ここでは、医療における基本的知識をまとめていきます
感染予防対策の他、医療事故、インシデントなどの区分についてまとめてあります。
(注意事項:このシリーズは、あくまでも国家試験の内容からのものであって、試験としては必要な知識は得られますが、より細かい疾患や人体の機能などの基礎部分は載っていないことがあります。
そのため、これを全て把握しても人体については全て理解し、学べたということにはなりませんのでご注意ください。
医学は未知の部分も含め、既知の部分であってもかなりの量です。ここは忘れないようにしてご利用ください。)
感染経路別予防策について
これはあくまでも、標準予防策に加えて行うことであり
病原微生物が検出されていない症例においても標準予防策を実施することが大事である。
全ての患者の血液、体液、損傷した皮膚、粘膜は感染性があるものとして扱い
状況に合わせて手袋、マスク、エプロンの使用や手袋着脱の前後、触れる前後に手指消毒は全ての場面で行うこと
項目 | 病原微生物 | 対応・特徴 |
---|---|---|
空気感染予防策 | ・結核菌 ・麻疹ウイルス ・水痘帯状疱疹ウイルス など | ・原則は陰圧個室での管理となる ・N95マスクを着用し、ユーザーシールチェック※1を行う ・5μm以下の微小な飛沫核が感染力を維持して空気中を拡散すること |
飛沫感染予防策 | ・インフルエンザウイルス ・マイコプラズマ ・百日咳菌 ・ジフテリア菌 ・髄膜炎菌 ・風疹ウイルス ・ムンプスウイルス など | ・サージカルマスクを着用 ・個室管理が望ましいが、多人床であればベッド間隔は1m以上保つこと。カーテンなどでしきるとよい。 ・5μmより大きな飛沫が咳、くしゃみ、会話などで最大2m程飛散して口腔・鼻腔粘膜から感染するもの |
接触感染予防策 | ・C.difficile ・疥癬 ・ほどんどの多剤耐性菌 など | ・医療器材は患者専用とする ・患者、周辺環境に触れる際は手袋、ガウンなどの防護具を着用し、退室前に外す。 ・個室管理が望ましいが、多人床であればベッド間隔は1m以上保つこと。カーテンなどでしきるとよい。 ・患者に定着、感染した病原微生物が、直接他の患者へ、または医療者の手や医療器具、周辺環境を介して伝播する。 ・感染予防のため、医療者は手袋、エプロン着用 |
※1 ユーザーシールチェック:N95マスクと顔の間からの空気の漏れの有無を調べ、正しく装着できているかを確認するもので、装着の度に行う必要がある。
<参考>
安全器材と個人用防護具 - N95マスクの選び方・使い方 (jrgoicp.org)(閲覧:2021.9.7)
インシデントとアクシデントについて
項目 | インシデント (ヒヤリハット) | アクシデント (医療事故) | アクシデント (医療過誤) (医療事故に内包) |
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患者被害 | なし | あり | あり |
誤った医療行為の患者への実施 | 実施した、もしくは 実施前に発覚し中止した | どちらも | 実施した |
誤った医療行為有無 | あり | どちらも | あり |
被害と医療行為との因果関係について | - | どちらも | あり |