小児科編

小児科疾患編② ワクチン接種、成長、発達、栄養、二次性徴について

小児科


今回も第1回目に引き続き、成長と発育の分野を見ていきます



注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、
これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)


小児の定期予防接種について


国試的にも予防接種の時期と順序は把握しておくことが重要である(内容は改定することがあるため注意)

・予防接種は自治体によっても公費などの補助の仕組みが違っている


・予防接種では、宗教問題(ワクチンの忌避)や子供の権利主張、医療ネグレクトなど様々な医療問題もある


・小児において体温が37.5℃以下であればワクチン接種は可能である


・不活化ワクチン接種後に別のワクチンを接種する場合は1週間は間隔を空けて接種すること


・生ワクチン接種後に別のワクチンを接種する場合は4週間は間隔を空けて接種すること


尚、それぞれに疾患については別の項目でまとめていきたいと思います



Hibワクチンは接種しないことで、細菌性髄膜炎急性咽頭蓋炎などの発症リスクがある



小児用肺炎球菌は接種しないことで、細菌性髄膜炎重傷細菌感染症(敗血症、肺炎、中耳炎)などの発症リスクがある



BCG初期の膀胱癌治療にも使用されることが多い


免疫不全状態にするので、BCG感染の合併症を予防するためである(播種性BCG感染症



流行性耳下腺炎(ムンプスウイルス)のワクチン接種をしないことは、無菌性髄膜炎、脳炎、精巣炎、難聴などの発症リスクがある



HPVワクチン(ヒトパピローマウイルス)の接種をしないことは、子宮頸がん、尖圭コンジローマなどのリスクが上がる


接種内容接種時期接種回数
Hib(インフルエンザ菌b型)


定期接種、不活化ワクチン、皮下注射
開始:生後2~7ヶ月まで

2回目、3回目
それぞれ27~56日空けて接種

4回目:1歳を超えてから
7~13ヵ月空けて

(0歳が最多で5歳までがほとんど)
4回
小児用肺炎球菌

定期接種、不活化ワクチン、皮下注射
Hibと同じ時期4回
ロタウイルス(1価
(ヒトロタウイルスの弱毒化)

定期接種、生ワクチン、経口
開始:生後8週~15週未満

1回目:生後8~12週

27日以上空けて
2回目:生後12~16週

※2回目接種は生後24週までに完了させること
2回
ロタウイルス(5価
(ウシ-ヒトロタウイルスの遺伝子組み換え弱毒化)

定期接種、生ワクチン、経口
1回目、2回目は1価に準ずる

27日以上空けて
3回目:生後4~5ヵ月
3回
B型肝炎


定期接種、不活化ワクチン、皮下注射
1回目:生後2~3ヵ月

27日以上空けて
2回目:生後3~4ヵ月

139日(20週)以上空けて
3回目:生後7~9ヶ月
(推奨は出生時~1歳未満)
3回
BCG

定期接種、生ワクチン、経皮スタンプ
標準:生後5~8ヵ月
(接種期間:出生時~1歳未満)
1回
水痘(水疱瘡)

定期接種、生ワクチン、皮下注射
開始:1歳~1歳3ヵ月未満

3ヶ月以上空けて
(標準:6~12ヶ月空ける

2回目:1歳6ヶ月~3歳未満
2回
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)※1
(ムンプスウイルス)

任意接種、生ワクチン、皮下注射
1歳以降

(標準:1歳~1歳3ヵ月)
1回
DPT-IPV※2

第2期はDTのみ

定期接種、不活化ワクチン、皮下注射
<第1期>

生後3ヵ月~2歳が標準的(推奨は7歳半まで)

3回目までは20~56日空けて接種していく

4回目:6ヶ月以上空ける
(標準:生後12~18ヶ月)

<第2期>

11歳~12歳が標準的
(推奨は11~13歳未満)
第1期:4回



第2期:1回
DPT(3種混合ワクチン)※2

任意接種、不活化ワクチン、皮下注射
1回目:5歳以上7歳未満の未就学児

2回目:11歳以上13歳未満
(※これは、DTの代わりとしてできる)
2回
日本脳炎

定期接種、不活化ワクチン、皮下注射
<第1期>

1回目:3歳~

6~28日空けて2回目

2回目からおよそ1年空けて3回目
(接種可能期間:生後~7歳6ヶ月)

<第2期>

4回目:9~13歳未満
(接種可能期間:13歳以降も)
4回
MR混合ワクチン
(麻疹:はしか、風疹)

定期接種(2014年~)、生ワクチン、皮下注射
第1期:1歳~2歳未満※4

第2期:5歳~7歳未満
(未就学児)
2回
HPV(ヒトパピローマウイルス)※3(2価

定期接種、不活化ワクチン、筋肉内注射

女子対象
1回目:12~13歳が標準的(中1)

1ヵ月空けて2回目接種

1回目から6ヶ月空けて3回目接種

(接種可能期間は10~16歳(高1))
3回
HPV(ヒトパピローマウイルス)※3(4価

定期接種、不活化ワクチン、筋肉内注射

女子対象
1回目:12~13歳が標準的(中1)

2ヵ月空けて2回目接種

1回目から6ヶ月空けて3回目接種
(接種可能期間は9~16歳(高1))
小児の定期予防接種について


※1 ムンプスワクチン(おたふく風邪ワクチン)は、国際的にはMMR混合ワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ)として2回接種している

日本は任意接種となっていることから、MRワクチン(麻疹・風疹)と分かれている

地域によっては公費助成あり


※2 <DPT-IPV>

これは4種混合ワクチンである

ちなみに3種混合ワクチンはDPT2種混合ワクチンはDTとなっている

D:ジフテリア菌
P:百日咳菌
T:破傷風菌
IPV:不活化ポリオウイルス(急性灰白髄炎)

この4つを配合したもの


※3 HPV:ヒトパピローマウイルス

2価では、HPV16型、18型の抗体産生

4価では、HPV6型、11型、16型、18型の抗体産生


※4 麻疹・風疹の生ワクチンは生後12ヵ月未満では、母親からの移行抗体により予防効果が発揮できないことがあるため、生後12~24ヶ月に接種を行うこととなっている


ワクチン接種は順序良く摂取する必要があり、また、同時接種する必要があったりする


ワクチン接種の一例として流れをまとめておくと以下の通りとなります


<ワクチン接種例>


生後2か月からHib
   ↓
肺炎球菌、B型肝炎
   ↓
ロタウイルス(任意)
   ↓
3ヵ月からの4種混合
(DPT+ポリオ)
   ↓
7ヵ月でBCG等



ワクチンの種類について


生ワクチン免疫不全患者などの免疫が落ちている場合は禁忌となる

活動性結核罹患中は、コッホ現象※が強く出現することから、これも禁忌である


コッホ現象:BCGワクチン接種後に早くて1、2日程(7日以内)接種部位が赤く腫れてくるもので、この場合は結核菌に感染している可能性がある

→早めに病院へ受診し、結核菌の感染や発症がないか精査する必要がある(ツベルクリン反応を利用)

→陽性の場合は抗結核薬などで治療する必要あり


(通常は10日から14日で注射部位が徐々に赤くなり、1、2ヶ月(6週ほど)で強い反応を示す)


従来はツベルクリン反応(ツ反)を先にしてからBCG接種するかどうか決めていたが、それだと偽陽性でワクチンの接種機会損失のことがあるため、今では直接接種してからツ反の自然陽転児を早期に発見し、重傷結核感染を防ぐという流れとなっている

(ただし、コッホ現象陽性者が増えてしまっているので、これも課題の一つとなっている)


以下、ワクチンの分類とその対象疾患についてまとめてあります


区分対象疾患
生ワクチン麻疹、風疹、BCG(結核)、ムンプス、水痘
不活化ワクチン(狭義)インフルエンザ※1、日本脳炎、ワイル病※2、コレラ、狂犬病、B型肝炎、ポリオ、HPV、肺炎球菌
コンポーネントワクチン※3百日咳、Hib
トキソイド※4ジフテリア、破傷風
ワクチンの分類と対象疾患について


広義の不活化ワクチンでは、上記の表でいう所の狭義の不活化ワクチンコンポーネントワクチントキソイドとなっている


※1 インフルエンザワクチンは、孵化鶏卵(ふかけいらん)を用いてウイルス増殖させており、鶏卵や卵白に


※2 ワイル病:別名レプトスピラ症という

これは、レプトスピラ菌に感染して急性熱性疾患を発症するもので、熱帯・亜熱帯地域に多くみられる(沖縄では散発的にみられることあり)。
保菌しているネズミや犬、家畜などの哺乳動物の尿から排泄されて土壌や水を数週間にわたり汚染し、皮膚や粘膜から体内に入ることで感染する
(汚染している可能性があれば、不用意に入水しないこと

尿などからヒト-ヒト感染例もある

潜伏期を経て、症状は悪寒、発熱、筋肉痛、腹痛、結膜充血などを生じ、4~6日で黄疸や出血傾向を呈することがあり、死亡率は2,3割もある

治療:抗生剤投与ドキシサイクリンの予防投与(短期)も可


分類症状
軽症型感冒様症状
重症型黄疸、出血、腎障害など
レプトスピラ症の詳細について



※3 コンポーネントワクチン:遺伝子組み換えワクチン、組み換えたんぱく質のこと


※4 トキソイド:細菌の作る毒素や蛇毒などをホルマリンで処理することで、毒性は取り除いて抗原性だけを残した製剤をいう

破傷風、ジフテリアなどがあてはまる


結核菌の感染者増加傾向について


コッホ現象


発達の遅れについて


・水頭症:頭部CT検査で髄鞘化を確認する場合にMRIを施行する


・脳波検査:痙攣の鑑別検査、大脳発達の推定で利用する


・甲状腺ホルモン測定:発達の遅れが見られれば、クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)の疑いで検査を行う


・股関節X線検査:股関節脱臼時に行う検査で、患肢短縮などの所見があれば行うこと


母乳で育てている母乳栄養児では、通常は生後3ヵ月目までは1日25~30gずつ体重が増加する


股関節脱臼について


女児に多い



・1,000人に1人程度の頻度だが、減少傾向にある



生後3ヵ月までに発見されるのが良い


→放置されることで歩行開始後に跛行がみられる



患側の股関節に開排制限がある



患側の下肢が短く見えるというAllis徴候(アリス)※1がある



クリックサイン※2がある



・太もものしわの数に左右差あり



Trendelenburg徴候(トレンデレンブルグ)※3もみられることあり


※1 Allis徴候仰臥位で両膝を屈曲しつつ股関節を屈曲して両下腿をそろえて両膝の高さを比べる方法で、高さに差があれば陽性となる


※2 クリックサイン膝を曲げた状態で股関節を広げるクリックするような音が聞こえたり、蝕知できたりすること


※3 Trendelenburg徴候患肢で片足立ちをしたときに健肢側の骨盤が下がってみられ、股関節障害の検査法である

先天性股関節脱臼などにより中殿筋の筋力が弱い場合に見られる


<治療>


リーメンビューゲルという装具を着ける



妊婦の必要栄養量について


葉酸の摂取推奨量は、授乳中に比べて胎児がいる妊婦の時が多い


推定エネルギー必要量について


推定エネルギー必要量(EER)は、総エネルギー消費量エネルギー蓄積量あるいは付加量を加えて求められる


<公式>


EER = 総エネルギー消費量 + A + B



総エネルギー消費量:基礎代謝量 × 身体活動レベル


A:蓄積量(成長期の小児・乳児)

B:付加量(妊婦、授乳婦)


母乳と人工乳について


母乳の中でも初乳では、免疫機能を高めるものが多く成乳には栄養となるものが多く含まれる


新生児の哺乳回数は多く、1日に8回から20回となることもある



・母乳では、人工乳に比べてビタミンKの含有量は少ないため、母乳だけでは出血傾向(臍部や採血部分からの出血)をきたすことがある


→このため、出生後、日齢5、生後1カ月後の3回はケイツー®シロップ等のビタミンK製剤を服用すること


母乳には初乳と成乳があるが、それぞれの成分の違いを比較したとき



多く含まれる、強く作用するものについて以下にまとめてます



初乳は、痰黄色を呈し免疫力を補い、胎便排泄を促す成乳成長を促すためのものになる


初乳成乳牛乳
免疫グロブリン(特にIgA)
→感染予防
糖質(乳糖)カゼイン
補体、顆粒球、リンパ球、マクロファージなど脂肪カルシウム
リゾチーム熱量(カロリー)リン
ラクトフェリン(抗菌作用)アルブミン、カゼインがほぼ等量ビタミンK
タンパク質
(免疫グロブリン、ラクトフェリン等が多いため)
飽和脂肪酸
胎便排泄促進作用※
ミネラル
初乳と成乳の比較


初乳の様々な生理活性物質によって腸の動きが促進されることで胎便排泄が促進する

→このため、腸管からのビリルビン排泄が促進されて新生児黄疸を予防する作用もある


項目初乳成乳
分泌時期産褥3~5日産褥14日以降
黄色~痰黄色白色
性質粘稠性漿液性
初乳と成乳の性質の違いについて


初乳から成乳への移行時期(移行乳)は

産褥6~14日頃までであり、色や性質は初乳と成乳の間を呈する


・牛乳中のCaやPは、鉄分と不溶性のキレートを形成して吸収が阻害される


→鉄の吸収率は、牛乳では3~10%と低い(母乳であれば50%の吸収率)


→このことから、離乳期に牛乳の摂取とすることで鉄欠乏性貧血に陥る可能性が高まる


・元々含有されている鉄分母乳100gあたり0.04mgに対し、牛乳100gあたり0.02mgとなっている



VKの含有量は母乳100gあたり1μgに対し、牛乳100gあたり2μgとなっている



調製粉乳では、100mLあたり鉄分0.8mg、VK3.4μgと多く配合されている


母乳で育てている児の便は酸性を示し、人工乳ではアルカリ性を示す

母乳栄養児では、肌の黄染を認めることがあり、黄疸症状が強い場合は母乳での栄養摂取は中止せざるを得ない


母乳栄養児と人工乳栄養児の便の性質の違いについて


便の性状母乳人工乳
卵黄色、緑色痰黄色
硬さ・形やわらかい・顆粒状硬い・有形性
臭気
(腸内細菌)
酸臭
(ビフィズス菌による)
腐敗臭
(大腸菌、腸球菌による)
pH弱酸性弱アルカリ性
1日排便回数2~3回1~2回
便の性質の違いについて


乳児の体重増加不良について


・先天異常がある場合、胎児期から成長が遅れており、出生時体重は少ないことが多い


→また、心室中隔欠損症などで心不全症状を呈することで出生後の成長が遅れる



体重増加不良だったり、授乳後1~2時間ほどですぐに泣く授乳に時間がかかる(20分以上など)などが見られれば母乳不足が疑われる


→母乳が出ているのであれば、母乳を与えつつ、不足分は人工乳で補うのがよい(混合栄養)



体重の増加程度から母乳不足かどうかを確認すると良い


→生後3ヵ月までは1ヵ月で1kg程増加するのが通常


→1日の体重増加が25g以下では人工乳の追加が必要となる


リンク先

Apgarスコア(アプガースコア:AP)について


アプガースコア関連の内容は小児科疾患③にもまとめてあります


アプガースコア出生直後の新生児の状態を評価し、新生児仮死の有無を判断する評価スケールとなっている


新生児仮死は出生時に呼吸循環不全を呈する症候群であるため、気道確保保温などの適切な管理が必要となる


→これが行われないと、生命予後や神経発達障害などの原因となる



先天性心疾患には、チアノーゼ型非チアノーゼ型がある


非チアノーゼ型では出生後数日たって心雑音で診断されることが多い



評価するタイミングは基本は出生1分後5分後の2回となる


10分値では、低体温療法の導入基準に重要



この5分後の評価点数が7点未満の場合は、7点以上になるまで5分ごとに最大20分後(あと3回)まで繰り返す


出生後から5分後のAPが低いときは長期的な神経障害などの予後に関わるため、6点以下であればNICU※などで厳重管理を検討すること



評価項目は5つあり、それぞれ0~2点(3段階)の評価をしその合計点で状態を把握する


<アプガースコアの合計点>


7~10点:正常


4~6点:軽症仮死(第1度新生児仮死)


0~3点:重傷仮死(第2度新生児仮死)


確認項目/点数0点1点2点
皮膚の色
(Appearance)
全身蒼白身体が淡紅色(ピンク)
四肢のチアノーゼあり
全身が淡紅色
四肢のチアノーゼなし
心拍数
(Pulse)
なし100回/分 未満100 回/分 以上
刺激反応性(啼泣)※
(Grimace)
なし顔をしかめる
弱く泣き出す
くしゃみ、咳あり
強く泣く
活動性(筋緊張)
(Activity)
弛緩少し四肢を動かす活発に四肢を動かす
呼吸
(Respiration)
なし不規則
緩徐
良好
啼泣(強く泣く)
アプガースコアの評価方法について


※ 刺激方法として、カテーテルを鼻に入れて反応性を見る


新生児の心停止について


新生児の心停止は、大半が呼吸原性であり人工呼吸での蘇生が重要となる


新生児蘇生法NCPR2020年版(Neonatal Cardiopulmonary Resuscitation)を利用している(2022年現在)(eラーニングなどで講習受ける)


心肺蘇生2秒サイクル胸骨圧迫人工呼吸の比率が3:1で行うこと


※成人では心臓マッサージのみで蘇生できるが、新生児はできないことは知っておく必要がある



乳房、母乳の所見から疾患の可能性について


乳房が発赤や疼痛を呈する時、乳腺炎の可能性を考える


細菌培養検査にて確認



うつ乳という乳汁うっ滞がある時、腫瘤がないか確認する(乳癌などの可能性)


知能検査について


Wechsler式 ┳ WPPSI(幼児用)
      ┃
      ┣ WISC(児童生徒用)
      ┃
      ┗ WAIS-R(成人用)


WPPSI:Whechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence

WISC:Whechsler Intelligence Scale for Children

WAIS:Whechsler Adult Intelligence Scale


Wechsler式知能検査(ウェクスラー)


Wechsler式知能検査には、年齢に応じて児童用のWISC(ウィスク)幼児用のWPPSI、成人用のWAIS(ウェイス)がある

いずれも専門の公認心理師や臨床心理士などと1対1で行う検査である


知的障害、発達障害の判断材料にはなるが、知的検査のみでの診断まではできない


ウェクスラー式は70年以上も使われている国際的に評価されている検査法である


現在WISCはⅣもあるが、今回はⅢについて触れていく


WISCⅢの対象年齢は、5歳0ヵ月~16歳11ヵ月となっている


・利用には、軽度発達障害のアセスメントとして用いられる


・全般的な知能水準を測定することができ、言語性の知能指数(VIQ)※1動作性の知能指数(PIQ)※2の2つを確認できる


※1 VIQ言語性知能とは、主に耳から入った聴覚情報を処理する能力のことをいう

この言語性の能力や聴覚-音声処理過程の能力を測定する指標となっている


※2 PIQ動作性知能とは、眼から入った視覚情報を処理する能力のことをいう

この動作性能力や視覚-運動処理過程の能力を測定する指標となっている


<WISC-Ⅲ知能検査>


以下の4つの群指数を求めることができるため、より詳細に知能発達を測定・分析することができる

また、言語性知能と動作性知能の各2つずつの因子を求められて、児の認知機能で得意な事、不得意な事を知ることができる



・言語理解(VC)

・知覚統合(PO)

・注意記憶(FD)

・処理速度(PS)


軽度発達障害では、言語性知能と動作性知能の2つの間にギャップがみつかることが多いとわかっている

脳器質レベルでの認知機能の偏りや不全があることが推測される



田中・Binet式(ビネー)知能検査


田中・Binet式知能検査では、2歳~成人を対象とした集団式の知能検査である


2021年現在では、 田中・Binet式知能検査Ⅴがある


→これは、グラフィカルに状態を把握することができるよう工夫されている



2歳から13歳までは精神年齢(MA)を算出するが、14歳以降は適用できない


→成人後は精神発達が緩やかになり、この概念は有用でないとされている



・実施頻度は最低でも1年は空けるのが望ましい


→実施期間が近いと、回答を覚えていることで正確に判断できないため


①小児の生活年齢(CA)と等しい年齢級の課題から初めて、一つでもできない課題があれば等級を下げて実施していく


②全ての課題をクリアできる年齢級の下限を特定する


③逆にすべての課題がクリア出来たら、年齢級を上げて上限を特定する


④この結果をもとに、小児の生活年齢(CA)と検査結果からわかる精神年齢(MA)との比によって知能指数(IQ)を算出する


津守・稲毛式発達スクリーニング検査


津守・稲毛式発達スクリーニング検査乳幼児向け(0~7歳)の診断的な発達検査である


その他知能検査(今回の分野とは関係なし)


・長谷川式簡易知的機能評価スケール:認知症の評価スケール


第二次性徴期について


第二次性徴期は、男児は11歳頃体の下から始まり、女児は10歳頃体の上から始まる


二次性徴はTanner分類(タナー分類)で評価をする(後述)



思春期早発症では、通常よりも2~3年は早まる
(女児:乳房発育が7歳6ヶ月未満、恥毛:8歳未満、初経:10歳6ヶ月未満)



性ホルモンが骨年齢を促進することから、二次性徴の徴候は暦年齢よりも骨年齢に相関している



成長速度が急激に増加すること成長のスパートというが、これは思春期が始まって1~2年後にみられる


また、身長のスパートでは女児が早く10歳に始まり11歳にピークとなる(平均:女児:8cm/年、男児:10cm/年)


<思春期早発症>


・身長のスパートが早期にみられ、骨端線が早期に閉じるため、結果として低身長となる


・周囲との差により、心理的または社会的問題が生じうる


脳腫瘍などの器質的疾患の鑑別が必要である


早発思春期の原因は以下が挙げられます


GnRH依存性
特発性
頭蓋内腫瘍:視床下部過誤腫、神経膠腫、視床下部星細胞腫、神経線維腫など
中枢神経系の障害:奇形、くも膜嚢腫、水頭症、髄膜炎、血管障害、外傷、放射線照射、脳性麻痺など
遺伝子異常:KISS1KISS1RMKRN3
思春期早発症について1


GnRH非依存性
エストロゲン過剰:エストロゲン産生腫瘍(副腎性、卵巣性)、機能性卵巣嚢胞、薬剤性(エストロゲン製剤投与)、McCune-Albright症候群※
思春期早発症について2


McCune-Albright症候群(マッキューン・オルブライト)

原因は遺伝子の突然変異と考えられているが、詳細は不明であり、思春期早発症の他、皮膚のカフェオレ斑、線維性骨異形成(骨変形、骨折)、難聴などを引きおこす疾患である。
エストロゲンなどのホルモンが過剰分泌されて、バセドウ病、クッシング病、副甲状腺機能亢進症などを伴うことがある

検査:血液検査、レントゲン

治療:それぞれの疾患に対して治療(薬物治療)していくこととなる


Tanner分類について


分類乳房発育
1度思春期前、乳房突出
2度蕾(つぼみ)の時期、乳房・乳頭がやや膨らむ、乳頭輪径の拡大
3度乳房・乳頭輪はさらに膨らみを増すが、両者は同一平面上にある
4度乳房・乳頭輪は乳房の上に第二の隆起をつくる
5度成人型、乳頭のみ突出して乳房・乳頭輪は同一平面となる
タナー分類について(乳房発育)


分類陰毛発生
1度なし
2度長く、やや黒さを増した産毛様のまっすぐまたはカールした陰毛を認める

男児:陰茎起始部にみられる
女児:主として大陰唇に沿ってみられる
3度陰毛は黒さを増し、硬くカールし、まばらに恥骨結合部に広がる
4度陰毛は硬くカールし、量や濃さを増し成人様となるが、大腿中央部までは広がっていない
5度成人型、陰毛は大腿部まで広がり逆三角形となる
タナー分類について(陰毛発生)


男児の二次性徴について


年齢(歳)男児
11精巣容積増大
陰茎発育
12恥毛
13~15(声変わり、ひげ)
18~20骨端線閉鎖
二次性徴について


<男児>


・思春期の始まりは精巣発育からである


女児の二次性徴について


年齢(歳)女児
10乳房発育
11恥毛
身長スパートのピーク
12~14初経
16~17骨端線閉鎖
二次性徴について


<女児>


・思春期の最初の徴候は乳房発育である


子宮発育は思春期と概ね重なるとしてよい


・卵胞が成熟してエストロゲンの分泌がされるようになることで、乳房発育、恥毛発生、子宮発育、子宮内膜増殖、月経開始となる


・多くは、初経は無排卵性出血である
(初経平均:12歳6ヶ月)


・初経では月経周期、期間が不安定であり子宮発育も未熟である

→このため月経痛がおきやすい(月経困難症)


思春期後半(18~20歳頃)で卵巣、子宮がある程度成熟することで、排卵性出血がおこり、月経周期が安定して月経痛が軽くなることが多い


リンク先

Scammon(スキャモン)の臓器別発育曲線について


Scammonの臓器別発育曲線は、縦軸に発達・発育量(%)横軸に年齢による経過で表したグラフである


グラフで確認することで、神経系が早期に発達し(プラトーに達し)ていることがわかる


ここでわかることは、臓器によって発育パターンが異なっているということである


生殖器系は思春期になってから急速に発育を示す


リンパ系は10~12歳にピークがくる


<Scammonの臓器別発育曲線>


リンパ系型:胸腺、リンパ組織


神経系型:脳、脊髄、視覚器、頭径


一般型:消化管、肺、心臓、腎臓、脾臓、筋肉、骨、血液


生殖器型:精巣、卵巣、精巣上体、子宮、前立腺



今回はここまでとなります



<参考紹介>

メディックメディア:クエスチョン・バンク vol.4 小児科

病気がみえる:vol.10 産科

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    • この記事を書いた人

    TK.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

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