最近起こっている、ジェネリック医薬品の工場やプロトコールの不正摘発により、工場の出荷が滞っている事態が増えています。
このため、薬局においては代替え検討、処方提案の一助になればと思い、私なりの解答を考えてみました。
最善の手とはいえないかもしれませんが、ベターな選択を取れるよう考慮しております。参考までに
2022年現在、更新は中止しています
エルデカルシトールの代替薬
①エルデカルシトール、アルファカルシドールなどの骨粗しょう症治療薬 VD3活性
これは、代替品も二次的に不足している状況と、この分野の治療薬は種類が少ないことから、全く手に入らない状況かと思います。
そこで、薬局でできるのなら以下はどうでしょうか?
→VC、VD製剤をサプリメントで代用を考慮
→R3.11月現在、先発のエディロールが入手できたので、そちらで調剤してます
ビソプロロールの代替薬
②ビソプロロール:β1選択的遮断薬、不整脈治療
→メトプロロール、アテノロールなどを検討考慮
(β1選択的で、ISA活性なく、膜安定化作用もなしという点で共通している)
★現在、学会よりメインテートはアーチストへの代替案が推奨されています
プランルカストの代替薬
③プランルカスト:LT受容体拮抗薬、アレルギー性疾患治療
→モンテルカストであれば同じLT-RIである。アイピーディーのスプラタストトシル酸塩はTh2サイトカイン(IL-4、IL-5)産生を選択的に阻害により、若干IgE抗体の産生抑制作用はある。
セレキノン®の代替薬
④セレキノン®錠
・適応が慢性胃炎で使用しているならば、モサプリド(ガスモチン®)
・適応がIBSであればポリフル錠500mg®
を実際に提案しました。
処方はポリフルとなりました
ヒドロクロロチアジドの代替薬
⑤ヒドロクロロチアジド錠
→一般的に多く処方されているフルイトラン(トリクロルメチアジド)が良いかと思います。
適応は同じで、半減期は短くなります
ヒドロクロロチアジド:Tmax:2-2.6 hr、 T1/2:9 hr
↓
トリクロルメチアジド: Tmax:1.75 hr、 T1/2:2.3 hr
コバシル®の代替薬
⑥コバシル®
持続性ACEIだが、患者より空咳はないとのこと、ではあったが、
私は門前でよく出ているARBに切り替えました。
チバセン®、レニベース®などのACEIかなとも思いましたが、ARBのカンデサルタンシレキセチルを提案しました。
エピナスチン、オロパタジンの代替薬
⑦エピナスチン、オロパタジン(これは後から追記)
先発のアレジオンも殺到すると思いますので、私は門前でよく出るベポタスチン(脳内H1受容体占拠率は少し上がるが)への切り替えを提案しました。
とはいえ、同等のレボセチリジンが無難か、、
セロクラール®の代替薬
⑧セロクラール錠®20mg(イフェンプロジル)
入手困難により、代替え提案した
→ケタス(イブジラスト)かサアミオン錠5mg(ニセルゴリン)がこちらではあることを伝え、提案
→結果、普段他の方にも使用しているサアミオンへの変更(めまいの適応は無し)となった。(今回は分2の処方となった)
チバセン®の代替薬
⑨チバセン錠®5mg(ベナゼプリル)(ACEI)
入手困難により、同じACEIを代替え提案した
タナトリル錠®5mg(イミダプリル)の変更となった。
イミダプリルの代替薬
⑩イミダプリルの代替は
現在在庫があるエナラプリルへの変更を提案
タケプロン®の代替薬
⑪タケプロンの一時的入手困難により代替薬の提案した
諸事情もあり、こちらはGE率の維持もあったため、GEランソプラゾールの他メーカーにし、患者説明もしていきました。
ただ、薬効で考える代替案は、タケキャブが良いかと思います。
タケプロンとの違いとして、CYP2C19による代謝の個人差が少ないためタケキャブの方が、万人に効果があるだろうとされている点がすぐれているからです(タケプロンは人によってCmax値が40%も違うことがあります。)
今後は、タケプロンからタケキャブに移行していくパターンも多くなると考えられます。
カルボシステインの代替薬
⑫カルボシステイン(ムコダイン®)は「気道粘液修復薬」であり、粘膜の抗炎症も期待される
これは多量の痰の場合に最適といえる
⑬一方でアンブロキソール(ムコソルバン®)は
・肺~喉の気道を潤す作用
・気道粘膜の滑りをよくする作用
があるが、鼻水などの花の作用までは期待できない
→通常であれば、ムコダイン®とムコソルバン®は併用により相乗効果を期待出る
そのため、代替え薬としては△といったところ
カルボシステインはアンブロキソールは△だが、ブロムヘキシンが現状近い性質なのではないかと私は考えてますので、代替えとして提案しました
⑭そこで、ブロムヘキシン(ビソルボン®)を考えました
→2021年12月末時点で販売中止ということがわかりました(すみません 汗)
これは「気道粘液分泌促進薬」といわれるものです
これは、ムチンなどの粘性の高い液体を分解して粘度を下げる作用がある
また、気道の漿液を分泌促進して滑りをよくします
チザニジンの代替薬
⑮チザニジンは「中枢性筋弛緩薬」というものだが
骨格筋の緊張を和らげて腰痛、肩こり痙性麻痺に使用されるものです
骨格筋:α-運動ニューロンとγ-運動ニューロンのバランスで筋緊張のバランスを保っている
・α-運動ニューロン:動かす際の筋収縮に関する神経
・γ-運動ニューロン:筋紡錘の張力調整に関わる神経
類似薬には以下が挙げられる
成分 | 特徴 | 薬理作用 |
---|---|---|
チザニジン(テルネリン®) | ・作用は強力 ・脊髄反射の電位抑制 ・脊髄やその上位でも作用 | ・中枢性のα2刺激作用(つまり抑制性の神経活性化)がある ・多シナプス神経反射を選択的抑制 ・単シナプス反射には弱い ・このことから血圧低下作用もあり |
バクロフェン(ギャバロン®) | ・作用は強力 ・GABA(γ-アミノ酪酸)の誘導体である | ・脊髄の単シナプス・多シナプス反射抑制あり ・比較的に単シナプス反射抑制が強め ・γ-運動ニューロン活性抑制あり |
クロルフェネシン(リンラキサー®) | ・作用はマイルド | 主に多シナプスの脊髄反射抑制 |
エペリゾン(ミオナール®) | ・作用はマイルド ・主に脊髄だが、その上位にも少し作用する | 脊髄反射やγ-運動ニューロンの自発発射抑制 血管平滑筋作用あり(Ca2+拮抗)、血流の改善や疼痛反射抑制もあり |
成分 | 薬理作用 |
---|---|
ダントロレン(ダントリウム®) |
疼痛改善効果はエペリゾン、チザニジンではいずれも同程度(VASスケールにて)であるが、傾眠のSEとしてはエペリゾンの方が少ないとされる
注意としてはやはりチザニジンはCYP1A2の代謝のため、これを阻害する薬剤とは注意が必要となるだけでなく、腎機能、肝機能にも注意が必要である
(特にフルボキサミンでは禁忌→AUCがおよそ33倍、シプロフロキサシンではAUCがおよそ10倍にもなる)
<参考>
チザニジンインタビューフォーム:IF (packageinsert.jp)(閲覧:2022.1.4)
エペリゾンインタビューフォーム:エペリゾン塩酸塩錠50mg「あすか」 (aska-pharma.co.jp)(閲覧:2022.1.4)
いずれにしても代替えがあまり選択できない状況にあると思いますので、どれか使ってみるというのがいいかもしれません
(選んでる場合ではない(苦笑))
それぞれの特性の違いはありますが、使い方、使用してみた効果判定などは臨床経験の多い整形外科医等に任せるのが良いかもしれませんね
ちなみにダントロレンは一応、一覧として載せてますが、これは用途が違いますので間違えないようにしてくださいね
(T型Ca2+チャネルの遮断薬です。トロポニンに結合するCa2+チャネルを阻害するもの)