な排便管理をしないと壊死性腸炎のリスクがある


・S上結腸までは便が来ているが、その先が進まない状態である

→ここで、浣腸を使用することで爆発的に排便がみられる


新生児早期に腹部膨満症状を呈する疾患は他にも考えられ、鑑別が必要である


分類考えられる疾患
腸管由来・腸閉塞疾患(腸閉塞、鎖肛、Hirschsprung病、臍腸管遺残など)

・腸穿孔
実質臓器由来・固形腫瘍(神経芽腫、肝芽腫、後腹膜奇形腫、卵巣嚢腫など)

・水腎症

・先天性胆道拡張症

など
腹水貯留
新生児期早期に腹部膨満を呈する疾患について


<検査>


単純X線検査では、全体に拡張した腸管像(回腸~結腸のガス充満像)で骨盤内にガス像が欠如所見(腹腔内遊離ガスはなし)


注腸造影検査ではS上結腸~直腸にかけての狭小像(narrow segment)口側の下行結腸~S上結腸(巨大結腸:megacolon)腸管の口径差(caliber change)の所見


直腸生検では、神経節細胞の欠如直腸壁AchE活性の亢進所見


確定診断には、上記の検査の他、直腸肛門内圧検査※で肛門内括約筋反射欠如があることを確認すること


直腸肛門内圧検査直腸内をバルーン拡張で伸展刺激することで、壁内神経を介して内肛門括約筋の反射的弛緩を生じて、肛門管圧は反射的に下降するが

ヒルシュスプルング病ではこの反応は示さない


<治療>


低侵襲手術(経肛門的手術、腹腔鏡下手術)が一般的となっている



新生児期保存療法一時的人工肛門増設


6ヶ月以降に、外科的根治術を行う

Duhamel法(デュファメル)※1、Soave法(ソアーヴェ)※2、直腸筋層切除術など


※1 デュファメル法:神経節細胞のない腸管を一部残して、その後ろ側に正常な腸管をもってきて縫い合わせる術式

この術式は減る傾向にある

腹腔鏡手術経肛門手術に置き換わってきている


※2 ソアーヴェ法:腹腔鏡補助下根治術のこと


リンク先

壊死性腸炎について(NEC)


・壊死性腸炎(NEC)の分類には、Bell分類(壊死性腸炎ガイドライン)が最も利用されている


人工乳栄養児が、母乳栄養児よりも発症率が高いとされる


・児の未熟性が強いほど、発症リスクが増す


NEC:necrotizing enterocolitis


病期:分類症状放射線学的所見
Ⅰ:NEC疑い腹部膨満、血便、嘔吐、胃残渣、無呼吸、不活発腸閉塞像

腸管拡張像
Ⅱ:NEC確定Ⅰ期の所見に加え

腹部圧痛、代謝性アシドーシス、血小板減少
腸管壁内気腫像

門脈内ガス像
Ⅲ:進行NECⅡ期の所見に加え

低血圧、著明なアシドーシス、血小板減少、DIC、好中球減少症
Ⅱ期の像に加えて気腹(お腹にCO2を入れて膨らますこと)
壊死性腸炎のBell分類について


<治療>


・Bell分類でⅠ期、Ⅱ期の段階では、経腸栄養の中止抗菌薬投与全身管理等の内科的治療をする


内科的治療が奏功しない腸管穿孔や腹膜炎に至った場合は病気がⅢであり、外科的治療の開腹手術が必要となる状態である


先天性食道閉鎖症について


先天性食道閉鎖症は、泡沫状の唾液流出胸部X線でのcoil up signが特徴の疾患である



リンク先

鎖肛について


鎖肛とは、正常な位置に肛門がなく、直腸が盲端になっている先天性の奇形である(直腸肛門奇形)

これは、直腸や肛門の発生異常で、内腔に閉鎖・狭窄を呈する


・およそ5千人に1人の割合で発症し、致死率は5%前後となっている


・視診で診断ができる


・出生後の胎便排泄が認められない


・イレウスを呈する


尿に胎便が混じることで瘻孔があると考えられる(中間位群や高位群に多くみられる)


鎖肛にも病型がいくつかあるため、以下にまとめてある


病型は腸ガスの先端がどの部位にあるのかで分類される、その位置が外側からI線、m線、P-C線となっている


I線:お尻の外側から坐骨下端を通るP-C線と平行な線をいう(一番外側)

m線P-C線とI線の中央の線をいう。坐骨、恥骨を通る

P-C線恥骨中央から仙骨関節を通る線(S5の下あたり)


病型直腸盲端の位置合併症治療
低位型I線よりも肛門側会陰瘻、肛門狭窄
女児では膣前庭瘻も可能性あり
肛門形成術(一期的根治術)
(人工肛門は不要)
中間位型m線とI線の間直腸尿道球部瘻
肛門無形性
新生児期に人工肛門を造設し、その後に肛門形成術を行う
(多期手術)
高位型m線よりも口側直腸前立腺部瘻
直腸膀胱瘻
上に同じ
鎖肛の病型分類とその合併症・治療について




・視診では、肛門部の狭窄・閉鎖がみられる



閉鎖位置の確認:出生後12~24時間ほどで行う(嚥下したガスが直腸盲端に達するまでの時間である)、盲端の高さを知る方法のWangensteen-Rise(ワンゲンスティーン・ライズ)の倒立位側面撮影をする


→腸ガスの先端部分で閉鎖部位が確認できる


<治療>


・低位の無瘻型:新生児期会陰式根治術(cut back)


・低位の有瘻型:ブジーによる肛門拡張術(人工肛門造設は不要)

一般的に術後の排便機能は良好である



・中間位型:人工肛門造設、そのあと、腹会陰式あるいは仙骨会陰式に根治術などを行う(多期手術)



・高位型:まずは人工肛門造設を行い、6~12ヶ月後腹会陰式根治術を行う、更に、人工肛門閉鎖術をする(多期手術)


直腸・肛門周囲の骨盤底筋群について


<構成筋と排便時の役割について>


・内肛門括約筋:直腸筋層から連なる平滑筋で不随意筋である。直腸壁の伸展刺激で弛緩する直腸肛門反射の効果器となっている


・外肛門括約筋:横紋筋で随意筋である。肛門管を取り囲み、排便をこらえるときに収縮し、排便時には弛緩する


・肛門挙筋群:横紋筋で随意筋である。直腸尾骨筋、恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋からなる。

特に、恥骨直腸筋は馬蹄形をあんしており、直腸を後方から前方にひき、直腸と肛門管の間に屈曲を作って、その収縮作用で便禁制(コンチネンス)を保ち、排便時には弛緩する


<発生と排便障害について>


・胎生4~12週の後腸、総排泄腔、尿生殖洞の発生異常によって、肛門周囲の筋の形成異常、左右差、菲薄化を生じ、肛門形成後の排便障害の原因となる


腸重積症について


急性腹症の一つであり、緊急性のある疾患である(重症急性細菌性腸炎などの鑑別も重要)


小児では、生後3ヵ月頃までは肥厚性幽門狭窄症が多く、腸重積症では乳児期から幼児期にかけて多いとされる


ちなみに、学童では急性虫垂炎が多くなるといわれている


乳児の下血には腸重積症やMeckel憩室がある。(時期が違うが、別の原因では仮性メレナ※などがある(これは国試対策用))


仮性メレナ分娩時の母体血嚥下による下血や血性嘔吐をいう


腸重積症は、腹痛・血便・嘔吐の三主徴があるが、全ての症状を呈することは少ない

3ヵ月未満や6歳以上であれば、原因は器質的疾患を考える必要がある

また、好発年齢期間であっても再発を繰り返す場合でも、器質的疾患を考えていく必要がある


嘔吐症状からは、急性胃腸炎、髄膜炎、頭蓋内出血の可能性についても考えられるようにしておくこと

→髄膜炎では項部硬直の有無確認が必要でしたね


新生児の消化管穿孔の発症は部位別でみると、胃が最も多い5割ほど)、次に小腸、結腸、直腸となっている


・発症は通常は生後6ヶ月以降でみられる(好発:4ヵ月から2歳で男児に多い)



・口側腸管(内筒)が肛門側腸管(外筒)に入り込んで重責することでおこる機械的(絞扼性)腸閉塞である(回腸・結腸が多い)


好発年齢以外で発症したり、再発が多い場合は器質的疾患であるメッケル憩室、小腸ポリープ、悪性リンパ腫、異所性胃粘膜、腸管重複症、IgA血管炎などが先進部となって発症した可能性を考える必要が出てくる



・原因の一つには、パイエル板の肥厚があり、急性ウイルス性腸炎が先行していることも多い



・腹痛・啼泣は間欠的で、機嫌の良し悪しを繰り返す

→泣いた後はぐったりする傾向にある



・嘔吐は初期には反射性嘔吐であるが、進行すると胆汁性嘔吐となっていく


・重症例では腹部膨満筋性防御を呈することがある


→つまり、腸管穿孔による腹膜炎に至っていると考えられる(絞扼性イレウスや消化管穿孔の考慮)


ショック状態があれば、昇圧剤よりも先に急速輸液である


→集中治療で、手術に移行する


腹膜炎所見:好中球優位桿状核好中球の増加では、核の左方移動がみられる。CRPは高値である

→ここから、腹膜炎所見であり、腸管壊死や腸管穿孔疑いだと考える

→そのため、緊急手術となる


・血便の性状はイチゴゼリー状の粘血便であり、浣腸して初めて確認されることもある

血便有無確認のために浣腸をするということがある
(便秘と腸重積の鑑別ができ、下痢症状があっても鑑別に浣腸することはあるということ)


触診では、右上腹部にソーセージ様腫瘤を触知し、右下腹部(回盲部)は空虚となる(Dance徴候



腹部超音波検査:典型的なtarget sign※1やpseudo kidney sign※2を認める(腸管血流評価)ようであれば診断は容易となる



・検査だけでなく治療もかねて注腸造影の施行がよい(造影剤の圧で押し戻して整復する)

→典型例:カニの爪様サイン右上腹部に認められる


※1 target sign:二重に見える腸が弓矢の的のように見える状態をいう


※2 pseudo kidney sign:重複した腸管が腎臓のように見える状態をいう


<治療>


高圧浣腸で整復するか、開腹術で整復を行う


24時間以内であれば高圧浣腸で整復する可能性は高い90~95%ほど)(非観血的整復術


1mの高さから3分間3回注腸整復する

(1日以上経っていれば壊死している可能性あり、これは禁忌となる)


観血的治療の適応:消化管穿孔、ショック状態、非観血的治療で整復不可能な例であり、基本は非観血的整復術となる(整復率:95%ほど)


腹膜炎症状があれば非観血的整復術は禁忌



・発症後24時間以上経過したとき、開腹して用手的に嵌入した先進部を絞り出す方法で行うが、腸管に壊死が認められるようであれば、その部位の腸管切除を行うこと(これは、Hutchinson手技(ハッチンソン)という)


→(開腹して物理的に先進部を引っ張り出して、壊死があれば切ってしまうということ)


新生児の内臓脱出について


それぞれ3つの疾患(臍帯ヘルニア、腹壁破裂、臍ヘルニア)を把握し、分類しておくことが必要です


・生後数ヶ月の臍のふくらみは臍ヘルニアの他、尿膜管遺残症、臍ポリープなどの可能性も考える必要がある


・生後間もない臍のふくらみでは、先天性疾患を考慮する


臍ヘルニアは、2歳までは自然治癒することがある疾患である



・啼泣時に膨らみが見えるという場合、腹圧が上昇して出現しているので、より臍ヘルニアである可能性が考えられる

→臍ヘルニアであれば嵌頓はまれであり、用手還納する必要は特にはないとされる



皮膚が赤黒いことがあると、内容臓器が血行障害を起こしている嵌頓が考えられる

→しかし、ミルクが飲めている状態であれば、腸管の嵌頓はないだろうと考えられる


・上記のような腸管等が嵌頓しているものを腸(乳児)臍ヘルニアという


臍帯ヘルニアでは、心奇形の合併に注意する必要がある


→臍帯ヘルニアは新生児期で最も死亡率が高いとされる先天性疾患である


・臍帯ヘルニアは重症、クレチンに合併する臍ヘルニアは予後良好


・臍帯ヘルニアに合併しやすい横隔膜ヘルニアではバックバルブマスク※が禁忌となるため、挿管か酸素投与しながら胸腹部レントゲン心エコーなどでチアノーゼの原因検索して対応する

→その後、重症例では臍帯ヘルニアの手術を考慮する


バックバルブマスク(BVM):鼻口腔に空気を送り込む人工呼吸器のこと


項目臍帯ヘルニア腹壁破裂臍ヘルニア
発生部位臍部傍臍部
(右側が多い)
臍輪部
臍帯異常正常
欠損部と臍帯との間に皮膚が介在している
異常
(抵抗減弱を示す)
原因腹壁発育の異常

生理的ヘルニアの還納障害
腹壁に欠損部を生じる臍部の抵抗性が減弱
ヘルニア嚢あり
(羊膜と腹膜※1)
なしあり
(皮膚と腹壁)
合併症18トリソミーなどを含め、多臓器奇形(消化器奇形・心奇形)をきたしやすく、臍帯ヘルニアは染色体異常疾患である

・心奇形
横隔膜ヘルニア
鎖肛
・食道閉鎖
・多指症
・多趾症
・停留精巣

などの重症合併奇形(多発奇形)がある
腸回転異常を伴うこと多いほぼなし
新生児の内臓脱出について


※1 ヘルニア嚢が破裂する破裂性臍帯ヘルニアでは、腹壁破裂との鑑別が必要となる


臍帯ヘルニアの染色体異常では、心疾患、多指症、臍帯ヘルニアなどの多発奇形を伴うことが多いため、多発奇形の基礎疾患の診断として染色体検査は有用である


その他:臍帯病理組織学的検査では臍帯炎などの炎症を確認して、胎内感染の指標となる


<治療:臍帯ヘルニア、腹壁破裂について>


イソジン®液3色素(ゲンチアナバイオレット等)などを塗布して感染防止していく


一期的手術:一度に無理に還納すると、横隔膜挙上で呼吸困難を引き起こすことがある


→また、肝臓の脱出例では、肝静脈・下大静脈が屈曲していて循環不全をきたすため注意が必要となる



多期的手術:人工膜や羊膜で覆い、段階的に脱出臓器を腹腔内に戻す方法


→術前管理には、出生後の低体温・脱水・感染に注意(脱出腸管からの体熱の放散、水分喪失がおこる)


→(二期的手術では、皮膚で覆って6~24ヶ月で筋膜などの腹壁形成する方法だが、腹腔容積拡大効果は低く今ではあまり行われていない)


→術後には、腹腔内容量が増大して呼吸障害を起こすことから呼吸管理が必要となる症例もある


<治療:臍ヘルニアについて>


生後半年までに9割ほどが自然治癒することが多い


自然治癒がみられないようであればヘルニア門閉鎖術を施行する


口蓋裂について


口蓋裂とは、軟口蓋または硬口蓋、またはその両方が閉鎖しない状態の総称である


・発症頻度は500人に1人ほどの割合で、致死率はほとんどないとされる


尿道下裂ついて


尿道下裂とは、尿道口の位置異常、陰茎背側の余剰包皮、陰茎の腹側への屈曲を特徴とした男児におきる先天性疾患である

致死率はほぼなし


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Meckel憩室(メッケル)


Meckel憩室(メッケル):迷入※している異所性胃粘膜から出血して下血に至るもの


※ 迷入:本来ある場所の臓器とは違う臓器にその細胞ができること

ex)異所性膵:膵臓の細胞が別の場所でみられている、ということ


類似疾患として、若年性ポリープ(JP)があるが、これは少量ずつの出血を呈する

→これは、直腸~下行結腸に好発するため出血時には鮮血傾向を呈することが多い


・メッケル憩室は最も頻度の高い消化管奇形である


・臍腸管(卵黄腸管)の遺残である


・男児に多いとされる(女児の2、3倍ほど)


・ほとんど無症状だが、合併症が問題となりやすい

→およそ3割別の疾患で開腹手術したときにたまたまメッケル憩室が見つかるということがある


<検査>


通常の検査ではなかなか診断できず、99mTcO4-(99mテクネチウム)などの放射性物質の取り込みで検査をすることとなる


99mTcO4-:通常は、胃粘膜上皮に集積するもの。つまり、異所性胃粘膜があればそこにも集積がみられるということ

→主なものとして、メッケル憩室の他にはBarrett食道(バレット)胸腔内胃嚢胞などが挙げられる


<治療>


下血発症例では、胃潰瘍治療薬投与して止血した後に手術をするということができる(待機手術)


腹痛からの発症では、イレウスや虫垂炎などの鑑別が必要となる


手術療法では、低侵襲性の腹腔鏡を用いるのが良い


リンク先

先天性横隔膜ヘルニアについて(指定難病:294)


先天性横隔膜ヘルニアとは、胎生期の胸腹裂孔の閉鎖不全(生まれつき、横隔膜に欠損孔がある)によるもので

横隔膜後側のボボダレク孔が欠損することからBochdalek孔ヘルニアと言われ、これは全体の9割を占める(左側が8割ほど占める)


・出生24時間以内に発症する新生児横隔膜ヘルニアは重篤である

→胎児期に胸腔に脱出している胸腔内臓器の圧迫で組織学的異常を伴うことで肺低形成を伴うため、出生後の呼吸循環管理が重要となる


・患側肺に組織学的な異常を伴う(腺様構造でとどまる低形成)


・出生時から多呼吸チアノーゼ頻拍がみられる


・腹部の陥凹、左肺での呼吸音の著しい減弱


・胸膜裂孔管は胸膜裂孔膜で閉鎖されるが、その閉鎖不全によって横隔膜ヘルニアが発症する


肺組織は胎生15週頃に腺管様構造から気管支様構造に発育していくが、胸腔に脱出している腹腔内臓器の圧迫で肺の低形成を生じる


・鑑別疾患:気腫性肺嚢胞にも新生児早期に呼吸不全に陥ることがある。ただ、scaphoid abdomen※を示すことはない(単純X線では腸管ガス像なし


また、横隔神経麻痺との鑑別は重要である


→これは、症状は似ているが分娩外傷先天性心疾患術後に発症することがある


scaphoid abdomen:スキャフォイドは舟状骨(しゅうじょうこつ)、アブドメンは腹部という意味


胸部X線検査胸腔内に消化管ガス像がみられる


<治療>


原則、緊急手術適応となる


経腹的に脱出臓器の還納ヘルニア門の閉鎖を行う


新生児先天性横隔膜ヘルニアの分類について


横隔膜胎生8~10週胸膜裂孔膜によって閉鎖される


・ここが閉鎖不全となることで、新生児横隔膜ヘルニアを発生することとなる


・胎生期に腹腔内臓器が胸腔内に入り込むため、患側肺や健側肺に肺低形成をきたす


分類概要
胸膜裂孔ヘルニア
(Bochdalek孔ヘルニア)
左側:90%

無嚢性:80%

→無嚢性は横隔膜弛緩症(横隔膜挙上症)との鑑別が必要となる
傍胸骨裂孔ヘルニア右側:Morgagni孔ヘルニア(モルガーニ孔)

左側:Larrey孔ヘルニア(ラリー孔)
食道裂孔ヘルニア
新生児先天性横隔ヘルニアの分類について


胃食道逆流症


胃食道逆流症は、通常小児においては器質的疾患が背景にあり、脳性麻痺などによる先天性疾患であることが多い


頻回のげっぷ24時間下部食道pHモニタリングでのpH低下を示す(pH2を示すほどになる)

→げっぷ症状は食道や胃内ガス(ほとんどが呑気)が逆流して口から排出される現象である


・この胃内ガスは、飲み込んだ空気と胃内で発生するガスの混合物となっている

→通常、飲食時に空気を嚥下するため、特に赤ちゃんの哺乳後のげっぷは必要となる


ストレス性のもので呑気症が出ることがある(→カウンセリングなども必要なことあり)


・4歳以降ではチック症によるものも考えられる、夜間にはげっぷ症状が治まっていたりする


空気を無意識に嚥下しているものを空気嚥下症(呑気症)という。症状はげっぷの他、腹部膨満感や腹痛の原因となる


これは、精神的緊張時や不安状態、抑うつ状態などでは頻回にため息やつばを飲み、空気の飲み込みが多くなることが要因だったりする


・高齢者ではげっぷが多くなるが、これは慢性萎縮性胃炎になりやすく、胃内容物の排出が遅れてガスが発生しやすくなるためと、食道や胃の境界部分である括約筋が弛緩して食道裂孔ヘルニアを起こしやすくなるためである


げっぷには病的なものも含まれていたりするため注意は必要である


<病的な意義がないげっぷ>

食後(哺乳後)、炭酸飲料摂取後、習慣性・神経性の空気嚥下症(呑気症)


<器質的なげっぷ>

食道裂孔ヘルニア、胃下垂、胃酸過多、慢性胃炎、胃がん、幽門狭窄などの食道・胃疾患


<治療>


内服薬による治療

・胃酸分泌抑制剤(ボノプラザン、ランソプラゾール、ファモチジンなど)

・胃粘膜保護剤(レバミピドなど)

・消化管運動機能改善薬(モサプリドなど)

・精神安定剤(神経症傾向が強い場合)


・食事方法として、できるだけゆっくりとるようにし、胃酸分泌を抑えてガス発生を少なくするため過食はしないのがよい


就寝前は食物はとらず甘いもの、油の多いもの、アルコール、炭酸飲料、かんきつ類、香辛料などは控えるなどの食事内容にも気を付けること


空気を飲み込むこと自体が癖となることもあるため、家庭では会話などもして子供にはストレスをかけずリラックスさせるということが良い


注意や叱りはしないのが良い


今回はここまでになります


次回は肝・胆・膵系をみていきます



<参考紹介>

メディックメディア:クエスチョン・バンク vol.4 小児科

病気がみえる:vol.10 産科



注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
できる限り正確な情報発信に努めておりますが、当サイトに記載した情報を元に生じたあらゆる損害に対しては当サイトは一切責任を負いませんので、あくまでも参考としてご利用ください。


    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

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