日本における不眠症について
日本では不眠症状に対して医療機関への相談に比べて、アルコールに頼る頻度が高い
このため、薬物療法開始時のアルコール飲酒歴の聴取も極めて重要となっている
副作用によるせん妄に対しては、抗精神病薬を使用するが、それが不適切と考えらる場合では
トラゾドンやミアンセリンといった抗うつ薬を使用する
ラメルテオンとスボレキサントは、急性期患者においてせん妄を予防できる可能性が示唆されている
不眠症による不具合について
不眠症が続くとよく無いのはご存知かもしれませんが、具体的にどのようなことがよく無いのでしょうか?
そこをみていきましょう。
不眠症では、成長ホルモンが適正に分泌されず、様々な障害が起こります。(もちろんこれだけでは無いですが、、)
それにより、睡眠時に行っているからだの反応が適正にできず
疲労の蓄積、老廃物がたまる、知識整理が行われにくい、ストレスの軽減がされないことでストレスホルモンが多くなる。
など端的にはこういったものが見られます。
その結果、疲れるというだけでは無く、糖尿病や高血圧症などの合併症も引き起こしてしまいます。
ストレスホルモンはいわゆる生体内のステロイドであり、ステロイドというのは多くの体の作用を調節しています。
これが血圧や糖代謝に関わっているためです。
その他、精神活動にも関わるため、うつも併発してしまうということも多いです。
そのため、睡眠の質を上げるというのは非常に大事なことです。
今回は別の記事ですが、大事なことだったので、再掲しました。
BZP系の依存に対する件数について
①エチゾラム 720件 ②アルプラゾラム 179件 ③トリアゾラム 163件
④ゾルピデム 129件 ⑤クロチアゼパム 121件
睡眠薬を開始するときの留意点について
60歳では6時間以上の睡眠をとることは困難となるものだが、8時間睡眠をとらなければと誤解していることも多い
ため、睡眠薬開始時や減量時には、現在の睡眠時間を必ず確認する必要がある
睡眠時間を短くすることのみで、熟眠感や入眠困難を改善することは多くの症例でみられている
→ 遅く寝て、早く起きるように睡眠衛生指導をしていくことで、入眠障害や熟眠障害の改善に有用と考えられている
BZP系の依存形成について
BZP系の依存性は、GABAa受容体の α1 サブユニットが関与していると考えられている
αサブユニットへの影響について
・ゾルピデム:α1 > > α2、α3、α5
・ゾピクロン:α1、α5 > α2、α3
・エスゾピクロン:α2、α3 > α1、α5
睡眠薬の中止方法について
漸減法と隔日法がある
・漸減法:中止の最終段階まで50~75%の減量を繰り返す方法
・隔日法:最終段階、睡眠薬を内服する日と内服しない日を交互で作っていく
漸減法について
睡眠薬の中止方法がいずれの方法であっても、反跳性不眠といずれかの離脱症状がみられることは説明しておくのがよい
ワンステップは1、2週間をかけてゆっくりと減量する
反跳性不眠がでたら一段階戻ってよい
隔日法について
休薬日は、眠くなってから床に就くようにと指導するか、一時間程、就寝時間を遅らせるようにしてもらうのがよい
反跳性不眠は4日から1週間程度出現する
中止しにくい薬剤から中止しやすい薬剤への切り替えについて一例
- フルニトラゼパム → エスタゾラム
- ブロチゾラム → ニトラゼパム
- エチゾラム → ロルメタゾラム
- ゾルピデム → スボレキサント
これらは、切り替えをしてから、その切り替え薬剤を漸減していく
<参考>
日本睡眠学会ガイドライン
『睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療療ガイドライン』
https://jssr.jp/files/guideline/suiminyaku-guideline.pdf