内容は、基本部分の知識と前回から改訂された箇所のみをまとめたものになります
5年ぶりの改訂となります(前回は2014年)
M-Q-11 寿命を延ばす方法についても関連記事となります。ご一読いただければと思います
高血圧とは
- 血圧 = 心拍出量 × 末梢血管抵抗
- 心拍出量:心収縮力、心拍数、循環血液量で決まる
- 治療対象:早朝、昼間、夜間高血圧、仮面高血圧(白衣高血圧は対象ではなく、生活習慣の改善などから始める)
高血圧治療ガイドラインの改訂 2019年(第5版 JSH2019)
この度、脳心血管イベントリスクが高いことから改訂となり、基準がより細かくなっている
家庭血圧の基準が加わり、従来の正常血圧は正常高値血圧、至適血圧は高値血圧となった
※以下の表記方法について
収縮期血圧 / 拡張期血圧 の順での記載と、診察室での血圧、家庭血圧の順に記載しています。
また、単位のmmHgは省略しています
- 正常血圧:120未満 かつ 80未満 ━━━ 115未満 かつ 75未満
- 正常高値血圧:120~129 かつ 80未満 ━━━ 115~124 かつ 75未満
- 高値血圧:130~139 かつ/または 80~89 ━━━ 125~134 かつ/または 75~84
治療対象となる高血圧について
- Ⅰ度高血圧:140~159 かつ/または 90~99 ━━━ 135~144 かつ/または 85~89
- Ⅱ度高血圧:160~179 かつ/または 100~109 ━━━ 145~159 かつ/または 90~99
- Ⅲ度高血圧:180以上 かつ/または 110以上 ━━━ 160以上 かつ/または 100以上
- (孤立性)収縮期高血圧:140以上 かつ 90未満 ━━━ 135以上 かつ 85未満
合併症のある血圧の基準値について
合併症やリスク因子のある患者の降圧目標は厳しくなった
・75歳未満で、冠動脈疾患、蛋白尿陽性の慢性腎臓病(CKD)、糖尿病既往がある患者:130/80mmHg未満
・75歳以上で蛋白尿陰性のCKD、脳卒中既往のある患者:140/90mmHg未満
妊娠高血圧症について
- 妊娠後20週以降に初めて高血圧症を発症し、分娩後12週までに正常に戻る場合をいう
- 妊娠20週未満では、メチルドパ、ラベタロール、ヒドララジンを使用
- 妊娠20週以降では、上記3種に加え徐放性ニフェジピンの使用ができる
高血圧治療薬の使い分けについて
高血圧治療薬にはARB・ACEI、Ca拮抗薬、利尿剤、α・β遮断薬があるが、それぞれ高血圧となる原因ごとに使用用途は使い分ける必要がある。
そのためいずれも、第一選択薬となるが、併用するにあたっても、状態によって組み合わせがある。
薬効分類 | 使い分け |
---|---|
ARB・ACE阻害薬 | 内分泌系の異常からくる高血圧 |
Ca拮抗薬 | 末梢血管抵抗からくる高血圧 |
利尿剤(ループ系、チアジド系) | 腎臓のNa排泄障害からくる高血圧 |
α・β遮断薬 | 神経系の異常からくる高血圧 |
高血圧治療薬の選択方法について(ガイドラインに準じて)
グラフ化してみるとこのようになります
A --×-- B
↓ ↘
-------------
C → D
A:ARB・ACE阻害薬
B:β遮断薬
C:Ca2+拮抗薬
D:利尿薬(Diuretic)
①A or C or D
②A+C(または A+D)
③A+C+D
・Bは基本は単剤が多いでしょう。
・横並びのAとBは併用しないことが多い
Bを使うとすれば、心疾患由来で頻脈傾向や高血圧気味という方に使用することが多い。
β遮断薬は、糖尿病や気管支喘息などには使用しにくいことから、高血圧症治療としては割と限定的でしょう。
※また、ISA活性の有無による違いもあり使い方は専門医によって考え方があります。