整形外科編

整形外科疾患編④ 下肢疾患について

整形外科



注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


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変形性膝関節症について


変形性膝関節症は、関節軟骨が退行性変化して骨の増殖性変化や滑膜の炎症が生じて関節破壊や変形をきたした疾患である


変形性関節症は全身の関節に起こりうるが、多くは膝と股関節でみられる


・好発:50歳以上の女性、肥満女性

→加齢、肥満との関係性が深く、ほとんどは一次性(原発性)である
(一次性病変:疾患の原因となる部位)

内側関節軟骨の摩耗で骨軸が垂直にならないため、重心が内側にかかってO脚となる(内反膝)※

→これによって更に内側軟骨がすり減る(悪循環)


・動かすことで痛みが見られる(starting pain)

→関節軟骨の摩耗によって、大腿骨と脛骨がぶつかり痛みが生じる

→また、大腿四頭筋のうち内側広筋の萎縮が先行し、膝蓋骨の不安定性が増すことで疼痛が見られる

→そのため、大腿四頭筋は筋力訓練が良い


・関節腫脹、関節変形(多くは内反変形)、関節可動域制限がみられる


O脚(内反変形)による大腿-脛骨関節の内側型が日本人に多いが、大腿-膝蓋関節の変形性膝関節症もある


X線検査関節裂隙の狭小化・消失骨棘形成・関節軟骨の摩耗がみられる、また、軟骨下骨の骨硬化像(骨嚢腫)が認められる


鑑別:関節リウマチ、痛風、関節結核、Charcot関節(シャルコー)(神経障害性関節症のこと)、化膿性膝関節炎など


<治療>


基本は保存療法となるが、生活に支障が出る場合は手術療法の検討となる


保存療法:体重減少などの生活指導、理学療法大腿四頭筋の訓練※1)、装具療法膝装具、足底装具)、薬物療法NSAIDs、ステロイド関節内注射、ヒアルロン酸関節内注射など


手術療法:関節鏡視下デブリドマン遊離体除去、半月板切除術など)、高位脛骨骨切り術※2、人工膝関節置換術※3(UKA、TKA


大腿四頭筋訓練膝伸展位で下肢挙上訓練を行うことが良い

等尺性運動には背臥位で膝関節伸展位脚関節背屈位には両下肢を同時に床上から10cmほど挙上するstraight leg raising運動(SLR:下肢伸展挙上)などが良い



※2 高位脛骨骨切り術(HTO):内反を呈する膝のアライメントを脛骨のアライメントを矯正して治す手術法

→opening wedge法がある


適応条件がある

・比較的若年である(5,60歳代)

・変形が関節の一部である

・活動性が高い方

・前・後十字靭帯が正常であること(可動域が保たれていること)


<内容>

脛骨近位部を内側から骨切りして楔状(くさび)に開大し、プレートを用いて内固定や創外固定をする(必要に応じて骨移植する(自家骨、人工骨))

これにより、荷重が分散して負担が軽減できる


※3 人工膝関節全置換術(TKA):少なくとも65歳以上、なるべくは70歳以上の高齢者変形が進んでいるものが対象となる

人工物を入れるため感染巣になりやすいのは注意が必要である


適応症:関節リウマチ特発性膝骨壊死(膝関節の骨壊死で関節変形をきたす)、血友病性関節症などにも良い

→化膿性のあるもの、神経性のものは控えるのが良い


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術式内容
人工膝関節単顆置換術(UKA)・75歳以上の高齢者に適応
・変形は関節の一部にとどまっており、関節可動性が良好で前十字靭帯が温存されていること
・変形部位の骨は切除し、内側または外側の関節面を人工関節で置換する
人工膝関節全置換術(TKA)・65歳以上の高齢者に適応
・変形が関節全体にみられる場合に適応
・大腿骨、脛骨は横に切除してしまい、関節面を人工関節で全て置換する
人工関節置換術について


骨セメント硬化時に血圧が一過性に低下する


術後に深部静脈血栓症のリスクがある

このため、事前に血栓症リスク因子がないか検査をし、術後は弾性ストッキング着用薬剤投与などを計画する(クリニカルパス※4の利用)


クリニカルパス:入院から退院までの治療や検査などのスケジュールの流れを時間軸に沿って作成した計画表のこと

→これは、疾患ごとに用意されている


これを作ることで、医療内容を評価し改善ができ、より良い医療を患者に提供することができる


その他、人工関節による合併症については以下が挙げられる


時期起こりうる合併症
早期感染、深部静脈血栓症、肺動脈塞栓症、脱臼、血管・神経の損傷など
晩期感染、ゆるみ、脱臼、器具の摩耗、骨溶解など
人工関節による合併症について



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Charcot関節(シャルコー)について


シャルコー関節は、神経病性関節症のことであり、糖尿病脊髄空洞症梅毒などによって脊髄後索と後根が傷害されて下半身の痛みを感じにくくなることで生じる疾患である


・関節破壊が高度だが痛みをあまり感じないのが特徴としてある


<治療>


装具治療関節固定術など


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化膿性膝関節炎について


化膿性膝関節炎は、早期に鎮静化させて関節機能の温存を図ることが重要である


<治療方針>


抗菌薬の全身投与

→起因菌の同定ができれば、感受性の高い抗菌薬を用いること


関節を持続洗浄

→関節内に持続洗浄するためのチューブを留置し、3週間ほど行う

→この排液を細菌培養して3日連続で陰性がみられれば抜去する


関節液で鑑別をする方法がある


状態特徴鑑別疾患
正常時外観:透明〜淡黄色
量:極めて少ない
粘稠度は高い
WBC:200個/μL未満
培養:陰性
非炎症性疾患外観:透明〜淡黄色
量:少ない〜多い
粘稠度は高い
WBC:200〜2,000個/μL
培養:陰性
外傷
変形性膝関節症
神経病性関節症(シャルコー関節)
など
炎症性疾患外観:半透明、黄色
量:少ない〜多い
粘稠度は低い
WBC:2,000〜50,000個/μL
培養:陰性
痛風
偽痛風
SLEなどの膠原病
関節リウマチ(RA)
脊椎関節炎
など
化膿性疾患外観:不透明、膿性
量:多い
粘稠度は様々
WBC:50,000個以上
培養:多くが陽性(黄ブ菌など)
細菌感染症
(化膿性関節炎など)
など
関節液による鑑別について


骨折の治療の流れについて


骨折の治療の流れは、整復 → 固定 → リハビリテーション となる


骨折の局所症状には、疼痛、腫脹、圧痛、筋・関節などの機能障害や変形、異常可動性などがある


項目整復固定リハビリテーション
目的骨折部の転位を可能な限り解剖学的位置に戻すこと整復位を保持し、良好なアライメントを保って骨癒合を促進する早期の関節運動と筋力強化訓練で、運動機能回復を図る
保存療法の場合徒手整復術:皮膚の上から手で整復する

牽引法:骨折部を持続的に牽引し、整復する
外固定:テーピング、包帯、副子、ギプスなどで骨折部を体外から固定する

装具療法:補助装具を用いて関節運動を制御する
ギプス固定では、固定直後からギプス内で筋の等尺性運動を行い廃用症候群を予防する
手術療法の場合観血的整復術:保存療法で整復が困難な場合、手術療法で骨折部を直接整復する内固定:手術療法で体内に固定材を入れて固定する

創外固定:骨折部周囲の骨にピンを刺入し、体外でピン同士を固定する
術後早期からリハビリを行い、廃用症候群を防ぐ
骨折の治療の流れについて


関節の運動と作用する筋肉の部位について


関節運動作用する筋肉
肩関節屈曲大胸筋、三角筋
伸展広背筋、三角筋
外転棘上筋、三角筋
内転大胸筋、広背筋、肩甲下筋
内旋大胸筋、三角筋、肩甲下筋、大円筋
外旋棘下筋、小円筋
肘関節屈曲上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋
伸展上腕三頭筋、肘筋
前腕回内方形回内筋、円回内筋
回外上腕二頭筋、回外筋
手関節屈曲(掌屈)尺側手根屈筋、橈側手根屈筋
伸展(背屈)尺側手根屈筋、長橈側手根伸筋
外転(橈屈)橈側手根屈筋、短橈側手根伸筋
内転(尺屈)尺側手根屈筋、尺側手根心筋
股関節屈曲腸腰筋、大腿直筋
伸展大臀筋、大腿二頭筋
外転中臀筋
内転大内転筋、長内転筋
内旋中臀筋、小臀筋
外旋回旋筋群、大臀筋
膝関節屈曲半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋
伸展大腿四頭筋(大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋)
足関節底屈(屈曲)腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋
背屈(伸展)前脛骨筋、長趾伸筋
関節の運動と作用する筋肉の部位について


半月板損傷について


半月板損傷では、半月板の断裂で顆間窩に変異した場合は引っかかり(ロッキング)がみられるが、診察時に変位がとれて可動できるようになることがある

運動中に膝が急に伸ばせなくなったという主訴が多い


疾患内容
前十字靭帯損傷・受傷直後から動かすことができなくなり、関節内血腫を伴う(鑑別)
・歩行時に膝が抜けそうになる
・ぐらついたり、ガクッと膝崩れが起きる(giving way)
内側側副靭帯損傷・膝が曲がったままとなることが多い(そのまま受診に至ることが多い)
・ゆっくり動かせば伸展できる
関節血腫はない(関節外の疾患のため)
バケツ柄断裂・半月板損傷の一つ
・伸展させようとすることで強い痛みがみられる
・完全伸展は他動的であっても難しい
離断性骨軟骨炎
(野球肘とも言われる)
骨の成長期(思春期〜青年期)におけるスポーツ障害である
Osgood-Schlatter病
(オスグッド・シュラッダー)
膝の脛骨粗面に生じる骨端症であり、骨の成長期(思春期〜青年期)にあるスポーツ障害である
・大腿四頭筋が収縮し、付着部の脛骨粗面(すねの骨)が引っ張られて剥離することで生じる
・脛骨結節(膝の皿の下の骨)が次第に突出して痛みを生じてくる
類似疾患について(鑑別)


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変形性股関節症について


変形性股関節症は、日本においては二次性に見られることがほとんどである(二次性変形性股関節症

原疾患では、発育性股関節形成不全臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)が多い


新生児期〜乳児期の発育性股関節形成不全が未治療のまま経過することで、年齢を経てから残遺脱臼の状態の変形性股関節症となることがある


・好発:40〜50歳以上の女性、重量物の取り扱う作業従事者、寛骨臼形成不全、発育性股関節形成不全既往のもの


・性差:女性の方が男性より1.4倍ほど多いとされる


・鼠径部などに痛み(初期は運動開始時でみられる)


関節可動域の制限がみられ、関節の変形による脚長差跛行を呈する


除外診断できるようにするとよい


・関節リウマチでは全身性疾患であり、股関節だけの症状とは考えにくいだろう

・神経病性関節症は疼痛は見られないはずである

・急性症状である、化膿性関節炎や大腿骨頭壊死も主訴から考えていく


X線検査:関節裂隙の狭小化、骨棘形成、軟骨下骨の骨硬化像、骨嚢胞などが認められる


Patrickテスト(パトリック):腰部、股関節の鑑別評価するための検査

→背臥位で行うもので、検査側の股関節を屈曲させて踵を対側の膝に乗せて、上前腸骨棘(ASIS)を押さえながら骨盤を固定して股関節の外転・外旋運位とする

ここで、鼠径部または股関節部に痛みがある場合仙腸関節に痛みが見られる場合陽性となる
(股関節炎症、大腿骨近位部骨折などで大腿三角に疼痛が起こる)


Thomasテスト(トーマス):固定屈曲変形(脚を完全に伸ばすことができない状態)を評価する検査

→背臥位で行うもので、非検査側の股関節を屈曲させて腰椎の前弯を消失させる、対側も同様

検査側の下肢が挙上や腰椎の前弯が増大すれば陽性となる(股関節屈曲筋の短縮が考えられる)

この方法は、股関節置換術を受けている場合は脱臼を起こすことがあるためこの検査はしないこと


<具体的な所見>


骨硬化はX線上白く見える部分

骨棘形成反応性に骨増生が起こり、関節面周囲非荷重部に作られる

・臼底は肥厚して二重底(double floor)を形成する

・臼蓋の縁に延長した骨棘

・左右の股関節の状態を比較すると良い骨頭内側に大きな骨棘(capital drop)を作ることがある


注)X線検査では軟骨はうつらない

→そのため、関節裂隙の厚みというのは関節軟骨が厚みあると判断できる


変形性関節症と関節リウマチの鑑別はX線でも可能である


項目 / 疾患変形性関節症(OA)関節リウマチ(RA)
関節裂隙初期から狭小化初期は残存している
骨硬化(+)(ー)
(骨萎縮が主である)
骨嚢胞(+)(ー)
骨棘(+)(ー)
骨びらん(ー)(+)
OAとRAのX線検査による鑑別について


<治療>


基本は保存療法:体重の減量生活指導筋力訓練(中臀筋)装具療法などから行い、疼痛管理はNSAIDsの内服ヒアルロン酸やステロイド関節内注射など、普段の生活ではを用いる


手術療法:骨切り術人工股関節置換術寛骨臼形成術など

骨切り術は主に若年者に行い、人工関節置換術は高齢者が良い適応である


人工股関節置換術について


<人工股関節置換術の適応について>


変形性股関節症、関節リウマチ、外傷などで股関節機能障害が著しい場合が適応となる


現在の耐用年数は10〜15年ほどとなっている(そのため、若年者ではメンテナンスが必要になることから、早期からこの手術は行うことはしていない)


合併症には、脱臼、感染※、中期の使用によるゆるみ、インプラントの摩耗、血管・神経の損傷など


・摩耗した粉によって骨融解が起きたりする

→これにより器具のゆるみが生じてくる


人工関節置換術というのは、人工骨頭置換術とは違い寛骨臼側も置換する術式となっている

人工関節置換術変形性股関節症などに行う

人工骨頭置換術大腿骨頸部骨折などに行う


※ 人工股関節置換術後の感染は難治性となりやすい

これは、細菌によるバイオフィルムを形成してしまうためである

つまり、バイオフィルムによって周りが覆われて防御されてしまうため、好中球機能や抗菌薬投与で細菌まで到達できないことからおこる


人工股関節脱臼に対して>


人工股関節にしてから脱臼が起こることがある(器具がずれたりする:骨頭が臼蓋ソケットから外れる)

→この場合は、下肢を徒手的に牽引し、整復操作をする

→困難時には、腰椎麻酔を行う場合あり


年齢ごとの主な股関節疾患について


年齢に応じて、みられやすい股関節疾患があります


年齢主な股関節疾患
新生児期発育性股関節形成不全症
(先天性股関節脱臼)
乳児期化膿性股関節炎
3歳前後単純性股関節炎
3〜10歳前後ペルテス病、股関節結核
思春期〜青年期大腿骨頭すべり症
20〜40歳特発性大腿骨頭壊死症
40歳〜高齢者変形性股関節症
年齢ごとの主な股関節疾患について


股関節の可動域について


股関節の可動域については、およその角度として知っておくことが必要となる


状態動かせる角度
仰向けで膝を上げる時(屈曲)125°
うつぶせで足を上げる時(伸展)15°
片足を曲げた状態で、もう片方を伸ばした状態の脚外転:45°
内転:20°
片方を伸ばした状態で、もう片方を曲げた状態の脚外旋:45°
内旋:45°
股関節の可動域について


前十字靭帯損傷(ACL損傷)


前十字靭帯は膝関節の前方の安定性に関わる部分であり、この部位の損傷(断裂)がACL損傷である


・好発:スポーツ中に見られる


・受傷時に断裂音(ポップ音)が聞こえる


・受傷直後は膝の疼痛がみられ、次第に疼痛が軽減されていくが数時間ほどで膝関節は腫脹がみられてくる

→可動域制限がおこる


・脛骨の前方偏位(前方に対して不安定)がみられる


・陳旧のものは膝くずれを繰り返してしまう


前方引き出しテストLachmanテスト(ラックマン)陽性となる

→これは、膝を軽度に屈曲させて大腿骨下端を固定し、脛骨上端を前方に引き出すテスト

→損傷していれば、大腿骨下端に対して脛骨上端が前方に引き出される


膝蓋跳動の所見があり、関節穿刺で関節血症がみられる(血管が豊富であるため)


MRI検査では、ACL損傷や半月板、他の靭帯損傷有無について確認する


<治療>


急性期においては通常のRICE処置※を行うこととなる


保存療法:免荷、装具療法、大腿四頭筋訓練など


手術療法:靭帯再建術

→これは、スポーツ選手や膝くずれを繰り返す場合で行う


※ RICE処置(ライス):肉離れ、打撲、捻挫などの外傷を受けた時に行う応急処置のことで、早期に4つの処置を行うことで内出血、痛み、腫れ症状を軽減することができる


Rest:安静

Icing:冷却

Compression:圧迫

Elevation:挙上


の4つのことを指す


<参考>

RICE処置について:https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/sports-acute-pain/rice/(閲覧:2022.7.13)


膝の各部位の構造、機能について


部位機能
十字靭帯(ACL)大腿骨の顆間窩外側脛骨顆間部前方を連結している

大腿骨に対する脛骨の前方移動や内旋を抑制している
十字靭帯(PCL)大腿骨の顆間窩内側脛骨顆間部後方を連結している

大腿骨に対する脛骨の後方移動を抑制している
内側側副靱帯(MCL)鷲足、半膜様筋とともに内側支持機構を形成している

膝の外反を抑制している
外側側副靭帯(LCL)膝窩筋腱、弓状靭帯、腸脛靭帯などとともに外側支持機構を形成している

膝の内反を抑制している
内側半月板関節包を介し、MCLと癒着している
外側半月板LCLとは癒着していないため、内側半月板よりも可動性が大きい
膝の各部位の構造、機能について


前十字靭帯損傷と後十字靭帯損傷の違いについて


項目前十字靭帯損傷後十字靭帯損傷
受傷要因スポーツ活動などが多い
(方向転換、ジャンプ、着地など)
交通事故などによって膝全面を強く打った時に生じることが多い
関節内血腫比較的に多い比較的少ない
不安定性前方不安定後方不安定
治療法原則、観血的靭帯再建術原則、大腿四頭筋訓練などの保存的治療
前十字靭帯損傷と後十字靭帯損傷の違いについて


膝関節軟部損傷の検査について


損傷部位検査法
内側側副靱帯損傷外反ストレステスト
外側側副靭帯損傷内反ストレステスト
前十字靭帯損傷前方引き出しテスト
Lachmanテスト
後十字靭帯損傷後方引き出しテスト
Saggingテスト(サギング)
半月板損傷McMurrayテスト(マックマレー)
Apleyテスト(アプレー)
膝関節軟部損傷の検査について


<参考>

各種テスト:https://reha-basic.net/special-test/(閲覧:2022.7.13)

サギング:https://anma-massage.jp/rear-drawer-test/(閲覧:2022.7.13)

マックマレー:https://anma-massage.jp/mcmurray-test/(閲覧:2022.7.13)

アプレー:https://afo-m.com/tosyuken/10612/(閲覧:2022.7.13)


アキレス腱断裂について


アキレス腱の断裂では、下腿三頭筋の筋力が低下してつま先立ちができなくなるが、長母趾屈筋長趾屈筋などの働きのため底屈は可能である


・運動中などで後ろ足の部位に痛みを生じる


・主訴では、蹴られたような感覚、断裂音の自覚などがある


・急性期では足関節の不安定性はみられない


アキレス腱断裂では、Thompsonテスト(トンプソン)陽性となる

→通常は、背臥位で下腿三頭筋(ふくらはぎ部分)を把握する足関節は底屈するが、アキレス腱断裂では、把握しても底屈しない


(つまり、腹臥位で膝を90度に屈曲して挙げた状態でふくらはぎを掴み、足首を動かしてもらうが動かない状態がトンプソンテスト陽性である)


うつぶせテストでは、通常、腹臥位で膝を屈曲位とすると足関節は軽度底屈位となるが、アキレス腱断裂では足関節が中間位となってアキレス腱部の陥凹がみられる


(つまり、腹臥位で膝を90度に屈曲した状態では、アキレス腱がへこんでおり、足の裏が地面に対して平行となり中間位を示す)


<治療>


底屈位での装具療法または手術的に縫合をすることとなる


保存療法:足関節背屈制限装具

→断裂した部位を近づけて治癒を促すため


大腿骨近位部骨折の種類について


大腿骨近位部の骨折は部位の違いで大きく5つに分類される(次の表参照)

高齢者の転倒により生じることが多い(低エネルギー外傷)


骨折部位による種類は以下の通りとなります

疾患名は大腿骨の上の位置の骨折部位から順番に並べてありますので参考にしてみてください


大腿骨近位部骨折について


疾患名骨折部位、内容
①大腿骨頭骨折関節内の骨折となる
②大腿骨頸部骨折関節内骨折となる

骨癒合が不良であるため以下の治療法となる

治療:人工骨頭置換術ねじ固定
③大腿骨頸基部骨折大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折の間の骨折
→骨折線が関節の内外に及ぶもの

骨癒合は比較的良好である
④大腿骨転子部骨折関節外骨折となる

骨癒合は良好である

治療:髄内釘固定Ender釘:エンダー)、プレート固定
⑤大腿骨転子下骨折関節外骨折となる

骨癒合はやや不良である

小転子下5cmまでに骨折線がある

これは、高齢者の転倒(低エネルギー外傷)でも生じることがある
大腿骨近位部骨折の種類について


赤字は交通事故や労働災害などの高エネルギー外傷によって起こるものが多く、青字は高齢者の転倒などの低エネルギー外傷によるものが多い


大腿骨の骨折部位とその名称について


<大腿骨骨折部位の種類、治療について>


(1)近位部


頸部、転子部がある

治療法は上記の表「大腿骨近位部骨折の種類について」を参照


(2)骨幹部


治療法:プレート固定髄内釘固定RushピンKuntscher髄内釘:キュンチャー


(3)顆部


治療法:ねじ固定


・好発:高齢者、女性、骨粗鬆症患者


・股関節の疼痛、起立困難・不能


・患肢は短縮し、股関節が屈曲・外旋位となる


X線検査:骨折線が大腿骨近辺で認められる

(骨折線は部位によって各疾患名がある、上記の表「大腿骨近位部骨折の種類について」参照)


<治療>


原則として手術療法となる


早期の手術とリハビリ歩行能力の回復をすることが重要である


手術後は、早期離床し、廃用症候群を予防すること


大腿骨頸部骨折において


若年者(転位型)や非転位型骨折では、内固定(骨接合術)を行う

高齢者または転位型骨折では、人工骨頭置換術人工股関節全置換術


大腿骨転子部骨折において


内固定術(骨接合術)となる

→全身状態を鑑みて、手術困難例では保存療法となることもある


大腿骨頸部骨折


・好発:高齢者の女性


・転倒などによる低エネルギー外傷が原因となることが多々あり

→院内でもベッドからの転落などでも起こりうる


・股関節の疼痛、起立不能となることもある


・股関節は屈曲・外旋位で、患肢は短縮がみられる


・骨折線が関節包の内側である頸部骨折か、外側の転子部骨折で術式が異なる


・頸部骨折は関節内骨折であり、治癒しにくいことから、Garden分類で手術療法の内容が選択される

StageⅠ、Ⅱでは骨接合術StageⅣでは人工骨頭置換術が選択される


X線検査:骨折線が大腿骨頸部(大腿骨転子部骨折では、大腿骨転子部)でみられる

→しかし、不明瞭であることが多い

→これは骨が圧迫されることで骨梁が潰れて不鮮明な硬化像として写るためである


<治療>


原則、手術となる

術後は、早期離床し、廃用症候群を予防することが大事である(肺炎、褥瘡などの原因)


若年者(転位型含む)非転位型骨折内固定(骨接合術)


高齢者または転位型骨折人工骨頭置換術人工股関節全置換術


全身状態(既往歴など)を鑑みて手術が困難な場合は保存療法をとることもある


大腿骨頸部骨折の手術療法の種類については以下の通りとなる(Garden分類で選択していく)


内固定(骨接合術)には、Hanssonピン®︎を用いる方法CCSを用いる方法、CHSを用いる方法、SHSを用いる方法などがある


種類内容
Hanssonピン®︎※1ピンの先端から鉤爪が出るため、骨頭の回旋を予防できる

ハンソンピンは2本用いて固定する
CCS※2ガイドワイヤーに中空のスクリューを通して挿入する方法

CCSは3本用いて固定する
SHS※3大転子外側からラグスクリューを挿入し、骨表面にサイドプレートを打ち込んで固定する方法

角度の安定性が良い
人工骨頭置換術大腿骨頭を人工物で置換する方法

寛骨臼と人工骨頭で関節面を形成する

現在の主流は双極型人工骨頭である
大腿骨頸部骨折の手術療法の種類について





大腿骨転子部骨折


先ほどの大腿骨頸部骨折とほぼ同様の内容となるため、上記を参照下さい


転子部骨折は血流が良いため治癒しやすい部位である

しかし、早期離床を目的として骨接合用プレートのsliding hip screwなどを用いたり、γ-nailなどの髄内釘で手術をするのが通常


<治療>


原則、手術となる

内固定(骨接合術)


全身状態(既往歴など)を鑑みて手術が困難な場合は保存療法をとることもある


術式はいずれも内固定(骨接合術)となっている


種類内容
SHS※3大転子遠位外側からラグスクリューを挿入し、骨表面にサイドプレートを打ち込んで固定する方法

角度安定性が高い
髄内釘※4大転子先端から髄内釘を挿入し、ラグスクリューを打ち込む方法

髄腔内に釘を打ち込むことから、SHSより力学的に有利となる
大腿骨転子部骨折の手術療法の種類について



大腿骨頭壊死症について(ANF)


大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭の血流が低下し、大腿骨頭の骨組織が阻血性、無菌性に壊死に陥る疾患である

これには、原因の明らかな症候性のものと原因の不明な特発性がある


<分類>


症候性大腿骨頭壊死症:外傷性、塞栓性、放射線照射、術後


特発性大腿骨頭壊死症:ステロイド性、アルコール性、狭義の特発性


リンク先

特発性大腿骨頭壊死症について(指定難病:71)


特発性大腿骨頭壊死症は、成人期で原因不明に発生し、骨頭の圧潰変形によって発症する疾患である(骨頭の前上方に起こりやすい、関節面の陥没破壊)

進行により、二次性変形性股関節症となる


・好発:30〜40歳代、男性がやや多い(男女比は5:4)


・原因は不明だが、全身性エリテマトーデス(SLE)患者でのステロイドの長期投与があるものやアルコールの多飲によって起こることがある


骨端線閉鎖後の成人にみられる大腿骨頭関節軟骨支持骨梁の広範囲な虚血性壊死である


・股関節痛が特に誘因がないが突然見られる

股関節の外転制限や内旋制限がみられる(両側性のことも多い→片方で発症あれば、もう片方は1年以内におよそ50%で発症が見られる)


X線検査:大腿骨頭に帯状硬化像、関節面の不整、軟骨下骨折線


MRI検査:骨頭内帯状の低信号域あり(band pattern)

→骨頭の圧潰を示す


<治療>


治療方針は壊死範囲の大きさ、進行度によって考慮すること


保存療法:軽症例では免荷※、鎮痛薬投与のみ経過観察となる


中等症、若年〜中年で考慮する:関節温存術(大腿骨内反骨切り術、大腿骨頭回転骨切り術、血管柄付き骨移植)


重症、高齢者で考慮する:人工大腿骨頭置換術人工股関節全置換術


リンク先

免荷:松葉杖などを用いて、下肢や関節に体重をかけないようにすること、免荷歩行と言ったりする


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大腿骨頭すべり症について


大腿骨頭すべり症とは、大腿骨の近位骨端骨端線(成長軟骨板)で離解して(脆くなって)後方にすべり落ちる(転位する)疾患である

すべり部分の安定している安定型(stable type)と、すべり部分が不安定な不安定型(unstable type)があり、治療法もそれぞれである


<分類>すべり部分の安定でみるが、歩行の可否で治療方針を決めたりする


安定型:痛みが見られるが歩行が可能な状態


不安定型:痛みがあり歩行が困難である状態


7割は慢性型で3割は急性型となっている


急性型:外傷などがきっかけとなって発症するもの

股関節痛がみられ、歩行困難となることが多い


慢性型:徐々に変位を生じてくるもの

→疼痛は必ず見られるというわけではないが、外旋位拘縮跛行などの股関節の運動障害は多く見られる


・好発:9歳〜14歳の男性


・大腿骨頭は頸部と成長軟骨帯を介して連結されていて、ここに障害が起こることで骨頭が後内方に滑る


・変化や症状に乏しく、診断には時間がかかることが割とある

→小児において、股関節の疾患でも膝関節を痛がったりすることがある


・経過中は大腿骨頭壊死症軟骨融解症を起こすことがあり、注意が必要である


肥満児が増えているからか患者数は男女とも増えてきている、また、成長ホルモンや性ホルモンなどの内分泌異常も関与していると考えられている


Drehmann徴候(ドレーマン):仰臥位で、患側の股関節を他動的に屈曲させていくことで股関節が開排(外旋・外転(屈曲))する所見がみられること


<治療>


治療法は多岐にわたっており、すべり部分の整復をどのようにするか、整復せずに固定するのか、すべり部の遠位で骨切り術などがある


・下肢の免荷疼痛管理


骨端症について


骨端症とは、骨の骨端の壊死のある疾患群の総称である


若年者に多い、原因不明な骨端壊死が多くある


疾患名好発罹患部位
ペルテス病6,7歳の男児大腿骨骨頭部(股間部)
第1Kohler病
(ケーラー)
5〜10歳の男児足舟状骨(足)
Panner病
(パンナー)
5〜10歳の男児上腕骨小頭
Osgood-Sdchlatter病
(オスグッド・シュラッター)
10〜15歳の男児脛骨結節(膝)
Scheuermann病
(ショイエルマン)
10〜15歳の男児椎体上下骨端(脊椎)
Kienbock病
(キーエンベック)
20歳以上の男性手月状骨
第2Kohler病
(Freiberg病:フライバーグ)
15〜20歳の女性第2中足骨骨頭
若年者で多く見られる骨端壊死について


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Perthes病(ペルテス)


ペルテス病骨端症の一つであり、小児期において大腿骨近位骨端部(大腿骨頭の骨端)に阻血性壊死が生じた疾患である


・好発:発育期にある6、7歳の男児(低身長で骨年齢が遅延している男児に多い:甲状腺ホルモンや性ホルモンの関与ともいわれる)

9歳以上では治療が長くかかってしまうこととなり、変形も大きく残存してしまうことが多い


・性差による男女比は5:1で男児に多い


股関節痛、跛行がみられる(片側性のことが多い)

→股関節の外転制限や内旋制限、大腿部や臀部の筋萎縮がみられる


・壊死部分は修復過程を経て正常の骨組織に戻るが、形態異常となった場合、将来的に変形性股関節症を生じる可能性がある


ペルテス病には病期分類がある


病期内容
初期(滑膜炎期)・レントゲンではほとんど異常は見られない
・MRIで単純性股関節炎との鑑別が必要のことあり
硬化期(壊死期)・骨端部の骨が白く硬化したようにみえる(実際は硬くはない)
・壊死で骨端が軽度に扁平化するため骨の中の骨梁の密度が高まり、透過性が低下して白く見える
・軟骨下骨の骨折線や骨幹端部の嚢腫様変化(骨頭の下の骨が薄く見える状態)がみられることがある
分節期(修復期)壊死した部分の骨と残った骨の部分の間に毛細血管が進入し境界が不明瞭となり、骨頭の扁平化が修復し始める
再生期(遺残期)新しく骨がつくられ徐々に丸みを帯びる(円形、楕円形)
ペルテス病の病期について


X線検査:骨端全体の硬化像、軟骨下骨折線、関節裂隙の開大、亜脱臼、骨端の圧潰や扁平化、骨端の分節化などの所見あり(病期によって所見は変わる)


MRI検査:早期診断、鑑別に有用な検査


<治療>


コンテイントメントを目的に手術をすることもある

治療方針は、年齢や就学の有無、受診時の病期やその程度などを総合的に判断して考慮する


保存療法:免荷装具療法※(Tachdjian装具:タヒジャン、トロント式装具、アトランタ装具、SPOC装具、modified A-キャストなどがある)


手術療法:大腿骨内反骨切り術骨盤骨切り術


免荷装具療法:免荷療法は古典的な方法であるが、コンテインメントと免荷が最も有効であるため、今では装具療法が一般的である

装具療法では、骨関節の動きが改善してから装具を用いて股関節を特定の位置に保持して骨頭を寛骨臼(臼蓋)に包み込むようにする(均等な圧力をかける)

およそ1、2年かけて治療するが、装具を一定時間はずして股関節の可動域訓練を行う必要がある

股関節をいろんな方向に動かすことで変形した骨頭を球形に矯正していくためである


小児の骨頭は生物学的に可塑性があるためにできることである(biological plasticityという)

コンテイントメント(収納)の原理は、壊死した骨頭に対し寛骨臼が鋳型の役割となり、その形に合わせて形作られていくということ



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発育性股関節形成不全について(DDH)


発育性股関節形成不全症は、主に乳児期にみられる股関節の関節包内脱臼である


かつては、先天性股関節脱臼(CDH、先天股脱)といわれていた


・好発:女児に多い(男女比:1:7)、初産児、骨盤位分娩例、家族歴


・新生児〜乳児期の開排制限クリック徴候※、脚長差(Allis徴候:アリス)大腿皮膚溝が非対称などの所見がある

→大腿皮膚溝は、股関節の脱臼によって患肢が短縮して、皮膚が余分に生じることで溝ができる


・歩行開始(処女歩行)が遅れる

→歩行開始後では、跛行Trendelenburg歩行(トレンデレンブルク)Duchenne症状(デュシェンヌ))などがみられる


・そのまま放置では、将来的に変形性股関節症臼蓋形成不全症をきたすことがある


クリック徴候関節の急な整復感脱臼感音を感じるなどの症状がみられることをいう


超音波検査X線検査::非侵襲的に股関節脱臼を確認することができる

→大腿骨頭位置異常(股関節脱臼)、寛骨臼形成不全などがみられる


<治療>


乳児期の治療の第一選択:6ヶ月以内であれば、Riemenbugel装具(リーメンビューゲル)の装具療法


リーメンビューゲル装具療法で改善が見られない場合は、牽引療法(オーバーヘッド牽引法など)を行う


治療困難例では、観血的整復術補正手術の考慮となる


無理な徒手整復では血管損傷で骨頭変形のリスクがあるため避けること

→脱臼のある臼内の関節包は軟部組織があるため


化膿性股関節炎について


化膿性股関節炎とは、股関節に細菌が侵入して発症する関節炎のことで、大腿骨頸部の急性化膿性骨髄炎から波及して起こることが多い

起因菌は、黄色ブドウ球菌が多く、9割以上が片側性となっている(その他の原因菌には肺炎球菌、連鎖球菌などがある)


・好発:乳幼児、男児に多い


・症状は発熱、食欲不振、下痢など


・乳幼児のため、訴えはオムツ交換時などの啼泣痛みによる患肢の不動がみられる


・将来的には大腿骨壊死、頸部変形、成長障害、変形性股関節症のリスクがあるため、早期に抗菌薬治療下肢介達牽引などを行う必要がある

→腫脹が強い場合は切開排膿・ドレナージの適応


・化膿性のものは、関節包内が滲出液が貯留(拡張)することから大腿骨頭は外下方に亜脱臼位となる(左右の関節裂隙に差がみられる)


大腿骨頸部の骨髄炎から波及することが多い

→骨髄炎は骨幹端部にでき、その後、関節内に波及する


・変形のもととなりやすいため、早急な対処が必要である


小児期の化膿性股関節炎においては、単純性股関節炎との鑑別が必要となることから、以下の項目の違いによるチェックが必要である


項目化膿性股関節炎単純性股関節炎
全身症状発熱、全身倦怠感
(感冒様症状)
微熱みられることあり
局所症状股関節痛、腫脹股関節痛
血液検査白血球の上昇、CRP上昇、赤沈(+)正常
関節穿刺膿がみられる正常の関節液
X線検査初期は異常なし
発症から10日ほどで局所の骨萎縮、骨膜反応
正常
化膿性股関節炎と単純性股関節炎の違いについて


<検査>


血液検査:CRP上昇、白血球上昇、赤沈(+)


X線検査:初期は異常が見られない、関節腔の拡張で関節裂隙の拡大が見られる

→関節包内の滲出液が貯留・拡張して大腿骨頭が外下方に亜脱臼位となるが、左右で関節裂隙が異なった所見となる


関節穿刺膿の貯留を確認することで、診断確定可


<治療>


緊急的に関節の切開排膿、ドレナージをし、数日間は持続洗浄すること


また、安静とし、抗菌薬の静注を行う


良肢位の下肢介達牽引病的脱臼防止となることから良いとされる

→進行により大腿骨頭が破壊されて病的脱臼をおこすことがある


新生児の股関節疾患では、この化膿性股関節炎や先ほどの発育性股関節形成不全をまずは考えてみること


外反母趾について


外反母趾では歩行時に母趾中足趾関節の内側の痛みが突出する

所見では、母趾が腓骨側に湾曲し第2趾と重なって見える

これは、安静時では痛みはみられない


・女性に多い


・10代と40代以降の発症と2分している


・外的要因には、長時間履く習慣がある履き物が関係している


・変形前には疼痛が見られることが多い

→この段階で履き物を変えるのが良い


<治療>


変形前の疼痛のみであれば、矯正、装具療法、履き物を変えるなどを行うこと


変形してしまった状態では、手術的療法をとる(中足骨の骨切り術


近縁疾患について


疾患名内容
扁平足足縦アーチが消失、低下して足底が扁平になった状態

外反母趾に併発することが多い
屈筋腱断裂母趾の屈曲ができなくなる
母趾では刃物などで切るなどの外傷がなければ起きない
痛風性関節炎痛風の最も発症する部位は母趾の中足趾関節(MP関節)である
安静時でも痛みが続く
第1中足骨骨折安静時には痛みはみられない
外傷による疼痛あり
足にみられる疾患について


手足の部位による名称について


手足のそれぞれの関節には名称がある

略名も併せて覚えておくことが必要です


手では親指側は橈側小指側が尺側となり、足では親指側(内側)は脛骨側小指側(外側)が腓骨側となっている


部位名称関節ごとの名称
親指拇指第1関節:節間関節(IP関節)

第2関節:中手指節関節(MP関節)

付け根部分:手根中手関節(CM関節)
人差し指示指第1関節:遠位節間関節(DIP関節)

第2関節:近位節間関節(PIP関節)

付け根部分:中手指節間関節(MP関節)
中指中指以下同様
薬指環指
小指小指
手の各部の名称について


部位名称関節ごとの名称
親指第1趾
(母趾)
第1関節:節間関節(IP関節)

第2関節:中足趾関節(MP関節)
人差し指第2趾第1関節:遠位節間関節(DIP関節)

第2関節:近位節間関節(PIP関節)

付け根部分:中足趾関節(MP関節)
中指第3趾以下同様
薬指第4趾
小指第5趾
(小趾)
足の各部の名称について


総腓骨神経麻痺について


総腓骨神経麻痺とは、総腓骨神経が主に腓骨頸部で圧迫されることで絞扼性神経障害をきたした状態である

これは、下肢における絞扼性神経障害では最も多いものである


総腓骨神経麻痺では、運動の異常と感覚の異常がある


<運動の異常>


・前脛骨筋の麻痺


下垂足足背(足の甲)の伸筋群が萎縮する、前脛骨筋(スネ)の萎縮がみられる


<感覚の異常>


・下腿外側〜足背の感覚障害がある

→前から見て脚の腓骨側脚の外側半分の感覚障害あり)


下肢の術後下肢を挙上することが多いが、これによって下肢の外旋で腓骨頭で総腓骨神経が圧迫、麻痺となることがある

→そのため、定期的な足関節背屈運動は確認すること


・好発:習慣的に長時間足組みをする人や下肢に鈍的外傷、骨折、ギプス固定後などで起こりうる


・足背や下腿外側にしびれや感覚障害がみられる


・足関節の背屈(伸展)ができなくなる

下垂足という

急性発症時、腓骨神経麻痺のほかL5神経根障害も考慮すること(腰椎ヘルニアとの鑑別)

→これは、腱反射では異常が検出できない※また、局所的麻痺には脳血管障害も考慮すること(この場合は、腱反射の亢進や病的反射の出現など、上位運動ニューロン障害がみられる)。これがなければ末梢の障害を考慮

→そこで、末梢神経障害には神経伝導検査となる


・歩行時に膝を高く挙げて歩く鶏歩(けいほ)がみられる


Tinel様徴候(チネル)である、腓骨頸部に圧痛、叩打によるチクチク感、蟻走感がみられる


足部内反によって症状が増悪する


※ 腱反射の低下:末梢神経障害や神経根障害では腱反射が低下するが、下肢の腱反射には膝蓋腱反射とアキレス腱反射の2つとなっている


・膝蓋腱反射:大腿神経-L4神経根の評価ができる

・アキレス腱反射:後脛骨神経-S1の評価ができる

となっている


診断は、所見のほか

末梢神経伝導検査(電気生理学的検査)(腓骨頭部での伝導障害を確認する)やMRI等の画像検査が有用である


<治療>


保存療法:リハビリ(装具療法、関節可動域訓練、運動療法、低周波刺激療法)薬物療法(NSAIDs、ステロイド局所注射、VB12製剤など)


手術療法:重症例では距踵関節固定術後脛骨筋腱移行術など


ここまでが整形外科編における下肢の疾患となります


皆さまお疲れ様でした




<参考>

メディックメディア:クエスチョン・バンク

病気がみえる


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    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

    -整形外科編
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