今回はざっくりと、基本の内容となっています
今回のコンセプトは一般用医薬品(OTC)販売にあたって必要最低限な知識ということでまとめてあります。
(主に登録販売者向け)
詳しいものについては今後 医学知識+α にてまとめていきたいと思います。
目の基本構造について
外側 ← 角膜(黒目部分)ー 強膜(白目部分)ー 網膜(この中心に黄斑部) → 内側
・3層構造となっている
・網膜(脈絡膜、虹彩、毛様体)
・光は角膜と水晶体で屈折し、硝子体を通って網膜に像を結ぶ
涙を分泌する構造について
眼瞼、結膜、角膜、涙腺の内側にマイボーム腺があり油性成分を分泌する
3層構造
外側 ← 油層(水分蒸発を抑える) / 水層(栄養・酸素の供給、感染予防) / ムチン層(水分の保持)→ 内側
主な眼疾患の種類
- 白内障:水晶体に異常あり、にごり、かすみ、視力低下
- 緑内障:視神経の異常
- 網膜剥離:飛蚊症症状あり、黄斑まではがれると急激な視力低下となる
- 加齢性黄斑変性症
セルフメディケーション可能な疾患
- 眼瞼炎
- 麦粒腫(細菌性結膜炎、ものもらい)
- 網膜炎
- 毛様充血
- 雪目(角膜上皮障害)
- 調節性眼精疲労
症状の原因について(一例)
- 涙の分泌減少:男性ホルモン減少など
- 目のかゆみ:角膜、結膜の障害など
原因疾患の背景には、シェーグレン症候群、SJS、マイボーム腺分泌障害、結膜の炎症など
また、抗コリン剤や防腐剤なども考えられる。
眼科におけるOTC薬の治療成分について
- 増粘成分:ブドウ糖、ヒプロメロース
- 防腐剤:塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸カリウム
- 目の新陳代謝改善:VB6、タウリン
- 微動調節:VB12
- 毛様体筋緊張緩和:ネオスチグミン(禁忌:閉塞隅角緑内障)
- 消炎、収れん:アラントイン、グリチルリチン酸塩、硫酸亜鉛
- 血管収縮:ナファゾリン、テトラヒドロゾリン(注:散瞳作用あり)
- 抗ヒスタミン剤:クロモグリク酸Na(禁忌:閉塞隅角緑内障)
- 抗炎症:プラノプロフェン
- サルファ剤:スルファメトキサゾール
- プラノプロフェン、クロモグリク酸Naは妊婦、妊娠の可能性のある方、授乳中、7歳未満の小児には禁忌
また、クロモグリク酸Naは減感作療法中などのアレルギー治療している患者にも禁忌となる - 防腐剤は目に刺激や障害が起こる可能性もあるため、防腐剤の入っていない1回で使い切りタイプの使用が良い
- 洗顔薬の使い過ぎは涙の成分(油層、水層、ムチン層)が流れてしまうため、使い過ぎない
- コンドロイチン、クロモグリク酸Naは結膜の痛み出ることあり
目元を温めることはマイボーム腺から油性成分分泌、目のストレッチなど効果がある
眼精疲労の分類
この状態は、休んでもなかなか目の疲れが治りにくい状態となっている
- 調節性:毛様体筋の緊張
- 筋性:両眼の位置のアンバランス(斜視、輻輳)
- 症候性:緑内障、白内障、高血圧症、糖尿病などの合併あり
- 不等像性:左右の視力差が大きい
- 神経性:ストレスなどによる自律神経の乱れ
充血について
結膜の血管拡張で目が赤くなる
- 結膜充血:まぶたの裏側、白目部分、周辺部分におこる。めやに、細菌、ウイルス、花粉などが原因
- 毛様充血:角膜周囲でひどい、強膜や毛様体の異常
→似た疾患として結膜下出血がある - 結膜下出血:飲酒、打撲、外傷などでおこる。自然治癒するもの。温かいタオルなどで温めることで治りは早い
結膜炎について
感染性のものでは、細菌性(麦粒腫(まぶたの皮脂腺などに炎症))やウイルス性がある
- 細菌性の原因菌:ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌が多い
→ サルファ剤の点眼剤使用 - 腫れが大きいもの、膿があるもの、圧痛があるものは切開し排膿が必要なため、受診勧奨をすること
- ウイルス性結膜炎は感染性が大:はやり目(流行性角結膜炎)、プール熱(咽頭結膜炎)
→ 登校は控え、タオルなどは家族で別にする - 非感染性の結膜炎では、アレルギー性結膜炎という(IgE抗体)
雪目とは
目が長時間直接紫外線にさらされて、角膜の表面が傷ついた状態の疾患である
およそ6時間〜10時間後に症状がみられる。
数日で治るものだが、目を開けるのもつらいため、治療したほうが良い(OTCでも可)
サングラスやゴーグルなどで予防することができる
薬剤ごとの使用期間の目安について
- クロモグリク酸Na:2日間
- プラノプロフェン:3日間
- サルファ剤:3~4日間
- ナファゾリン、テトラヒドロゾリン:5、6日間
- ケトチフェン:1週間
- 人工涙液やそのほかの薬剤:2週間程
これで改善が見られなければ受診勧奨となるが、クロモグリク酸Naの使用者は症状の改善がみられていたとしても、使用して2週間を超えているならば、受診をする必要がある。
防腐剤の入っている点眼剤の影響について
- ソフトコンタクトレンズでは吸着しやすいため、防腐剤の入っていないパラベンフリーのものを使用する
- 寝る直前での使用は避けるのが望ましい(涙液が止まるため、成分濃縮する)
→ しかし、今ではこの副作用の出るような防腐剤の使用はしていないため、寝る5分から10分前での使用であれば問題ないと考えられる。(涙液の循環は5分で入れ替わるため)