登録販売者合格講義ノート

第7回 人体の構造と働きについて(泌尿器系、感覚器官、運動器官)

第7回

引き続き、人体の構造と働きについてみていきます


今回は、泌尿器系、感覚器官の部位を学んでいきます


泌尿器系について


泌尿器系は、血液中の老廃物を尿として体外へ排泄するための器官系です


腎臓は排泄機能だけではなく、ビタミンDを活性化して骨形成を促したり、赤血球を産生するためのホルモンを分泌するなどの内分泌腺の働きもあります


そして、泌尿器系は腎臓だけではなく、副腎や尿路などの器官も集まって形成されています


副腎の構造について


副腎は腎臓の上にちょこっと乗ったような位置にあります


構造を見ると、副腎髄質が中心にあり、それを副腎皮質で覆っている構造で、それぞれ分泌されるホルモンがあります(次の表を参照)


ネフロンについて


血液の流れは、輸入細動脈から入り、糸球体の輪っか部分で血液がこしとられて原尿となって尿細管に流れていきます


尿細管では一部、水分や電解質は再吸収されているため、全てが排泄されるわけではないです


残った分は輸出細動脈を出て、また循環血液中に戻ります


器官機能
腎臓・腎臓の基本的な機能をもつ最小単位をネフロンというが、これは腎小体(糸球体+ボウマン嚢(のう))+尿細管から構成される
→「ネフロンについて」の画像参照

・血液中の老廃物を除去する(心臓から拍出される血液の5分の1から4分の1は流れる)

・水分や電解質の排出を調整し、血液の量と組成、血圧を一定に維持する

赤血球の産生を促進するホルモンであるエリスロポエチンを分泌する
→この分泌が正常でないと、腎性貧血の原因となる

ビタミンDを活性型に代謝する
→これにより、カルシウムの吸収を高めたり、骨形成促進に関わり、血中のカルシウム濃度の調整などが行われる
副腎副腎は副腎皮質、副腎髄質、褐色細胞の3層から構成される

それぞれホルモンが分泌される

褐色細胞アドレナリンなどの血圧に関するホルモンなどを分泌する

褐色細胞腫という疾患では、アドレナリンが過剰分泌して高血圧となる


副腎皮質コルチゾールアルドステロンなどのステロイドホルモンを分泌する

→次の項目の「補足」で詳しく解説


副腎髄質アドレナリンノルアドレナリンを産生、分泌をし血圧を上げる働きをする
尿路構成は尿管、膀胱、尿道となっている


尿管は、腎臓と膀胱を繋いでいる管


膀胱は、尿を一時的にためるための袋状の器官


尿道は膀胱に溜まった尿が体外に排泄されるときに通る管となっている

→女性では尿道は短く、細菌侵入しやすく膀胱炎になりやすい(基本的に尿中は無菌である)

→一方で男性は尿道は長く膀胱炎にはなりにくいが、尿道周りに前立腺があり、加齢と共に肥大するため尿道の圧迫により排尿困難を生じやすい(これが前立腺肥大症による排尿困難である)
泌尿器系の機能について


リンク先

<補足>


副腎皮質から分泌されるコルチゾールはストレスなどでも上昇するストレスホルモンの一種であり、様々な作用がある

→肝臓での糖新生で血糖値を上げ、筋肉ではタンパク質を代謝、脂肪組織では脂肪の分解免疫抑制抗炎症などがある

→薬として言われているステロイド薬はこのような全身作用が起こりうる(副作用の原因にもなる)


また、アルドステロン体内に水分と塩分を貯留し、カリウム排泄を促す作用がある

→このため、アルドステロンが多くなれば低カリウム血症となる
(薬剤による低カリウム血症の原因の一つに偽アルドステロン症が挙げられるが、これは、アルドステロンのような作用がある甘草(カンゾウ)がこのような作用を示すことから起こりうる)


感覚器官について


次に、感覚器官です


順番に、目、耳、鼻とみていきましょう


目の機能について


手書きで申し訳ないですが、、目の構造になります


目の構造について


部位番号名称
角膜
瞳孔
虹彩
毛様体
水晶体
硝子体
結膜
強膜
脈絡膜
網膜
視神経
目の構造について


目の機能は視覚情報の受容器官となっています


これは、眼球、眼瞼(がんけん)、結膜、涙器、眼筋等からなっています


・角膜(①)と水晶体(⑤)の間は房水で満たされており、これにより角膜には一定の圧力(眼圧)が発生しています


この房水の排出が低下したり、産生が増加することで眼圧は上がります


眼圧が上がって視神経(⑪)に障害が起きてくる疾患を緑内障といいます
(日本人に多いとされる、眼圧が正常でも緑内障が起こる正常眼圧緑内障というのもあります)


虹彩の機能は瞳孔を広げたり縮小させることで、眼球内に入る光の量を調節します


・光は、角膜を通り、房水、水晶体、硝子体と進み(透過)、屈折して網膜に焦点を結びます


網膜には視細胞があり、ここで光を受容し、個々の細胞は神経線維でつながって、束状になって視神経となっています

→色の識別やや暗いところではたらく細胞がある
桿体(かんたい)細胞:光の明暗をを認識する光覚がある細胞、色素にロドプシンという物質がある)
錐体(すいたい)細胞:赤、緑、青(光の三原色)の3つの波長に反応する3つの細胞がある)


<焦点調節>


毛様体が水晶体の厚みを変化させて行うため


近くのものを見るとき:水晶体は厚くなる


遠くを見るとき:水晶体は扁平となる


鼻の機能について


鼻は嗅覚情報の受容器官となっています


空気中の物質は鼻腔内を通り、化学的刺激を感じ取ります


鼻は鼻中隔という軟骨で左右に仕切られ、この鼻中隔の前部の粘膜は毛細血管が密集しているため出血(鼻血)しやすい部位となっています


鼻の周囲の骨には副鼻腔が広がっています


リンク先

耳の機能について


手書きだけだと見にくいため、フリーの画像を用意しました、、


耳の機能について1
耳の機能について2(試験範囲内)


部位番号名称
鼓膜
耳小骨
鼓室
耳管
耳石器官
蝸牛
三半規管
耳の機能について


内耳 ┳ 蝸牛(⑥)
   ┗ 前庭 ┳ 耳石器官(⑤)
        ┗ 半規管(⑦)


鼓室耳管鼻腔と咽頭とつながっています

→小児では耳管は太くて短く、水平に近く走行しており、鼻腔からウイルスや細菌などが侵入しやすい構造となっているため、中耳炎などを引き起こしやすい


蝸牛聴覚器官である


前庭平衡(へいこう)器官である

→内耳の蝸牛と前庭の内部はリンパ液で充満になっている


運動器官について


運動器官で見ていく部位は、皮膚、骨、関節、筋肉になります


一つずつ確認していきましょう


皮膚について(外皮系)


皮膚にもしっかりいくつも機能があります


主な機能については以下が挙げられます


機能内容
身体の維持・保護体表面を包んで保護をすることで、外部からの異物(ウイルス、細菌など)の侵入を防ぎます
体水分の保持体の水分が体外へ蒸発しないようにするのと、水分が体内に浸透しないように遮断します
熱交換体温が上がれば毛細血管が開いて、体外へ熱を排出する

また、汗腺から汗を分泌し気化熱によって体温を下げます
外界情報の感知触覚、圧覚、痛覚、温度感覚などの感覚器としての機能があります
皮膚について


皮膚の構造について1


・皮膚の構造は大きくみて、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層構造からなっています


表皮角質層と表皮細胞に分けられています


角質層ケラチンでできた角質細胞セラミドを主成分とした細胞間脂質で構成されています


・表皮や真皮にメラニンが沈着することで皮膚に色をつけています

メラニンは、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞で作られます


皮膚の構造について2


<汗腺>


アポクリン腺:腋窩(えきか:脇の下のこと)などの毛根部に分布します

→これは体臭腺とも言われています


エクリン腺:毛根のない部位(手のひらなど)も含めて全身に分布しています


骨格系について


骨は体を支えるためにお互いに骨どうしが関節で結合をしています


成人では骨が一見成長が終わってしまっているように見えるが、一生涯骨を壊す骨破壊(骨吸収)骨の修復(骨形成)が行われています


この骨形成と骨吸収のバランスが崩れて骨吸収が更に進んでしまうことで、骨が脆くなってしまい骨粗鬆症という疾患を引き起こしてしまいます


また、骨は骨質、骨膜、骨髄、関節軟骨の4つの組織からなっており、機能には以下が挙げられます


機能内容
身体各部の支持機能頭部や内臓を支える
臓器保護機能骨格内に臓器をおさめて保護をする
運動機能骨格筋の収縮を効果的に体躯の運動に転換をする関節周囲は関節膜に包まれており、外側は靭帯がある
造血機能骨髄で産生される造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板が分化していく

→主な造血機能は胸骨、肋骨、脊椎、骨盤、大腿骨などがある
貯蔵機能カルシウムやリンなどの無機質を蓄える

無機質というのは骨を硬くし、有機質(タンパク質や多糖体など)は骨の強靭さを保つ役割がある
骨格系の機能について


筋組織について


筋組織は、筋細胞とそれらをつなぐ結合組織からなっており、次の表の3つの形態に分類されます


骨格筋は関節の骨に腱で繋がっている


結合組織のみでできており、伸縮性はない


項目骨格筋平滑筋心筋
部位運動器官内臓
(血管壁、消化管壁、膀胱など)
心臓壁
随意筋か
不随意筋か
随意筋※不随意筋※不随意筋
横紋の有無
その他収縮力大

疲労しやすい

体性神経系(運動神経)支配である
比較的弱い力で持続的に収縮することができる

自律神経系支配である
強い収縮力と持続力がある

自律神経系支配である
筋組織の分類について




随意筋:意識して動かすことのできる筋肉

不随意筋:意識して動かすことのできない筋肉


人体の大まかな構造についてみてきました


まずはここをしっかり把握しておくことで、次回からの薬の吸収から排泄に至るまでの流れも理解しやすくなるのではないでしょうか


全てはつながってくるため、一つずつ覚えていきましょう


お疲れ様でした



    • この記事を書いた人

    Nitroso.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

    -登録販売者合格講義ノート
    -,