消化器編

消化器編⑦ 消化管ホルモン、消化酵素、栄養素について(総論的)

医学を学ぶ

ここでは、主に消化器系の消化管ホルモン、消化酵素、栄養素とその吸収部位などについてまとめたものとなります。

また、体内動態変化の考え方についてもまとめます。

各ページからリンクで作っていく予定です。


注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


消化管ホルモンについて


消化管ホルモン分泌部位主作用
ガストリン胃幽門前庭部十二指腸上部G細胞胃運動の亢進

・下部食道括約筋(LES)の収縮

・胃壁細胞の増殖

胃酸やペプシノゲンの分泌亢進酸性化する

・幽門括約筋とOddi括約筋弛緩

CCKと類似
セクレチン主に十二指腸球部S細胞膵液(重炭酸)の分泌促進

・胆汁の産生促進

・胃酸分泌を抑制し、アルカリ性化する

・幽門括約筋の収縮

VIPやグルカゴンと類似
コレシストキニン(CCK)十二指腸空腸I細胞・胆嚢の収縮

・Oddi括約筋の弛緩

・セクレチン作用を増強

・幽門括約筋の収縮
ソマトスタチン・膵臓ランゲルハンス島

・胃(幽門部と胃底腺領域)

・十二指腸のD細胞
ガストリンやセクレチンなどの消化管ホルモンを全体的に抑制する
GIP十二指腸と空腸近位部のK細胞インスリン分泌促進:消化管腔内のグルコースに反応して分泌が促進。

・胃液分泌抑制
VIP(血管作動性腸管ポリペプチド)上部小腸の神経消化管平滑筋弛緩(NO生成によるもの)

・胃液分泌抑制

・膵液分泌促進(セクレチン作用)

血管拡張心拍出量増加
モチリン小腸胃や腸管の運動を亢進する
消化管ホルモンについて



ガストリンの分泌を亢進するもの


胃内容物の刺激、迷走神経刺激、Ca、胃酸分泌の低下(悪性貧血やPPIなど)がある。


ガストリン分泌を抑制するもの


胃酸の刺激、セクレチン、ソマトスタチン、GIP、VIPによるものなどがある


消化酵素と分解産物のまとめ


消化液消化酵素基質分解産物
唾液唾液アミラーゼデンプンデキストリン

麦芽糖
胃液ペプシンタンパク質ポリペプチド
胃リパーゼ脂肪脂肪酸

グリセリン
膵液トリプシン蛋白

ポリペプチド

キモトリプシノゲン
小ポリペプチド

キモトリプシン
キモトリプシン蛋白

ポリペプチド
小ポリペプチド
カルボキシペプチダーゼポリペプチドC端から分解

アミノ酸
膵アミラーゼデンプン二糖類
膵リパーゼ脂肪

トリグリセリド(TG)
脂肪酸

グリセリン
腸液エンテロキナーゼトリプシノゲントリプシン
アミノペプチダーゼポリペプチドN端から分解

アミノ酸
ジペプチダーゼジペプチドアミノ酸
マルターゼ麦芽糖ブドウ糖
ラクターゼ乳糖ブドウ糖

ガラクトース
スクラーゼショ糖ブドウ糖

果糖
腸リパーゼ脂肪脂肪酸

グリセリン
消化酵素と分解産物について




栄養素と吸収部位について


吸収部位吸収する栄養素欠乏、代謝異常時原因
十二指腸~空腸上部Feヘモクロマトーシス粘膜バリアの破壊
鉄欠乏性貧血
(低色素性)
鉄分の摂取不足
Ca、MgテタニーCa、Mgの摂取不足
空腸電解質骨軟化症Pの吸収低下
(吸収不良症候群)
水分(80~90%)脱水吸収不良症候群
糖質下痢

体重減少

衰弱
タンパク質浮腫

腹水

衰弱
脂肪脂肪便性下痢

衰弱
脂溶性ビタミンVA:夜盲症

VD:くる病、骨軟化症

VE:溶血性貧血

VK:Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の低下
(語呂:肉納豆)
水溶性ビタミンVB1:脚気、Wernicke脳症

VB2: 口角炎、舌炎

VB6:末梢神経障害

ニコチン酸:ペラグラ

VC:壊血病
葉酸巨赤芽球性貧血
回腸末端VB12
(内因子、キャッスル因子)
巨赤芽球性貧血胃全摘などにより
吸収不良症候群を呈する
胆汁酸塩の再吸収
(腸肝循環)
進行性脂肪吸収障害回腸Crohnにより
吸収不良症候群を呈する
大腸水分(10~20%)、電解質下痢

衰弱
吸収不良
栄養素と吸収部位について


ヘモクロマトーシス鉄代謝異常による疾患のこと。


は過剰となることで、ラジカル産生を引き起こしやすくなり


心不全、不整脈、肝不全、内分泌・発育障害、発がんなどの重篤な臓器障害を呈する


そのため、通常生体内ではかなり精微に調節されている。


テタニー:血液中のカルシウム濃度が低下することで


末梢神経の興奮性が高まり、筋肉の持続的な硬直をきたすもの。


他には、口回りや手足先端のしびれ感を伴うことがある。


ペラグラ:これは、ニコチン酸だけでなく他の栄養素も不足していることで起きてくる。


症状は、全身倦怠感やふらつき、下痢、両手背紅斑などで


皮膚症状(dermatitis)、消化器症状(diarrhea)、精神・神経症状(dementia)がみられる。

3Dといわれる)


(参考:ペラグラの1例 477-482_原著_一ノ宮愛他 (jst.go.jp)(閲覧:2021.9.1))




低血糖症状について


①交感神経緊張症状


急速な血糖値低下が起こった時に生じるもの。


50~70mg/dLに急激に低下すると主に交感神経緊張症状がでてくる。


これは、血糖値の低下によって


副腎髄質からカテコールアミン(カテコラミン)の分泌が増加することでおこる。


症状:心悸亢進、頻脈、発汗、振戦、血圧上昇、顔面蒼白など


②中枢神経症状


緩徐な血糖値降下を生じるときにおこる。


緩徐に50mg/dL以下になることで中枢神経症状を呈する


これは血糖値の低下および、それによる脳血管拡張に起因するもの


症状:振戦、痙攣、頭痛、異常行動、意識障害、複視など


手術時の体内動態変化について


ポリペクトミーなどの切除、経鼻胃管、穿刺(腎瘻、膀胱瘻など)するとき


というのは、血小板、抗血小板薬、抗凝固作用については確認する必要がある。



低血糖時、全身状態が悪いようであれば大腸ポリープの内視鏡検査はすぐ行わない


<参考文献>

メディックメディア Question Bank vol.1 消化器

ビジュアルブック 消化器疾患


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    • この記事を書いた人

    Nitroso.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました ・趣味はジム通い、ドライブ、ドラム、プログラミングなど様々あります

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