この講義ノートももう第6回となります
内容としてはまだまだ序盤なのですが、しっかり内容を理解されていますか?
この講義ノートは少しプラスαの知識を付け加えてますので、濃い内容となっているかと思います
そのため、一度では無く何回も復習は必要となりますので、少しずつ身につけていって欲しいともいます
これを全て理解できた頃には、登録販売者の合格どころか働いてからも実践的な能力がついてくると思いますので続けていきましょう
呼吸器系について
それでは、人体の構造の呼吸器系を見ていきます
呼吸器系はその名の通り呼吸をするための器官系であり、これは常に外気と接する部分のため外気からの防御機構というのがいくつも存在しています
リンク先
部位 | 機能 |
---|---|
鼻腔 | 鼻汁という粘液分泌腺から分泌されるものがあり、これは常に少量分泌されている これにはリゾチームが含まれており、気道における防御機構となっている |
咽頭 | 口腔から食道に通じる食物路と呼吸器の気道が交わっている部分 つまり、消化管と気道の両方に属している 後壁にリンパ組織が集まってできた扁桃があり、免疫反応を示す |
喉頭 | 咽頭と気管の間にある軟骨に囲まれた円筒状の器官で、発声器の役割もある |
気管 | 気道が左右の肺に分岐するところまでの部位となっている |
気管支 | 肺の中で複数に枝分かれする部分 末端には球状の肺胞がある →この壁である肺胞壁を介し、血液中の二酸化炭素と呼気中の酸素をガス交換する 気管支は右は23°、左は46°の傾きがあり、右は太くて短い、左は長くて細い形状となっている →そのため、太くて短く、角度が付いている方に異物が入りやすく、右側に誤嚥性肺炎を起こしやすい |
肺 | 横隔膜や肋間筋で拡張や収縮をし呼吸運動をする (筋組織はないことから、自力での拡張や収縮はできない) |
鼻腔、咽頭、喉頭を上気道、気管、気管支、肺の部位を下気道という
肺胞は周囲が毛細血管で取り囲まれており、これを支持している組織が間質であり、間質性肺炎という疾患はこの部位に炎症が起きたものである
これが進行すると炎症や損傷によって壁が厚くなり線維化する
このため、呼吸によるガス交換ができなくなるため、息苦しくなっていく
労作時の息切れなどで病院を受診してこの疾患が発見される
循環器系について
次に循環器系を見ていきましょう
循環器系は血液やリンパ液などの体液を体内に循環させて、酸素や栄養素を全身の組織に送り、老廃物を排泄器官に運ぶための器官系となっています
これには、心臓、血管系のほか血液、脾臓、リンパ系からなっています
血管系には閉鎖循環系と開放循環系がある
閉鎖循環系:血管系であり、これは心臓を中心とした閉じた管となっている
開放循環系:リンパ系であり、リンパ毛細管が組織の中に開いている
次に、血液の流れや血管についてみてみましょう
血管には動脈と静脈がありますが、それぞれの特徴については以下の通りになります
・動脈は血管壁にかかる圧力が強く、血管壁は弾力性に富んでおり、心臓から全身に血液が送られる部分である
この圧力が血圧※として測ることができる(動脈の血管壁にかかる圧力を測っている)
・静脈は血管壁にかかる圧力は比較的弱く、血管壁は薄く、全身から心臓に戻ってくる部分である
血液の逆流防止のため、一定間隔で弁が存在する
※ 血圧:心収縮した時の最大の圧力を最大血圧といい(収縮期血圧)、拡張した時の最小の圧力を最小血圧(拡張期血圧)という
会話では、最大血圧を上の血圧、最小血圧を下の血圧と言ったりする
現在の基準は高血圧治療ガイドライン(JSH2019)に準拠している
次は血液の流れを見ていきますが、その前に心臓の構造についても触れておきます
心臓の構造について
心臓は、心筋でできた握りこぶし大の臓器であり、胸骨の後方に位置している
心臓上部は心房、下部を心室といい、それぞれ左右で分かれていて4つの部屋がある(右心房、左心房、右心室、左心室)
動脈血:酸素濃度の高い血液のことで、肺を通った後は酸素濃度が高くなります
静脈血:酸素濃度の低い血液のことで、全身に酸素を行き渡らせて血液中の酸素が減っている状態です
※ 実際の細かい位置関係は異なりますが、覚え方としてはこのようなイメージで良いでしょう
番号 | 名称 |
---|---|
① | 上大静脈 |
② | 右肺動脈 |
③ | 右肺静脈 |
④ | 下大静脈 |
⑤ | 大動脈 |
⑥ | 左肺静脈 |
⑦ | 左肺動脈 |
⑧ | 大動脈 |
⑨ | 三尖弁 |
⑩ | 肺動脈弁 |
⑪ | 大動脈弁 |
⑫ | 僧帽弁 |
<参考>
心臓弁膜症サイト:https://www.benmakusho.jp/about/benmakusho.html(閲覧:2022.7.23)
絵で確認するとわかるのですが、左心室は分厚くなっていますね
一番圧力のかかる部分のため、肥厚している構造になっています(強い血圧に耐えられる構造)
この構造が、ポンプの役割をしていますので、収縮した時にはここから圧力が発生して全身に血液に送られます(⑧から⑪に向かっている部分)
血液について
血液は、血漿と血球からなっており、酸素や栄養素が組織に供給され、二酸化炭素や老廃物は排泄器官に運搬などする役割がある
<血漿>
90%以上が水分からなる
タンパク質(アルブミン、グロブリンなど)や脂質、糖質、電解質を含む
成分 | 機能 |
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アルブミン | 血液の浸透圧を作っている ホルモンや薬物などと複合体を形成し、血液で運ばれるときに代謝や排泄を受けにくくしている (アルブミンと結合することで、一つの大きな別の物質ととらえられ、代謝などをまぬがれる) |
グロブリン | 多くは免疫反応で、体内に侵入する細菌やウイルスなどの異物を特異的に認識する抗体としての役割がある (免疫グロブリンと呼ばれるもの) α-グロブリン、β-グロブリン、γ-グロブリンなど多くの種類がある |
脂質 | 中性脂肪(トリグリセリド)、コレステロール(LDL、HDLなど)などのこと 脂質は不溶性であり、タンパク質と結合してリポタンパク質として血漿中に存在する (リポタンパク質については、第5回のこちらに詳細あり) |
成分 | 機能 |
---|---|
赤血球 | 血液全体のおよそ4割を占める 赤い血色素のヘモグロビンを含んでおり、全身に酸素運搬を行うことができる ヘモグロビンはFe(鉄分)を含み、生合成に必要である →鉄分の不足は貧血を呈する 赤血球の寿命はおよそ120日であり、古くなったものは脾臓で処理される |
白血球 | 白血球には顆粒球である好中球、好酸球、好塩基球があり、無顆粒球には単球、リンパ球がある 各成分の詳細は以下に |
好中球 | 細菌や異物を貪食する |
好酸球 | アレルギー反応の生成物を貪食することで抗体を産生する |
好塩基球 | Ⅰ型アレルギーに関わる(ヘパリン、ヒスタミンを含有) |
単球 (マクロファージ) | 単球が末梢(血管外)に遊走(移動)すると、樹状細胞やマクロファージとなる これが細菌や異物を貪食する (第3回のアレルギーでは機序について触れています) 白血球の5%程度だが、最も大きく、強い食作用がある |
リンパ球 | 白血球の3分の1ほどを占める T細胞リンパ球は異物を認識し、B細胞リンパ球は抗体である免疫グロブリンを産生する |
血小板 | 血液凝固、止血に関わるもの |
Tリンパ球:胸腺から抗体を産生する(Ⅳ型アレルギーに関与(遅延型アレルギー))
Bリンパ球:骨髄から抗体を産生する(Ⅰ〜Ⅲ型アレルギーに関与)
リンパ系について
リンパ系とは、血管系とは違ったものとして独立した循環系とされている
・血液は心臓が全身に巡るように働くが、リンパ液の流れは主に骨格筋の収縮によってなされる
→そのため、流速は血流よりも緩やかである
・成分は、血漿とほぼ同じだがタンパク質は少なく、リンパ球を含んでいる
・リンパ管には、逆流防止の弁があるため、リンパ液は一定方向で流れることができている
・リンパ節内部には、リンパ球やマクロファージなどが密集しており、リンパ液で運ばれてくる細菌やウイルスはここで免疫反応で排除されることとなる
今回は循環器、呼吸器、血液についてでしたが、次回は泌尿器系、耳鼻科系などを見ていきたいと思います