小児科編

小児科疾患編④ 乳幼児の特徴・疾患、脱水症状、輸液について 

小児科


小児科は今回で4回目となります


前回は出生時から新生児までの特徴を見てきましたが、今回は乳幼児の特徴についてみていきます



注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


乳幼児の血液検査等について


新生児はもとより、乳幼児においても成人とは血液検査結果の正常値というのは異なるため、しっかり把握しておくことが大切です


項目特徴
ALP※1成人に比べて高値
BUN(尿素窒素)
(腎濃縮能)
出生直後はやや高値だが、生後1〜5ヶ月低下する
IgA成人に比べて低値
IgM1歳前成人値と同じくらいになる

原始的な免疫系は早期に完成する
ヘモグロビン(Hb)成人に比べてやや低値
視力生後間もない場合は明暗がわかる程度だが、生後6ヶ月を過ぎる頃は外界のものが見えてくるようになる

6歳ほどで大人と同じような視力になる
乳児の血液検査等について


※1 ALP(アルカリホスファターゼ):一般的に胆汁流出障害、肝機能、骨新生、胎盤機能の状態把握に利用するため測定をしている

これは、骨の成長が盛んである小児期では成人の2〜3倍も高値であり、また、小児期では年齢によって異なってくる


乳幼児の身体診察について


乳幼児は成人の診察とは異なり、基本的には望んで受診はしてないことから、早く・十分に・的確に診察、診断することが必要である


乳幼児の一般的な身体診察の流れは以下の通りとなっている


胸部 → 腹部 → 頭頸部


・頭頸部は最後がよいが、大泉門においては啼泣時に膨隆するため、脳圧亢進していると誤診につながる可能性があるため、確認は最後にはしないのがよい



腹部の診察では、聴診の後に触診をする(臥位の方が良いということが多い)


→腹部では、くすぐったい、痛みがあるなどがあるため、胸部を見てからが良いとされる



頭頸部の診察で、特に、耳や咽頭は嫌がり暴れることがあるため、一番最後が良いとされる


観察ポイントはいくつかあるためチェックしておくこと


①付き添い(母親)に伴われて入ってきた時の様子を観察


②母親への問診を行いながら子の緊張を解き、視診する(表情、ぐったり感の有無、会話可能かどうかなど)


③母親が抱っこしている状態で、ゆっくり衣服を脱がし視診(皮疹有無など)、胸部聴診(肺、心音)、腹部聴診し、臥位で腹部触診を行う


④再度母親に抱っこしてもらい頭頸部を診察する(目、耳、咽頭)


診察室での情報も大事だが、普段接している母親の些細な情報が診断につながることもあるが、外傷などであれば虐待の可能性も考える必要があるため、全てを鵜呑みにはできない


激しく泣いてしまうと心音聴診、腹部触診、深部反射が確認不可となってしまうことがある



3歳児の診察について


会話はできるようになるため、緊張をほぐすようなすぐに回答できる内容の質問をしていくと良い


例えば、名前、年齢を聞いてみる、目線を子供と同じ高さに合わせるなど


病状を聞き出すのは困難なため、先ほどの診察手順で行っていくのは同じである


この際、苦痛を伴うもの、嫌がるものとして舌圧子で喉をみる耳鏡で鼓膜を見るなどは患児が泣くのを想定しておくことが必要であり、先に胸部聴診や腹部聴診が全て終わった後に行うと良い


乳児のそれぞれの所見に対し考えられる疾患について


症状の訴えができないため、状態を見てある程度目星をつけられるようにすることが必要である


所見考えられる疾患
嘔吐と不機嫌髄膜炎、腸重積、頭蓋内出血など
腹部を痛がる、腹部の診察を嫌がる腸重積、鼠径ヘルニア嵌頓、男児:精巣捻転、女児:卵巣茎捻転など
乳児のそれぞれの所見に対し考えられる疾患について


腸重積では、腹部触診ソーセージ様腫瘤触知Dance徴候などがある

(しかし、乳児では泣くことで腹筋緊張が起こるため、所見をとりづらい)


→母親にあやしてもらい、少し患児が落ち着いた時(泣き止んだ時)にすぐに腹部の触診をすること


腸重積であれば、発症早期(発症後24時間以内)高圧浣腸をしないと外科的手術を要することが多いため、早期診断が重要である



・腹痛という表現はされるが、腹部を見るだけでなくパンツを下げて鼠径部の視診・触診も必要である


痛いのは腹部ではなく、鼠径部からきており、それが鼠径ヘルニア嵌頓であるということもある


乳幼児の尿検査の種類について


検尿は発達段階に合わせた尿の採取方法を選択する必要がある


尚、採取条件による分類では随時尿、早朝尿、時間尿があるが、採取方法による分類は以下の通りとなる


尿検体・検尿の種類概要
ハルンパック尿・オムツを使用して、自律排尿のできない新生児や乳幼児に使用する

・外陰(会陰)部を消毒後にシールで貼り付けて採尿するためのもの

・簡便だが培養検体としては汚染する可能性が高く、原因菌判定は慎重さが必要

・ハルンパックをした上から紙オムツを履かせたりする

・15分おきに確認して、排尿があったら速やかに取り外し、清潔な容器に移す
膀胱穿刺尿

:針付き注射器
・腹部超音波像で膀胱内に尿が貯留していることを確認してから、恥骨結合上部正中を消毒してから膀胱穿刺するためのもの

・採尿法としては一番清潔に採取できるため、正確な細菌培養検査ができる

→そのため、新生児や乳児の尿培養検体には有用である(外来可)

・使用は尿路感染症が強く疑われる場合等に限る
中間尿

:採尿カップ
・オムツが取れたら(自律排尿が確立したら)成人と同じ採尿カップでよい

・3歳児検診ではこの方法をとるが、まだできないこともある

・検尿は中間尿であることが望ましい
乳幼児の尿検査の種類について


新生児・乳幼児、成人用の採血管・採尿管について



新生児用、成人用で採血管や採血管の蓋の色に違いがある


新生児は循環血漿量が少なく、採血で貧血となることがある


そのため、少ない採血量、採血回数で済ませることが必要である



種類概要
微量採血管(蓋はピンク色、薄い紫色
(マイクロティナ)
主に新生児の検査に用いる

少量の血液で末梢血の一般検査(血算)を行うための容器
微量採血管(蓋は黄色
(マイクロティナ)
主に新生児の検査に用いる

血清検査のための容器
採血管
+中に凝固促進フィルム、血清分離剤
成人用の生化学検査のための容器
採尿管尿沈渣に用いる容器
20mLほどの大きい容器血液培養を行うための容器
新生児・乳幼児の採血管について


血液検査項目と抗凝固薬について


血液検査項目ごとに用いられる抗凝固薬は異なるため、知っておくと良い


項目抗凝固薬
凝固機能クエン酸ナトリウム
血算EDTA(エチレンジアミン四酢酸、エデト酸ナトリウム)
生化学血清分離薬
血糖フッ化ナトリウム
血液検査項目と抗凝固薬について



多動傾向にある小児の考え方について


小児が多動傾向にあるのは、家庭環境なのか、母子関係なのか、単に好奇心があるのかなど様々な理由があるため


必ずしも多動障害などの精神疾患であるということはない、というのは念頭に置いておく必要がある


そのため、多動傾向であればまずは診察室での挙動観察、母親からの聴取などが重要となる


必要があれば、精神科というよりは、小児科医、小児神経科医、小児精神保健医などへの紹介も考慮するとよい


小児(3歳児)で男児であれば特に多動傾向はみられやすい


そこで、どういうことが考えられるのかについては以下が挙げられるだろう


<多動傾向の考え方>


・元気で面白いものがあるという興味から歩き回る


・好奇心旺盛で探検をしたい


・普段は無理に大人しくさせられている環境で、鬱積したエネルギーを発散させたい


・親が外では体裁をつくろうことを知っている上で、よそにいけば怒られないため好き勝手に動いている


・元々が落ち着きのない多動傾向


・普段はマンションの一室で過ごし、広い場所が珍しい


・一人親で育ち、普段の大人の話し相手がいなく、話せる大人が今この医師しかいない


・反応性愛着障害という、不安定な愛着関係の表れからじっとしていない


・発達障害などの問題がある


など様々な要因が考えられる


これには、正常の発達と発達の偏り、発達障害の場合など様々なケースで覚えておく必要がある


(尚、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動障害(AD/HD)、学習障害などは精神科疾患編でまとめていく予定)


また、母親へのしつけ指導については、人によっては傷つき、育児意欲も失いやすいことから、表現には気をつけてねぎらいなどもあるとよい


乳幼児の脱水の程度、評価方法について


先進国での乳幼児の急性嘔吐下痢症の原因は、ウイルス性(ロタウイルス、ノロウイルス、アストロウイルス、腸管アデノウイルス、サポウイルスなど)がほとんどであり、細菌性はごく稀である


ウイルス性の潜伏期間は12〜72時間であり、発熱や嘔吐を発症し、その後頻回の下痢症状をきたす


2日目以降では嘔吐は少なくなる


この時の脱水の程度を評価するためには、体重減少の程度を知ることが重要である


外来で来られるため、脱水の評価方法としては普段の体重と受診時の体重の差をみることで脱水の程度を知ることができる


急激な体重変化は、体水分量の変化量を表しているためである


尚、以下の方法では外来における重症度判定においては向いていないため、気をつける必要がある


・通常の脱水症では、脈拍(心拍数を調べる方法があるが、これは軽症から中等症では頻脈傾向となるが、重症では触れにくくなるため、この方法では重症度判定は適していない



血清浸透圧は血清Na濃度にほぼ比例するため、等張性脱水、高張性脱水、低張性脱水の分類はできるが、重症度判定では適していない



・尿量についても、重症度判定には利用はできるが、外来での把握は困難なためこの場合は適していない


脱水症の分類について(外来で重症度判定には適していないが、治療と同時に電解質チェックは重要である)


初期輸液時はデータが間に合わないため、7割以上が等張性脱水のため、一先ず等張性脱水の処置をし、維持輸液時にNa補正を行っていく(高張性は5%ほどで、低張性はまれ)


尚、定義については以下の通りとなる



脱水症の分類血清Na値
低張性脱水130mEq/L以下
等張性脱水131〜149mEq/L
高張性脱水150mEq/L以上
脱水症の分類について


等張性、低張性は細胞外液の脱水だが、高張性脱水は細胞内液の脱水であり、脱水症状が著明に現れにくいことから軽症と判断してしまうことがある


低張性脱水は、Na喪失型と言われ、細胞外液が低張となることで細胞外から細胞内への水移動がおきる状態である


細胞外液が更に減少し、頻脈、血圧低下(起立性低血圧)、末梢循環不全等を生じる、また、細胞内液は増加し細胞浮腫を生じる(頭痛、けいれん、悪心・嘔吐、意識障害


高張性脱水は、水欠乏型と言われ、水分の喪失がNaの喪失を上回っている時に起こるものである


この、細胞外液が高張(血清浸透圧の上昇)となることで細胞内から細胞外への水移動が起きる状態である


そのため、循環血液量の減少は軽度であり、脱水徴候が見られにくい


→細胞外液の推移はやや緩和されるが、細胞内液は減少し、細胞脱水を生じる口渇や口腔粘膜の乾燥中枢神経系への易刺激性などを認めることあり)


→乳児における張性脱水奮、渇、熱の3症状が挙げられる(3つの「コウ」)


等張性脱水は細胞内外液は特に不変である


以下、分類ごとに特徴がまとめてあります


項目低張性脱水等張性脱水高張性脱水
代表的疾患熱傷
利尿剤服用時
アジソン病
など
熱症
出血時
など
発熱、発汗過多、下痢
急性腎不全回復期
尿崩症
など
脱水の分類について



脱水の分類ごとの症状について


それぞれの脱水時の症状について表にまとめると以下の通りとなる


項目低張性脱水等張性脱水高張性脱水
体温低下する
(循環不全による)
低下する
(循環不全による)
上昇する
(筋痙攣、発熱中枢異常による)
外液、内液両方の変化による症状


項目低張性脱水等張性脱水高張性脱水
皮膚ツルゴール※かなり低下低下低下
脈拍かなり上昇上昇上昇
起立性低血圧軽度にあり軽度にあり
循環不全・ショック軽度にあり軽度にあり、または無し
ヘマトクリット値やや増加
(体液低張で血球容積増大)
やや増加やや増加
(血液濃縮)
尿量減少無し〜軽度にあり無し〜軽度にあり著明に減少する
細胞外液減少時の症状について


ツルゴール(turgor):子供のお腹の皮をつまんで少し引っ張り上げて手を離すことで、脱水が高度であれば皮膚が戻りにくい状態を示す
(この状態を「ツルゴールの低下」と表現する)


項目低張性脱水等張性脱水高張性脱水
意識障害あり
(傾眠から昏睡へ至る)
様々ありあり
(興奮から昏睡へ至る)
口渇感あり
(無いこともある)
なし大いにあり
(口腔)粘膜乾燥あり大いにあり大いにあり
深部腱反射減弱様々あり亢進
悪心・嘔吐あり
(脳浮腫による)
なしあり
(無いこともある)
頭痛あり
(脳浮腫による)
なしなし
細胞脱水または細胞浮腫の症状について(中枢神経細胞含む)


脱水の重症度合いの評価方法について


重症度合いで見ていくと以下の通りにまとめられる





体重減少軽症中等症重症
乳児<5%5%〜10%>10%
幼児〜<3%3〜9%>9%
脱水の程度、評価方法について1


10%以上の体重減少は入院が必要と判断



皮膚所見軽症中等症重症
緊張度
(ツルゴール)
良好低下かなり低下
色調青白い浅黒い斑点状
口腔粘膜乾燥かなり乾燥カラカラに乾燥
四肢体温ややひんやりひんやり冷たい
意識状態正常正常嗜眠
啼泣時の涙出る出るが少ない出ない
大泉門平坦少し陥凹明らかな陥凹
脱水の程度、評価方法について2


全般的に重症度によらず眼窩陥凹はみられる



循環状態軽症中等症重症
血圧正常正常〜低下低下
脈拍正常または軽度頻脈頻脈頻脈
触知困難
毛細血管再充満時間※正常
2秒以内
延長
2〜3秒
著しく延長
3秒以上
尿量軽度低下低下無尿
脱水の程度、評価方法について3


毛細血管再充満時間:爪床を蒼白になるまで圧迫し、それを解除したときに元の充血した状態に回復するまでの時間のこと



各検査所見軽症中等症重症
BUN
(尿素窒素)
正常上昇著明に上昇
尿比重≒1.020>1.030>1.035
脱水の程度、評価方法について4




脱水症について


脱水症とは、体液量(細胞外液量)が減少した状態であり、通常は水分だけでなくNaの喪失を伴う


原因には、下痢、嘔吐、腎臓・皮膚からの体液喪失、水分摂取量の不足などがある


通常、乳幼児は体重あたりの水分量は多いため、脱水症状に陥りやすい(ウイルス性胃腸炎によるものなどで引き起こされる)


<治療>


・軽症から中等症:経口補水療法


→乳児の脱水は通常はKを含まないNa濃度の高い輸液を選択すること



・重症:経静脈輸液療法


→重症脱水症の初期輸液は循環血液量の回復が目的となるため、細胞外液型溶液(血清電解質の組成に近い)※1を用いること


また、重症ではアシドーシスを伴うことが多いためアルカリ剤(乳酸Naなど※220〜30mEq/L添加することがある


初期輸液では大量に輸液するため、その際にNaが含まれない溶液を用いること低Na血症で脳浮腫などを引き起こすことがあるため、禁忌となる

体内のカリウムは9割が尿排泄のため、半日以上排尿が確認できない場合は高カリウム血症の危険性が高いといえる。そのため、血清濃度以上のKを含むものは投与禁忌である


※1 細胞外液型溶液Na濃度90〜154mEq/LK濃度0〜4mEq/Lのものとなる


※2 乳酸Na:乳酸は代謝されることでHCO3-を生じるため、アルカリ化剤として機能する


<脱水症に対する経静脈輸液について>


(1)脱水の程度と型について把握すること


(2)初期輸液の投与


等張液(生食や乳酸リンゲル液など)低張液(1号液)で、投与速度が10〜20mL/kg/hrとし、排尿が見られるまで行う


(3)維持輸液の投与


利尿後は3号液あるいは2号液を用いて、Holiday Segar式(ホリディ・セガール)※から必要水分量を換算する


Holiday Segar式


・0〜10kg:100/kg


・10〜20kg:1,000mL + 50mL(Wt - 10kg)


・20〜30kg:1,500mL + 20mL(Wt - 20kg)


または、1,500〜2,000mL/m2/day


患児で、脳炎、肺炎、気管支炎を患っている場合輸液投与量が過剰になりすぎるとSIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)※となることがある

→このため、輸液量は維持輸液量の3分の2程度とする


SIADH:下垂体の抗利尿ホルモンであるバソプレシンが過剰分泌されている状態で、このバソプレシン作用により体液が維持されてNa濃度が希釈されて低下している症候をいう(低Na血症)



輸液製剤の種類について


先ほどの脱水症状にはそれぞれ適した輸液を使用することが必要となるため、それぞれの輸液の組成についてはしっかり把握しておくことが大事である


<補充する目的別>


等張液:細胞外の補充
     ┃
     ┣ 生理食塩水
     ┃
     ┗ 乳酸リンゲル液


低張液 ┳ 主に細胞外補充
    ┃  ┃
    ┃  ┣ 1号液
    ┃  ┃(点滴開始液)
    ┃  ┗ 2号液
    ┃   (細胞内修復液)
    ┃
    ┗ 主に細胞内補充
       ┃
       ┣ 3号液
       ┃(維持液)
       ┗ 4号液
        (術後回復液)


自由水:主に細胞内補充
     ┃
     ┗ 5%ブドウ糖液


<それぞれの特徴について>


生理食塩水0.9%食塩水のことを指しており、浸透圧が血漿と等しいもの


ほぼ全量が細胞外液へ分布する



乳酸リンゲル液NaClにKとCaを加えたもので、細胞外液の生理的組成に近づけているもの


細胞外液に分布



1号液カリウムを含まない溶液で、小児の初期輸液や、腎不全に使用できる



2号液:1号液よりもNa濃度が低く、細胞内液の主要な電解質であるKやPを添加したもの


細胞内外へ分布



3号液1日2,000mL1日分の水分、電解質所要量となる(水分と電解質を維持する)



4号液:電解質濃度が最も低い溶液で、水分補給に用いられる


→これは3号液からKを取り除いたものにほぼ組成が近く新生児や腎不全患者に用いることができる



5%ブドウ糖液:ブドウ糖は投与後に速やかに代謝されるため、自由水補給の第一選択として用いられる(エネルギー補給には向かない)※


5%ブドウ糖液は、投与直後の溶血を防ぐため、5%ブドウ糖液自体は等張となっているが、投与後に血液循環による希釈細胞内に取り込まれて代謝されるため、臨床的には自由水(真水)を投与しているということと同じになる



輸液製剤の種類配合
(等張水:自由水)
生理食塩水1:0
乳酸リンゲル液1:0
1号液3:2
2号液2:1
3号液1:2
4号液1:4
5%ブドウ糖液0:1
輸液製剤の種類について


輸液製剤の種類Na+
(mEq/L)
K+
(mEq/L)
Ca2+
(mEq/L)
Cl-
(mEq/L)
Lactate-(乳酸)
(mEq/L)

(%)
生理食塩水1540015400
乳酸リンゲル液13043109280
1号液900070202.6
2号液8420066203.2
3号液3520035204.3
4号液300020104.3
5%ブドウ糖液000005
輸液製剤の種類について



軽度の脱水症の対応について


嘔吐下痢症の食事療法は統一的な考え方が確立はしていないことに留意しておくこと

・乳児で嘔吐下痢症を呈し、脱水症状が軽度に見られている場合では、食事療法は消化管に負担のかからないものとしてお粥状にし、食塩添加をするなどが良いといえる


母乳は人工乳に比べて吸収しやすいため、消化管への負担は少ないことから、軽度であれば母乳中止をする必要はないと考えられる


糖分は消化管への負担が大きい



ショックの分類について



循環血液量減少性ショックには


外傷や消化管出血などによる大量出血

嘔吐・下痢、熱中症などによる脱水

広範囲熱傷や汎発性腹膜炎などによる血管透過性亢進


などが原因として挙げられる


血液分布異常性ショックには、アナフィラキシー、脊髄損傷、敗血症などが挙げられる


心原性ショックには、心筋梗塞、弁膜症、重症不整脈、心筋炎、心筋症などが挙げられる


心外閉塞・梗塞性ショックには、肺塞栓、心タンポナーデ、緊張性気胸などが挙げられる




小児の下痢症について



母乳栄養児では、生理的に下痢をきたすが、これは体重が増えていれば問題ないとされる(経過観察)


小児の下痢症には急性と慢性があるが


急性下痢症では脱水症となり、慢性下痢症では栄養失調となる


急性下痢症では主に感染性であり


腸管内ではロタウイルスなどのウイルス性

・細菌性ではカンピロバクター、サルモネラ菌


などが挙げられる


他臓器の感染では、中耳炎、肺炎、尿路感染症などがある


慢性下痢症では様々な要因がある


・ミルクアレルギー

・免疫不全症(AIDS、原発性免疫不全)

・抗菌薬投与による菌交代現象

・酵素、内分泌、代謝、電解質異常によるもの

・肝臓・膵臓疾患(膵嚢胞性線維症など)

・慢性炎症性疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)



乳幼児突然死症候群(SIDS)について


SIDS(Sudden Infant Death Syndrome)は、直前まで元気だったのに事故や窒息などで眠っている間に突然死してしまう症候群である

また、死亡状況調査及び解剖検査によってもその原因が同定されないときである

原則、1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群をいう


・頻度は出生児の6,7千人に1人の頻度であるが、リスクファクターを減らすことでより減少させることができる


・はっきりした原因は不明


月齢2ヶ月から6ヶ月程度の乳児に多い


リスクファクターには、男児、早産児、低出生体重児、冬季、早朝から午前中、うつ伏せ寝、両親の喫煙や副流煙のある環境(リスクは4.7倍となる)、人工栄養児などが挙げられる


→冬のリスクファクターとは、過度に服を着せる、暖めすぎるということにある。これによって、高温環境となり、赤ちゃんは呼吸が浅くなりがちとなる


・この他、柔らかめの寝具(枕など)、ぬいぐるみ、添い寝などもリスクが高いといえる


→そのため、寝具は固めのものを使用することが推奨されている


<例外について>


うつ伏せ寝が推奨される条件について、呑気が強く溢乳(いつにゅう)がひどい状態の時は、監視下でうつ伏せ寝をするとよいとされる


しかし、基本は仰向けで子供の顔を見られるようにしておくことがベターである


<SIDSの予防法について>


以上を踏まえ、予防としては


(1)乳児の近くでの喫煙や妊娠中の喫煙はしないこと


(2)うつ伏せ寝はさせないこと


(3)栄養はできるだけ母乳で育てること


(4)乳児に過度な厚着をさせたり、暖めすぎたりしないこと


が挙げられる


窒息などの外因子では、異状死として取り扱われ、警察に届け出が必要となる

SIDSは剖検をしないで診断することが多いため、外因子の隠れ蓑だったり、裁判での免罪符に悪用されることもある

後に虐待が発覚するということも多いとされるため、判断には注意した方が良い


<参考>

平成9年度厚生省心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究(主任研究者:田中哲郎)」より


以上で小児科の総論はここまでとなります

次回からは各論として、臓器ごとの疾患をみていきます


<参考紹介>

メディックメディア:クエスチョン・バンク vol.4 小児科

病気がみえる:vol.10 産科

注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
できる限り正確な情報発信に努めておりますが、当サイトに記載した情報を元に生じたあらゆる損害に対しては当サイトは一切責任を負いませんので、あくまでも参考としてご利用ください。


    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

    -小児科編
    -, ,