医療・薬について(一般向け)

高脂血症治療薬の副作用で聞く横紋筋融解症とは何か?発生頻度はどのくらいか?


横紋筋融解症の頻度は低い


A:昔に某雑誌などで取り上げられ、飲むのは良くない!という記事がありましたが、、

よく聞く副作用の初期症状として筋肉痛、だるさ、排尿時の尿の色が真っ赤になるという症状があります。

これは採血ですぐに副作用かどうか判断できます


結論から言いますが、このコレステロールの薬によって起こる副作用の頻度かなり低いため、安全と言えます。



----------詳細の前に、この記事を書くきっかけを少しお話しします
読み飛ばしOK部分


高脂血症は今は脂質異常症と言われております。

この、コレステロール治療薬で横紋筋融解症が起こる可能性がある(頻度はかなり低い)というのは既に言われていることで有名なのですが、

つい最近、薬の説明書(薬剤情報)にインスタントコーヒーもよくない、との記載を患者さんから問い合わせがあり、それは本当なのか?と思ったのでメーカーに問い合わせて調べてみました。


その際に、わざわざ論文まで送ってくれて有り難かったです。


が、英語の論文でした、、、


でもせっかくもらったので、頑張って読みました。


主に結果だけですが。それでしっかりとした数値も把握できたのでお伝えしたいと思います。


横紋筋融解症の頻度について、論文からみてみると


----------ようやく内容になります


実は論文読む以前に、先に述べた通り有名な内容なので、正直、目新しいものはあまりなかったです。


まず、コレステロール治療薬というのは、成分で言うところのロスバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、セリバスタチン(海外用)などのいわゆるスタチン系がありますね。


この他、ベザフィブラート、ペマフィブラートなどのフィブラート系があります。


こういった薬それぞれに横紋筋融解症という副作用の可能性は言われております。


そして、少し前まではスタチン系とフィブラート系は併用することで、より横紋筋融解症になりやすいことから併用してはいけませんでした

(その時でも実は当時から併用していたことはあったが)


それが、最近になって副作用頻度は低いため併用は問題ないとなり、むしろ効果は高まるから併用したほうが良いという真逆の処方が適していることになりました。


具体的な副作用の頻度について


副作用の頻度なのですが、年間1万人中0.44人だそうです。つまり、10万人で4人でるかどうかという低さです。


インシデントに至ったのは0件です。


そして、スタチン系+フィブラート系の併用療法では22727分の1だそうで、つまりは0.0044%です。


ほぼほぼ起こらないですね


それでも色んな環境要因で全くないというわけではないため、定期的な採血などで経過観察はしたほうがよいです。


私がみてきた中ではおよそ3年で3、4人ほどCK値(血液中の筋肉成分と思ってもらえれば)が多少上がっている方を見ています。これでも横紋筋融解症発症ではないですが、、


比較として、交通事故の起きる確率で考えてみると


また、どのくらい低いのかをよく比較で交通事故の割合を出すのですが、日本において


車の免許所持者数:8200万人中、年間の車の事故数:30万〜40万件(大なり小なりありますが)ということで


35万 ÷ 8200万 = 0.042 → つまり、4.2%も1年間で車の運転で事故になる確率があります。


先ほどの副作用の頻度のおよそ1000倍もありますね。

逆にこれを調べてみて、運転するのにゾッとします(笑)


そんな感じでした。



なので、薬は安心して飲んでください


むしろ飲まないでコレステロール詰まらせて心疾患とかなるほうがリスクあるといえるでしょう



<参考>

・政府統計 交通事故発生状況
https://www.e-stat.go.jp/stat-search?page=1&toukei=00130002&survey=交通事故(2021.7.19閲覧)

・JAMA, December 1, 2004 Vol.292 , No.21
Graham DJ : "Incidence of hospitalized rhabdomyolysis in patients treated with lipid-lowering drugs. "

JAMA : "the Journal of the American Medical Association" [00987484] 292 (21),2585 (2004)

・Chang JT : "Rhabdomyolysis with HMG-CoA reductase inhibitors and gemfibrozil combination therapy.

Pharmacoepidemiology and Drug Safety" [10538569] 13(7),417 (2004)



    • この記事を書いた人

    Nitroso.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

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