(注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)
消化器編⑤に引き続き、胃・十二指腸潰瘍についてまとめていきたいと思います。
癌や手術というのはなかなか学ぶ機会がないため、初めて聞く単語が多いかと思います。
どのように手術を選択して、どういうことをしているのかを大まかでも把握するだけでも良いかと思います。
急性腹症の症状、反応に対する考え方についての一例
・腸雑音消失:麻痺性イレウスを考える。
→ アミラーゼ値上昇のことあり (詳細後述)
この他、肝濁音界消失などがある。
・腹部の板状硬化:腹膜炎などが考えられる
→ 臓器の穿孔などで出血があり、腹膜に症状が出ている状態を考える
・上記に加え
・体温38.5℃、脈拍100回/分以上
・WBC:10000を超えている
ようならば
→ SIRS(全身性炎症反応症候群)も考える
(体温高く、WBCが高い → 炎症反応)
→ これであれば全身性ショックで致死的な状態といえる
→ 緊急手術が必要な可能性が高い
・CT検査で遊離ガス:消化管穿孔の所見
→ アミラーゼ値の上昇のことあり(詳細後述)
・CT検査で腸管の拡張像:腸閉塞の所見
→ 腹部単純X線の鏡面像所見の評価が必要
・腹水:肝硬変だったり、他の所見も考えたうえであれば腹膜炎の所見も考えられる
・膵臓の腫大、嚢胞、膵管の拡張、膵臓周囲の液体貯留などの所見:急性膵炎を考える
→ 生化学検査が必要
高アミラーゼ血症をきたすことのある疾患について
項目 | 穿孔 | イレウス | 膵炎 |
---|---|---|---|
症状 | 腹痛 | 腹痛 | 腹痛 |
腹部初見 | 板状硬 | 膨隆 | ・Cullen(カレン)徴候※1 ・Grey-Turner(グレイ-ターナー)徴候※2 |
X線所見 | free air (CTにおいてだが、低吸収域には体液貯留が考えられる重要な所見) | niveau(二ボー、鏡面像) | ・sentinel loop sign※3 ・colon cut-off sign※4 |
※1 膵臓周辺に染み出た血性滲出液が皮下に移動して臍周辺の皮膚が暗赤色に染まる徴候をいう。
DICを合併しやすい
※2 側腹部の皮膚着色斑をいう
※3 左上腹部の局所的な小腸拡張像
※4 炎症の波及により内腔が狭小化し、口側が拡張するために生じたもの。
大腸の脾湾曲部や下行結腸、横行結腸に多く見られる
バリウム検査について
消化管の閉塞や消化管の穿孔疑いがある場合に用いることは禁忌である。
→ バリウムは消化管粘膜、腹膜から吸収はされずに腸閉塞や腹膜炎の原因になるため。
※食道アカラシアは器質的疾患による閉塞ではないため、バリウムの食道通過は可能
まれに副作用として、ショック、アレルギー症状、バリウム停滞による消化管穿孔、腸閉塞、腹膜炎、虫垂炎を起こすこともある。
----------バリウムが使用できない例に対して
水溶性造影剤のガストログラフインを用いるとよい。これは、消化管粘膜や腹膜から吸収されて腎排泄となる。
消化管穿孔時の対応について
消化性潰瘍による穿孔では、ピンホール状の小さな穴であれば
胃液により細菌もほとんど存在していないことから
手術はしなくても良いとなってきている。
大腸に関しては、細菌が多いため穿孔がみられれば腹腔洗浄やドレナージが必須となっている。
胃腫瘍の種類について
胃腫瘍
┣ 上皮性腫瘍
┃ ┣ 良性 ━ 腺腫
┃ ┗ 悪性 ━ 癌
┃
┗ 非上皮性腫瘍
┣ 良性 ┳ 平滑筋腫
┃ ┣ 脂肪腫
┃ ┗ 神経線維腫
┃
┗ 悪性 ┳ GIST
┣ 悪性リンパ腫
┗ 平滑筋肉腫
消化管の癌まとめ
※下に進むほど進行しています
胃癌
┃ <早期胃癌>
┃
┣ 粘膜層(M)に留るもの
┣ 粘膜下層(SM)
┃
┃ <進行胃癌>
┃
┣ 固有筋層(MP)
┣ 漿膜下層(SS)
┗ 漿膜を越えている(SE)
・大腸癌の早期癌の定義も、胃癌と同じで粘膜下層(SM)に留まっていることである。
・食道癌の早期癌の定義では、粘膜層(M)に留まっていることである。
これは、漿膜が無いことから基準が厳しいものとなっています。
つまり、粘膜下層まで浸潤しているということは
周囲のリンパ管網が豊富なところまで浸潤しているということであり
リンパ節転移のリスクが高いという解剖学的特性があるためです。
良性潰瘍と胃癌の鑑別について
項目 | 良性潰瘍 | 胃癌 |
---|---|---|
雛壁 | ・全周はほぼ均一 ・中心が一点に集合 ・漸減消失 ・病変と先端の境界は不鮮明 | ・全周は不均一 ・多中心性 ・途絶、中断、先細り ・棍棒状肥大、癒合 |
辺縁 | ・平滑で円形 ・再生上皮は均一 ・柵状で放射状 ・規則的、周囲立ち上がりはゆるやかで平滑 | ・不整、虫食い像(蚕食像) ・不規則な凹凸 ・小結節 ・発赤、褐色白苔ののびだし ・周囲急峻で不整な立ち上がり |
陥凹底 | 厚くきれいな白苔 | ・白苔が不均一 ・薄く底が透けている ・島状の再生上皮島(聖域) |
⑧胃癌や食道癌、大腸癌では肉眼型分類というのもあります。
この、肉眼型分類というのはあくまでも形態の分類であって深達度とは関係はありません。
そのため、表在型といわれ0型という表記で表されます。
※つまり、見た目が早期癌に見えていても実際には進行癌の深達度である場合もあります。
0型(表在型)の分類について(早期癌)
・0-Ⅰ型(隆起型)
┗ 明らかな隆起がある
・0-Ⅱ型(表面型)
┣ 0-Ⅱa型(表面隆起型)
┃ ┗ 軽度の隆起
┃ (2~3mmまで)
┃ (表面凹凸が少ない)
┃
┣ 0-Ⅱb型(表面平坦型)
┃ ┗ 平坦
┃
┗ 0-Ⅱc型(表面陥凹型
┗ 浅い陥凹
・0-Ⅲ型(陥凹型):潰瘍があり、その辺縁の一部に限局して癌があるもの
・0-Ⅲ型で低分化型腺癌では、胞体内に粘液を貯留したsignet ring cell(印環細胞)を認めることがある。(これは、H-E染色で確認)
→ これは印環細胞癌と診断される
※印環細胞のH-E染色について
細胞の核は偏在しており、粘液を持つため、細胞質は染色されず白く抜けて見える
治療法:胃切除+リンパ節郭清
(悪性腫瘍のリンパ行性転移に対する処置としてリンパ節を切除する外科的治療法のこと)
頻度は 0-Ⅱc型(表面陥凹型) が一番多く、胃癌の三分の一を占めるほど。
同じく三分の一ほどは0-Ⅱc混合型※である。
(※混合型:0-Ⅱc型+Ⅲ、0-Ⅱc型+Ⅱa、0-Ⅲ型+Ⅱc)
表記の仕方として、病変が広い方から順に記載して+でつなげる
<早期胃癌Ⅱc型の特徴について>
・粘膜雛壁の棍棒状変化
・粘膜雛壁の融合
・島状結節性隆起
・島状粘膜残存
がみられる
隆起型の早期胃癌(0-Ⅰ、 0-Ⅱa型 )では老年者に多く、分化型腺癌が多い。
通常、正常または隆起型では胃酸分泌は低下する。
陥凹型では胃酸が増加する傾向にある。
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進行癌(胃癌など)の分類について
1型 ━ 隆起腫瘤型
- 隆起しており、周囲との粘膜の境界が明瞭である。隆起部の陰影欠損
2型 ━ 潰瘍限局型
- 潰瘍を形成し、周囲との粘膜の境界は比較的明瞭で潰瘍周囲はドーナツ状に盛り上がりがある
- 周堤部の陰影欠損と中心部の潰瘍のバリウム貯留(正面ニッシェ)
- 陰影欠損、潰瘍部の バリウム貯留(側面ニッシェ)
3型 ━ 潰瘍浸潤型
- 潰瘍を形成し、周囲との粘膜の境界は不明瞭で潰瘍周囲は隆起性
- この他、2型と所見は同じ
- 肝転移や傍大動脈リンパ節転移がみられることもある(造影CTより)→みられればステージ4である(TNM分類)
4型 ━ びまん浸潤型
- 潰瘍もドーナツ状の盛り上がりもなく、胃壁は厚く堅い、病巣と周囲の粘膜の境界は不明瞭
- Giant foldを認める
- 比較的若年女性にみられ、予後不良である(比率として40代までは女性が多く、それ以降では男性比が高くなる)
- 腹膜播種をきたしやすい(腹膜に生着すること)これの、確定診断は腹水中の癌細胞があるかを証明する
→ 進行により、血性腹水、腸閉塞をおこす
(癌性腹膜炎:これは滲出性であり、高蛋白であることが多い)
→ このため、スキルス(硬化癌)と呼ばれる。(胃壁の肥厚で進展不良の鉛管状のこと) - 腹膜播種の転移:Douglas窩、卵巣(女性の場合)、膀胱直腸窩(男性の場合)→ 直腸診
- 随伴症状としてDIC合併も可能性としてある
- 組織型は印環細胞癌または低分化腺癌が多く、予後が極めて不良
5型 ━ 分類不能
胃粘膜下腫瘍について
胃粘膜下腫瘍
┣ 間葉系腫瘍
┃ ┣ GIST(消化管間質腫瘍)
┃ ┃
┃ ┣ 筋原性腫瘍
┃ ┃(平滑筋腫、平滑筋肉腫)
┃ ┃
┃ ┗ 神経原性腫瘍
┃ (神経鞘腫など)
┗ その他:迷入膵、悪性リンパ腫、消化管カルチノイド、転移性腫瘍など
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- 胃GIST:間葉系腫瘍の一つ。EUS(超音波内視鏡)では第4層(筋層)と連続した低エコー腫瘤として描出。
- 迷入膵:異所性膵といい、膵臓と全く違う臓器に膵臓の組織が紛れ込んでしまうものをいう。
胃の出口付近や十二指腸などが好発部位である - 消化管カルチノイド:虫垂や回盲部に好発するセロトニン産生細胞からなる比較的良性の腫瘍のことである。
肝転移をおこすと、生理活性物質が肝臓で代謝されずに全身を循環し、喘鳴や下痢、顔面紅潮などの症状を呈するようになる。
<参考>
カルチノイド症候群 - 10. 内分泌疾患と代謝性疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)(閲覧:2021.8.29)
治療法、内視鏡検査についてのまとめ
・治療方針決定のためには、拡大内視鏡(病変の深達度評価や浸潤傾向の評価)や超音波内視鏡(病変の深達度評価)が適している
・消化性潰瘍の治療:PPI投与+迷走神経切離
・深達度SMの胃癌:胃切除
・RC signを伴う食道静脈瘤:EISやEVLの適応(消化器編③の⑥参照)
・進行胃癌:転移があれば化学療法、なければ胃全摘の適応
※胃癌の放射線治療は感受性が低い
これは、類似する肉腫やリンパ腫例もあるため、生検での確認が必要である
・早期胃癌:ESD※(内視鏡的粘膜下層剥離術)の適応 (以下参照)
※ESD:粘膜下に食塩水などを注入し、切開ナイフなどにより病変周囲粘膜を切開後、粘膜下層を剥離切除する方法。
腫瘍の大きさに関係なく一度に摘除が可能だが、穿孔リスクがある。
EMR(内視鏡的粘膜切除術)より高度な手技となっているが一般化してきている。
※胃癌は一般的にホルモン依存性ではないため、ホルモン療法の適応とはならない
早期胃癌の内視鏡治療の適応について
・深達度は粘膜層(M)に留まっているもの
潰瘍の有無
┣(ー)
┃┃┃
┃┃分化型
┃┃┣ 2cm以下
┃┃┃→EMR/ESD絶対適応
┃┃┃
┃┃┗2cmを超える
┃┃ →ESD絶対適応
┃┃
┃┗ 未分化型
┃ ┣ 2cm以下
┃ ┃ →適応拡大
┃ ┃
┃ ┗ 2cmを超える
┃ →適応外
┃
(+)┳ 分化型
┃ ┣ 3cm以下
┃ ┃ →ESD絶対適応
┃ ┃
┃ ┗ 3cmを超える
┃ →適応外
┗ 未分化型はなし
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TNM分類について
T因子:壁深達度
胃癌
┃ <早期胃癌>
┣ 粘膜層(M)に留まる:T1a
┣ 粘膜下層(SM)に留まる:T1b
┃
┃ <進行胃癌>
┣ 固有筋層(MP):T2
┣ 漿膜下層(SS):T3
┣ 漿膜を越えている(SE):T4a
┗ 直接多臓器転移(SI):T4b
※早期胃癌ではリンパ節転移の有無は問わない
※SMにおいて、粘膜筋板から0.5mm未満のものをSM1、それより深ければSM2とする
N:リンパ節転移の程度
N0、N1、N2、N3a、N3bがある
M:その他の転移の有無と部位
T/Nにかかわらず、M1 これがあればⅣ期
これにより、ⅠA~Ⅳ期に分類されて、各進行度に応じて治療が検討される
T1a,T1b ┳ N0 ━ ⅠA期
┣ N1 ━ ⅠB期
┣ N2 ━ ⅡA期
┣ N3a ━ ⅡB期
┣ N3b ━ ⅢB期
┗ M1 ━ Ⅳ期
T2 ┳ N0 ━ ⅠB期
┣ N1 ━ ⅡA期
┣ N2 ━ ⅡB期
┣ N3a ━ ⅢA期
┣ N3b ━ ⅢB期
┗ M1 ━ Ⅳ期
T3 ┳ N0 ━ ⅡA期
┣ N1 ━ ⅡB期
┣ N2 ━ ⅢA期
┣ N3a ━ ⅢB期
┣ N3b ━ ⅢC期
┗ M1 ━ Ⅳ期
T4a ┳ N0 ━ ⅡB期
┣ N1 ━ ⅢA期
┣ N2 ━ ⅢA期
┣ N3a ━ ⅢB期
┣ N3b ━ ⅢC期
┗ M1 ━ Ⅳ期
T4b ┳ N0 ━ ⅢA期
┣ N1 ━ ⅢB期
┣ N2 ━ ⅢB期
┣ N3a ━ ⅢC期
┣ N3b ━ ⅢC期
┗ M1 ━ Ⅳ期
胃の手術について
胃切除をしたら縫合により再建する必要があるが、方法としては以下が挙げられる
①噴門側胃切除術
②幽門側胃切除術
┣ BillrothⅠ法(ビルロート)
┗ BillrothⅡ法
③胃全摘術
Roux-en-Y法(ルーワイ)
胃切除後症候群について
- ダンピング症候群:詳細は消化器編⑤へ記載
- 輸入脚症候群
胃や膵頭十二指腸を切除し、小腸の一部を用いて縫合したものを輸入脚といい、ここに食べ物がたまることで、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が現れことをいう。 - 盲係蹄症候群(盲管症候群、blind loop症候群)
・手術によって生じるもので、上部消化管内の腸内細菌数が異常に増加することをいう(腸内細菌異常増殖症候群)
・あるいは腸内細菌構成菌種が変化して増殖することによって吸収不良症候群を呈する病態である
・症状として、腹部膨満・腹痛・下痢・貧血・脂肪吸収障害などがある
・bacterial overgrowthを生じるという - 消化吸収障害、消化不良、下痢
- 胃切除後貧血、無胃性貧血
全摘では内因子の喪失によりVB12の吸収障害※がおこり、巨赤芽球性貧血を呈する。(これについてはM-Q16参照)
術後3~10年で発症する。治療はVB12製剤の投与(非経口)
この他、Fe、Ca、VDも吸収障害※となるため、鉄欠乏性貧血や骨病変もおこりうる
※Feは胃酸によって吸収されやすいFe2+となるため、胃酸が欠乏している状態で貧血を呈する。(発症まで数年はかかる)
※VB12は内因子と結合し吸収されるため、貧血を呈する。(発症まで5,6年はかかる) - 骨代謝障害:上記理由によりおこる
- 小胃症候群:胃が小さくなることで起こる症状を総称したもの。小食でも膨満感を感じたり、左肩痛や悪心がみられることがある。
- 逆流性食道炎
- 胆石症:胃と併走している迷走神経切離のため、胆嚢収縮能低下と胆汁組成の変化、胆汁うっ滞傾向を生じる
- 膵炎:胃と膵臓は解剖学的に近いため、胃がんなどの手術により術後膵炎を起こすことがある。
胃癌術後合併症について
胃癌(上腹部)の手術後合併症について
急性期 | 回復期 | 安定期 |
---|---|---|
出血 | 出血 | イレウス |
肺合併症(以下のとおり) | 肺合併症 | ー |
無気肺 | 吻合部通過障害 | ー |
肺炎 | 肝機能障害 | ー |
肺塞栓症 | 胆嚢炎 | ー |
など | 膵炎 | ー |
ー | 手術創感染 | ー |
ー | せん妄 | ー |
ー | など | ー |
噴門側胃切除術について
食道残胃縫合法であり、噴門が無くなるため逆流性食道炎を生じやすいが、胃の貯留能や胃酸分泌能を温存できる。
リンク先
BillrothⅠ法について(ビルロート)
- 最初の胃切除術で行われた残胃と十二指腸を吻合する再建方法のことであり、切除範囲が大きい場合では胃全摘と同じく、巨赤芽球性貧血を呈する
- 単純で生理的な経路で、合併症は少ない
- 吻合(ふんごう)は一か所
リンク先
BillrothⅡ法について (ビルロート)
- 残胃と空腸を吻合する方法
- 残胃が小さくて十二指腸に届かない場合に適している
- 十二指腸の断端に癌が残る可能性がある場合
- 断端は閉じる
- 胆汁や膵液が胃に逆流しやすくなる
- 輸入脚症候群を呈しやすくなる
リンク先
Roux-en-Y法について(ルーワイ)
- 胃全摘術後に行う再建術である。
- 十二指腸断端を閉鎖し、食道と空腸を縫合する方法
- 十分に距離をとることで、逆流性食道炎を予防できる(食道から十二指腸の距離として40cm以上離す)
- 縫合は2か所でよい
- 縫合不全による術後合併症の診断、治療のため
左横隔膜下とWinslow孔部(ウィンスロー)※にドレーン先端を留置する
- ※Winslow孔:ウィンスロー、ウィンズロー、網瘻孔ともよばれるもので、
肝十二指腸間膜の背側にある隙間のことである。
網嚢孔やウィンズロー孔とも呼ばれる。
これは腹腔内の最背部にあるため、体液が溜まりやすくドレーンが固定されやすい。
そのため、ドレーンの挿入に適している。
リンク先
- ドレーン留置の目的は
術後出血、縫合不全時の排膿、リンパ漏、膵液漏、感染などの腹腔内の情報を得ることができ
また、体液をドレナージする目的もある。
(診断と治療を兼ねている)
術式によって異なるが、手術した臓器付近、仰臥位で体液が溜まりやすい背側に留置する。
・仰臥位において腹水が貯留する場所は
左右横隔膜下、網嚢、左右傍血糖溝、膀胱直腸窩であり
ドレーンの留置場所は術式に応じて吻合部や郭清部に近い場所とする。
汎発性腹膜炎であればドレーンを複数留置するというのは一般的な事である。
胃ポリープについて
- PPIの長期投与(2年以上)で胃ポリープの発生の可能性がある
→ PPIの投与中止で退縮が見込まれる
出血を伴うようであれば、内視鏡的ポリープ切除術を行う
山田分類:胃の内腔に突出した病変について、肉眼的に4つの形態に分類したもの
Ⅰ型は隆起の起始部はなだらかで、周囲と明瞭に境界されないもの
Ⅱ型の起始部は周囲と境界されるが、くびれがないもの。隆起性病変、腺腫
Ⅲ型は起始部にくびれを有するが茎がないもの。亜有茎性
胃GIST(粘膜下腫瘍):山田分類では一般にⅠ~Ⅱ型を呈する
胃底腺ポリープは胃底部、胃体部に好発する良性のもの
無茎性で多発傾向。治療は適応するものがなく、経過観察となる。
中年女性に多く、H.pyloriに非感染例に発生。原因は不明とされるが、PPIの2年以上の長期投与と関連があると提唱
胃過形成ポリープ:所見は細胞質に粘液を有する胃粘膜被覆上皮が乳頭状に過形成を呈している。
脾臓の摘出について
脾摘することで免疫力は低下するため、重篤な感染症リスクがある。特に、莢膜※を有する肺炎菌感染症が重要である。
また、インフルエンザ菌、髄膜炎菌などにも注意。
※莢膜:莢膜多糖体を有する株があり、このような株はバイオフィルムを形成し、抗菌薬、消毒薬の到達が悪くなるため効果が低下することがある。
<参考文献>
メディックメディア Question Bank vol.1 消化器
ビジュアルブック 消化器疾患
(注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
できる限り正確な情報発信に努めておりますが、当サイトに記載した情報を元に生じたあらゆる損害に対しては当サイトは一切責任を負いませんので、あくまでも参考としてご利用ください。)
<参考>
・カルチノイド症候群 - 10. 内分泌疾患と代謝性疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)