整形外科編

整形外科疾患編① 脊髄・脊椎疾患について

整形外科

今回からは整形外科疾患編になります



注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


正常な湾曲について

頚椎は前弯、胸椎は後湾、腰椎は前弯が正常である(生理的湾曲)


急性腰痛症について


急性腰痛症とは、坐骨神経痛や下肢神経症状が見られず、画像所見でも明らかな異常が認められない急性の腰痛をいう


・原因には、椎間板の内圧が急激に上昇し、線維輪へ髄核が進入し、椎間関節での滑膜や関節包の衝突(インピンジメント)、椎体の骨軟骨微小骨折などが考えられる


・急性腰痛症とはいわゆる「ぎっくり腰」のこと


<治療・対処法>


・臥床時は、仰臥位の時間を長くとると良い

→仰臥位では膝下に枕などを置いた状態の体位が良いとされる

→これは、股関節と膝関節を屈曲させている状態であり、腰椎の前弯を減らす体位である


・腰痛だからといって柔らかいベッドに変えることは良くない

→体重の分散がされずに、部分的に負担がかかるため、適度な硬さのベッドが良い


・急性期では安静にすること

→慢性腰痛であれば、適度な運動が良い


腰痛症


・通常の腰痛症では、体幹前屈時に腰痛がひどくなる


・第3腰椎〜第5腰椎レベルでの傍脊柱筋と梨状筋部に圧痛がみられる

→腰部臀部の筋痛、坐骨神経痛が考えられる


ラセーグ徴候の有無を確認

→陰性により、坐骨神経痛や腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などによる神経障害はないと判断


深部腱反射と下肢筋力が正常であり、感覚障害が認められない

→神経障害はないと判断


腰痛症状に対して、主に鑑別を考える疾患について


急性腰痛症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離すべり症、腰部脊柱管狭窄症、変形性脊椎症、骨粗鬆症など


X線検査MRI検査で精査


<治療>


薬物療法(消炎鎮痛剤)コルセットの使用、リハビリテーション自主トレーニング指導など


重いものを持つときの動作の指導などが必要となる(介護職員など)


・腰を屈曲した状態で重いものは持ち上げないようにする

・移動は一度に多量ではなく、少しずつ行う

・介護における移乗動作は、要介護者の体を介護者に抱きつくように寄りかかり、重心を近くして移乗させる


脊髄損傷について


脊髄の損傷では、様々な神経症状を呈する

脊椎の骨折や脱臼といった脊椎の損傷から脊髄損傷を発生する場合と、骨傷がないにもかかわらず脊髄損傷が発生する場合がある


脊髄損傷は、受傷直後と回復期では症状は違う

受傷直後脊髄ショック状態となり、損傷部位以下の全ての脊髄機能が消失する


・脊髄ショックから脱したときには、完全麻痺か不全麻痺(回復の見込みあり)なのか鑑別する必要がある


・受傷後ただちに損傷した脊髄部以下の運動や知覚、自律神経及び反射機能が完全に脱落する


血圧低下がみられる


・脊髄(神経原生)ショックから回復後は、損傷部以下の痙性対麻痺がみられ、膀胱直腸障害を伴う


<脊髄ショック>


完全脊髄損傷:損傷部位以下の全感覚脱失、弛緩性麻痺、尿閉がみられる


頸髄損傷:横隔神経麻痺によって呼吸が停止し、交感神経が遮断されることから血圧低下、発汗の停止、心拍出量の低下、徐脈、Horner症候群(ホルネル)などを呈する

→深部腱反射は消失するが、回復期では亢進する


<検査>


脊椎X線検査:椎体の粉砕骨折や脱臼の確認ができる


完全麻痺か不全麻痺かの鑑別には、足趾運動、球海綿体反射、肛門周囲の知覚、肛門反射などを確認する


<治療>


急性期:安静かつ固定し、その後、手術的に整復や固定を行うことが多い



頚椎椎間板ヘルニア(CDH)について


頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の椎間板の髄核が突出して神経根や脊髄を圧迫する疾患である


椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニア


・好発:30〜50歳代の男性


・頚椎、胸腰椎移行部に多発


局所の症状では、後頚部痛、頸肩こり、頸部運動制限


神経根症状には、一側上肢の強い放散痛やしびれ、脱力、知覚障害、運動障害、深部腱反射の低下〜消失がみられる(頸部の運動で上肢の痺れが誘発されるなど)


脊髄症状には、両側性の知覚障害、運動障害(痙性歩行など)手指のしびれ、巧緻運動障害(書字困難など)、四肢の感覚障害、障害髄節より低位の深部腱反射亢進、下肢の腱反射亢進、症状の進行により膀胱直腸障害(排尿困難など)がみられる(この場合は緊急性がある)


C4/C5椎間板ヘルニアから起こりうる神経障害(高位)として、C5神経根障害、C6脊髄障害がある


C5/C6椎間板ヘルニアでは、C6神経根の障害により、C5,C6神経支配である上腕二頭筋腱反射の減弱がみられる。また、上肢の痺れなどもあり

下肢腱反射の亢進を認める場合は、脊髄症状も合併していることが考えられる


・上位ニューロンが障害された場合は、それより下位のニューロンに関わる反射は一般的には亢進するため、病的反射が出てくる

→C5/C6椎間板ヘルニアでは、この病的反射が陽性であることが多い(Hoffmann反射、ホフマン


<検査>


神経根障害では、Jacksonテスト(ジャクソン)Spurlingテスト(スパーリング)陽性を示す


MRI検査:症状と一致している高位の頸椎椎間板の突出による神経根や脊髄圧迫が確認できる

T2強調矢状断像で、高輝度変化 → 脊髄の変性や浮腫、炎症を示す


<治療>


先に保存療法である薬物療法(疼痛管理)神経ブロック頸椎カラー物理療法を行う


奏功しない場合は手術療法となる(前方除圧固定術内視鏡下椎間板切除術(MED)


C5〜T1の障害高位診断について


脊髄損傷は、高位診断や急性期の神経原性ショックやリハビリなどを含め把握しておくことが必要である


高位障害神経根感覚障害運動障害反射異常
C4〜C5C5上腕外側三角筋
上腕二頭筋
上腕二頭筋
腱反射低下
C5〜C6C6前腕外側
(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ指)
上腕二頭筋
手根伸筋
腕橈骨筋
腱反射低下
C6〜C7C7中指
(Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ指)
手根屈筋
指伸展
上腕三頭筋
腱反射低下
C7〜T1C8前腕内側
(Ⅳ、Ⅴ指)
指屈曲
T1〜T2T1上腕内側指屈曲
C5〜T1の障害高位診断について


・C4の障害 → 肩甲骨の挙上ができない


・C5の障害 → 上腕二頭筋の支配であり、肘関節の屈曲ができない。また、三角筋を支配し、上腕の挙上が困難がおこる


・C6の障害 → 手関節を背屈できない


・C7の障害 → 手関節を屈曲できない、上腕三頭筋支配であり、肘関節の伸展ができない


・C8の障害 → 手指を屈曲できない


・C6〜C8の障害 → 橈骨神経による手指の伸展ができない


・頸髄損傷 → C6付近の障害が多い

自律神経障害を伴うため、起立性低血圧を生じる。このことから、起坐での血圧測定もするとよい


股関節の屈曲大腿直筋、腸腰筋で行う

腸腰筋L1と大腿神経(L2〜L4)支配大腿直筋大腿神経支配である


頚椎損傷の高位(レベル)と上肢の働きについて


レベル動作可能となる主な筋可能な運動可能な動作
C5上腕二頭筋肘関節屈曲前腕を利用したコントローラーの操作
(ジョイスティックなど)
C6橈側手根伸筋手関節背屈手指の弱いつまみ動作
(テノデーシス)
C7上腕三頭筋
総指伸筋
肘関節伸展プッシュアップによる移乗、移動
C8深指屈筋
浅指屈筋
手指屈曲手指のほとんどの動作
頚椎損傷の高位(レベル)と上肢の働きについて


・C6(第6頚髄)レベルの脊髄損傷:体幹、両下肢麻痺(随意運動ができず、感覚が脱失している)

→移動は車椅子となるが、車椅子座位時では仙骨部の褥瘡発生に注意する必要が出てくる

→クッションなどを利用する

→体幹によっては下肢装具が有効なことはある(体幹や下肢の振り出しができるL2レベルの機能が必要


・C6レベルの脊髄損傷となると、ズボンの脱着は不可能となる


C6レベルが必要な動作には、自己導尿がある

→これは、手関節の背屈による手指でのつまみ動作(テノデーシス)ができる必要がある


・C6レベルで脊髄損傷でも、C5レベルが機能している場合は肘関節屈曲は可能である

食事動作は訓練によりできる可能性がある


<食事動作の自助具>


・万能カフ:肘の屈曲ができれば手にスプーンを取り付けて上下動作で小字をすることができるようになるための道具


・スプリングバランサー:手首と肘部分を機械で吊り上げて補助する道具


などがある


・頚椎の脱臼骨折では、脊髄損傷を合併する可能性ある


・第5頚椎脱臼骨折では、当該髄節に一致した脊髄障害を考える


プッシュアップ動作は、肘の伸展動作で上肢を使いお尻を持ち上げるために、C7レベルの機能が必要である


プッシュアップによる車椅子移乗訓練というものがあるが、C7レベルの機能(肘の伸展)が必要である


腰椎椎間板ヘルニア(LDH)


腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎の椎間板の髄核が突出し、馬尾や神経根を圧迫する疾患である


・椎間板ヘルニアの中では最も多い


・好発:20歳〜40歳代男性


・症状は、腰痛、腰部可動域制限のほか、神経症状として一側下肢の放散痛(坐骨神経痛など)、感覚障害、脱力など、また、馬尾症状である会陰部の痺れや灼熱感、膀胱直腸障害、神経性間欠跛行などがある


・特徴として、片側性の臀部から下肢にかけての疼痛、感覚障害である。この生じる部位によってどこが障害されているのかをある程度予測できる


排尿障害である膀胱直腸障害がみられれば緊急性があり、緊急手術が必要となる


・神経根障害ではSLRTまたはFNSTが陽性となる


SLRT:下肢伸展挙上テスト(Straight Leg Raising Test)といい、坐骨神経(仙髄神経(S1,S2,S3)腰髄神経(L4,L5))の障害を検査するものである。(これもラセーグテストとも)

→患者が仰向けに寝た状態で,膝を曲げずに伸ばしたまま足を上げて坐骨神経を圧迫する。坐骨神経に障害があれば、足を挙げる途中、太ももの裏側からふくらはぎの裏側あたりに痛みが生じる。痛みが生じて70度以上挙げられない場合を陽性とする


FNST:大腿神経伸張テスト(Femoral Nerve Stretch Test)といい、腰部神経根症状の有無を確認するものである。

→うつ伏せの状態で、膝を曲げて股関節を伸展させることで大腿神経を緊張させ、疼痛を誘発させ、それが大腿前面に痛みが見られた時に陽性という


MRI所見:症状と一致した高位の腰椎椎間板の突出による神経根や馬尾の圧迫がみられる


<治療>


まずは保存療法とし、奏功しない場合は手術療法となる


保存療法:安静(臥床、間欠牽引、労働回避、コルセットの利用)薬物治療(疼痛管理、筋弛緩剤、外用(湿布等))注射(局所、硬膜外ブロック)物理療法など


手術療法:ヘルニア摘除術(Love法、micro Love法、内視鏡下椎間板切除術(MED)など)


手術の適応は


馬尾圧迫症状、特に膀胱直腸障害を認める場合

②下肢麻痺進行症例(MMT※で3以下(Fair以下))

③そのほかの治療において、下肢疼痛・しびれの改善が長期に渡って認められない場合


特に①や②の場合では、早期に手術する必要があるといえる


MMT:徒手筋力テストのこと(Manual Muscle Testing)で、人の手で患者の筋力、神経損傷の程度、損傷部位などを判定する方法である

筋肉の収縮ができるのか、抵抗を加えても筋肉の収縮を維持することができるのかを6段階で判定する


目的:筋力低下の有無を調べる、診断補助、治療効果判定、治療方法


判定結果内容
5=Normal強い抵抗を加えても運動範囲全体にわたって動かすことができる
4=Good抵抗を加えても運動範囲全体にわたって動かすことができる
3=Fair抵抗を加えなければ、重力にまけず運動範囲全体にわたって動かすことができる
2=Poor重力がなければ運動範囲全体にわたって動かすことができる
1=Trace筋の収縮はあるが、関節運動はできない
0=Zero筋の収縮も関節運動も認められない
MMTの判定基準について


腰椎椎間板ヘルニアの高位と神経根症状について


障害部位神経根症状解説
L1〜L3腸腰筋の筋力低下(大腿神経支配)
L2〜L4大腿四頭筋(大腿神経支配)の筋力低下
L4膝蓋腱反射の低下
足の内反力の低下
前脛骨筋の麻痺
足の内側(親指側)の脚にかけて側面の知覚障害
膝を叩いても脚気が起きないなど
足を内側に沿るのが困難
L5長母趾伸展筋力低下
長趾伸筋筋力の低下
同側下肢筋力低下
足関節(足趾)背屈力低下
足の真ん中(中指から薬指の範囲)の脚にかけて知覚障害
スネに力が入りにくく、足を反れない
S1アキレス腱反射の低下
足関節底屈の低下
足の外側(小指側)脚にかけて側面の知覚障害
L5/S1で障害を受け、下腿三頭筋・長母趾屈筋・長趾屈筋の麻痺
アキレス腱を叩いても反応が鈍い
L5〜S2断臀筋の筋力低下(下殿神経支配)
腓腹筋の筋力低下(脛骨神経支配)
S1〜S2右足先のしびれ
会陰部のしびれ
尿意を催す
腰部脊柱管狭窄症による馬尾の圧迫、神経根の障害などでみられる
腰痛、間欠性跛行を呈し、歩行には休み休みでないとなかなか動けない
腰椎椎間板ヘルニアの高位と神経根症状について


Lasegueテスト(ラセーグ)下肢伸展挙上テストのことで、下位腰椎の椎間板ヘルニアでの疼痛誘発テストとのこと


L4/L5、L5/S1レベルの腰椎椎間板ヘルニアで陽性を示すことが多い

→頻度としては、L4/L5が多く、次いでL5/S1


腰部脊柱管狭窄症


腰部脊柱管狭窄症とは、腰椎部に発生した脊柱管狭窄症をいう


脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症


脊柱管狭窄症:様々な原因で脊柱管や椎間孔が狭小化し、脊髄や馬尾、神経根を圧迫することで特有の神経症状を呈する症候群をいう

発生部位は腰部が多く、次いで、頸部が多い


・好発:中高年(加齢によって増加する)

→50歳以上の有病率は10%を超えている

第4、5腰椎(L4,L5)に好発


・徐々に進行する


・臀部から下肢にかけてしびれ、疼痛、脱力、神経性間欠跛行がみられる


・重症例では、膀胱直腸障害を呈する(馬尾神経の圧迫)


体幹後屈による症状の増悪がみられ、FNST※で陽性を示す


・他動的な後側屈による放散痛の誘発あり(Kemp徴候:ケンプ


筋力低下、アキレス腱反射の減弱または消失が見られる


びまん性の下肢筋の萎縮がみられる


FNST:大腿神経伸張テスト(Femoral Nerve Stretch Test)といい、腰部神経根症状の有無を確認するものである。

うつ伏せの状態で、膝を曲げて股関節を伸展させることで大腿神経を緊張させ、疼痛を誘発させ、それが大腿前面に痛みが見られた時に陽性という


・脊椎の加齢性変化では、椎間板変性、骨棘形成などがみられ脊柱管狭窄症を引き起こすこととなる


骨粗鬆症によって圧迫骨折を多発することも加齢性変化といえる


<検査>


X線、CT、MRI:脊柱管狭窄があることを確認する


注)臨床症状は、画像所見と必ずしも相関はしないことから、病歴や神経学的所見とあわせて診断する必要がある


<治療>


まずは保存療法をし、奏功しない場合は手術療法を検討


保存療法:薬物治療(疼痛管理、PGE1製剤、ビタミンB12製剤など)神経ブロック運動療法生活指導


手術療法:除圧術、固定術、制動術


頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症について


頚椎症性脊髄症(神経根症)は、頚椎症を基盤に、脊髄症状や神経根症状を呈するものをいう


・好発:50〜60歳代男性


男性の発症が女性の2倍以上といわれ、遺伝的素因、環境的素因の関与もあると指摘されている


C3/C4,C4/C5に好発するが、症状には、頸部周囲の疼痛、可動域制限、上肢痺れなど

→また、手指の巧緻運動障害、四肢・体幹の感覚障害、歩行障害、膀胱直腸障害がある


・一側上肢の筋力低下、筋萎縮、一側上肢・手指の痺れ、萎縮筋の線維束攣縮がみられ、Spurlingテスト(スパーリング)で陽性を呈する


<検査>


X線所見:脊柱管前後径の狭小化、アライメント(整列)異常、骨棘形成


MRI所見:脊髄や神経根圧迫、椎間板変性など


Spurlingテスト(スパーリング):頭頸部を圧迫する検査。頸椎を軽度に伸展、健側に軽く回旋し、患側に側屈させると患側の椎間孔が狭くなって患側上肢に放散痛を生じる場合に陽性という


注)強い圧迫では症状が悪化することあり危険である(脊髄症など)


Hoffmann反射(ホフマン)手関節を軽度に背屈位とし、中指の爪部分を掌側に弾いた時母指が内転する場合に陽性である


ホフマン反射とは、錐体路障害でみられる病的反射であるが、これは健常であっても見られるものであり、片側で見られる際に診断で用いられる



<治療>


まずは保存療法だが、奏功しない場合は手術療法


保存療法:薬物治療(NSAIDs、筋弛緩薬、ビタミンB12製剤等)神経ブロック安静物理療法(温熱療法、低周波療法、超音波療法など)牽引法


手術療法:前方除圧固定術椎弓形成術(片開き式、棘突起縱割式)


頚椎症性神経根症


頚椎症性神経根症とは、骨棘や変形、膨隆した椎間板で神経痕が圧迫されている状態である


椎間孔の狭窄によって生じる

→前方からは、椎体後側方の骨棘や鉤突起の関節症性変化などによって生じる

→後方からは、椎間関節の肥大や骨棘などによって生じる


・神経根支配の知覚障害、筋力低下、深部腱反射の低下などがみられる


進行は緩徐にみられ、上肢のしびれや倦怠感などが初発でみられ、次第に脱力感や筋萎縮といったものが現れてくることが多い


頚椎症性脊髄症


頚椎症性脊髄症とは、骨棘や変形、膨隆した椎間板や肥厚した黄色靭帯で脊髄が圧迫されている状態である


・上腕の深部腱反射の減弱または消失(頚髄前根の直接的な圧迫)


・感覚の鈍麻(後根の直接的な圧迫)


・両下肢の脊髄症状として、バビンスキー徴候の陽性深部腱反射の亢進下肢の筋力低下


バビンスキー徴候:検査者の足を尖ったものでかかとから足先にかけてゆっくりこすることで、随意的に足の親指を反らすことができない者であっても反射が起こりえて(背屈し、ほかの4本の指は開く)、錐体路障害の示唆する脊髄反射である。


その他の疾患との鑑別について


整形における麻痺や神経症状などは、脳などの疾患との鑑別も必要となる

量としてはかなりのものとなるが、ここでは一部に絞ってある(随時増やしていきます)

疾患解説・起こりうる症状
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
(指定難病:2)
手足、のど、舌や呼吸に必要な筋肉が徐々にやせて力が入らなくなっていく疾患である

運動ニューロンだけが障害を受け、感覚障害はみられない
亜急性連合性脊髄変性症VB12が欠乏することで、脊髄が変性する進行性の疾患である

そのため、髄鞘に損傷が起こり、脊髄から出ている感覚神経繊維、運動神経線維が変性する

倦怠感、両手・両足のしびれ(チクチク感)、いらだち、眠気、錯乱など症状も様々である

治療:VB12注射を早期治療することで回復は見込める
脊髄小脳変性症(SCA)小脳の神経細胞の変性により、歩行時のふらつき、呂律がまわらない、手の震えなどがみられる

遺伝性と非遺伝性(7割)がある。MRIでは小脳の萎縮が見られる

小脳症状として、運動失調症状がある。また、成人では認知機能の低下、性格変化、不随意運動(舞踏アテトーゼ)などがみられたりする
脊椎分離症(すべり症)椎間関節の基部が分離している状態である(椎骨が前後にずれている)

骨の成熟していない小児期にスポーツなどで腰の負担がかかることで発症することもしばしば(腰の曲げ伸ばし、捻り運動を繰り返すことでおこる疲労骨折とも言われている(一説))

分離している部分の骨の痛みはあるが、下肢の筋力低下や疼痛、痺れ、腰痛など神経症状はほとんど見られない

しかし、すべり症では脊柱管狭窄症を起こす場合があり、その際は神経症状(重症では馬尾症候群)を呈する
Buerger病(バージャー)
(指定難病:47)
四肢の末梢血管が閉塞する疾患である(血管炎による)
このため、四肢、指趾の末梢の虚血が起こる
男女比(8:1)で喫煙が関与、30代から40代に多い

冷え、痺れ、間欠性跛行、蒼白化、潰瘍(皮膚欠損→壊死になることもある)、安静時疼痛、遊走性静脈炎(静脈に沿って発赤や疼痛)

治療:抗血小板、抗凝固薬、禁煙、血行再建術、皮膚血流の増加のため交感神経節ブロックや交感神経節切除術、高気圧酸素療法など
変形性脊椎症クッション部分の役割がある椎間板に変性が起きる疾患であり、無症状であることも多い(加齢性)

神経根や脊髄が圧迫されて手足の痺れ、痛み、動かしにくいなどの症状がある頸椎症性脊髄症や、間欠跛行などがみられる腰部脊柱管狭窄症などを発症することもある
強直性脊椎炎
(指定難病:271)
体軸関節である仙腸関節(仙骨と腸骨の間の関節)、背中、背骨(首の脊椎)、腰、肩、膝、股関節などの靭帯付着部に炎症をおこしたもので、アキレス腱の付け根も起こりうる。
また、眼、下痢、腸炎などがみられることもある

脊椎が骨でつながり、動かしにくくなってしまうことがある

HLA-B27のある白血球の型に発症することが多い(稀少性疾患)
黄色靭帯骨化症
(指定難病:68)
脊髄神経の後ろにある黄色靭帯が骨化していき、大きくなることで神経を圧迫し足の麻痺を生じる疾患

症状には、しびれ、歩行困難、膀胱機能低下などもある

骨化が見られても神経症状がないならば診断はされない
頸椎症中高年でみられる疾患で、骨棘の形成や椎間板の狭小化などで疼痛、しびれなどを生じる(神経障害性疼痛)
鑑別疾患について


脊椎分離症(すべり症)


脊椎分離症(すべり症)には、分離によって起こるすべり症は分離すべり症、分離を伴わないすべり症は変性すべり症という


・L5に好発する


・椎弓の分離(骨折)


分離すべり症:椎間関節の分離で脊椎の安定性が悪くなり、成長期では椎体の変形壮年期での椎間板の変性などで発症する。神経根の圧迫あり


変性すべり症:椎間板の変性が多く、腰部脊柱管狭窄症の原因であることが多い


<治療>


保存療法が第一選択


安静、コルセット、神経ブロック、薬物治療

→保存療法で骨がつかない場合は、手術(固定術など)が必要となることがある


間欠性跛行を示す疾患について


鑑別のためには、姿勢を変えた時に症状がどのようなものがみられるかで鑑別点になる

この際、必ず足背動脈の拍動は確認すること(足の甲の真ん中部分)

→これは、虚血がないかを調べるのに重要


このほか、後脛骨動脈(内果〜アキレス腱近傍)、両手での膝窩動脈、大腿動脈の触診もある

→重症下肢虚血では石灰化していることが多く、後脛骨動脈は触知が不可能である(足背動脈は触知し、他はドプラーを利用する)


病態主な疾患症状
動脈性閉塞性動脈硬化症(ASO)
閉塞性血栓血管炎(TAO)
(ビュルガー病)
姿勢を変えても痛みは続く
馬尾性腰部脊柱管狭窄症前屈位、座位では痛みが消失
間欠性跛行を示す疾患について


中枢と末梢の障害の違いについて


中枢神経の脊髄の障害と、末梢神経の神経根や馬尾の障害では症状が異なってくるため、以下に簡潔にまとめてある


脊髄の障害である頸椎症性脊髄症胸椎後縦靱帯骨化症では、障害部位から下位に中枢がある反射が亢進する(痙性歩行など)

→胸椎後縦靱帯骨化症は胸髄の圧迫が生じて、両下肢の麻痺を生じる(対麻痺ともいう)


神経根や馬尾の障害である頚椎症性神経根症腰部脊柱管狭窄症腰椎椎間板ヘルニアでは、障害された末梢神経の症状だけが生じる

→末梢神経の症状には、障害部位の痛み、しびれ、知覚障害、筋力低下などがある


腱反射の亢進は反射中枢のある脊髄よりも上位の中枢神経に障害がある場合に生じる


後縦靱帯骨化症(OPLL)


後縦靱帯骨化症とは、脊椎椎体の後面を上下に縦に繋いでいる後縦靭帯の骨化によって脊柱管が狭小化して、脊髄圧迫を生じることで脊髄症状をきたす原因不明の疾患である

(椎体後方にみられる骨化性病変)


・好発:40歳以上の男性


糖尿病を合併していることが多い


・頚部痛、上肢・下肢の痺れ、動かしにくさが出てくる

四肢の痺れ:感覚ニューロン障害

歩行障害:運動ニューロン障害


・主に頚椎(C4〜C6)に生じるもの


・脊髄圧迫症状として下肢の痙性麻痺がある

→手すりが必要になるほどのもの


<錐体路徴候について>


筋萎縮のない痙性麻痺、腱反射の亢進、バビンスキー徴候の陽性、腹壁反射の消失などをいう

→頸椎由来では、手指の巧緻運動障害を伴う


<検査>


頚椎X線:後縦靭帯の骨化像所見あり


<治療>


特に急性期では 保存療法:安静頚椎カラー着用


回復期のリハビリには作業療法


手術療法:重症例では脊柱管拡大術椎弓形成術(ミエロパチー症状※が強い場合)の手術で除圧を図る


ミエロパチー症状(脊髄症):脊髄が障害を受けることで、足のもつれや歩きにくさ排尿障害四肢の脱力(重症)などがある

ヒトTリンパ球好性ウイルスI型(HTLV-1)の感染によって脊髄に障害が起こる疾患である

成人女性に多い、九州・沖縄などで抗体陽性が多い


Down症候群でみられる骨格系疾患について


Down症候群(21トリソミー)とは、知能障害、先天性心疾患、股関節障害、上位頸椎障害など様々な疾患を起こす先天性疾患の総称である


ダウン症候群では、上位頸椎に異常が見られることが多い


環軸関節亜脱臼では、軸椎の歯突起を後方から支えている横靭帯の先天的不全が原因であり、これは、頸髄損傷となることが多い

→環椎歯突起間距離(ADI:atlantodental interval)が増大して環軸関節亜脱臼を生じる

(ダウン症候群ではADIの増加、拡大で環軸関節亜脱臼を起こしやすい)


関節リウマチでもしばしば環軸関節亜脱臼がみられる(リウマチ長期罹患患者では頚椎の病変がみられてくることがある)


ADIC1とC2の距離であり、その反対側のC1とC2の距離はSAC(脊柱管前後径)がある


・似た疾患では、外傷や炎症によって環軸関節が回旋性に亜脱臼する環軸椎回旋位固定がある(小児に多く発症)


関節リウマチは、関節滑膜炎が主の病態であり、四肢の関節だけでなく脊椎にも罹患する

特に、上位頸椎では環軸関節の滑膜炎によって軸椎が破壊されて環椎横靭帯が弛緩して環軸関節前方亜脱臼を発症することとなる


この場合では、頑固な頚部痛と脊髄症状である両手の痺れ手指の巧緻運動障害を呈することとなる

また、四肢麻痺と共に、呼吸筋麻痺を起こすことがあるため、突然死の原因ともなる


部位ごとに骨格系の特徴や合併症があるため以下を参照すること


ADI(環椎歯突起間距離)は小児では5mmまでが正常で、成人においては3mmまでが正常となっている

ADIが増加することで、環軸関節亜脱臼と診断される

また、ADIの増加では脊柱管前後径(SAC:space available for the cord)が小さく狭くなり、頸髄に障害を生じやすくなる


部位症状
全身関節弛緩性(可動域増大)、四肢短縮
脊椎環軸椎不安定、環軸関節脱臼・亜脱臼、側弯、癒合椎
上肢短指症、第5指内湾
下肢臼蓋形成不全、外反股、股関節脱臼、膝蓋骨脱臼、内反足、外反扁平足、合趾、第1・2趾間の開大
Down症候群でみられる骨格系の症状について


小児で歩行時の両大腿〜股関節部痛が見られる場合の疾患について

・大腿骨頭滑り症

・単純性股関節炎

・発育性臼蓋形成不全

・股関節部の腫瘍性疾患

・化膿性股関節炎

・Perthes病(ペルテス)

→股関節の大腿骨頭の血行がなんらかの原因により途絶し、骨壊死がおこり、強度の低下でつぶれて骨が変形してしまう疾患である


脊柱側湾症


脊柱側湾症とは、脊柱が側方へ湾曲している疾患である

これは、椎骨の変形はなく、原因を取り除くことで速やかに改善される機能性脊柱側湾症と、椎骨の変形を伴い、不可逆的な湾曲である構築性脊柱側湾症がある(一般的には構築性脊柱側湾症を指す)


・好発:思春期の女性


・ほとんど無症状であり、進行により体幹の非対称性がみられる


・脊柱側湾症は日常的に見られるものだが、8割は原因の不明な特発性脊柱側湾症である


<原因のある脊柱側湾症について>


脊柱側湾症の2割ほどは以下が原因として当てはまる


・神経筋性側弯症:脳性麻痺、ポリオ、Duchenne(デュシェンヌ)型筋ジストロフィーなど

・神経線維腫症:von Recklinghausen病(レックリングハウゼン)※1

・間葉性側弯症:Marfan症候群(マルファン)、Ehlers-Danlos症候群(エーラス・ダンロス)※2


※1 レックリングハウゼン病神経線維腫症Ⅰ型(NF1)であり、指定難病34に該当する。

これは、カフェ・オ・レ斑神経繊維腫といった皮膚病変が特徴的であり、他には骨、神経、眼など様々なところに症状が現れる遺伝性疾患である。

(神経線維腫症Ⅱ型では全く別の疾患であるため注意)


※2 エーラス・ダンロス症候群(EDS)(指定難病168):皮膚や関節の過伸展性、各種組織の脆弱性が特徴の遺伝性疾患である

国際的には13の病型に分類されている


古典型EDS類古典型EDS心臓弁型EDS
血管型EDS関節(過可動)型EDS多発関節弛緩型EDS
皮膚脆弱型EDS後側弯型EDS脆弱角膜症候群
脊椎異形成型EDS筋固縮型EDSミオパチー型EDS
歯周型EDS
EDSの国際的分類について


・腰痛や背部痛、神経症状、胸郭変形などがみられる

胸郭変形が進行することで、肺が圧迫され、呼吸器脳障害をきたす


スクリーニング検査には視診、前屈テストがあるが、これで異常が認められる

→早期発見に重要な検査である


・先天性のもの、症候性のものでないならば特発性脊柱側湾症の可能性が考えられる


特発性脊柱側湾症:X線正面像Cobb(コブ)角※を計測し、湾曲の程度や骨の成熟度から、今後の進行について予測をしていく


スクリーニング検査前屈位で肋骨隆起(rib hump)の有無を確認する(背屈時に背中が1cm以上膨隆して見えたりする)

構築性側湾では前額面の湾曲だけでなく、椎体の回旋を伴うため


・側弯度のX線評価 → Cobb法


Cobb角曲がっている脊柱の各椎骨に沿って線をひいた範囲の脊柱側弯症の部分となるが、脊柱が曲がっている上側と下側からの引いた線の延長線上で交わるところの内角をCobb角という

この角度が30度以内では目立たないことから手術は行わないが、40度〜50度ともなれば目立ってくるため手術を行うことが多い


<見るべきポイント>


・肩の高さが不均衡である

・どちらか一方位の肩甲骨が浮き出ている(prominent scapula)

・ウエストラインが非対称

・前屈時に背部が肋骨隆起している


<治療>


矯正できるのは手術療法のみである

そのため、早期発見と進行予防が重要になる


軽度側弯(Cobb角<25度):進行を見逃さないためにも定期的に経過観察していく

中度側弯(25度 ≦ Cobb角 ≦ 40度):進行を予防するため装具療法を行う

重度側弯(Cobb角>40度):手術療法(脊柱変形矯正固定術などがある)




<参考>

メディックメディア:クエスチョン・バンク

病気がみえる


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    TK.Ph

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    -整形外科編
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