前回からの続きにはなりますが、引き続きOTCで用いられる成分について学んでいきましょう
コレステロール改善薬について
コレステロールは細胞の構成成分であり、コレステロールの代謝や産生というのは肝臓で行われています
生理活性物質の産生にも関わっており、胆汁酸や副腎皮質ホルモンなどを作るのにも必要な成分となっています
脂溶性のため水に溶けにくい性質であり、血液中では血漿タンパク質と結合してリポタンパク質として存在しています
コレステロールは必要な成分ですが、脂肪などで脂質を摂りすぎた食事では血液中のコレステロール値が高くなり、血液がドロドロとなってしまいます
それによって、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞など様々な重大な疾患になってしまうリスクが上がります
そのため、過剰な摂取は控えることが大事です
ここでは、高コレステロール気味の方を改善するための成分についてみていきます(医療用医薬品ではもっと多くの種類があります)
これらは、血中コレステロール異常の改善や血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害の緩和のために使用されるものです
腹囲(ウエスト周囲径)を減少させるなどの痩身効果を目的とするものではないことは知っておきましょう
成分 | 薬理作用 |
---|---|
大豆油不鹸化物 (ソイステロール) | 腸管でコレステロールの吸収を抑制する作用あり |
・リノール酸 (n-6系多価不飽和脂肪酸) ・ポリエンホスファチジルコリン (大豆油から抽出したリノール酸系の成分) | 肝臓でのコレステロール代謝を促進する |
パンテチン | LDL等の異化作用を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めてHDL産生を高める (LDL、HDLに関しては次の項目で解説します) |
リボフラビン酪酸エステル※ (ビタミンB2) | ・コレステロール生合成の抑制作用 ・排泄、異化促進作用 ・中性脂肪抑制作用 ・過酸化脂質分解作用 がある |
トコフェロール酢酸エステル (ビタミンE) | コレステロールからの過酸化脂質の生成を抑制し、末梢血管での血行を促進する |
これらを1〜3ヶ月ほど服用しても改善が見られない場合は病院への受診を勧めましょう
※ リボフラビン酪酸エステル:このビタミンの成分は独特の香りがし、ニンニクの様な感じもあることから、疲労回復に用いられる注射薬ではニンニク注射と言われたりします
また、この成分は摂取すると尿の色が黄色く着色する特徴もあり、これは特に問題はないとされる
高コレステロールを改善するための成分はこのようにいくつかありましたが、服用するだけではコレステロール値の改善は難しいといえます
そのため、生活習慣を改善していく必要があります
医療現場においても、治療薬の前にまずは食事療法や運動療法を検討します
その上で、改善が見られない、基準値を大幅に超えている場合に治療薬の服用開始となります
もちろん、治療薬が開始してからも食事療法や運動療法というのは改善していくことが必要なことになります
脂質異常症について
血液中のコレステロール値が基準を超えた状態は脂質異常症と言います(旧名:高脂血症)
その基準値はいくつかありますが、そのうち3つが主なものと言えます
<脂質異常症とは>
・LDL:140mg/dL以上
・HDL:40mg/dL未満
・中性脂肪が150mg/dL以上
のいずれかに該当する場合をいう
ここで、LDLとHDLというのが出ましたが、これは脂溶性のコレステロールが血液中で血漿タンパク質と結合してリポタンパク質となって存在する時に、密度の大きさで分類されるものとなります(この分類も大まかには5種類ありますが、ここでは2つだけしっかり確認しておきましょう)
LDL (低密度リポタンパク質) | コレステロールを肝臓から末梢組織へ運ぶ作用あり これにより、血液中のコレステロール値が上がってしまうため、LDLは悪玉コレステロールとも言われる |
HDL (高密度リポタンパク質) | 末梢組織のコレステロールを取り込んで肝臓に運ぶ作用あり これにより、血液中のコレステロールは減らしてくれることから善玉コレステロールとも言われる |
以上のことから、LDLは高すぎたり、HDLが低すぎたりするのはあまり好ましい状態とはいいにくいでしょう
痔疾用薬について
痔というのは、肛門部へ過度な負担がかかったり、ストレスなどによって生じる生活習慣病です
このため、長時間の座位は避け、軽めの運動を取り入れることによって血行改善し、痔疾患の予防につながります
まずは治療薬の前に、痔疾患の種類についてみていきます
<痔疾患について>
・痔核:肛門に存在する細かい血管群が部分的に拡張し、肛門内にイボ状の腫れが生じたものをいう(「いぼ痔」とも)
その中でも、直腸粘膜と皮膚の境目となる歯状線より下部の肛門出口側にできたものを「外痔核」といい
排便時に肛門から成長した痔核がはみ出るものは「脱肛」という
・裂肛:肛門の出口からやや内側の上皮に傷が生じた状態をいう(「切れ痔」とも)
・痔瘻:肛門内部の肛門腺窩(歯状線のくぼんだ部分)に糞便のかすが溜まることで炎症や化膿を生じた状態である
次からは治療薬について見ていきます
痔疾患の治療薬は主に外用剤となっていますが、内服薬もあります
内服薬は、飲むことで全身の血中を巡り患部に直接届いて効いてくれることを期待しています
(漢方薬では体質改善なども目的としている)
まずは外用剤からになります
薬効分類 | 成分 | 薬理作用 |
---|---|---|
局所麻酔成分 | ・リドカイン ・ジブカイン塩酸塩 ・アミノ安息香酸エチル など | 知覚神経に作用して刺激の伝達を可逆的に遮断する作用 |
抗ヒスタミン成分 | ・ジフェンヒドラミン塩酸塩 ・クロルフェニラミンマレイン酸塩 など | 痔に伴ってみられる痒みを和らげる作用 |
局所刺激成分 | 熱感刺激:クロタミトン 冷感刺激:カンフル、ハッカ油、メントールなど | 局所の穏やかな刺激を与えることによって痒みを抑えるもの |
抗炎症成分 | ステロイド:ヒドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステルなど 非ステロイド:グリチルリチン酸など | ステロイド:肛門部の炎症や痒みを和らげる作用 非ステロイド:比較的緩和な抗炎症作用あり |
組織修復成分 | ・アラントイン ・アルクロキサ | 肛門部の創傷治癒促進作用 |
止血成分 | アドレナリン作動成分:テトラヒドロゾリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩など | 血管収縮作用により止血効果を期待 |
〃 | 収斂保護止血成分:タンニン酸、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、卵黄油など | 粘膜表面に不溶性の膜を形成し、粘膜の保護・止血を目的とする |
殺菌消毒成分 | ・クロルヘキシジン塩酸塩 ・セチルピリジニウム塩化物 ・ベンザルコニウム塩化物 ・イソプロピルメチルフェノール など | 局所の感染を防止する |
生薬成分 | シコン(紫根) | 抗炎症、殺菌、新陳代謝促進作用など |
〃 | セイヨウトチノミ | 血行促進作用、抗炎症作用など |
ビタミン成分 | ビタミンA油 | 傷の修復を促す作用 |
〃 | ビタミンE | 肛門周囲の末梢血管の血行改善作用 |
婦人薬について
婦人薬は女性特有の疾患、症候に用いられるもので、漢方などの生薬成分のものが多くあります
様々な症状がみられるため、それぞれの体質に合った漢方を選択していくことが大事なことです(漢方薬については別の機会にまとめたいと思います)
成分 | 内容 |
---|---|
・エチニルエストラジオール ・エストラジオール | ・女性ホルモンの成分であり、補充のために用いられる →長期連用では乳がんリスクが上がる可能性がある (ホルモンに長期、多量にさらされることは発癌リスクが上がると考えられている(しかし、生きていく上では必要なものであり、生きていくことが発癌のリスクが常に存在しているといえる)) ・胎児の先天異常リスクから、妊娠中は服用しないこと ・血栓症リスクから、長期連用は避けることとなっている →脳卒中などの発生確率が高まる可能性が考えられる |
・サフラン ・コウブシ(香附子) | 鎮静、鎮痛作用や滞っている月経を促す作用がある |
・トウキ(当帰) ・センキュウ(川芎) ・ジオウ(地黄) | 鎮静、鎮痛作用や強壮、血行改善により血色不良や冷えの緩和をする |
・当帰芍薬散 ・桂枝茯苓丸 ・加味逍遙散 など | 婦人薬の代表的な漢方薬といえる (漢方薬については別の機会にまとめていきたいと思います) |
貧血用薬について
貧血の原因にも多くの原因があります
鉄欠乏性貧血や腎性貧血、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血など他にも様々あります
その中で、ここで扱うOTCで対応できる貧血用薬では、主に鉄欠乏性貧血に対する治療薬となっています
(これは、予防的投与は適当とはされていません)
そのため、今回は鉄欠乏性貧血について深く見ていきたいと思います
鉄欠乏性貧血とは
鉄欠乏性貧血とは、鉄分が不足することで赤血球の機能が低下し、酸素や栄養素の運搬がスムーズに行われなくなってしまう疾患である
そのため、症状には疲労感、動悸、息切れが起きやすくなり
この他には血色不良、頭痛、耳鳴り、めまい、微熱、皮膚・粘膜の蒼白、下半身のむくみ、異食症(氷などを好んで食す傾向)などを呈するようになります
この疾患に陥りやすいには
・食事の偏りなどにより鉄分の摂取が不足している
・消化管の吸収障害によるもの
・消化管出血が起きている
・成長時期の年長の乳幼児
・月経血損失のある女性
・妊婦、授乳婦
などが挙げられます
治療に関しては、単純に鉄剤を補ったり、赤血球産生(造血機能)を高めるものを投与していくこととなります
そこで、次は貧血用薬に用いられる成分についてみてみましょう
成分 | 作用・役割 | 内容 |
---|---|---|
鉄 (フマル酸第一鉄、溶性ピロリン酸第二鉄、可溶性含糖酸化鉄、クエン酸鉄アンモニウムなど) | 鉄は酸素を運搬するヘモグロビンの産生に必要なもの | ・黒色便がみられることがある(鉄剤によるもの) →上部消化管の出血(胃・十二指腸潰瘍など)によっても排便までに血液が酸化して黒色便となって出てくることがある ・副作用には胃腸障害、便秘などがある ・鉄剤はタンニン酸と結合し吸収が低下してしまうため、濃いお茶やコーヒーなどの同時摂取は避けることとなるが、製剤的に改善はされてきており影響はあまりなくなってきている |
銅 (硫酸銅) | ヘモグロビンの産生過程で、鉄の代謝や輸送に関与している | ー |
マンガン (硫酸マンガン) | ・糖質・脂質・タンパク質の代謝に働く酵素の構成物質である ・エネルギー合成を促進する | ー |
コバルト (硫酸コバルト) | ・ビタミンB12の構成成分である ・骨髄での造血機能を高める | ー |
・ビタミンB12 (シアノコバラミン) ・葉酸 | 赤血球の産生には不可欠である | ビタミンB12や葉酸は、腎臓で赤血球の前の段階の産生に関わるが、この栄養素が不足してしまうと、この段階が滞り貧血となってしまう、これを巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ:悪性貧血ともいう)を生じることがある |
ビタミンC (アスコルビン酸) | 抗酸化作用があり、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがある | 消化管内では、ビタミンCが食物中の鉄(Fe3+)を吸収されやすいFe2+に還元する(代わりにビタミンCは酸化される) |
滋養強壮保健薬などについて
滋養強壮保健薬とは、体調の不調を生じやすい状態や体質の改善、特定の栄養素の不足による症状の改善や予防を目的とした薬のこと
主にビタミンの成分が該当します
では、具体的にみてみましょう
成分 | 作用 | 内容 |
---|---|---|
・ビタミンA (レチノール酢酸エステル、レチノールパルミチン酸エステル) ・ビタミンA油 ・肝油 | ・夜間視力を維持する ・皮膚や粘膜の機能を維持する ・目の乾燥、夜盲症の改善 | ・不足により夜盲症となることがある ・妊娠中にビタミンAを過剰摂取することで、新生児の先天異常リスクが増大する →このため、妊娠する3ヶ月前〜妊娠3ヶ月目まではビタミンAの過剰摂取は避けること →脂溶性ビタミンであり、肝臓への蓄積されるため ・OTCでのビタミンAの1日摂取上限量は4,000国際単位となっている |
ビタミンB1 (チアミン塩化物塩酸塩、フルスルチアミン塩酸塩、ビスチアミン硝酸塩など) | ・炭水化物の代謝に関わる ・神経の正常な働きを維持する ・腸管運動を促進する ・神経痛、疲労、手足の痺れ、眼精疲労、便秘等の改善に関わる | ・ビタミンB1の不足では脚気(かっけ)※となる |
ビタミンB2 (リボフラビン酪酸エステル、フラビンアデニンジヌクレオチドなど) | ・脂質の代謝に関わる ・皮膚や粘膜の機能を正常に維持する ・口内炎、湿疹、皮膚炎、赤鼻、目の充血などの改善に関わる | ・尿が黄色くなることがある(特に問題はないとされる) |
ビタミンB6 (ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル) | ・タンパク質の代謝に関わる ・皮膚や粘膜、神経機能を正常に維持する ・口内炎、湿疹、皮膚炎、肌荒れ、手足の痺れなどの改善に関わる | ー |
ビタミンB12 (シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン塩酸塩等) | ・赤血球の形成を助ける作用 ・神経の正常な働きを維持する | ・ビタミン主薬製剤や貧血用薬等に配合されている |
ビタミンC (アスコルビン酸) | ・抗酸化作用あり ・皮膚や粘膜の機能を正常に維持 ・メラニンの生成を抑制する ・しみ、そばかす、歯茎からの出血や鼻出血の予防などに関わる | ・鉄の吸収を高める (ビタミンの抗酸化作用により、Fe3+→Fe2+に還元して吸収されやすい形になるため) |
ビタミンD (エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール) | 腸管でのカルシウム吸収や尿細管でのカルシウムの再吸収を促進する作用がある →そのため、骨形成を促進するために必要な栄養素である | 過剰摂取では高カルシウム血症のリスクがある 症状には、便秘、吐き気、腹痛、食欲減退、多尿などがある |
ビタミンE (トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールコハク酸エステル) | ・抗酸化作用あり (体内の脂質を酸化から守る) ・血流を改善する ・ホルモン分泌の調節に関わる ・手足の痺れや冷え、肩・首筋のこりなどの改善に関わる | ・一時的に生理が早くる、経血量が多くなるなどみられる ・出血が長く続くようであれば受診しておくこと |
パントテン酸カルシウム (ビタミンB5) | ・糖質、タンパク質、脂質の代謝に関わる(補酵素の役割) ・他のビタミンと協力作用し、副腎皮質ホルモンの合成や皮膚の健康維持を助ける栄養素となる | ・これはビタミンB群に属しており、水溶性ビタミンの一種 ・口内炎、湿疹、皮膚炎などの症状緩和、便秘や便秘に伴う肌荒れなどの改善に利用される |
ビタミンH (ビタミンB7、ビオチン) | ・糖質、アミノ酸(タンパク質)、脂質の代謝に関わる ・タンパク質で構成される皮膚や粘膜の機能を維持するために必要な栄養素である | これはビタミンB群に属しており、水溶性ビタミンの一種 |
※ 脚気:ビタミンB1が不足することで、末梢神経障害と心不全(新機能の低下)がおこり、血行不良から全身のむくみを生じる疾患である
初期には、食欲不振、倦怠感(だるさ)(特に下半身)がみられ、徐々にしびれ、むくみ、動悸、息切れ、感覚障害などがみられてくる
ビタミンの性質について
ビタミンには水溶性と脂溶性があります
水溶性は水に溶けやすい性質のため、過剰摂取をしても腎臓を通り、尿として排泄されるものとなります
このことから、過剰摂取による副作用というのは起きにくいとされています
一方で、脂溶性は水に溶けにくい性質で油の成分に溶けやすい・親和しやすい性質があります
このため、体の脂肪などに親和しやすく、脂溶性ビタミンというのは蓄積しやすい性質があります
このことから、脂溶性ビタミンの過剰摂取では副作用を生じることがあるため、気をつける必要のあるビタミンといえます
その水溶性と脂溶性については以下の通りとなりますので、こちらはしっかり把握しておきましょう
<水溶性ビタミン>
ビタミンB群、ビタミンC、葉酸など
<脂溶性ビタミン>
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど
滋養強壮保健薬について(その他の栄養素)
滋養強壮保健薬で、ビタミン類のほかの栄養素についても見ていきましょう
成分 | 作用 | 内容 |
---|---|---|
カルシウム | ・骨や歯をつくり、丈夫に保つ働き ・筋肉の収縮や血液凝固、神経機能などに関係する | ・過剰摂取では高カルシウム血症を引き起こすことがある ・沈降炭酸カルシウムなどのカルシウム含有成分は、甲状腺ホルモンの吸収を阻害するおそれがあることから、甲状腺機能障害の方は注意 |
システイン | ・メラニンの生成を抑制する作用と、メラニンの排出を促進する作用がある →これによりしみ、そばかすの改善を促す ・アルコール分解を促進する作用あり(アセトアルデヒドの代謝促進に関与) →これにより、二日酔いに良い | 髪や爪、皮膚などに存在するアミノ酸である |
アミノエチルスルホン酸 (タウリン) | ・細胞の機能を正常に維持する作用 ・肝機能の改善作用 | 筋肉や脳、心臓、目、神経等、体のあらゆるところに存在している |
アスパラギン酸ナトリウム | ・エネルギーの産生効率を高める作用 ・乳酸の分解を促進する作用 乳酸:運動などで代謝されて乳酸が作られ、それが蓄積することで、骨格筋の疲労がみられるようになる | ー |
ヘスペリジン | ビタミンCの吸収を助ける | ビタミン様物質の一つ |
コンドロイチン硫酸 | 軟骨組織の成分である これは、軟骨成分の形成と修復を行う | ビタミンB1と組み合わせて用いられることが多い成分 |
グルクロノラクトン | 肝臓の働きを助け、肝血流を改善する作用 | 全身倦怠感や疲労時の栄養補給で用いられる |
ガンマ-オリザノール | ・米油、米胚芽油から発見された成分 ・抗酸化作用あり | ビタミンEと組み合わせて用いられることが多い |
強心薬について
強心薬とは、動悸や息切れ、気つけに用いられる薬をいいます
疲労やストレスなどによって心臓の働きに乱れが生じますが、この心臓の働きを整えて症状を改善するために用います
具体的な成分は以下の通りとなります
成分 | 薬理作用 | 内容 |
---|---|---|
センソ(蟾酥) | 心筋に直接刺激を与え、その収縮力を高める作用あり | ・成分はシナヒキガエルなどの毒腺の分泌物を集めたものとなる ・局所麻酔作用があり、内服固形剤を噛むことで舌が麻痺してしまうほどのものである →このことから、噛まずに服用すること ・微量でも強い強心作用があり、有効域は狭い ・1日服用量5mgを超えて含有するものは劇薬となる |
ジャコウ(麝香) | 〃 | ・成分はジャコウジカのオスのジャコウ線分泌物である ・呼吸機能を高めたり、意識をはっきりさせたりする作用あり |
ゴオウ(牛黄) | 〃 | ・成分はウシの胆嚢中に生じた結石である ・末梢血管拡張による血圧降下、興奮を鎮める作用がある |
ロクジョウ(鹿茸) | 〃 | ・成分はマンシュウアカジカ又はマンシュウジカのオスのまだ角化していない、もしくはわずかに角化した幼角 ・強壮作用、血行促進等の作用がある |
リュウノウ(龍脳) | 強心成分の働きを助ける作用あり | 中枢神経系の刺激作用で気つけに |
シンジュ(真珠) | 〃 | 鎮静作用あり |
・レイヨウカク(羚羊角) ・ジンコウ(沈香) ・動物胆等 | 〃 | ー |
成分 | 薬理作用 | 内容 |
---|---|---|
ユビデカレノン (コエンザイムQ10) | ・肝臓、心臓などに多く存在し、ビタミンB群とともにエネルギー産生時に働くもの ・心筋の酸素利用効率を高める作用 | ・効能効果は、軽度の心疾患によって起こる動悸や息切れ、むくみなどに用いられる ・副作用に、胃部不快感、食欲減退、吐き気などがある ・15歳未満は服用しないこととなっている(受診すること) ・基礎疾患のある方、心臓病のある方は、事前に医師や薬剤師、登録販売者に相談すること ・高血圧症や呼吸器疾患、腎臓病、甲状腺機能障害、貧血などでも動悸や息切れ、むくみが見られることがあるため、判断が難しい場合は医師または薬剤師への相談や病院へ受診するよう促すことが必要 |
・ヘプロニカート ・イノシトールヘキサニコチネート | ニコチン酸を遊離し、末梢の血液循環を改善する作用 | これらはビタミンEと併用されることが多い |
ルチン | 毛細血管を補強したり強化をする作用 | これはビタミン様物質である |
駆虫薬について
市販薬における駆虫薬は、回虫・蟯虫(かいちゅう・ぎょうちゅう)を対象とする治療薬である
これは虫体のみに作用し、虫卵には効果がない
このため、1ヶ月以上間隔を空けてから再度服用する必要がある(虫卵がかえって、再度虫体が発生することがあるため)
これは、大量服用したとしても効果が高まるということはなく、むしろ副作用が起こりやすくなるとされる(これは他の医薬品でも言えることです)
また、駆虫薬の併用も効果が高まるということはなく、同じく副作用が出やすくなる原因だったり、作用が減弱してしまうということがあるため、基本単剤での治療となります
この治療に特有ですが、感染が広がっていることも考慮し治療対象者は家族全員が望ましいとされています
製剤の特徴として、服用方法は主に空腹時の服用となります
(食後では食物の吸収と同時に駆虫薬の体内への吸収が高まってしまい、副作用の原因となりうる)
成分 | 作用 | 内容 |
---|---|---|
サントニン | 回虫に対して、自発運動を抑制する作用 | ・肝代謝である ・肝疾患が増悪するおそれあり、肝疾患既往者への投与は注意 副作用:ものが黄色に見える、耳鳴、口渇 |
カイニン酸 | 回虫に対して、痙攣を起こさせる作用 | 紅藻類であるマクリはカイニン酸を含んでいる |
ピペラジンリン酸塩 | 回虫や蟯虫に対して、アセチルコリンの伝達を妨げて、運動筋を麻痺させる作用 | ・痙攣のある人、貧血や栄養障害の診断を受けたことのある人は服用を避けること 副作用:痙攣、倦怠感、眠気、食欲不振、下痢、便秘など |
パモ酸ピルビニウム | 蟯虫に対して、呼吸や栄養分の代謝を抑制する作用 | ・赤〜赤褐色の成分であり、尿や糞便が赤く着色する ・特にパモ酸ピルビニウムは、ヒマシ油や高脂肪食、飲酒などで吸収されやすくなってしまうため、副作用発現のおそれがあることから、併用は避けることとなっている |
今回も多かったですね、お疲れ様でした
次回も続きますが、もう少しでOTCの成分については終わりとなりますので頑張っていきましょう