ここでは治療で必要となる細胞内外補充液についてまとめていきます
(注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)
輸液製剤について
・生体内のNa濃度と等しい生理食塩水(生食)はNa 154mEq/Lである。
これを等張溶液という
生食の投与では、細胞外液のみに分布される。
・Naが 0mEq/Lで等張溶液は 5%ブドウ糖液があり
これは、細胞外液に3分の1、細胞内液に3分の2分布される。(細胞内外均等に分布される)
つまり、分布比は 細胞外液:細胞内液 = 1:2 ということになる
上記の配合によって輸液はあり、1号液から4号液として用いられている
輸液の種類 | 生食+5%ブドウ糖液 配合比 | Na+濃度(mEq/L) |
---|---|---|
1号液 | 1:1 | 90 |
2号液 | 1:2 | 77ほど |
3号液 | 1:3 | 35 |
4号液 | 1:4 | 30 |
体液分画について
使用する輸液製剤の選定にはまず、体液の組成配分について知っておく必要があります。
体液分画は以下の通りです
%は体重比で表します
成人男性の体液分画
┃
┣ 細胞内液:40%
┃
┗ 細胞外液:25%
┣ 組織間液:15%
┗ 血漿:5%
輸液製剤の使用法について
・腹水を来しているということは、細胞外液が多く貯留しているということを表すため
この場合、輸液製剤を使用するときは細胞外液を増やさないようにするものを選択する。
そのため、初期輸液としては、細胞外液が増えすぎない3、4号液が適していると考えられる。(ただし、注意事項あり→次の項)
理由は先ほどの「生食の投与では、細胞外液のみに分布される」ためであり、できるだけNaの少ないものを利用するためである。
とはいえ、腹水の治療としては利尿薬投与が重要である。
先ほど、細胞外液を増やさないように初期輸液は決めたが、細胞外液を増やすことは腹水の増悪に繋がるため輸液療法であれば適していないため注意すること。
腹水であり、低アルブミン血症(基準:4.5~5.5g/dL、低値:2.5g/dL以下)であればアルブミン製剤の投与が適しているといえる。
これは、アルブミンの投与により膠質浸透圧を維持することで、血管内に漏出液を戻すことができるためである。
これに利尿剤を加えることで腹水貯留の抑制+排泄効果を望める。
以上により、改めて腹水が起こっている状態での治療について触れますが
肝硬変において、腹水や全身の浮腫増悪がみられるようであれば
・安静
・食事療法(高アンモニア血症予防のためタンパク摂取の制限)
・利尿剤
・低アルブミンではアルブミン製剤の投与
※肝硬変によって脾腫が起きていれば、血小板輸血はあまり適切ではない→詳細について
<参考文献>
メディックメディア Question Bank vol.1 肝・胆・膵
ビジュアルブック 消化器疾患
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