今回は治療薬のまとめだけです。特に新しいことはないですが、少しでも為になれば幸いです
ジヒドロピリジン系(DHP系)のカルシウム拮抗薬について
- 降圧剤の中でも血管選択的に作用するため、この系統は基本的に降圧作用は強く左室肥大の退縮効果があり狭心症などに使いやすい
- 24時間持続の薬剤であっても、個人差により24時間作用していないことがある。
このため、服用時間の変更や1日2回などの服用で対処していく。
(まだ添付文書的には適応外ではあるが、既にほとんどがこの使用方法で問題ないとされている 2021年現在) - ハイリスクのある患者、高齢者においては緩徐な降圧が望ましいため、使用には注意が必要。
※ 細かいCa拮抗薬の違いについては別項目の Dg-Q12 Ca拮抗薬の使い分けについて を参照してください。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)について
- ACEIは誤嚥性肺炎リスク患者に使いやすい
→ ブラジキニンの代謝が減り、副作用である空咳を誘発しやすい状態となるため - しかし、空咳で生活に支障が出ているようであればARBに切り替えるとよい
- 血管への負担軽減のため、臓器保護作用あり、糖尿病や慢性腎臓病(CKD)に使いやすい
- 降圧作用は ACEI ≦ ARB
- ARBと利尿剤との併用は降圧効果大、電解質や糖代謝の副作用を相殺してくれる
利尿薬について
- 食塩感受性が亢進した高血圧症に期待できる
- 高齢者、低レニン性高血圧、CKD、DMの合併症、治療抵抗性高血圧症に期待できる
- 心不全の予防効果がある(体液過剰による浮腫などに対応)
- チアジド系利尿薬はeGFR(推算糸球体濾過値)が 30mL/min/1.73㎡以上 で、少量から使用
- ループ系利尿薬は高度腎障害(eGFR:30mL/min/1.73㎡未満)で使用できる
(腎血流量、糸球体ろ過への影響が少ない) - β遮断薬との併用はしない(糖や脂質代謝に影響する)
- K保持性利用薬は他の利尿剤よりは降圧作用は弱いが、代謝への影響は少ない
- K保持性利尿薬はRAA(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン)系との併用は注意(高カリウム血症のリスク)
β受容体遮断薬について
- 交感神経が亢進している若年者、労作性狭心症、慢性心不全、高レニン性高血圧症、頻脈に使用しやすい
- ISA活性が無いものは心筋梗塞再発予防、心不全予防効果がある
※ISAとは内因性交感神経刺激作用といい、「ISA活性がない」とは、薬を飲んで血圧を下げた時にその反動として体が内因的に交感神経(今回は、β受容体)を弱く刺激し血圧を上げようとする作用がないものをいう。
(例えば、プロプラノロールなど) - ISA活性があるものは血圧が下がりすぎることが減り、徐脈になりにくい(心収縮力、心血流への影響が弱いため)
中枢性交換神経抑制薬について
- 妊娠時高血圧症に使う
- 副作用として、眠気、口渇、倦怠感がみられる
- 多剤併用できない場合、血圧コントロール不良の場合に使用することあり
- 腎機能障害でも使用できる