登録販売者合格講義ノート

第12回 一般用医薬品(OTC)の成分について(感冒薬、抗アレルギー薬、鎮静薬)

第12回

今回はようやくOTC医薬品の成分について詳しく見ていきたいと思います


それではさっそく始めていきましょう


かぜ薬について


まず、「かぜ」とは何か?


から見ていく必要がありますので、薬の前にまずは病態からみていきましょう


かぜとは何か?


「かぜ」とは、医学的にはかぜ症候群といわれており

これは単一の疾患を指しているのではなく、ウイルス※が上気道(鼻やのど)に感染して起こる上気道の急性炎症の総称である


原因は主にウイルス性ですが、冷感刺激による反応アレルギー性のものなど非感染性のこともあります


※ ウイルス:かぜ症候群の原因となるウイルスは200種類以上もあると言われている


症状は、全身症状と呼吸器症状があります


全身症状発熱、頭痛、関節痛、全身倦怠感など
呼吸器症状くしゃみ、鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)、咽頭痛(のどの痛み)、咳、痰など
かぜ症候群の症状について


<治療>


ウイルス性は抗ウイルスを投与するものもあるが、基本的には対症療法となります


そのため、自分の免疫機構が働いて自然に治るまでかぜ症状を抑える薬を飲んで症状をおさえる治療をします


かぜに類似した症状・疾患について


ここで、かぜ症状がみられたからといって全てがかぜ症候群からくるものとは限りません


医療においては症状から一つの可能性だけを考えることはリスクがあります


非常に多くの可能性を考えて、一つずつ消去法でどの疾患が原因なのかを見極める必要があります


とはいえ、診断に関しては医師の役割であり、詳しく調べていくことは必要はありません


しかし、致命的な疾患や後遺症が起きてしまうような重大な疾患の可能性があるものは、しっかり最初のスクリーニングは医療従事者であれば知っておきたいところです


今回はそこまでの鑑別をするというものではないため、こういう疾患もあるということを知っておくことがまず必要ですので、さわりとして学んでいきましょう


かぜ症候群に似た症状を呈するものとしては以下があります


喘息アレルギー性鼻炎
リウマチ熱関節リウマチ
肺炎肺結核
髄膜炎急性肝炎
尿路感染症など
かぜ症候群に似た症状・疾患について


この大まかな判断基準としては


急激な発熱4日以上続く症状ガクガク震えるほどの強い寒気(悪寒戦慄:おかんせんりつ)症状が単一(発熱だけ、咳だけなど)などの特徴的な症状を呈している場合は緊急性があることがありますので、その際はすぐに医療機関を受診するよう勧めましょう(受診勧奨)


この他、発熱や頭痛に加えて消化器症状(悪心・嘔吐、下痢など)を呈していればウイルス性胃腸炎のこともあります

→基本的には対症療法であり、腹痛に対する整腸剤、脱水予防のための水分補給、発熱による体力消耗を避けるため解熱鎮痛剤の投与などの対処法があります


次に、インフルエンザウイルスですが、これはかぜ症候群よりも強い症状を示し、感染力が強く、重症化しやすいことからかぜとは区別されています

→そのため、インフルエンザウイルスに対しては治療薬が開発されており、毎年ワクチン摂取感染後の薬剤投与などで治療することができるようになりました


ところで、かぜとインフルエンザの違いはしっかり把握できているでしょうか


ここでその違いについて覚えておきましょう


項目かぜ症候群インフルエンザ
原因ウイルスライノウイルス
コロナウイルス
など非常に多くに種類
インフルエンザウイルス
症状くしゃみ、鼻水、喉の痛みなどの症状が先行してみられる

・発熱がみられないこともあり、あっても高くならないこともしばしば

咳はかぜの中期から後期でみられる
(咳症状だけ1ヶ月残ることがある→これを感冒後咳(PCI)という)
突然の高熱(38〜40℃)、強い倦怠感、筋肉痛

・目の充血、涙目といった目の症状

・通常、発熱が先行し咳や鼻水が後にみられる
治療安静保温水分補給に加え、症状に合ったOTCを使用など症状発現後48時間以内では抗インフルエンザウイルス薬が著効する

それ以降では対症療法となり、かぜ症候群と同様の対応となる

発症してから(発熱が見られてから)最低でも5日間は感染期間があることから、出勤・登校は禁止となる
(かつ、熱が下がってから2日経過するまでは出勤・登校はできない)
かぜとインフルエンザの違いについて



かぜ薬:総合感冒薬について


総合感冒薬とは、かぜの諸症状の緩和を目的としたものであり、ウイルスの増殖抑制や体外へ排除するといったものではない


以上のことから、総合感冒薬は対症療法の治療薬であり、根治療法ではありません


かぜ症状が緩和されていくのは、あくまでも自己免疫によるウイルスの排除によるものです


そのため総合感冒薬の役割は、かぜ症状による体力消耗でかぜ症状が長引かないようにしたり、後遺症を残さないようにしたりと、治るまでの期間を比較的穏やかに過ごすことができるようにすることが目的となります


このことから、治療のためには安静にし、栄養を摂り水分を十分に摂取するということが基本となります

総合感冒薬は一つで複数の成分が配合されており、症状のないものに対しても効果のある成分を摂取してしまうことがあります

不要な成分は摂らないようにするためにも、症状から適切な成分が何かをわかるようになっておくことが登録販売者に必要なスキルです


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かぜ薬に配合されている成分について


それでは、具体的な成分について見ていきましょう


薬効分類効能効果成分
解熱鎮痛成分・発熱
・疼痛
・のどの炎症
など
・サリチル酸系:アスピリン、サザピリン、サリチルアミド、エテンザミド

・イブプロフェン

・アセトアミノフェン

・イソプロピルアンチピリン(ピリン系)
など
抗ヒスタミン成分鼻汁
くしゃみ
・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・カルビノキサミンマレイン酸塩
・メキタジン
・クレマスチンフマル酸塩
・ジフェンヒドラミン塩酸塩
など
抗コリン成分鼻汁
(くしゃみ)
・ベラドンナ総アルカロイド
・ヨウ化イソプロパミド
アドレナリン作動成分鼻閉(鼻づまり)
血管収縮作用による
・メチルエフェドリン塩酸塩
・プソイドエフェドリン塩酸塩
・フェニレフリン塩酸塩
など

気管支拡張作用による
・メチルエフェドリン塩酸塩
・マオウ
・メチルエフェドリンサッカリン塩
・トリメトキノール塩酸塩
・メトキシフェナミン塩酸塩
など
中枢性麻薬性鎮咳成分・コデインリン酸塩
・ジヒドロコデインリン酸塩
中枢性非麻薬性鎮咳成分・デキストロメトルファン臭化水素酸塩
・ノスカピン塩酸塩
・チペピジンヒベンズ酸塩
・ジメモルファンリン酸塩
・クロペラスチン塩酸塩
・クロペラスチンフェンジゾ酸塩
など
キサンチン系成分
→気管支拡張作用による
ジプロフィリン※
去痰成分・グアイフェネシン
・グアヤコールスルホン酸カリウム
・ブロムへキシン塩酸塩
・エチルシステイン塩酸塩
など
抗炎症成分鼻、のどの粘膜の腫れ、疼痛・セミアルカリプロティナーゼ
→これは、去痰作用もあり

・ブロメライン
・トラネキサム酸
・グリチルリチン酸二カリウム
その他カミツレ
→発汗や抗炎症のため配合
かぜ薬に配合されている成分について


※ ジプロフィリン:これは、気管支平滑筋に直接作用して気管支を広げるもので、アドレナリン作動成分とは異なる


鎮咳去痰薬、口腔咽喉薬について


次に、鎮咳去痰、口腔咽喉薬に焦点を当てて見ていきます


薬効分類薬理作用成分注意事項
中枢性麻薬性鎮咳成分延髄の咳嗽(がいそう)中枢に作用し鎮咳作用を示す・コデインリン酸塩
・ジヒドロコデインリン酸塩
(コデイン類)※1
・モルヒネ※2と基本構造が同じであり、依存性リスクあり

・授乳中は服用しないか服用した場合は授乳しないこと(乳児のモルヒネ中毒

・妊娠中は服用を控える(要相談)

・副作用には眠気、便秘などがある
中枢性非麻薬性鎮咳成分・ノスカピン塩酸塩
・デキストロメトルファン臭化水素酸塩
・チペピジンヒベンズ酸塩
・ジメモルファンリン酸塩
・クロペラスチン塩酸塩
・クロペラスチンフェンジゾ酸塩
・デキストロメトルファンフェノールフタリン酸塩(これは主にトローチ剤、ドロップ剤)
アドレナリン作動成分交感神経系を刺激することで気管支拡張し、呼吸を楽にする・メチルエフェドリン塩酸塩
・メチルエフェドリンサッカリン塩
・トリメトキノール塩酸塩
・メトキシフェナミン塩酸塩
・マオウ(麻黄)
など
交感神経系を刺激するため、心悸亢進、血圧上昇、血糖値上昇作用がある

心臓病、高血圧症、糖尿病、甲状腺疾患のある人への投与は注意が必要

・エフェドリンを含むもの(マオウも主成分である)は依存性に注意
キサンチン系成分気管支平滑筋に直接作用して気管支を広げるジプロフィリン中枢神経系を興奮させる作用あり

甲状腺疾患、てんかんのある人への投与は注意

心刺激作用あり

→副作用に動悸
去痰成分気道粘膜からの粘液分泌促進することで痰を出しやすくする・グアイフェネシン
・グアヤコールスルホン酸カリウム
・クレゾールスルホン酸カリウム
など
痰粘性タンパク質を溶解し、低分子化して粘り気を減少させる・エチルシステイン塩酸塩
・メチルシステイン塩酸塩
・カルボシステイン
など
粘膜分泌促進や溶解低分子化、繊毛運動促進作用があるブロムへキシン塩酸塩
抗炎症成分気道の炎症を和らげるトラネキサム酸・凝固した血液の分解をおさえる作用がある(抗凝固作用

血栓のある人、血栓を起こすおそれのある人への投与は注意が必要

→脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎など
気道の炎症を和らげる・グリチルリチン酸二カリウム

・カンゾウ(甘草)※3

→これらは、ステロイド性抗炎症成分と類似の構造をもっている
・大量摂取では、偽アルドステロン症のリスクあり

血圧上昇、尿量減少、むくみなど

心臓病、腎臓病、高血圧症、むくみのある人や高齢者では注意が必要
抗ヒスタミン成分アレルギーに起因する咳や気道の炎症を緩和する
アレルギー症状の機序については第3回を参照
・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・クレマスチンフマル酸塩
・カルビノキサミンマレイン酸塩
など
痰が出にくくなることがある

痰のキレが悪い方への投与は注意

・抗コリン作用により、口渇、眠気、眼圧上昇、排尿困難、便秘の副作用あり

前立腺肥大症、緑内障既往者(閉塞性隅角緑内障)には投与禁忌
生薬成分主に鎮咳作用・キョウニン(杏仁)
・ナンテンジツ(南天実)
・ゴミシ(五味子)
・バクモンドウ(麦門冬)
バクモンドウは鎮咳去痰作用や滋養強壮作用がある
主に去痰作用・シャゼンソウ(車前草)
・オウヒ(桜皮)
・キキョウ(桔梗)
・セネガ
・オンジ(遠志)
セネガ、オンジは糖尿病検査値に影響を及ぼす可能性がある

→糖尿病の数値が改善したと誤認するおそれがある

成分に1,5-アンヒドログルシトール(AG)が含まれ、これが血液中の1,5-AGの数値を上げ、糖尿病の改善を示してしまう
鎮咳去痰薬、口腔咽喉薬について


※1 日本において呼吸抑制リスクは遺伝子学的に少ないとされているが、米国等で12歳未満への小児等への使用は禁忌となったことから、日本においても予防的に12歳未満の小児等へ使用はしないこととなった


※2 モルヒネの骨格を持つ成分:長期連用、大量摂取では倦怠感、虚脱感、多幸感を示すため、薬物依存のおそれがある

特に、内服液剤では注意が必要である


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※3 甘草:これは、多くの医薬品や漢方薬に配合されている

甘味料としても使用されるが、重複接種の可能性があり、継続して大量摂取は偽アルドステロン症のリスクを上昇させる

1日の上限摂取量はグリチルリチン酸として200mgを超えないよう決められている

また、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上カンゾウとして1g以上となる製品では、高齢者やむくみのある人、心臓病や腎臓病、高血圧症の人では、服用前に医師・薬剤師等に相談することとされている

これらに該当せずとも、長期連用は避けることとされている


口腔に使用する薬について


次は口腔に使用する薬について見ていきます


内容としては、口腔咽喉薬、うがい薬(含嗽薬)となります


口腔咽喉薬について


口腔咽喉薬とは、口腔内や咽頭部の炎症による痛みや腫れを緩和させたり、殺菌や消毒等をするためのものとなります




これには、鎮咳成分や気管支拡張成分、去痰成分は配合されていません


具体的なものとして、トローチ剤やドロップ剤、外用液剤(スプレー剤)などが挙げられます


トローチ剤やドロップ剤というのは噛んだりせず、口の中に長くとどめて飴のようにゆっくり溶かして飲み込みます


スプレー剤では、軽く息を吐いたり声を出しながら(「あー」など発音すると喉が開く)噴射して使用します


口腔に使用する薬であっても、成分の一部は粘膜から吸収されて、全身に影響を及ぼすことがあります


このため、アレルギーのある方や妊娠、授乳中の方というのはここでも気をつける必要があります


うがい薬について


うがい薬とは、口腔や咽頭の殺菌・消毒・口臭の除去を目的に使用されるものです




これは、水で希釈する必要があったり、水で溶解して用いる粉タイプもあります


指示された濃度での使用が必要であり、濃すぎても薄すぎてもいけません


ここで注意が必要なのは、うがい直後の飲食ではせっかくの殺菌効果が減弱してしまうということがあります


口腔咽喉薬・うがい薬の成分について


次に、具体的な成分について見ていきましょう


薬効分類成分注意事項
抗炎症成分※1グリチルリチン酸二カリウム偽アルドステロン症※2に注意
トラネキサム酸血栓のある方、血栓を起こすおそれのある方への投与は注意
アズレンスルホン酸ナトリウム炎症を生じた粘膜組織の修復を促す作用
殺菌消毒成分ヨウ素系殺菌消毒成分:

ポビドンヨード
ヨウ化カリウム
ヨウ素
ヨウ素の摂取につながるため、甲状腺ホルモン産生に影響することから、甲状腺疾患のある人への使用は注意

・ショック等、重篤な副作用のおそれ

血液-胎盤関門を通過するため、長期大量摂取では胎児の甲状腺機能障害のリスクあり
妊娠中、授乳中の人では注意

・副作用:口腔粘膜の荒れ、しみる、灼熱感、悪心、不快感

銀製品(歯科材料)の変色

ビタミンCと反応することで脱色を生じて殺菌作用が低下する(相互作用)
クロルヘキシジングルコン酸塩・ショック等、重篤な副作用のおそれ

・口腔内に傷やただれがあると、強い刺激を感じる
デカリニウム塩化物
セチルピリジニウム塩化物
ベンゼトニウム塩化物
ベンザルコニウム塩化物
など
局所保護成分グリセリン複方ヨード・グリセリン(ルゴール®︎液)
→喉に塗布して使用する
抗ヒスタミン成分クロルフェニラミンマレイン酸塩等・咽頭に付着したアレルゲンによる症状を鎮める

・鎮咳成分等、他の成分の働きを助ける
生薬成分ラタニア収斂(しゅうれん)作用、抗炎症作用あり
ミルラ収斂作用、殺菌作用
口腔咽喉薬・うがい薬の成分について


※1
かつて抗炎症成分として医療用としても用いられていた「リゾチーム塩酸塩」ですが、医療現場では効果に対する有用性があまりなくなってきたとして、現在は新規の承認は申請されないものとなっています

この成分は鶏卵を利用しており、鶏卵アレルギーのある方は使用できないことや、外用剤の使用であっても副作用を生じることがある(少ないが)といった特徴のある成分でした

なお、現在は代替成分としてトラネキサム酸が主流となっています


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※2 偽アルドステロン症:副腎から分泌されるアルドステロンの作用は体内に水分と塩分を貯留し、カリウム排泄を促す作用があるが

この作用に類似している甘草(その成分であるグリチルリチン酸)を大量摂取、連用などによってアルドステロン様作用を示し、高血圧やむくみ、低カリウム血症を呈するため、注意が必要な成分である


アレルギー用薬、鼻炎用内服薬について


アレルギー用薬とは、蕁麻疹や湿疹、かぶれに伴うかゆみまたは鼻炎に用いられる内服薬の総称


これは、ヒスタミンの作用を抑える成分が主体となっています


服用方法として、予防的に使用することは適当ではないとされています


アレルギー症状については第3回などを参照していただければと思います


ここでは、成分からみた注意事項、薬理作用について見ていきたいと思います


薬効分類薬理作用成分注意事項
抗ヒスタミン成分ヒスタミンが受容体とくっついて反応することを妨げる(阻害する)ことでくしゃみ、鼻水(鼻汁)、痒みを鎮める・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・カルビノキサミンマレイン酸塩
・クレマスチンフマル酸塩
・ジフェンヒドラミン塩酸塩
・ジフェニルピラリン塩酸塩
・メキタジン
・ケトチフェン
・アゼラスチン
・エメダスチン
など
・服用後に、眠気、口渇、便秘に注意
→運転・機械操作の作業は避けること

排尿困難、緑内障の人は服用前に相談すること

メキタジン:ショック、肝機能障害、血小板減少の副作用報告あり

ジフェンヒドラミン乳児昏睡のおそれあり、授乳中は服用しないまたは服用した場合は授乳を避けること
アドレナリン作動成分交感神経刺激作用により、鼻粘膜の血管を収縮し、鼻づまりを解消する・プソイドエフェドリン塩酸塩
・フェニレフリン塩酸塩
・メチルエフェドリン塩酸塩
・マオウ(麻黄)
など
プソイドエフェドリン塩酸塩心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害のある人、前立腺肥大による排尿困難の症状のある人服用しないこと

(他のアドレナリン作動薬については「相談すること」と記載あり)

中枢神経系に対する作用が強いため、副作用には不眠、神経過敏がある。また、依存性に注意
抗コリン成分粘液の分泌を抑え、鼻腔内の刺激の伝達を抑えることでくしゃみ、鼻汁を鎮める・ヨウ化イソプロパミド

・ベラドンナ総アルカロイド
散瞳作用あり、目のかすみや異常なまぶしさを感じる(羞明感:しゅうめい)

→このため、服用後は車の運転を避けること

・排尿困難、口渇、便秘、頭痛、顔のほてり等がみられることがある

排尿困難、心臓病、緑内障既往の方、高齢者では投与に注意が必要
抗炎症成分皮膚や鼻粘膜の炎症を和らげる・グリチルリチン酸二カリウム
・カンゾウ(甘草)
偽アルドステロン症に注意
トラネキサム酸血栓のある方、血栓を起こすおそれのある方への投与は注意
・ブロメライン
・セミアルカリプロティナーゼ
血液凝固に関係するフィブリノゲンやフィブリンを分解する作用がある

血液凝固異常のある人(つまり、出血傾向)への投与は注意

(抗凝固薬などを服用している人も注意)
アレルギー用薬、鼻炎用内服薬について


催眠鎮静薬・眠気防止薬について


催眠鎮静薬とは、眠気を促す薬のことであり、眠気防止薬は、眠気や倦怠感を一時的に抑える薬のこと


カフェインについて


眠気を防ぐための成分としてカフェインはよく用いられます


これは、脳に軽い興奮状態を引き起こし、眠気や倦怠感を一時的に抑える作用があるためです


ただ、脳が過剰に興奮作用を示すとふるえやめまい、不安、不眠、頭痛などがみられることがあります(副作用)


また、反復で摂取することで習慣化しやすいことから、服用は短期間にとどめて、連用しないこととなっています

カフェインの摂取量:1回200mg、1日500mgを上限とする(眠気防止薬として)


カフェインの作用というと、利尿作用が思い浮かぶのではないでしょうか


これは、腎臓での水分の再吸収を抑え、膀胱括約筋を弛緩させることでおこります


この他の作用には、胃液分泌亢進作用、心筋興奮作用が挙げられます

胃液分泌亢進作用胃腸障害のおそれあり

胃酸過多や胃潰瘍の人は服用を避けること


心筋興奮作用:動悸がみられることがある

→このため、心臓病の人は服用を避けること




カフェインは医薬品・医薬部外品だけでなく、食品(コーヒー、栄養ドリンクなど)でも摂取することがありますの、併用には注意する必要があります


また、カフェインというのは血液-胎盤関門を通過することから、胎児の心拍数を増加させる可能性があります


そのため、妊娠中のカフェイン摂取は控える必要があります


さらに、乳汁中にも移行するため、授乳中でも摂取を控えるか摂取時は授乳を避けるのが良いでしょう
(乳児ではカフェインの代謝に時間がかかることから頻脈や不眠を起こす可能性があるため)


このことからも、小児用の眠気防止薬というのはありません


催眠鎮静薬に用いられる成分について


それでは、成分について見ていきましょう


薬効分類薬理作用成分注意事項
抗ヒスタミン成分覚醒の維持・調節に関与しているヒスタミンによる刺激を抑えることで眠気を促す
(副作用を主作用としたもの)
ジフェンヒドラミン塩酸塩・寝つきが悪い、眠りが浅いなどの一時的な睡眠障害に用いること

・次の日まで眠気やだるさが残ることがあるため、この症状が無くなるまでは運転や機械操作は避けること

・服用前や服用後は飲酒は避けること

・医療用の不眠症治療薬とは違った薬理作用で眠気を催すもののため、不眠症の診断を受けている人や慢性的な不眠症状のある人、小児妊娠中の人授乳中の人では使用をしないこと
催眠鎮静成分脳の興奮を抑える作用あり・ブロモバレリル尿素
・アリルイソプロピルアセチル尿素
・主に解熱鎮痛薬の補助成分として用いられるもの

・作用は強く、少量でも眠気がみられるため、摂取後は運転や機械操作は避けること

・反復摂取で依存性あり

ブロモバレリル尿素では、大量摂取により急性中毒が起こりやすい。また、胎児障害のおそれがあり、妊娠中は服用を避けること
生薬成分神経の興奮や緊張を和らげる作用あり・チョウトウコウ(釣藤鈎)
・サンソウニン(酸棗仁)
・カノコソウ(鹿子草)
・チャボトケイソウ(矮鶏時計草)
・ホップ
など
生薬成分でも、他の鎮静薬との併用は注意が必要
(特に、鎮静作用のあるハーブは代謝酵素を阻害することで飲み合わせが悪くなるものがある)
催眠鎮静薬に用いられる成分について


鎮暈薬(ちんうんやく:乗り物酔い防止薬)について


今回の最後となりますが、鎮暈薬についてみていきます


ところで、3歳未満の乳幼児向けの乗り物酔い防止薬はありませんが、そもそもが3歳未満では自律神経系が未発達であり、乗り物酔いが起こることはほとんどないため問題はありません


薬効分類薬理作用成分注意事項
抗めまい成分前庭神経の調節作用

内耳への血流改善作用
ジフェニドール塩酸塩・抗ヒスタミン成分と構造式が共通しており、作用も同じ作用を示す

・副作用には、頭痛や排尿困難、眠気、散瞳による羞明感(まぶしさ)、緑内障症状増悪、口渇、浮動感、不安定感
抗ヒスタミン成分延髄の嘔吐中枢の刺激や内耳前庭における自律神経反射抑制作用ジメンヒドリナート(ジフェンヒドラミンテオクル酸塩に同じ)
メクリジン塩酸塩
プロメタジンテオクル酸塩
・主に鎮暈薬に配合されている

・OTCでは、クロルフェニラミンマレイン酸塩やジフェンヒドラミンサリチル酸塩が配合されているものがある

メクリジン塩酸塩は作用発現が遅く、持続時間が長いという特徴がある

プロメタジン:致命的な呼吸抑制が報告されており、15歳未満は服用しないこととなっている
抗コリン成分自律神経系の混乱を軽減し、消化管の緊張を低下させるスコポラミン臭化水素酸塩水和物吸収されやすく、脳内移行しやすいが、速やかに肝代謝されるため作用時間は短い
キサンチン系成分脳に軽い興奮作用あり、平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させるジプロフィリン
カフェイン
ジプロフィリン甲状腺機能障害やてんかんの人では注意が必要

・心刺激作用があり、副作用として動悸が挙げられる
局所麻酔成分胃粘膜の麻酔作用で嘔吐刺激を和らげるアミノ安息香酸エチルメトヘモグロビン血症をおこす可能性あり、6歳未満への投与は禁忌
鎮静成分不安や緊張を和らげるブロモバレリル尿素

アリルイソプロピルアセチル尿素
・主に解熱鎮痛薬の補助成分として用いられるもの

・作用は強く、少量でも眠気がみられるため、摂取後は運転や機械操作は避けること

・反復摂取で依存性あり

ブロモバレリル尿素では、大量摂取により急性中毒が起こりやすい。また、胎児障害のおそれがあり、妊娠中は服用を避けること
その他ビタミン成分ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)
ニコチン酸アミド
など
吐気防止の補助として
鎮暈薬(乗り物酔い防止薬)について


これらは吐き気を抑える成分を含んではいるが、つわりに伴う吐き気には使用しないこと(胎児の影響等を鑑みて)


総合感冒薬やアレルギー用薬、鎮痛鎮痙薬など様々なものにこれらの成分は配合されており、併用はしないこと(販売する際は成分や薬効の重複に注意するべきこと)


今回は量が多かったですね


引き続き、医薬品の成分について見ていきたいと思いますので、少しずつ学んでいきましょう


お疲れ様でした!



    • この記事を書いた人

    Nitroso.Ph

    自分が学んで知った事が、人の役に立つならいいかなと思いサイトを開設 ・食べる事が好きで、そのために運動をはじめました

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