貧血の種類
貧血の種類について備忘録としてまとめておきます、、
再生不良性貧血とは
造血幹細胞が減少することでおこるものです
このため、赤血球だけでなく、白血球や血小板も不足するため、貧血や易感染性、出血傾向などの症状が現れる。
原因として、遺伝性、放射線、薬剤、肝炎等がある(難病指定)
骨髄異形成症候群とは(MDS)
高齢者で発症頻度が高い疾患である
再生不良性貧血との違いは造血幹細胞の分化がある程度進んでから異常が生じること
すべての血球が減少し、白血病になる場合もある
赤芽球癆とは(せきがきゅうろう)
赤芽球やその前駆細胞といった、赤芽球系にのみ障害がおこるものをいう
末梢血での網赤血球の減少、骨髄での赤芽球減少などをきたすが、白血球や血小板には異常はないものとなっている
巨赤芽球性貧血とは
別名悪性貧血と言われる
原因はVB12の不足、葉酸の不足によるDNA合成障害といわれている。胃全摘でもおこる。
症状は一般的な貧血症状に加えて舌の痛み、舌乳頭委縮(Hunter舌炎)、年齢不相応な白髪、食欲不振などがみられることがある
また、抑うつ、認知症などの神経症状もあり、治療が遅れると不可逆性となることがある
治療はVB12製剤(非経口投与)
鉄欠乏性貧血とは
赤芽球のヘモグロビン合成が障害されることでおこる貧血の一つである
原発性貧血の80〜90%を占めている
鉄欠乏の原因として、鉄分の摂取不足だけでなく、消化器系がんや潰瘍、婦人科系のがんなどの慢性的な微量出血によるものもあるため、精査が必要である
FeはFe2+の形で十二指腸から空腸上部にかけて吸収される。
吸収された Fe2+ は腸管粘膜細胞を通過し、血漿中でセルロプラスミン※によって3価鉄のFe3+となって、トランスフェリンと結合し赤芽球や組織に鉄を供給する。
Fe2+ → 腸管粘膜細胞 → 血漿中でセルロプラスミンが酸化させ Fe3+ となる
→ トランスフェリン ━ Fe3+ → 赤芽球や組織へ供給
※セルロプラスミン:銅原子を持つ糖蛋白で、肝のミクロソームで銅とアポセルロプラスミンから合成され、血中または胆汁中に分泌・排泄されるもの。
(参考:セルロプラスミン | SRL総合検査案内(閲覧:2021.9.1))
鉄芽球性貧血、サラセミアとは
ヘモグロビンが合成されないことでおこる貧血である
鉄芽球性貧血は、体内に正常な鉄の量があってもヘモグロビンを合成できないことで発症するものであり
サラセミアは合成されたヘモグロビンが異常であるため溶血してしまうことでおこる
溶血性貧血とは
成熟した赤血球の崩壊が亢進することで生じるもので、先天性と後天性がある
先天性では、赤血球膜に異常をきたす「遺伝性球状赤血球症」が最も多いといわれている
後天性では、赤血球に対する自己抗体が体内に生じ、それによって赤血球が破壊される
「自己免疫性溶血性貧血」の頻度が最も高いといわれている
また、マラソンや剣道など足底部に強い衝撃を繰り返すことでおこるスポーツ性貧血もある(物理的な赤血球の破壊)
溶血性貧血において、黄疸や脾腫、ヘモグロビン尿、胆石を伴うことがある
二次性貧血について
慢性疾患に伴う貧血(ACD)とは
炎症性疾患が原因の貧血である(慢性疾患に伴う貧血)
慢性疾患例として慢性感染症、膠原病、炎症性腸疾患、悪性腫瘍などがあげられる
腎性貧血とは
腎機能が低下することで、エリスロポエチン(EPO)の低下がおこり、貧血となる疾患である
EPO:骨髄の造血幹細胞に働いて、赤血球の数を調整するホルモンのこと
肝疾患による貧血について
肝硬変や慢性肝炎、アルコール性肝障害などによって肝機能が低下することで、赤血球の変形や脾臓の腫れがおこり、赤血球の寿命が短くなる疾患である
葉酸の欠乏や溶血、栄養失調が肝疾患による貧血の原因と言われている
内分泌疾患による貧血について
甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンの低下(甲状腺機能低下症、アジソン病)によって赤血球の産生が低下することでおこる貧血である(頻度としては低い)
薬剤性貧血とは
クロラムフェニコールにより再生不良性貧血を起こすといわれている
その他の薬剤の可能性として、抗リウマチ剤、抗炎症剤、抗生剤、抗甲状腺剤などがあげられている