それでは引き続き、内分泌・代謝系を進めていきたいと思います
今回は、「低身長」の病態がメインとなります
(注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)
低身長となる疾患とは
低身長となる疾患の原因は様々ありますので、ここでは比較的みられるであろう疾患についてまとめてあります
学習や復習に活用していただければと思います
リンク先
成長に関わるホルモンについて
<成長に関わるホルモン>
主に
・成長ホルモン(GH)
・インスリン
・甲状腺ホルモン
がある
そのため、疾患の鑑別でみていきたいポイントは
・成長曲線
→まず初めに行いたい検査である。成長の具合を確認
・血液検査
→成長曲線で標準から-2SD未満に該当すれば、次は採血や尿検査なども併せて行いたい
・甲状腺機能
→骨の成熟に大きく関わる要素
・手単純X線検査
→骨年齢の測定のため
・両親の身長
→両親の体格と身長の伸び方の確認は体質性低身長症を考慮できる
低身長となる疾患について
<低身長となる疾患>
・Down症候群(ダウン)
→21トリソミー
・成長ホルモン分泌不全性低身長症
→下垂体前葉機能低下症(関連疾患:指定難病72〜78)
・甲状腺機能低下症(クレチン症)
・Turner症候群(ターナー)
・Prader-Willi症候群(プラダー・ウィリ:指定難病193)
<参考>
難病情報センター(下垂体前葉機能低下症)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4018(閲覧:2022.12.30)
骨年齢について
骨年齢は、骨の成熟度合いを年齢で表したものである
骨年齢は主に手根骨や指節骨の出現骨核数やその化骨度具合をX線で確認をする
骨年齢が促進されたり遅延する原因は、先に述べた「成長に関わるホルモン」の増減による
それぞれの原因と疾患については以下にまとめてあります(あくまでも国試範囲)
骨年齢 | 疾患 |
---|---|
促進 | 先天性副腎皮質過形成症、下垂体性巨人症、思春期早発症、ホルモン分泌性卵巣腫瘍 |
遅延 | 先天性甲状腺機能低下症、成長ホルモン分泌不全症、思春期遅発症 |
正常 | 家族性低身長症 |
低身長症に対する考え方
低身長というのは、主に標準身長と比較して身長が-2.0SD以下、または3パーセンタイル以下をいう
低身長症は様々な要因があることから、まずは成長曲線を用いて低身長症かどうかを確認し、器質的疾患の可能性も考慮する必要がある
鑑別診断には詳細に病歴を聴取し、成長曲線を作るのが重要である
成長曲線からは発症様式や発症時期などの推測が可能となる(成長曲線が急なものなのか、緩徐なのかどうかをみる)
問診では、周産歴や家族歴、既往歴も必要となる
具体的な内容は
<周産歴>
・骨盤位分娩の有無について
→骨盤位分娩によって下垂体茎断裂を起こしている可能性を考慮(器質的疾患)
→成長ホルモン分泌不全性低身長症などの疑い
・仮死※
→Apgarスコア(アプガー)を確認する
・黄疸
・低血糖
・新生児マススクリーニングの結果について
※ 仮死:呼吸または心拍の停止、またはその両方が停止し、意識がなく外見は亡くなっている様に見えるが自然にまたは適切な処置をすることで蘇生することができる状態をいう
<家族歴>
・両親や同胞の身長と体重
・思春期開始年齢
<既往歴>
・繰り返す中耳炎の有無
・精神発達遅滞の有無
・血尿
児の年齢に対応した化骨数について
化骨数と年齢で対応がされているため、併せて把握しておきたい内容である
年齢 | 化骨数 |
---|---|
1 | 2 |
2〜3 | 3 |
4 | 4 |
5 | 5 |
6 | 6 |
7 | 7 |
8 | 8 |
9〜11 | 9 |
12〜 | 10 |
低身長の経過パターンについて
低身長といわれる経過には様々なパターンがある
最初は身長の伸びが良くてもある年齢からは伸びが止まってしまうことがあったり、出生時から低身長であることもある
これは、その時々の身長測定ではなかなか気づきにくいことであり、しっかりと成長曲線を書くことではっきりと視覚的に確認することができるため、重要なものといえる
このため、学校健診などでも成長曲線の記載は推奨されている
また、体重の変化なども把握することで家庭内での虐待がないか、拒食症などが起きていないかなどの確認にも役立てることができる
そこで、数パターンの低身長によくみられる成長曲線についてまとめていくこととするため、確認していただければと思う
d成長曲線からみた経過 | 考えうる疾患の一例 |
---|---|
思春期以前に身長が急に伸びるが、途中から伸びがとまってしまう | 思春期早発症(性早熟症) 甲状腺機能亢進症 |
ある時点を境に成長率が急に低下する | 脳腫瘍(頭蓋咽頭腫など) (後天性)甲状腺機能低下症 |
-2.0SD以下だが成長曲線に沿って身長が伸びている | 家族性低身長症 |
出生時から幼児期は正常範囲内だったが、それ以降で成長の障害がみられている | 成長ホルモン分泌不全性低身長症 |
出生時から低身長である | 染色体異常 骨系統疾患(Turner症候群、軟骨異栄養症※1、糖原病※2など) |
成長曲線に平行に伸びる曲線である(成長率は低下なし) | ー 体質的に小柄であるといえる |
※1 軟骨異栄養症:軟骨細胞分化の異常による、内軟骨性骨化の障害により、長管骨の整腸障害や頭蓋底の低形成などを生じて四肢短縮型の低身長となる疾患をいう
※2 糖原病:糖代謝異常症のことであり、グリコーゲンの代謝酵素が欠如(ブドウ糖 ⇆ グリコーゲン の代謝が相互変換できない状態)していることで成長障害や筋力低下、低血糖、発汗、腎結石、肝臓の腫れ、錯乱などを引き起こす疾患である
身長の相関性について
将来の成人身長は、両親の身長と相関することがわかっている
この身長の評価はTarget height※1およびTarget range※2と児の成長曲線から予想される成人身長を比較する
※1 Target height:両親の実測身長から推定される児の成人身長
※2 Target range:Target heightの95%信頼区間
ここで、予測成人身長がTarget range内におさまる低身長は病的ではない可能性が高いが、つまりこれを下回る様であれば病的な可能性があるということとなる
以下に男子、女子ごとのTarget heightとTarget rangeを示す
基本的には児の成人身長はこの範囲に収まるため把握しておきたい
子の性別 | 将来の予測身長(cm) |
---|---|
男子 | (父親の身長+母親の身長+13cm)/2 |
女子 | (父親の身長+母親の身長-13cm)/2 |
子の性別 | 予測範囲(cm) |
---|---|
男子 | Target height±9 |
女子 | Target height±8 |
骨軟化症について(くる病)
骨軟化症とは、原因にビタミンDの欠乏やビタミンDの代謝異常、ビタミンD吸収障害※1、カルシウム欠乏、リン欠乏、慢性腎不全(CKD)、薬剤性※2などがあり、骨の成長が遅れることで変形などを呈する病態である
原因は同じだが、成人では骨軟化症、小児ではくる病を発症する
※1 ビタミンD吸収障害:胆道閉鎖症や炎症性腸疾患などでみられる
※2 薬剤性:抗けいれん薬などがある
・VDが欠乏する要因には、偏った食事をとる傾向であったり、日光への曝露不足がある
→紫外線にあたることでVDは皮膚で活性化代謝ができる
・リン欠乏は腎臓からのリン排泄亢進によって引き起こされるが、尿細管性アシドーシスや遺伝性低リン血症性くる病などでおこる
・くる病では、橈骨・尺骨遠位端や大腿骨遠位端・脛骨近位端、脛骨・腓骨遠位端などで骨端線の拡大や辺縁不整(fraying)、骨幹端中央部の杯状陥凹(cupping)、骨皮質と骨梁の菲薄化などみられる
具体的な年齢ごとの正常な骨の状態に関するX線画像については、しっかり別途確認しておきましょう
O脚について(下肢変形)
O脚は下肢が変形することで、脚がOの字のように見える状態をいう
この所見からくる病(乳幼児)を疑うこと
下肢の変形はくる病によるものが考えられるが、その原因は以下のものが挙げられる
・血清Ca値の低下
→ビタミンDの摂取不足、吸収不良症候群、肝・腎障害によるビタミンDの活性化障害、ビタミンD欠乏性くる病
→ビタミンDの活性化については次の項目で解説
・血清P値の低下
→腎臓でのPの再吸収障害
→低P血症性ビタミンD抵抗性くる病、Fanconi症候群、家族性低P血症、尿細管性アシドーシス
Fanconi症候群について(ファンコーニ、ファンコニ)
Fanconi症候群とは、近位尿細管の全般性溶質輸送機能障害によって再吸収されるはずの物質が尿中に過度の喪失をきたす疾患である
・重炭酸無機リンやアミノ酸、ブドウ糖などが再吸収の障害されることで、脱水や電解質異常、代謝性アシドーシス、くる病、発達障害などを引き起こすこととなる
・原因は多岐にわたっており、おおまかに先天性疾患と後天性疾患(薬剤性など)がある
→詳細な原因疾患については次の表を参考にしてください
疾患名 | 内容 |
---|---|
遺伝性フルクトース不耐症 | 原因遺伝子にALDOBがある 症状は、肝障害や低血糖など |
Wilson病(ウィルソン) | 原因遺伝子にATP7Bがある |
ガラクトース血症 | 症状は、肝障害、黄疸、発達障害など |
チロシン血症1型 | 原因遺伝子にFAHがある |
Dent病 | 原因遺伝子にCLCN5やOCRL1がある 小児期では無症状のことが多いが、高Ca血症や腎結石などがみられる |
糖原病Ⅰa型 (von Gierke disease) | 原因遺伝子にG6PCがある 症状は、低血糖や肝障害など |
乳児型シスチン症 | 原因遺伝子にCTNSがある |
Fanconi-Bickel症候群 (糖原病Ⅺ型) | 肝腎でのグリコーゲンの蓄積が起こることで、Fanconi症候群やガラクトース代謝異常を呈する疾患である 症状には、腎性くる病、低身長、低リン血症、腎性糖尿、近位型尿細管性アシドーシスなど |
ミトコンドリア脳筋症 | 様々な原因遺伝子がある 肝臓のミトコンドリア障害によって脳症を起こす疾患 中枢神経系や骨格筋、心筋など大量のエネルギーを必要とする部位に異常をきたす |
Lowe症候群(眼脳腎症候群) | 原因遺伝子にOCRL1がある 症状は、白内障や神経症状などがある |
特発性 | ー |
内因性 | 外因性(薬物、薬剤性) |
---|---|
アミロイドーシス | 重金属(カドミウム、水銀、鉛、白金、ウラン等) |
遠位尿細管性アシドーシス(未治療) | 抗菌薬(アミノグリコシド系など) |
シェーグレン症候群 | 抗腫瘍薬(アザチオプリン、イホスファミド、シスプラチン、6-メルカプトプリンなど) |
腎移植後 | バルプロ酸Na(抗けいれん薬) |
神経性食欲不振症 | 抗レトロウイルス薬※1 |
ネフローゼ症候群 | ー |
多発性骨髄腫 (パラプロテイン血症) | ー |
慢性間質性腎炎 | ー |
TINU症候群 (ぶどう膜炎を伴う尿細管間質性腎炎) | ー |
化学物質(トルエン、パラコートなど) | ー |
※1 レトロウイルス:RNA上の遺伝情報をDNAに作り変えて、感染した細胞の染色体に組み込むことで生きた細胞に入り込むウイルスをいう
エイズウイルスもこの種類に該当する
ビタミンDについて
ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、人体では蓄積されやすいビタミンである
脂溶性のため、胆汁酸の分泌によってビタミンDなどが吸収される
そのため、胆道閉鎖症などによる胆汁排泄がされない状態は吸収不良となり、ビタミンD欠乏症状(くる病、肝性くる病)を呈することとなる
ビタミンDというのは、側鎖の異なるVD2(エルゴカルシフェロール)とVD3(コレカルシフェロール)がある
これは、前駆体であるプロビタミンD2(エルゴステロール)とプロビタミンD3(7-デヒドロコレステロール)が紫外線で合成される
活性化されたVDは小腸からカルシウムとリンの吸収が促進され、骨からの骨塩溶出を促進する(骨吸収)
腎臓ではカルシウムとリンは再吸収されるため、恒常性を維持することができる
<ビタミンDを含む食品>
牛乳、卵、肉類、魚類、納豆、しいたけなどのキノコ類(干したものであればVDが増える)
皮膚で活性化したVDは、肝臓で25位の水酸化がされて25-ヒドロキシビタミンDとなり
次に腎臓で1α位が水酸化されて1α,25-ジヒドロキシビタミンDに代謝される
→この活性型の成分は医薬品として開発されており、代謝不要の成分を服用するだけで摂取することができる
通常、活性型の濃度は生体内ではフィードバック機構があるが、医薬品からの摂取ではこの機構が働きにくいため過剰摂取のリスクがある
過剰症の症状として、食欲不振、悪心、嘔吐、異所性骨化など
VD2について
VD2はキノコ類、納豆などの植物性食品に含まれている
VD3について
VD3は魚類や牛乳などの動物性食品に含まれている
リンク先
Turner症候群について(ターナー:TS)
Turner症候群は、性腺機能不全(無月経)や翼状頸※1、楯状胸、外反肘※2、低身長、小児様外性器※3が主徴となる女性でみられる染色体異常である
女子の低身長では必ず鑑別すること
ターナー症候群は正確な定義はないが、染色体検査での染色体異常と特徴的臨床症状の一つがあれば診断可能となっている
※1 翼状頸(よくじょうけい):首の側面の皮膚が肩まで翼を張ったような状態を指しており、首から肩にかけて皮膚のたるみが見られる
これには、ヌーナン症候群などもみられる所見である
※2 外反肘:肘から先の腕が外に離れている状態をいう
※3 外性器:外から見た性器のことであり、男児では陰茎と陰嚢、女児では陰核と陰唇を指す
・出生時から小さく、女子標準の成長曲線から徐々に離れていくことが多い(身体の均整がとれた低身長が特徴的である)
・性線は索状性腺となっており、第二次性徴が不十分となる
→索状性腺とは、性腺形成異常症という性腺が本来あるところの生殖細胞(男性の精巣や女性の卵巣のこと)を持っていない結合組織が代わりにある状態である(組織学的な特徴を指す)
・来院するきっかけに、低身長や原発性無月経などの主訴が多い。また、背中側の髪の生え際が低い
・出生時の特徴に、手足の背側に著しくリンパ水腫がみられ、後頸部の皮膚のたるみがみられる
・出生女児のおよそ2000分の1ほどの割合で発症する
・高度の流産率となる
・先天性心疾患や腎奇形を合併することがある
→特に大動脈縮窄症(左心系の心奇形)がある。他、大動脈弁狭窄症など
・第4中手骨の短縮がみられることがある
(→第4と第5中手骨短縮は偽性副甲状腺機能低下症でみられることがある)
・低身長とくれば、甲状腺機能低下症との鑑別も必要
→TSHやFT4の測定など
<検査>
血液検査:エストロゲンの低下、LHの増加、FSHの増加 を確認
→性腺機能の低下
GnRH負荷試験:LHとFSHが過剰反応を示す
→ネガティブフィードバック機構による
超音波検査:心疾患、腎奇形の確認
X線検査:手根骨から、骨成熟評価のため骨年齢を測定する
→ターナー症候群では、第四中手骨や中足骨の短縮が認められる
<確定診断>
臨床所見
成長ホルモン分泌刺激試験
→成長ホルモンの分泌低下の確認
染色体検査
→性染色体異常の代表的核型:45,X となる
→X染色体モノソミーの他、構造異常、モザイクなどがある
低身長とTurner骨格徴候の責任遺伝子はSHOX(Short stature homeobox containing gene)と判明している(ただし、確定診断には、まず染色体検査が必要)
<治療>
成長ホルモン製剤の投与:Kaufmann療法(カウフマン)施行前に十分な身長を得る目的で行うもの
→カウフマン療法とは、性成熟を促進(つまり、月経の発来と第二次性徴の発来)し、骨量減少を予防する方法となる
月経誘発は可能だが、卵巣の機能がないため妊娠は望めない
SGA性低身長症について
SGA性低身長症※1とは、出生時の標準体重と身長が共に在胎週数相当の10パーセンタイル※2未満(身長が100人中下位10人)、かつ出生体重または身長のどちらかが在胎週数相当の-2.0SD未満に該当する児をいう
また、このうち暦年齢2歳までに-2.0SD以上に追いつかなかった場合も該当する
※1 SGA:small-for-gestational age
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※2 パーセンタイル:計測値のばらつきを小さいものから大きいものへ並べ替えてパーセント表示することで、全体から自分の測定値の位置を知ることができる方法
計測値が100ある場合の10パーセンタイルは下から10番目を指す
・SGA性低身長症のうち身長成長が遷延する場合、身長のキャッチアップ(追いつき)のため3歳以降で成長ホルモン療法を行うことがある
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成長ホルモン分泌不全性低身長症について(GHD)
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、様々な原因により下垂体からの成長ホルモン(GH)の分泌が低下し、成長速度が低下することで低身長を呈する病態である
これには、特発性と原疾患がある器質性がある
→特発性は幼児期〜小児期に明らかとなることが多い(90〜95%ほど占める)
GHDは頻度こそ多い疾患ではないが、思春期が始まると治療効果をほとんど得られないため、早期発見・早期治療ができるようありたい
・成長ホルモン(GH)単独欠損症
→GHのみ分泌が低下する
・複合型下垂体ホルモン欠損症(下垂体前葉機能低下症)
→GH以外の下垂体前葉ホルモン分泌低下も伴う
・身体の釣り合いがとれているが、身長が平均身長の-2.0SD以下、または成長速度が2年以上にわたり平均値の-1.5SD以下となる
→身体の釣り合いが取れていない場合は他の原因による低身長と考えられる
・低身長を認めない乳幼児で低血糖症状を呈することがある
→GH分泌不全によるものと考えられる
・頭蓋内器質性疾患や他の下垂体ホルモン分泌不全が認められる
→これもGH分泌不全によるものと考えられる(GHDの5〜10%は脳の器質的疾患(脳腫瘍、頭蓋咽頭腫など)といわれている)
<確定診断>
GH分泌刺激試験
→血中ソマトメジンC(IGF-1)低値の場合では、GH分泌低下の有無を確認するために行う試験法である
「平均身長が-2.0SD以下または成長速度が2年以上にわたり平均値の-1.5SD以下」に該当しており、かつ検査所見が以下から2つ以上該当するもの
(1)インスリン負荷、アルギニン負荷、L-dopa負荷、クロニジン負荷、グルカゴン負荷のいずれかの試験でGH頂値が6ng/mL以下となる
(2)GHRP-2負荷試験でGH頂値が16ng/mL以下となる
この他、「低身長を認めない乳幼児で低血糖症状がみられる」または、「平均身長が-2.0SD以下または成長速度が2年以上にわたり平均値の-1.5SD以下」かつ「頭蓋内器質性疾患や他の下垂体ホルモン分泌不全」に該当し、(1)、(2)のうち1つ以上を満たす場合
この時に診断可能となる
<治療>
治療方針は不足しているホルモンを補い、身長増加促進や成人身長の正常化となる
・GH補充療法
→開始基準、継続基準を満たす例では適応となる
・原疾患の治療
→治療可能な器質的原因によるGH分泌不全では、この治療を行う
・他の下垂体ホルモン分泌不全を伴う場合では、それぞれに対して治療を行う
リンク先
Prader-Willi症候群について(プラダー・ウィリ)
プラダー・ウィリ症候群は、乳幼児の筋緊張低下や肥満、精神発達遅延、性腺発育不全が主徴であり、低身長や小肢端症、アーモンド様眼裂などの小奇形を呈する病態である
・プラダー・ウィリ症候群の性腺機能低下症状は原発性か二次性かは明らかとなっていない
→原発性は高ゴナドトロピン性、二次性は低ゴナドトロピン性を指す
<検査>
検査結果は特に一定の結果を示すわけではなく、高値例や低値例いずれの場合もある
McCune-Albright症候群について(マッキューン・オルブライト)
マッキューン・オルブライトは、思春期早発を伴う低身長症である
細胞内の情報伝達に関わるGタンパクの異常によるGsタンパク機能の亢進が原因となっている
McCune-Alright症候群については前項も参照してみてください