結石の種類について
- コレステロール結石:コレステロール + ビリルビンで構成され、高脂肪食により作られやすい
コレステロールの代謝異常から、胆汁中のコレステロールの過飽和によって生じる - 色素結石:ビリルビン + カルシウムで構成される
胆石の形成される流れ
- 肝臓 → 胆汁 → 胆管・胆嚢(胆道) ここで結石は発生する
症状としてシャルコーの3徴、Reynolds5徴がある
- 無症状が多い
- 発熱、上腹部痛(右季肋部)、右の背中、肩の疼痛
- 黄疸
- ショック、意識障害(Reynolds)
- 胆汁うっ滞 → 胆道炎、膵炎
- 胆管炎が割合として死亡率が高い → 敗血症、多臓器不全になることあり
- 急性症状では1~2日は絶食とする → その後は輸液で栄養をとる
→ 改善してきたら徐々に炭水化物はおかゆなどでとっていく
胆石症のリスク因子について
- 加齢(50~60代)
- 男性に多い
- 白人
- 肥満
- 多産・経産婦
- ヘモグロビンが脾臓に行き、Arbと結合 → 間接ビリルビン → グルクロン酸抱合 →直接ビリルビン(水溶性)
直接門脈から肝に戻るルートもあり(腸肝循環)
胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石について
- 胆嚢結石では、①経過観察、②胆石溶解剤の内服(2年の内服で30%の改善率)③腹腔鏡手術
- 総胆管結石、肝内結石 → 結石除去術
- 胆道閉塞 → 胆汁うっ滞、胆道内圧上昇 → 炎症、細菌感染 → 胆道炎の合併リスク上昇
- 急性胆嚢炎は治療が必要(腹痛で来院の3~10%)
検査値
- PT、PT-INR、BUN、Cr、Bir、γ-GTPの影響
- AST、ALTの上昇では肝障害
- アミラーゼの上昇で急性膵炎の合併が考えられる
- PaO2/FiO2比(血液O2/吸入気O2)低下がみられる
急性胆道炎→原則入院→抗菌薬投与→胆嚢ドレナージ、胆嚢摘出術、胆管ドレナージ
胆石症の治療薬について
- 疼痛に対しては、NSAIDs、非麻薬性鎮痛薬(ペンタゾシン(ソセゴン))を用いるが
非麻薬性鎮痛薬ではOddi括約筋の収縮により、胆汁排泄低下あり注意が必要である - 感染予防では緑膿菌、嫌気性菌、MRSAに効果のあるものを使用する
(NQ系、セフェム系(これはアルコールでジスルフィラム様症状あり注意)、ペニシリン系、カルバペネム系、バンコマイシン) - 胆汁酸製剤:ウルソ、チノ(ケノデオキシコール酸、これはウルソとの併用)
- 6か月以上は服用すること。症状改善後も続けることが必要である。
- 鎮痙薬:COMT阻害(フロプロピオン)、抗コリン薬(チキジウム、ブチルスコポラミン(出血性大腸炎には禁忌)、ブトロピウム)、直接平滑筋弛緩薬(トレピブトン(スパカール)、パパベリン)
- 漢方薬では、茵陳蒿湯、柴胡桂枝湯、四逆散、大柴胡湯、大柴胡湯去大黄、芍薬甘草湯などがある
胆石症の方のための食事内容について
食物繊維を摂ることで、余分なコレステロール排泄、便秘改善により腹内圧の低下で胆汁うっ滞の軽減
カフェイン、香辛料、アルコールでは、胆嚢の収縮がおこる
(適度なカフェイン、アルコールでは逆に弛緩あり)
<参考>
・胆石症診療ガイドライン2016 改訂第2版 南江堂
・TG13新基準掲載~急性胆管炎・胆嚢炎~ 診療ガイドライン2013[第2版] 医学図書出版(株)
・病気が見えるvol.1 消化器 第5版 MEDIC MEDIA 2016