ここでは、登録販売者に合格するため、また、既に登録販売者の方のための内容でまとめていきたいと思います
まず初めに、第1回ですので基礎部分から見ていきたいと思いますので一つずつ学んでいきましょう
交感神経や副交感神経について
交感神経や副交感神経というのは聞いたことがあると思います
しかし、それぞれがどんな特徴があって、どんな作用をしているのかを把握しているでしょうか?
もし、まだわからない方であればこれからしっかり学んでいきましょう
ここでの内容は基本となる考え方になりますので、それを噛み砕いてなるべく読みやすい形でまとめていきますので、よろしくお願いします
さて、神経についてみていきますが
神経は一般的にはこちらの「自律神経」と言われるもので、交感神経と副交感神経を合わせたものを言います
この2つの神経がバランスを保って日常生活で変動していきます(これを「自律神経の二重拮抗支配」といいます)
これは朝起きる時、仕事をしている時は交感神経を活性化させてアクティブになり、寝るときには副交感神経を活性化させて睡眠を促すなどがあります
神経について少し細かくみると以下の通りとなります
中枢神経系:脳、脊髄からなっています
末梢神経系:中枢神経系から出ている神経であり、手足などの末端を「末梢」といいます
→これには、体性神経と自律神経があります
体性神経 ┳ 運動神経
┗ 知覚神経
自律神経 ┳ 交感神経
┗ 副交感神経
運動神経:体や内臓の筋肉を動かすために中枢神経から末梢に伝えるための神経(遠心性神経)
知覚神経:視覚や聴覚、触覚など末端で受け取った情報を中枢神経に伝達するための末梢神経(求心性神経)
脳(中心)から遠のくのが遠心性、中心に戻るよう求められるのが求心性
交感神経とは
まずは交感神経を見ていきますが、これは活動時に優位となる神経(興奮性のもの)になります
イメージとしては、緊張状態や闘争状態の態勢にある状況で働く神経症状が交感神経となります
例えば
心臓:心拍数の増加、血圧上昇で緊張状態となる
気管支:気管支拡張することで酸素を多く体に取り込めるようになる
血管:血管収縮や血圧上昇し血液を全身に巡りやすくする
目:瞳孔散大し、目からの情報が入りやすくなる(眼圧は上昇)
→瞳孔が散大するということは、瞳孔の面積が広くなり、より目から取り入れる情報量が多くなる
胃腸:消化管運動が低下することで、食欲はなくなり消化機能も落ちることで血流は全身に巡ることに集中し、他の機能を高めようとする
→また、肝臓のグリコーゲンは分解されてブドウ糖となり血糖値を上昇させる(ブドウ糖は脳のエネエルギー源)
膀胱:排尿筋が弛緩し排尿抑制となる(排尿しにくくなるように働く)
→排尿筋は排尿をさせるための筋肉のため、それがゆるむということは排尿しにくくなるということ
汗腺:発汗の亢進となる
→ここは例外で、伝達物質はアセチルコリンです
唾液腺:少量で粘性の高い唾液が分泌される
→興奮していると、ねばっこい唾液となり口が乾きやすい
この作用を伝達するのが、ノルアドレナリン(NA)となります
これが神経の興奮性伝達物質です
副交感神経とは
次に副交感神経についてみてみましょう
先ほどの交感神経に対して反対の作用をします
つまり、イメージとしてはリラックスした状態となります
例えば
心臓:心拍数の減少、血圧低下で安静の状態となる
気管支:気管支は適度に収縮することで酸素供給はほどよい状態となる
血管:血管拡張や血圧低下により、血液はゆっくり流れる
目:瞳孔収縮し、目からの情報(光)が入りにくくなる
→瞳孔が収縮するということは、縮まるため、光が入りにくくなるということ
胃腸:消化管運動が亢進し、胃酸分泌も亢進することで、消化機能や栄養を全身に巡りやすくする
→摂取したブドウ糖はグリコーゲンとなり、肝臓に貯蔵される
膀胱:排尿筋が収縮し排尿しやすくなる
→排尿させるための筋肉が収縮することで、排尿を促すということ
唾液腺:唾液分泌は亢進し、サラサラした状態である
→リラックスして寝ているとヨダレをこぼしてしまうのはこのため
この作用を伝達するのが、アセチルコリン(Ach)となります
ここで、膀胱の作用について図解したいと思います、これでイメージをつけれるかと思います
交感神経は、排尿筋を弛緩させて膀胱の容積を大きくし蓄尿する方向に働きます
そして、内尿道括約筋、外尿道括約筋は収縮することで排尿しにくくなります
副交感神経は、排尿筋を収縮させて膀胱の容積を小さくし排尿する方向に働きます
そして、内尿道括約筋、外尿道括約筋は弛緩することで排尿しやすくなります
交感神経と副交感神経のつくり
交感神経と副交感神経は節前線維(せつぜんせんい)と節後線維(せつごせんい)の2つの線維から成り立っています
このうち、節後線維というのは各臓器、器官(効果器という)に近い神経線維を指します
交感神経ではノルアドレナリンが伝達物質と言いましたが、これは節後線維では副交感神経と違いが出てきます
それが以下の通りでまとめられます
節前線維と節後線維は長さが異なるため比較しやすく書いてあります
交感神経、汗腺の節前線維は短く、節後繊維は長い
副交感神経の節前線維は長く、節前線維は短い
また、例外には汗腺や副腎髄質がありますが、プラスαとして記載はしましたが、副腎髄質は試験範囲外でしょう、参考までに
アドレナリン様作用、アセチルコリン様作用とは
次に、用語の解説になりますが
アドレナリン様作用とは、アドレナリンと同様の作用を示すものを言います
例えば、交感神経興奮作用物質であるノルアドレナリン、ドパ、ドパミンなどのカテコールアミン類(構造式からこの名前がついてます、また、これらは代謝の過程でできるもので、同じ成分から作られます)
これは、交感神経を興奮(作用を強める)する方向に働くことを言います
一方で、アセチルコリン様作用とはアセチルコリンと同様の作用を示すものを言います
薬学的にはこの反対の抗アセチルコリン作用(抗コリンという)で使われることが多いです
これは、副交感神経を抑制(遮断)するように作用することを言います
抗コリン作用について
先ほど出てきた、アセチルコリン様作用の反対の作用である抗コリン作用が薬理学では重要になります
これは、主に副作用の観点で語られることが多いです
それでは、抗コリン作用とは具体的にどういったものなのかについて見ていきましょう
抗コリン作用とは、副交感神経抑制作用のことであり、副交感神経に作用して抑制的に働くことで相対的に交感神経のような作用を示すことを言います
つまり、交感神経を刺激したときの反応に近い作用を示すということになります(全く同じというわけではないので、区別はするようにしましょう)
これが薬による作用(副作用)で「抗コリン作用を示す」ということになります
具体的には
部位 | 反応 |
---|---|
目 | 瞳孔散大でまぶしさやちらつきが起きる 眼圧上昇する →緑内障が悪化しやすい |
唾液腺 | 唾液分泌の抑制により口渇(こうかつ)を示す |
心臓 | 心拍数の増加により心臓の負担が増える →心疾患のある方は注意 |
胃腸 | 胃酸分泌抑制により胃の負担は軽減 →胃腸薬などになる 腸管運動の抑制 →痙攣による疼痛を軽減(鎮痙:ちんけい) |
膀胱 | 排尿筋の弛緩により排尿抑制 →排尿困難といい、前立腺肥大症など元々排尿困難者には禁忌※となる |
汗腺 | 発汗が抑制されるため、体温調節ができなくなる →仕事などで高温下での作業は注意が必要 |
禁忌(きんき):医学・薬学で用いられる「禁忌」は、絶対にしてはいけない行為(投与)を言います
その他に
「投与禁忌」では、その薬を投与することで、病態の悪化や治療の妨げになることから投与をしてはいけないことを意味します
「投与注意」では、その薬を投与したときに副作用で良くないことは起こり得るが、絶対投与してはいけないということではないが、体調変化には注意して投与していくという意味合いがある
「原則禁忌」では、基本的にはしてはいけないことだが、医師の判断によりやむを得ずこの方法で治療をしていくという選択をとることを意味する
これらの定義は、医薬品では「添付文書」という薬の説明書に記載されている公的文書である(つまり、臨床試験等を通して出た結果を法律に則ってこのように治療するという方針を決められたもの)
第1回はここまでとなります
1日で進めるペースはこのくらいを目安に勉強できればいいかなと思います
そうすれば1〜3ヶ月もすれば登録販売者合格も目指せるのではないかなと思いますので、着実に身につけて合格を目指しましょう!
次回は、アドレナリン様作用、抗コリン作用と具体的な薬剤について触れていきたいと思います